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新型インフル流行前、2005年末から散見されていたトリプル再集合体ウイルス:CDC

すでに各メディアで報じられているので耳にしたことがあると思われるが、本論は、米国疾病管理予防センター(CDC)Vivek Shinde氏らがNEJM誌2009年5月7日号で発表した、新型ウイルスパンデミック前夜に散見されていた、トリ・ヒト・ブタのインフルエンザウイルスの遺伝子を有する「トリプル再集合体ブタインフルエンザA(H1)ウイルス」の感染症例に関する報告である。本誌では2009年6月18日号で収載された(データは、5月22日にアップデートされたものが掲載されている)。1990年代以降北米のブタで大流行し続けているトリプル再集合体ウイルストリプル再集合体ブタインフルエンザA(H1)ウイルス(以下、トリプル再集合体ウイルス)は、1990年代後半、北米においてブタに出現し、以後、同地域のブタの支配的な風土病となっているウイルスタイプである。本来同地域のブタ風土病は、古典的なタイプのブタインフルエンザA(H1N1)ウイルスによるもので、インフルエンザウイルスがブタおよびヒトで疾患原因として同定された1930年代以降、ほぼウイルスタイプが変化することなく、ブタの間で流行を繰り返してきていた。なお、A(H1N1)型のヒトへの感染については、過去35年間で50症例ほどが世界で報告されており、ブタに曝露する職業に就く人々では感染リスクが高いことが示唆されていたが、2009年4月まで、ヒト-ヒト感染については非常に限られた報告しかなかった。しかし今回、A(H1N1)型がヒト-ヒト感染に至っているばかりか、さらにその中から4例(カナダ2例、アメリカ2例)のトリプル再集合体ウイルスの感染例が報告された。米国内で2009年2月までに11例のヒトでの感染報告トリプル再集合体ウイルスのヒトへの感染を、CDCが初めて確認したのは2005年12月。以後、2009年2月までに11例の感染報告を受けている(そのうち8例は、2007年6月の動物由来のインフルエンザウイルスのヒトへの感染報告が義務付けられて以降のもの)。11例の年齢中央値は10歳(16ヵ月~48歳)。4例には基礎疾患があった。ブタ曝露が確認されたのは9例で、5例はブタに直接接触、4例はブタがいる場所には行ったが直接は接触していなかった。また、その他1例については曝露が確認できなかった、残り1例についてはヒト-ヒト感染が疑われた。直近の曝露から発症までの期間(潜伏期間)は、3~9日だった。症状は、10例で、「発熱」90%、「せき」100%、「頭痛」60%、またインフルエンザではまれな「下痢」30%などが見られた。CBC(全血球計算値)が入手できた4例から、白血球減少が2例で見られ、またリンパ球減少が1例で、血小板減少が1例で見られた。入院例は4例だった。そのうち2例が重度の下気道疾患に至り人工呼吸器による治療を受けた。また4例がオセルタミビル(商品名:タミフル)投与を受けた。全例が回復に至っている。(朝田哲明:医療ライター)

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認知症患者のビデオを見せながらのIC

患者が自ら選択した治療を尊重することは、人生の終末期の質を高める重要な鍵となる。その選択に際し医師は伝統的に、言葉だけでインフォームド・コンセント(IC)を行ってきた。米国マサチューセッツ総合病院内科のAngelo E Volandes氏らは、実際の末期患者を撮影したビデオを見せながらのICが、患者が望むケアの選択に寄与すると提唱する。ビデオを見せることが、患者が望むケア選択を形作ることができるのか。高齢者を対象に、認知症が進行した場合の治療選択について、ビデオを見せた群と口頭のみの群との選択肢の違いに関する無作為化試験を行った。BMJ誌2009年6月6日号(オンライン版2009年5月28日号)より。認知症患者のビデオを見せ、65歳以上高齢者200例の治療選択を検討試験は2007年9月1日~2008年5月30日の間に、ボストンにある4つの診療所(2つは老人医学専門、2つは成人医学)で、65歳以上200例が参加し行われた。被験者は、認知症になったときの健康ステータスを、口頭のみで説明を受け治療の選択肢を決める群(口頭IC群、106例)と、ビデオ(認知症が進んだ80歳女性が、2人の娘、看護師とともに自宅で撮影されているビデオ)も見て決める群(ビデオIC群、94例)に無作為化された。主要評価項目は、どのようなゴールのケアが選択されたか。すなわち、「延命ケア選択」(心肺蘇生、人工呼吸器装着)、「限定的ケア選択」(入院、抗生剤投与は受け入れるが心肺蘇生は望まない)、「安楽ケア選択」(緩和ケアのみ)のいずれであったかが検討された。また、6週間後にもう一度インタビューを行い、意思の変化も調べられた。ビデオIC群のほうが安楽ケアを選択、時間経過による意思のぶれも小さい結果、口頭のみIC群の選択は、安楽ケア選択68例(64%)、限定的ケア選択20例(19%)、延命ケア選択15例(14%)、不明3例(3%)だった。ビデオIC群はそれぞれ、81例(86%)、8例(9%)、4例(4%)、1例(1%)だった(χ2乗=13.0、df=3、P=0.003)。多変量解析で、口頭IC群よりもビデオIC群のほうが、安楽ケアをより選択する傾向であることが確認されている(補正オッズ比:3.9、95%信頼区間:1.8~8.6)。また全被験者の解析から、安楽ケアを選択する可能性がより大きくなる因子として、「学士(またはそれ以上の学位)を有した者」「健康状態が良好(またはそれ以上)」「健康に関する教養が高い」「白人」および無作為化によるバイアスが確認された。6週間後の再調査では、口頭IC群(94/106例、89%から回答)で意見を変えた人は27例(29%)に上ったが、ビデオIC群(84/94例、89%から回答)では5例(6%)だった(違いのP

