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「スパイ事件だから私は大丈夫」リトビネンコ事件後の健康リスク意識

2006年11月にロンドン中心部で発生したポロニウム-210(210Po)によるリトビネンコ氏毒殺事件後、ロンドン市民の毒物曝露リスクへの関心は低かったという。この事実は、公衆衛生にかかわる事故発生の最中に、一般市民にそのリスクの詳細を包括的かつ効果的に伝えることの重要性を改めて浮き彫りにした。 King’s College London(ロンドン大学)精神科のG. James Rubin氏らは、当該事件後に健康リスクに関する一般市民の意識調査を実施、公衆衛生学的な情報伝達(public health communications)の評価を行った。BMJ誌11月1日付オンライン版、12月1日付本誌掲載の報告から。健康リスクを意識した市民は11.7%にすぎないロンドン市民1,000人を対象に横断的調査を行い、毒物曝露の可能性があった86人に質的インタビュー(qualitative interview)を実施した。210Po事件後、個々人が自らの健康リスクをどう認識したかを調査し、質的インタビューでは情報ニーズをどの程度重視しているかを解析した。横断的調査で、「自分の健康が危険にさらされている」と認識していたのは117人(11.7%)であった。健康リスクを意識した主な予測因子は、「これはスパイ事件ではなくテロリズムだ」という思いこみであった(オッズ比:2.7)。これは、テロリズムのターゲットが一個人ではなく広く公衆一般だからであり(オッズ比:5.9)、汚染地区にいなかった人々の認識に影響を及ぼしていた(オッズ比:3.2)。包括的で詳細な曝露リスク情報へのアクセスが重要質的インタビューを受けた者は全般に、得られた情報には満足していたが、個人的な曝露のリスク、尿検査の結果、事件が健康に及ぼす影響についてもっと多くの情報を望んでいた。Rubin氏は、「2006年、ロンドンで起きた210Po事件後のロンドン市民の健康リスクへの関心は低かったが、これは汚染がスパイ活動に関連したものでターゲットは公衆一般ではなく、曝露されなかった市民にリスクはないと認識したためだ」と結論している。また、「将来、起きるであろう事故の際は、曝露のリスクに関する包括的で詳細な情報への自在なアクセスを保障することが重要だ」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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コレステロール低値の脳卒中死リスクは必ずしも低くない

観察研究のメタ解析としては最も信頼性の高いProspective Studies Collaboration(PSC)が、血清脂質と心血管系イベントに関する解析をLancet誌12月1日号で公表した。虚血性心疾患死のリスクは予想通り、血清総コレステロール(TC)低値例で年齢を問わず低かった。一方、脳卒中死では、TC高値がリスクとなっていたのは、相対的若年者と収縮期血圧がほぼ正常である場合のみだった。約90万例、1千万例・年のデータを解析解析対象となったのは、観察開始時に心血管系疾患の既往がなかった40~89歳の89万2,337人。前向きコホート研究61件のデータが集められた。わが国からのデータも含まれているが、主として欧米人の成績である。また一般的なメタ解析と異なり、PSC解析では原則として、オリジナルデータが入手可能だった。1,160万人・年のサンプル(平均追跡期間13年)中、55,262例が血管系イベントで死亡していた。内訳は「虚血性心疾患死」が33,744例、「脳卒中死」11,663例、「その他の血管死」が9,855例である。虚血性心疾患リスクはTC低値に従い減少性別、年齢と参加した試験で補正後、血清脂質と死亡リスクの関係を検討すると、以下が明らかになった。まず虚血性心疾患死のリスクだが、リスク対数値とTC値の間に正の相関を認めた。年齢の高低、性別を問わず、TC値が37.8mg/dL(1mmol/L)低いと虚血性心疾患死のリスクも有意に低かったが、相対リスクの減少率は若年者で顕著であり、高齢になるに従ってTC低値による相対リスク減少率は小さくなっていた。また、このTC低値における虚血性心疾患リスクの減少は、収縮期血圧の高低、喫煙習慣の有無、BMIの高低を問わず認められた。脳卒中リスクは血圧145mmHg以上では有意に大きい一方、脳卒中死リスク(対数値)とTC値は、40~59歳で弱い正の相関が認められるのみで、それより高齢では相関していなかった。試験開始時の収縮期血圧別に検討すると、「145mmHg未満」ではTC値が37.8mg/dL低値であれば脳卒中死リスクは有意に低くなっていたが、「145mmHg以上」であった場合、リスクは逆に有意に大きくなっていた。この脳卒中と総コレステロールの関係については、更に検討する必要があると著者らは記している。なお本コホートにおける「非血管系死亡」は42,865例。TCが37.8mg/dL低値だとリスクは相対的に10%有意に増加していた(95%信頼区間:1.08~1.11)。この結果を著者らは、TCを低下させる基礎疾患などによりリスクが増加した結果であろうと記している。TC値と総死亡の関係は示されていないが、TC低値は「虚血性心疾患死」のリスクは低いが、血圧コントロール不良例では「脳卒中」抑制に注力が必要であり、また一般的にTC低値例では続発性の低コレステロール血症を除外する重要性が示された。 (宇津貴史:医学レポーター)

