救急部門へのCanadian C-Spine Rule導入で、頚椎画像診断率13%減少

提供元:ケアネット

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公開日:2009/11/20

 



救急外来での効率・効果的な頚椎損傷画像診断のためにカナダで考案された「Canadian C-Spine Rule」について、実際の導入効果を評価する前向き無作為化試験が、カナダ・オタワ大学救急部門のIan G Stiell氏らにより行われた。導入前後では、画像診断の実施率が13%減少するなど、この戦略が有効であることが示されたという。BMJ誌2009年11月7日号(オンライン版10月29日号)掲載より。

カナダ12ヵ所のERで1万2千例を対象に無作為化試験




Canadian C-Spine Ruleでは、大きく3つのクエスチョン――画像診断が必要なハイリスク要因があるか(65歳以上、四肢の感覚異常など)、リスクは低いのか(単純な後部からの自動車衝突事故、歩行可、ER内で座位を保持など)、首を左右45度自転できる――で画像診断の必要性を振り分ける。以前に行われた8千人超の試験で、感度99%という診断率の高さ、およびこのルール導入で画像診断率は現状の6割程度に抑えることができる可能性が示されていた。しかし、実証データが十分ではないことから普及は進んでいない。

Stiell氏らは今回、ルールの導入効果を検証するため、カナダの大学病院および地域病院の救急部門12ヵ所(介入群、対照群各6ヵ所)を対象に、前向きクラスタ無作為化試験を行った。

介入群施設では、ルールを実行するために、教育、方針説明、放射線に関するリアルタイムな助言などが行われた。一方、対照群には頚椎画像診断をオーダーすることに関する医師の行動を変えさせるための特異的な介入は行われなかった。

被験者は、12施設を頭か首の鈍的外傷を呈し受診した成人11,824例。主要評価項目は、介入前後12ヵ月の頚椎画像診断率とした。

介入施設の画像診断率は減少、半面、対照群は増大




結果、介入群では頚椎画像診断率が介入前後で12.8%(95%信頼区間:9~16%)、相対的に減少した(前61.7% vs. 後53.3%、P=0.01)。

一方、対照群では、12.5%(同:7~18%)、相対的に増大していた(前52.8% vs. 後58.9%%、P=0.03)。

これらの変化は、両群比較時も有意だった(P<0.001)。骨折の見逃しはなく、有害転帰は発生しなかった。

Stiell氏は「Canadian C-Spine Ruleの実行は、損傷の見逃しなく画像診断率および患者罹患率の有意な減少に結びついていた。米国でも導入した施設の大半で最終的な画像診断率が減少していた。このルールの普及が、医療コスト削減につながる可能性があり、世界的に多忙な救急部門の効果的な患者フローに寄与するだろう」と結論している。