静脈栄養製剤の「使用上の注意」改訂で透析・血液ろ過患者は慎重投与に/厚労省

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/29

 

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会安全対策調査会)は2020年6月25日付の課長通知で、一般用静脈栄養製剤及び肝不全用アミノ酸製剤の添付文書の改訂指示を発出した。改訂対象には一般用静脈栄養製剤計25品目(アミノ酸製剤10品目[アミパレン:大塚製薬工場 ほか]、末梢静脈栄養用製剤5品目[ビーフリード:大塚製薬工場 ほか]、中心静脈栄養用基本液4品目[ハイカリック:テルモ ほか]、中心静脈栄養用キット製剤6品目[フルカリック:テルモ ほか])と肝不全用アミノ酸製剤4品目(アミノレバン:大塚製薬工場 ほか)が該当する。

 改訂内容は以下のとおり。

・透析又は血液ろ過患者を、禁忌の「重篤な腎障害のある患者」「高窒素血症の患者」及び「乏尿のある患者」から除外し、慎重投与とする。

・重要な基本的注意の項に、「透析又は血液ろ過を実施している重篤な腎障害のある患者又は高窒素血症の患者において、水分、電解質、尿素等の除去量、蓄積量は透析の方法及び病態によって異なるため、血液生化学検査、酸塩基平衡、体液バランス等の評価により患者の状態を確認した上で投与開始及び継続の可否を判断する」旨を記載する。

 この改訂は、日本静脈経腸栄養学会(現:日本臨床栄養代謝学会)と日本集中治療医学会からの一般用静脈栄養製剤における重篤な腎障害のある患者に係る禁忌事項の見直しに関する要望書の提出を踏まえたもの。また、海外の添付文書において、透析または血液ろ過患者への投与が禁忌とされていない、肝不全用アミノ酸製剤についても透析または血液ろ過患者では静脈栄養製剤を投与した場合と同様、過剰な尿素等は適切に管理されるものと考える、などの調査結果に基づいて行われた。

(ケアネット 土井 舞子)