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イタリア北東部におけるチクングニアウイルス集団感染報告

チクングニアウイルスはヤブ蚊類(Aedes spp)の媒介によってヒトに感染する。1953年、タンザニアで単離されたのち、散発的な感染例や集団感染がアフリカ諸国、インド亜大陸、東南アジアから報告されている。数年前に西インド洋域のアフリカの島々など広範な地域で流行して以来、温帯地域の先進諸国からの旅行者が感染して帰国する例が多発している。日本では、昨年12月、一時帰国中のスリランカ在住の30歳代の日本人女性の感染が判明、国内で確認された初めての感染例とされる。 イタリア高等厚生研究所のG. Rezza氏らは、イタリア北東部地域で発生したヒトスジシマカ(Aedes Albopictus)の媒介によると思われる集団感染について報告した。Lancet誌12月1日号から。原因不明の発熱性疾患が集団発生イタリア北東部の隣接する2つの村で原因不明の発熱性疾患が集団発生したため、感染源および伝搬様式を確定するための調査が行われ、積極的疫学調査(active surveillance system)が実施された。症状の定義は発熱および関節痛の発現とした。血液サンプルはPCR法で解析し、病原体を同定するための血清学的検査を実施した。現地で捕獲された蚊もPCRで検査し、チクングニアウイルスの系統発生解析を行った。病態はほぼ全例がごく軽度ヒトおよび蚊のサンプルの解析から、チクングニアウイルスの集団感染が判明した。2007年7月4日~9月27日までに205例を確認した。感染源は村のひとつに在住する親戚を訪問中に症状の発現をみたインド人男性と推定された。系統発生解析では、イタリアでみつかったウイルス株とインド洋の島々での集団発生時に同定された株が類似することが示された。病態はほぼ全例がごく軽度で、死亡例は1例のみであった。研究グループは、「今回の非熱帯地域におけるチクングニアウイルスの集団感染は予測不能な面がある」としたうえで、「グローバリゼーションの時代においては、未経験の感染症の脅威に対する備えと対応策が重要」と警告している。(菅野 守:医学ライター)

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C型肝炎肝硬変の血小板減少症に対するeltrombopagの寄与を確認

血小板新生を促進する新しい経口活性型トロンボポエチン受容体作用薬であるeltrombopagは、がん化学療法やC型肝炎ウイルスに関連した血小板減少症の治療薬として期待され、臨床試験が進められている。本論はデューク大学(イギリス)のJohn G. McHutchison氏ら研究グループによるもので、同剤の、HCV関連肝硬変に伴う血小板減少症患者の抗ウイルス治療に対する寄与を評価したもの。NEJM誌2007年11月29日号より。eltrombopag投与群は用量依存的に血小板が増加血小板数が20,000以上70,000未満(単位:立方ミリメートル;/mm3)のHCV関連肝硬変患者74例を、eltrombopag(1日30、50または75mg)投与群とプラセボ群にランダムに割り付け4週間にわたって連日投与された。主要評価項目は、4週目の血小板数が100,000/mm3以上であることとした。試験ではさらにその後12週間、eltrombopagあるいはプラセボを継続投与しながら、ペグインターフェロンとリバビリンによる抗ウイルス治療を開始した。4週目にデータが有効だった例では、血小板数は用量依存的に100,000/mm3以上に増加した。内訳は、プラセボ投与群が18例中0例、30mg投与群12例中9例(75%)、50mg投与群19例中15例(79%)、75mg投与群21例中20例(95%)だった(P

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卵円孔開存と脳卒中の関連が高齢者でも

卵円孔開存の存在と原因が特定できない潜因性脳卒中との関連は明らかだが、先行研究は55歳未満の若年患者に関するもので、55歳以上の高齢患者についての関連は明らかとなっていない。 そこでフライブルグ大学病院(ドイツ)循環器科のMichael Handke氏らは、高齢患者でのエビデンスを求める検証を行った。NEJM誌11月29日号より。18~85歳までの連続症例を検討対象は、2001年1月~2002年4月の16ヵ月間にフライブルグ大学病院の脳卒中ユニットあるいは神経系ICUに入院した18~85歳までの連続症例。脳卒中を発症した509例(潜因性脳卒中227例、原因が特定された脳卒中276例)が前向きに比較検討された。全例に対して経食道心エコーを用い、卵円孔開存の有病率と心房中隔瘤を伴う卵円孔開存の有病率が調べられ、また、55歳未満患者(131例:若年患者群)と55歳以上患者(372例:高齢患者群)との比較も行われた。若年・高齢とも潜因性脳卒中患者群で有意に高い卵円孔開存の有病率は若年・高齢患者群とも同様の傾向、すなわち脳卒中の原因が特定された患者群(対照群)より潜因性脳卒中患者群のほうが有意に高いという結果が示された。若年患者群ではオッズ比4.70(43.9%対14.3%、95%信頼区間:1.89~11.68、P

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ST上昇型心筋梗塞の冠動脈再灌流に向けた州の救急システムへの介入

ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対する迅速な冠動脈再灌流治療の利点は、20年にわたってエビデンスが示されているにもかかわらず、多くの患者があまりに遅く、あるいは全く治療されていない事実が明らかになっている。デューク大学(アメリカ)のJames G. Jollis氏らのグループは、ノースカロライナ州全体で再灌流治療システムを確立するための介入試験を行った。JAMA誌2007年11月28日号より。救急システム改変前後でSTEMI患者への対応を比較本試験はシステムへの介入前後の、再灌流治療実施までの時間と実施率の変化を調べる質向上研究で、ノースカロライナ州の5地域65病院から成る救急体制システムが介入対象となった。このうち経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が可能なのは10病院、非PCI病院は55病院。研究グループによるシステム介入は、早期診断およびケアの段階に応じた最善の再灌流方法の選択(救急体制、救急治療部、カテーテル検査室、そして転送を含む)。5地域にわたるPCI病院には、1回の呼び出しでカテーテル検査室を稼働、空きベッドの有無、紹介元が提携病院か否かにかかわらず患者を受け入れ、州全体のSTEMIケア向上に協力するよう要請した。比較調査は、介入前の2005年7月1日~9月30日までの3ヵ月間と、介入後の2007年1月1日~3月31日までの3ヵ月間で行われた。主要評価項目は、再灌流までの時間と実施率。この間にPCI病院で治療を受けたSTEMI患者は1,164例(介入前579例、介入後585例)で、年齢中央値61歳、女性31%、4%がKillip分類IIIまたはIVだった。同じく非PCI病院で治療を受けたSTEMI患者は925例(介入前518例、介入後407例)で、年齢中央値62歳、女性32%、4%がKillip分類IIIまたはIV。 治療開始、あるいはPCI病院への搬送までの時間は有意に短縮介入後、PCI病院での来院から治療開始までの時間は、患者が直接運ばれてきたケースで85分から74分に(P

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高度外傷性骨折も骨粗鬆症、二次的骨折と関連する

自動車衝突事故や身長以上の高さからの落下などによる高度外傷性骨折は、骨粗鬆症や二次的骨折とは無関係であると広く考えられ、高度外傷性骨折経験者は骨粗鬆症研究やその他観察研究の対象から除外されてきた。SOF・MrOS研究に参加したDawn C. Mackey氏らは、その考え方に疑問を呈し、低骨密度(BMD)は高度外傷性骨折のリスクを増大し、高度外傷性骨折は二次的骨折のリスクを増大するとの仮説を立て検証を行った。JAMA誌11月28日号掲載より。米国65歳以上女性8,022例、男性5,995例を対象高齢男女の骨密度(BMD)と高度外傷性骨折との関連、および高度外傷性骨折と二次的骨折との関連は、米国65歳以上成人を対象に行われた男女2つの大規模な前向きコホート研究で検証された。1つはSOF(Study of Osteoporotic Fractures:1988年~2006年、追跡調査9.1年)で解析対象は女性8,022例。もう1つはMrOS(Osteoporotic Fractures in Men Study:2000年~2007年、追跡調査5.1年)で男性5,995例。主要評価項目は、二重X線骨密度測定装置で測定された股関節および脊椎のBMD。脊椎以外の骨折インシデントは、X線撮影の報告によって確認。また骨折について、BMDの情報有無を問わず、高度外傷(自動車衝突事故、身長以上の高さからの落下による)、または軽度外傷(身長程度の高さからの転落および重度未満の外傷による)に分類された。BMD減少と骨折リスク上昇は高度・軽度問わず相関初発の高度外傷性骨折があったのは女性264例、男性94例。初発の軽度外傷性骨折については女性3,211例、男性346例だった。女性の解析で、股関節BMDの1-SD当たりの減少と高度外傷性骨折のリスク上昇(多変量解析による相対ハザード1.45)、あるいは軽度外傷性骨折のリスク上昇(同1.49)はいずれも同様の相関が示された。この結果は男性でも同様だった(対高度外傷骨折相対ハザード1.54、軽度外傷性骨折1.69)。二次的骨折リスクは骨折経験者で高い二次的骨折リスク(女性)は、高度外傷性骨折の経験有無で比較すると、ある女性のほうが高く34%、軽度外傷性骨折でも、ある女性のほうが高く31%だった。二次的骨折リスクのモデル化は男性では行われなかったが、Mackey氏らは、「外傷性骨折(脊椎以外)および高齢期の二次的骨折のリスク増加は、骨折の程度にかかわらず、いずれも低BMDとの相関が確認された。したがって彼らも骨粗鬆症研究などの対象として含めるべきである」と結論づけた。(武藤まき:医療ライター)

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頸部上皮内治療後のリスク亢進は25年以上にわたる

グレードの高い形成異常症の治療を受けた女性の大半は、その時点での浸潤性子宮頸が予防されるが、治療後も長期にわたって子宮頸や膣のリスク亢進がみられるとの報告がある。イェーテボリ大学(スウェーデン)産婦人科Bjorn Strander氏らは、グレード3の頸部上皮内の治療を受けた患者の、浸潤性子宮頸や膣のリスク亢進はどれぐらいの期間にわたるのか前向きコホート研究にて調査した。BMJ誌オンライン版10月24日付け、本誌11月24日号掲載より。1958年~2002年に診断を受けたスウェーデン女性対象対象としたのは、1958年~2002年の間に重度形成異常症または頸部上皮内(グレード3に相当するもの)の診断を受けたと記録されているスウェーデン女性132,493例、累計2,315,724例。主要評価項目は、スウェーデンの一般女性集団でのリスクに対する標準化発生率、および内部標準を用いた多変量ログ線形回帰モデルによる相対リスク。子宮頸の標準化発生率は2.34、膣6.82グレード3の頸部上皮内を有したことのある女性の侵襲性子宮頸の標準化発生率は2.34(95%信頼区間:2.18~2.50)だった。1970年以後に治療を受けた女性では、リスク亢進は時間とともに減少していたが、四半世紀を過ぎてもまだリスク亢進はみられる。年齢的には50歳以上女性でリスク亢進が目立ち、リスクは1958年以降着実に増大していることも明らかとなった。膣の標準化発生率は6.82(同5.61~8.21)であったが、25年以上経過では2.65まで減少していた。これらの結果を受けStrander氏らは、「グレード3相当の頸部上皮内治療経験者の、侵襲性子宮頸と膣の治療後リスク亢進は25年以上にも及ぶ。未解決な疑問点もあるが、治療経験女性に対して定期的な細胞診を年齢にかかわらず25年以上は実施すべきだ」と提言した。

