血管疾患リスクの脂質評価、総コレステロールとHDL-C、またはアポリポ蛋白のどちらかで十分

提供元:ケアネット

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公開日:2009/11/24

 



血管疾患リスクに関する脂質評価は、現行より簡素化し、「総コレステロール値と高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)値」、または「アポリポ蛋白AIおよびB」の、どちらかを調べることで十分であることが報告された。測定時に空腹状態であることや、トリグリセリド(TG)値は必要ないという。英国・ケンブリッジ大学のJohn Danesh氏らの研究グループ「The Emerging Risk Factors Collaboration」が、メタ解析を行って明らかにしたもので、JAMA誌2009年11月11日号で発表した。

30万人超を、延べ279万人・年追跡




研究グループは、主にヨーロッパや北米で行われた68の長期前向き試験の被験者のうち、試験開始時点で血管疾患のない、計30万2,430人について調査を行った。延べ総数・追跡期間は279万人・年で、その間、非致死心筋梗塞が8,857件、冠動脈性心疾患死が3,928人、虚血性脳卒中が2,534件、出血性脳卒中が513件、非分類の脳卒中が2,536件発生した。

解析では、各脂質指標値の上位三分位と下位三分位について、冠動脈性心疾患の発症率を比較した。その結果、TG値はそれぞれ2.6/千人・年と6.2/千人・年、HDL-C値は6.4/千人・年と2.4/千人・年、非HDL-C値では2.3/千人・年と6.7/千人・年だった。

非空腹時でも同等




また、脂質指標値やアポリポ蛋白値が、それぞれ1標準偏差分上昇した場合の、冠動脈性心疾患発症に関する補正後ハザード比について分析を行った。

その結果、TG値は0.99(95%信頼区間:0.94~1.05)、HDL-C値は0.78(同:0.74~0.82)、非HDL-C値は1.50(同:1.39~1.61)だった。同ハザード比は、空腹時測定ではない群でも、空腹時測定群と同等だった。

アポリポ蛋白値を測定したサブグループについて見てみると、非HDL-C/HDL-Cの同ハザード比は1.50で、アポリポ蛋白B/アポリポ蛋白AIも1.49と同等だった。さらに、非HDL-C値のハザード比は1.42で、直接測定法によるLDL-C値も1.38と同等だった。

虚血性脳卒中のハザード比は、TG値は1.02(同:0.94~1.11)、HDL-C値は0.93(同:0.84~1.02)、非HDL-C値は1.12(同:1.04~1.20)であった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)