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新型インフルエンザの状況をどうみるか? ―第49回日本呼吸器学会学術講演会 緊急報告

第49回日本呼吸器学会学術講演会では6月13日、世界保健機関(WHO)で感染症対策を担当した押谷 仁氏(東北大学大学院医学系研究科微生物学分野 教授)により、「インフルエンザA(H1N1)による新型インフルエンザの各国の状況と日本の課題」と題した新型インフルエンザに関する緊急報告が行われた。まず、押谷氏は日本現在の「今回のインフルエンザA(H1N1)の毒性は弱毒性で、季節性インフルエンザと同程度」、「日本での第1波の流行は終息し、この冬の第2波に備えればよい」との論調に疑問を呈示、WHOでは深刻に捉えていることを話した。わが国でこれまで想定されていた新型インフルエンザでは、罹患率を人口の25%としており、これに基づき、感染者数は約3,000万人とされていた。押谷氏は、新型インフルエンザの病原性を季節性インフルエンザと同程度(致死率0.1~0.2%)とすると、死亡者数は3~6万人、致死率が0.4%と仮定した場合、死亡者数は12万人に上ると推測している。さらに、季節性インフルエンザと異なり、死亡者の多くは子供と20~40歳代の成人であるため、社会的インパクトはきわめて大きいと警告している。今回の新型インフルエンザA(H1N1)の病原性をどう見るべきかについて、押谷氏は、流行がまだ進展している状況では、はっきりとした全体像はよくわからないとした上、米国、特にニューヨーク市の状況について紹介した。米国での死亡者数は、最初の死亡者が出てから1ヵ月半の6月12日時点では、累計45人に達している。ニューヨーク市では、5月1日~20日の電話調査により、罹患率を5%以下と推計。ニューヨーク市の死亡者数は6月2日時点の7人から、6月12日の16人に増加しており、そのうち2人は65歳以上の高齢者だった。さらに、ニューヨーク市では、6月12日時点で、入院者数は567名に達し、そのうち、ICUケアが必要な患者は117人(21%)、人工呼吸器が必要な患者は59人(10%)であった。入院患者・死亡者の約80%はなんらかのリスク因子を持っている。リスク因子の割合は、喘息や他の慢性肺疾患は41%と最も多く、そのほか妊娠女性(妊娠可能女性患者の28%)、2歳未満12%、糖尿病11%などの順であった。なぜ重症化するのかについて、押谷氏は、1)ウイルス側にはこれまでVirulenceを決めるようなMutationは見つかっていない(NS1、PB1、PB2など)、2)おそらく一部の症例では(特に基礎疾患などがある人では)ウイルスの増殖をコントロールできなくなっている、3)ほとんどの人に免疫がないためにこのようなことが起こりうるとしている。わが国では、疫学リンクのない例(感染源が特定されていない例)がかなり見つかっているが、隔離や自宅待機を恐れて名乗り出ていない人もいると思われ、日本での感染拡大が続いている可能性があると押谷氏は指摘した。今後予想されているシナリオとしては、1)このまま日本を含め大規模なパンデミックに突入、2)北半球では今回は「小流行」で終わる、3)いったん北半球では収まっても感染者の流入は続く可能性が指摘されている。日本でも半年以内に大規模な感染拡大は確実に起こる可能性が高いとされる。押谷氏は現時点では感染者の多くは軽症であるとしながらも、感染者が増加すれば日本でも重症化する人が出てくるとし、重症化例への医療体制は大きな課題であると締めくくった。【関連リンク】 ●2009 New York City Department of Health and Mental HygieneHealth Alert ♯22: Novel H1N1 Influenza Update June 12, 2009http://www.nyc.gov/html/doh/downloads/pdf/cd/2009/09md22.pdf ●2009 New York City Department of Health and Mental HygieneHealth Alert ♯21: Novel H1N1 Influenza Update June 2, 2009http://www.nyc.gov/html/doh/downloads/pdf/cd/2009/09md21.pdf(ケアネット 呉 晨/松本佳世子)