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先進国の児童福祉改善には経済発展より格差是正を

2007年4月にユニセフが公表した、OECD加盟の経済先進国の子どもや若者を取り巻く状況に関する研究報告書(Report Card 7)で、イギリスの子どもは最も評価が低く、次いでアメリカが低位であることが報告された(日本は一部のデータが不足していたため総合評価には含まれていない)。 子どものウェルビーイング(児童福祉)の状況は、その国の社会経済学的状態と密接に関連しているといわれていることから、ヨーク大学(イギリス)のKate E Pickett氏らのグループは、児童福祉格差の状況を明らかにするため、3つのマクロ経済的尺度との関連について調査を行った。BMJ誌オンライン版11月16日付け、本誌11月24日号より。OECD 23ヵ国間とアメリカ国内間の児童福祉を縦断評価3つの尺度とは、「物質的な生活水準(平均収入)」「社会的地位の格差(収入格差)」「社会的疎外(相対的貧困家庭で生活する小児の割合を評価)」。これらについて、ユニセフに報告されたOECD 23ヵ国間の横断比較を行い、国際的な関連性を確認するためアメリカ国内の州間の解析も行った。主要評価項目は、児童福祉に関するユニセフ報告の指標。アメリカ国内については8つの指標(10代の出産、青少年の殺人、乳児死亡率、低体重出生、教育パフォーマンス、高校の中退、肥満、精神保健上の問題)を用いた。児童福祉は平均収入より収入格差、相対的貧困と負の相関その結果、児童福祉指標は総合的に「収入格差(r=-0.64、P=0.001)」と「相対的貧困(r=-0.67、P=0.001)」との間で負の相関が認められ、「平均収入」との相関は認められなかった(r=0.15、P=0.50)。各指標を見ても大半が、「平均収入」より「収入格差」あるいは「相対的貧困」と関連していた。アメリカ国内では、ワシントンDCと他の各州とですべての指標の格差が有意に大きかった。10代の出産率と高校中退率については、豊かな州ほどより低い傾向がみられた。これらからPickett氏らは、「先進国の児童福祉の改善には、国家のさらなる経済成長よりも国内の経済格差の是正に努めたほうがよい」と結論づけた。

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インフルエンザ、流行シーズンに入る

インフルエンザが流行シーズンに入った。例年よりも1~2ヵ月ほど早く、過去10年ではもっとも早いシーズン入りとなる。11月19~25日の感染症発生動向調査が1.53(全国約4700ヵ所、報告数7162人)となり、流行開始の目安となる定点あたりの報告数が1.00を上回った。既に北海道では警報が出ていたが、神奈川県、兵庫県、東京都など都市部を中心に流行している。

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ロタウイルス性胃腸炎のワクチン予防効果は87%

毎年、世界で約61万1,000人の子どもがロタウイルスが原因で死亡していると推定されるが、その多くは低所得国である。EUでは5歳未満の子どものロタウイルスによる死亡は200人以上、入院は8万7,000回以上、医療機関の受診は約70万回と推定されている。 T. Vesikari氏(フィンランド、タンペレ大学ワクチン研究センター)らは、EUにおける生後2年までの乳幼児のロタウイルスによる胃腸炎に対するロタウイルスワクチン(RIX4414)の有効性を評価した。11月24日付Lancet誌掲載の報告。ワクチンは2回経口投与、フォローアップは2シーズン6ヵ国から3,994人が登録され、ワクチン群(2,646人)あるいはプラセボ群(1,348人)に無作為に割り付けられた。ワクチン群には定期接種の乳幼児用ワクチンとの併用でRIX4414を2回経口投与し、胃腸炎のフォローアップはウイルス流行の2シーズンにわたって行った。胃腸炎の症状がみられた患児の便を採取し、ELISA法でロタウイルスの検査を行い、RT-PCR法で株型を判別した。胃腸炎の重症度の判定には20ポイントVesikariスケールを用い、症状スコアが11ポイント以上を重症と判定した。予防効果の有効性を確認初回効果フォローアップ期間(平均5.7ヵ月)において、プラセボ群では評価可能な1,302人中94人にロタウイルス性胃腸炎がみられたのに対し、ワクチン群では2,572人中24人であり、ワクチンによるロタウイルス性胃腸炎の予防効果は87.1%であった(p<0.0001)。複合効果フォローアップ期間(平均17ヵ月)における重症ロタウイルス性胃腸炎の予防効果は90.4%(p<0.0001)であり、ロタウイルス性胃腸炎による入院の予防効果は96.0%(p<0.0001)、ロタウイルス関連の医療機関受診の予防効果は83.8%(p<0.0001)であった。有害事象はワクチン群の11%、プラセボ群の13%にみられた。1人がワクチン投与後8日目に腸重積を発症したが、手術により軽快した。Vesikari氏は、「RIX4414の2回投与は、5つの株型(G1、G2、G3、G4、G9)のロタウイルスによるあらゆる重症度のロタウイルス性胃腸炎および重症ロタウイルス性胃腸炎に対し、有意な予防効果を示した」と結論している。(菅野 守:医学ライター)

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静脈血栓症は虚血性イベントのリスク

 静脈血栓症の患者では、深部静脈血栓症、肺塞栓症を問わず、発症直後より心筋梗塞、脳卒中のリスクが増加しているとの症例・対照研究が、Lancet誌11月24日号に掲載された。筆頭著者はAarhus University Hospital(デンマーク)のHenrik Toft Sorensen氏。静脈血栓発症後1年間で脳卒中リスク2倍以上今回の「症例」群は、静脈血栓症患者で心血管系疾患既往のない42,124例、デンマーク全国患者レジストリに登録された救急病院入院患者よりピックアップされた。内訳は「深部静脈血栓症」群(25,199例)と「肺塞栓症」群(16,925例)である。一方「対照」群は住民登録システムから「年齢」、「性別」、「居住区域」をマッチさせた心血管系疾患既往のない163,566名が抽出された。深部静脈血栓症の対照群は97,773例、肺塞栓症の対照群が65,793例だった。これらのコホートで比較したところ、静脈血栓症患者では短期・長期を問わず、心血管系イベントリスクが有意に増加していた。すなわち、深部静脈血栓発症後1年間の心筋梗塞発症相対リスクは1.60(95%信頼区間:1.35~1.91)、脳卒中は2.19(95%信頼区間:1.85~2.60)と、対照群に比べ著明な増加を示した。さらに2年後から20年後までのリスクを比較しても、心筋梗塞リスクは1.18(95%信頼区間:1.11~1.26)、脳卒中も1.31(95%信頼区間:1.23~1.39)と有意な増加が維持されていた。肺塞栓症も同様である。発症後1年間の心筋梗塞リスクは2.60(95%信頼区間:2.14~3.14)、脳卒中は2.93(95%信頼区間:2.34~3.66)と著明かつ有意な増加を認め、発症2年後から20年後のリスクも有意に増加していた。「静脈血栓が心血管系動脈のイベントリスクであることを示す、強力なエビデンスである」と著者らは記している。(宇津貴史:医学レポーター)

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torcetrapibの臨床試験ILLUMINATEの結果

本報告は、コレステロールエステル転送蛋白(CETP)の抑制が血漿リポ蛋白レベルに重要な影響を及ぼすことが示され開発が進められていた、CETP阻害薬torcetrapib(2006年12月開発中止)の臨床試験ILLUMINATEの結果。NEJM誌オンライン版11月5日付け、本誌11月22日号で掲載された。強力なCETP阻害薬torcetrapibが重大な心血管イベントを減少させるかどうかについて調査された本治験は、結果として投与を受けた患者の死亡リスクと心イベントが増加したため早期に中止された。HDL-Cの増加とLDL-Cの減少は有意も血圧上昇を伴うILLUMINATEは、心血管リスクの高い15,067例の患者を対象とする無作為化二重盲検試験。患者はtorcetrapib+アトロバスタチンの併用、またはアトロバスタチン単独のいずれかに割り付けられた。主要評価項目は最初の重大な心血管イベントまでの期間とした。重大な心血管イベントとは、虚血性心疾患による死亡、非致死的心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症による入院と定義された。12ヵ月時点で、torcetrapibを投与された患者はベースラインと比較して、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)が72.1%上昇、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)は24.9%低下(P

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多発性骨髄腫へのlenalidomide+デキサメタゾン併用療法は有効性が高い

 サリドマイドの構造的類似体であるlenalidomideは、より強力な生物学的活性をもち、抗剤として開発され欧米では用いられている。アテネ大学医学部のMeletios Dimopoulos氏らの研究グループによる本報告は、再発または難治性の多発性骨髄腫の治療における、lenalidomideとデキサメタゾンの併用療法のプラセボ対照第3相試験の結果。NEJM誌2007年11月22日号に掲載された。2剤併用群とデキサメタゾン単独群を盲検比較 過去に少なくとも1回、多発性骨髄腫治療を受けたことのある351例の患者を、経口lenalidomide 25mg投与群(176例)とプラセボ投与群(175例)にランダムに割り付け、1サイクル28日間の1~21日目に投与した。さらに全例に対して、最初の4サイクルは経口デキサメタゾン40mgを1~4日目、9~12日目、17~20日目に投与し、その後のサイクルでは1~4日目のみ投与した。 本試験は患者に疾患の増悪または容認できない毒性作用が発生するまで続けられた。主要エンドポイントは疾患増悪までの期間。2剤併用群で寛解率、生存期間とも有意に向上 症状進行までの期間は、lenalidomide+デキサメタゾン投与群(lenalidomide群)がプラセボ+デキサメタゾン投与群(プラセボ群)より有意に長かった(中央値11.3ヵ月 vs 4.7ヵ月、P

34135.

病棟の迅速対応チーム(RRT)は小児患者でも有効

迅速対応チーム(rapid response team:RRT、別名メディカル対応チームまたはメディカル緊急チーム)は、ICU以外の入院病棟でのコード(呼吸停止、心肺停止等)による患者死亡を減少させるために導入されたもので、これまで成人患者に関する成果は報告されているが、小児患者については死亡率、コード率の有意な減少を示すデータは公表されていない。そこでスタンフォード大学医学部小児部門のPaul J. Sharek氏らが、小児病院でRRT導入前後の検証を行った。JAMA誌11月21日号掲載より。小児病院でRRT導入前後の死亡率、コード率を検証本研究は、264床を有するスタンフォード大学附属の高度小児医療専門病院で行われた。2001年1月1日から2007年3月31日の間に、同院医療病棟または外来外科手術病棟で少なくとも1日を過ごした小児入院患者計22,037例、102,537 入院日(patient-days)が検討対象で、このうち2005年9月1日以後の入院患者7,257例、34,420入院日分がRRT導入後群。RRTは、小児科ICU訓練を受けたフェローまたは指導医、ICU看護師、ICU呼吸療法士、看護師長から構成。チームは統一基準を用いて活動し、24時間体制で入院患者のアセスメント、治療、トリアージに対応する。主要転帰は、ICUを除く病棟の死亡率、コード率(呼吸停止、心肺停止)とされ、すべての転帰はケースミックス指標値で調整された。死亡率18%減、コード率70%減RRT導入後、平均月間死亡率は18%減少(100退院当たり死亡1.01→0.83)した。平均月間コード率は、1,000入院当たりでは71.7%減少(2.45→0.69)、1,000入院日当たりでみた場合は71.2%(0.52→0.15)減少しており、導入後の推定コード率は、1,000入院当たりでは導入前の0.28倍、1,000入院日当たりでは0.29倍。この結果を受けSharek氏らは、「RRT導入は小児科でも、死亡率、コード率の統計学的な有意な減少が示された」と結論。患者特性、重症度は検討していないものの19ヵ月間で33例の小児が救われたと推定される今回の結果は劇的であると述べる一方、将来的な課題としては、成人患者と混在する病院での検討および、特に費用対効果について検証する必要があるとまとめている。(武藤まき:医療ライター)

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前立腺肥満者の血液希釈とPSA濃度との関係

肥満者の血清前立腺特異抗原(PSA)濃度が非肥満者より低いことが、最近の研究で示唆されている。デューク大学メディカルセンター(アメリカ)のLionel L. Banez氏らのグループは、ボディマス指数(BMI)の高い男性のほうが循環血漿量も多いので、肥満者の低PSAは血液希釈が原因かもしれないと仮定。検証結果をJAMA誌2007年11月21日号に報告した。根治的切除術を受けた患者の後ろ向き研究を実施血液希釈とPSAとの関連を前立腺の肥満者で判定するため、根治的前立腺切除術を受けた男性の後ろ向き研究を行った。3施設[Shared Equal Access Regional Cancer Hospital(n=1,373)、Duke Prostate Center(n=1,974)、Johns Hopkins Hospital(n=10,287)]で1988年から2006年までに手術を受けた患者のデータベースが用いられた。主要評価項目は、平均PSA濃度、平均血漿量、平均PSA質量(全循環PSA蛋白、血漿量と掛け合わせて算出)とBMI値との関係。PSA質量は傾向のP値を決定することで評価された。結果は臨床病理学的な特性を制御した後、検証された。高BMIと低PSAの相関を評価する前向き研究が必要と結論すべてのコホートにおいて、高BMIと高血漿量とは有意に相関しており(傾向のP<0.001)、低PSAとも有意に相関していた(傾向のP≦0.02)。3つのコホートのうち2つにおいて、PSA質量は、BMIの増加に伴う有意な変化はなかったが、残り1つのコホートでは、高BMIとPSA質量増加とに相関がみられた(傾向のP<0.001)。ただしBMI値25以下カテゴリーと他の各カテゴリーとの間だけにみられたものである。Banez氏らは、「高BMIと高血漿量とは相関することが確認された。したがって、前立腺の肥満患者における低PSAの1つの原因として、血液希釈の可能性は十分に考えられる」と結論し、「この相関を評価するためスクリーニング集団での前向き研究を行う必要がある」と最後に提言した。(朝田哲明:医療ライター)

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一般医への1日集中トレーニングで患者の服薬コンプライアンス改善

一般医を対象に高血圧治療に関する集中トレーニングを1日行うだけで、患者の服薬コンプライアンスが有意に改善することが初めて、地域住民を対象とした無作為化試験により確認された。Aga Khan University(パキスタン)のNudrat Noor Qureshi氏らによる報告として、BMJ誌オンライン版11月8日付け早期公開、本誌11月17日号で掲載された。治療アルゴリズムと診療態度を指導本研究では、一般医にて高血圧治療を受けているカラチ住民178例を、受診しているクリニックを基準にクラスター無作為化により、医師「トレーニング」群(81例)と「対照」群(97例)に割り付けた。両群の患者背景に有意差はない。「トレーニング」群に割り付けられた医師たちは1日かけて集中講義を受け、各国高血圧ガイドラインに沿った治療アルゴリズムと、患者に対する十分かつ適切な態度と説明方法を解説された(外務省の情報によると、パキスタンではまだ「『患者を診てやる!』という姿勢が主流」とのこと)。また降圧治療のマニュアル並びにポスターが配布された。一方、対照群の医師は何ら特別な講習は受けていない。降圧薬服薬率はトレーニング群48%、対照群32.4%その結果、受診6週間後の降圧薬服用率は、「トレーニング」群の医師を受診した患者では48%(95%信頼区間:35.8~60.4%)で、32.4%(95%信頼区間:22.6~42.3%)の「対照」群に比べ有意に高かった(p=0.048)。両群で処方された薬剤の詳細は不明だが、降圧薬にかかるコストに有意差はなかった。「指示通りの服薬」に影響を与える有意な因子を多変量解析で探ったところ、医師側の要因としては「服薬の目的を患者に説明」という項目が残った。確かに「トレーニング」群では服薬目的を患者に説明する医師が「対照」群に比べ有意に多かったが、それでも37%のみだった(p=0.01、vs 「対照」群:17%)。著者はこれらより、医師からの患者へのコミュニケーションの重要さを訴え、特に人的資源が限られている発展途上国ではこのようなアプローチが必要だろうと結論している。なお社会経済的にパキスタンの対極に位置する米国では,薬剤師による指導が服薬コンプライアンスを改善するという無作為化試験が報告されている (FAME Study. JAMA 2006; 296: 2563)。 (宇津貴史:医学レポーター)

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潰瘍性大腸炎、クローン病に対する待機的結腸切除術の症例選定基準は高すぎる

イングランドでは、炎症性腸疾患[潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)]対し年間約2,000件の結腸切除術が実施されている。結腸切除術や緊急結腸切除術を要する重篤な炎症性腸疾患患者には、手術によって重大なリスクがもたらされる。これに対し、待機的結腸切除術後の死亡率は短期的には低いことが示されているが、長期的なフォローアップデータはない。 Stephen E. Roberts氏(イギリス、スウォンジ大学医学部)らは、現行の待機的結腸切除術の症例選定基準の適否について評価するために、広範な地域集団において炎症性腸疾患入院患者の手術施行状況別の3年後の死亡率を比較した。BMJ誌10月30日付オンライン版、11月17日付本誌掲載の報告。炎症性腸疾患で3日以上入院した2万3,464例の記録を照合本研究は、1968~1999年のオックスフォード地区および1998~2003年のイングランドにおける記録照合試験(record linkage study)である。炎症性腸疾患で3日以上入院した2万3,464例の記録を照合し、解析を行った。結腸切除術は5,480例に施行されていた。待機的結腸切除術群、結腸切除術非施行群、緊急結腸切除術群の3年後の死亡率を調査した。イングランドでは、3年後の死亡率は待機的手術が有意に優れるオックスフォード地区では、炎症性腸疾患の3年後の死亡率は待機的手術が非手術および緊急手術よりも低かったが、有意差は認めなかった。イングランドでは、UCおよびCDに対する待機的手術施行後3年の死亡率(UC:3.7%、CD:3.3%)は、非手術(UC:13.6%、p<0.001、CD:10.1%、p<0.001)および緊急手術(UC:13.2%、p<0.001、CD:9.9%、p<0.01)よりも有意に低かった。非手術と緊急手術の3年後の死亡リスクは同等であった。また、3年以上が経過すると、待機的手術の死亡率は一般集団と同等になった。併存疾患で補正しても、これらの知見に影響はみられなかった。待機的手術の症例選定基準および至適施行時期の確立をRoberts氏は、「これらの知見は、イングランドでは待機的結腸切除術の症例選定基準が高すぎることを強く示唆する」と結論している。また、同氏は「コントロールが不良な炎症性腸疾患に対する待機的結腸切除術の症例選定基準および至適な施行時期を確立するにはさらなる研究を要する」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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フェノフィブラート長期投与で糖尿病性網膜症の進行が遅延:FIELD試験サブ解析

FIELD試験は、2型糖尿病に対するフェノフィブラートを用いた長期的な脂質低下療法の、大血管障害および細小血管障害に対する抑制効果を検討する国際的な大規模無作為化臨床試験である。2005年にLancet誌に掲載された観察期間5年の報告では、レーザー治療を要する糖尿病性網膜症の発症率が有意に低下していた。レーザー治療は視野狭窄などの副作用を伴うことが知られている。 そこで、A. C. Keech氏(オーストラリア、シドニー大学NHMRC臨床試験センター)らFIELD試験の研究グループは、フェノフィブラートの糖尿病性網膜症に対する進行遅延効果およびそのメカニズムを検討するサブ解析を実施。今回その結果がLancet誌上(11月7日付オンライン版、11月17日付本誌)で報告された。網膜写真で糖尿病性網膜症の重症度を判定FIELD試験には50~75歳の2型糖尿病患者9,795例が登録され、フェノフィブラート群(4,895例)とプラセボ群(4,900例)に無作為に割り付けられた。患者の来院時に、糖尿病性網膜症のレーザー治療に関する情報が収集され、治療群への割り付けを伏せられた眼科医が、黄斑浮腫、増殖性網膜症、その他の眼疾患に対するレーザー治療の適用を判定した。1,012例を対象としたサブ解析[フェノフィブラート群512例(網膜症24例、非網膜症488例)、プラセボ群500例(網膜症22例、非網膜症478例)]では、標準化された網膜写真を撮影し、Early Treatment Diabetic Retinopathy Study (ETDRS)の基準を用いて重症度を判定、糖尿病性網膜症の累積発症率とその構成病変が確定された。初回レーザー治療患者が、フェノフィブラート群で31%低下レーザー治療を要する患者は、血糖および血圧のコントロールが良好な症例よりも不良な症例で多く、臨床的な細小血管障害が重度な症例で多かったが、血漿脂質濃度との関連は認めなかった。 初回レーザー治療を要する患者は、フェノフィブラート群がプラセボ群に比し有意に低下した(3.4 vs. 4.9%、ハザード比:0.69、p=0.0002、絶対リスク低下率:1.5%)。眼科領域のサブ解析では、主要エンドポイントである網膜症重症度の2段階進行について両群間に有意な差は認めなかった(9.6 vs. 12.3%、p=0.19)。また、試験開始時に網膜症がみられなかった症例に限っても有意差はなかった(11.4 vs. 11.7%、p=0.87)。試験開始時に網膜症がみられた症例では、フェノフィブラート群がプラセボ群に比し網膜症重症度の2段階進行が有意に少なかった(3.1 vs. 14.6%、p=0.004)。探索的な複合エンドポイント(網膜症重症度の2段階進行、黄斑浮腫、レーザー治療)は、フェノフィブラート群がプラセボ群に比し有意に改善した(ハザード比:0.66、p=0.022)。糖尿病性網膜症の改善効果のメカニズムは不明Keech氏は、「フェノフィブラート治療を受けた2型糖尿病患者では、レーザー治療を要する糖尿病性網膜症の発生頻度が低下した」と結論している。また、「フェノフィブラートによる糖尿病性網膜症の改善効果のメカニズムは不明だが、血漿脂質濃度とは関連がない」とし、「この実質的な有効性は、厳格な血糖および血圧のコントロールから得られるベネフィットを前提とし、これに付加的にもたらされる可能性がある」と推察している。(菅野 守:医学ライター)

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抗肥満薬rimonabantによりうつ症状が増加の可能性

米国食品医薬品局(FDA)に対し、同局の諮問委員会委員13名の全員一致で「非承認」を採択・答申した食欲抑制剤rimonabantの安全性に関し、Lancet誌11月17日号にメタ解析が掲載された。rimonabant服用例では抑うつ・不安による服薬中止がプラセボ群よりも有意に多いため「慎重な観察が必要である」と著者であるFrederiksberg Hospital(デンマーク)のRobin Christensen氏らは結論している。約4,000例を対象にメタ解析今回のメタ解析の対象としたのは、肥満例を対象にrimonabantと他剤・プラセボの体重減少作用を比較した無作為化二重盲検試験。結果としてRIO-Europe、RIO-Lipids,RIO-North America、RIO-Diabetes,の4試験が対象になった。それらの試験から、プラセボ群とrimonabant 20mg/日群の試験開始1年後のデータを抽出し、メタ解析を行った。rimonabant群2,503例、プラセボ群1,602例での比較となった。体重は有意に減少したが……その結果rimonabant群では1年間で体重が5.1kg、プラセボ群に比べ有意に低下した(95%信頼区間:3.57~7.31kg)。その一方、rimonabant群では「重篤な抑うつ」の増加が見られた。「全ての抑うつ」で比較すると発現リスクはプラセボ群と同等だが、「服薬中止を必要とする抑うつ」の発現はrimonabant群で有意にリスクが高かった(26例/2,503例 vs 5例/1,602例、オッズ比:3.03、95%信頼区間:1.09~8.42)。 一方「不安」は、服薬中止必要性の有無を問わず、rimonabant群で有意にリスクが増加していた。なお「抑うつ」・「不安」の評価に用いられていたのは 病院不安・抑うつ尺度(HADS:Hospital anxiety and depression scales)である。また「抑うつ」発現リスクと背景因子を検討したところ、「血中トリグリセライド(TG)値」と「年齢」がrimonabantによる「抑うつ」発現リスクと相関しており、高TG血症と高齢者が高リスクと考えられた。大規模試験CRESCENDOの今後の結果次第では盛り返しも「考察」において著者らも触れているとおり、冒頭のFDAの諮問委員会では開発社から提供されたデータを用い、同様のメタ解析を行っている。それによると肥満例を対象とした試験に限ればrimonabant 20mg/日による自殺傾向惹起リスクはプラセボと有意差はなく(オッズ比:1.8,95%信頼区間:0.8~3.8)、rimonabant群6,802例例中、自殺者はなく、自殺未遂が4例だった。ただしrimonabantは禁煙補助剤でもあるため、禁煙試験を含めて解析すると、自殺傾向の惹起リスクは1.9と有意に高かった(95%信頼区間:1.1~3.1)。なお、冠動脈イベント高リスク患者に対するrimonabantの1次予防作用をプラセボと比較する大規模試験CRESCENDOが現在進行中であり、結果によっては再び、rimonabantの「リスク・ベネフィット」が話題になるだろう。(宇津貴史:医学レポーター)

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