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がん患者の最後の選択には「宗教的対処」が影響

患者の最後の選択――終末期医療の選択肢決断に、「宗教的対処(religious coping)」が影響していることが、米国ダナファーバー癌研究所のAndrea C. Phelps氏らによる調査で明らかにされた。これまで、がん患者が病気と向き合うために信心に拠り所を求めることや、一般市民対象の調査で、68.3%が「治療決定に信心が関係すると思う」と回答し、57.4%が「たとえ医師がこれ以上の治療は無駄と言っても神が治してくださると信じる」と回答したなどの報告を踏まえ、Phelps氏らは、信心と延命措置に対する希望との関連を明らかにすることを目的に調査を行った。JAMA誌2009年3月18日号より。進行がん患者345人の信心と治療選択を調査調査は、米国内の40施設で、2003年1月1日~2007年8月31日に登録された、進行がん患者345人を対象に行われた。基線で行った患者インタビューで、心理社会的側面、宗教/霊的側面、事前ケア計画および終末期医療について評価。患者の「宗教的対処」の側面については、評価指標「Brief RCOPE」(「積極的対処」と「消極的対処/苦痛」の2つの因子で評価)で判定された。経過観察は患者の死亡時まで続けられた(中央値は基線評価後122日)。主要評価項目は、積極的な延命処置(最後の週に人工呼吸器装着、蘇生術)。解析は、年齢や人種/民族性などを補正し行い、積極的な宗教的対処と終末期のアウトカムについて、P<0.05で有意な関連ありとした。主要転帰は、さらに心理社会的要因[その他の対処スタイル、病状認知度、霊的サポート、選択に対する誇張した態度、事前ケア計画(蘇生不要の意志表明、リビングウィル、委任状)]を補正し評価が行われた。宗教的対処レベルが強い患者の延命処置受け入れは約3倍基線で「積極的な宗教的対処」レベルが強い患者のほうが、そのレベルが弱い患者と比べて、人工呼吸器装着を受け入れていた割合が2.81倍(P=0.04)と、有意に高かった(11.3%対3.6%)。同様に、最終週に延命処置を受けていた割合も2.90倍(P=0.03)で、有意に高かった(13.6%対4.2%)。主要転帰モデル解析の結果でも、「積極的な宗教的対処」レベルが強い患者のほうが、延命処置を受ける予測因子が有意に強いままだった。Phelps氏は「進行がん患者の積極的な宗教的対処レベルと終末期での延命処置選択とは関連があることが確認された」と結論し、この関連メカニズムについて、さらなる調査が必要だとまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

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適切な終末期の説明が患者と介護者のQOLを改善

患者と、死について話すのは難しいことだが、終末期に関して適切な説明を行えば、死の直前までの積極的治療を減らし、より早期のホスピス照会につながること。ホスピス滞在期間が長いほど、患者および介護者のQOLは良好であったとする、米国ボストンのダナ・ファーバー癌研究所のAlexi A. Wright氏らによる報告が、JAMA誌2008年10月8日号に掲載された。進行癌患者と介護者332組を死後も追跡調査本研究は2002年9月~2008年2月に行われた、前向き多施設共同・縦断コホート研究。対象は私的な介護者がいる進行癌患者(332組)で、患者は登録から死亡まで、中央値4.4ヵ月間にわたり追跡。残された介護者の精神症状とQOLは患者の死後、中央値6.5ヵ月間にわたり評価した。主要評価項目は、存命の最後の週における、積極的治療(人工呼吸器装着や蘇生措置など)とホスピスケアとした。副次的転帰には、患者のメンタルヘルスと介護者の死別適応を含めた。人工呼吸器装着・蘇生措置は減少し早期にホスピス登録患者332例のうち123例(37.0%)は、ベースライン以前に終末期について説明を受けたと報告した。その説明によって、大うつ病発症率は高まることなく(8.3%対5.8%、補正オッズ比:1.33、95%信頼区間:0.54~3.32)、不安増大とも関連しなかった(平均マギル・スコア:6.5対7.0、P=0.19)。傾向スコアを加重補正した結果、終末期の説明を受けることによって、人工呼吸器の装着率低下(1.6%対11.0%、補正オッズ比:0.26、95%信頼区間:0.08~0.83)、蘇生措置の実施率低下(0.8%対6.7%、0.16、0.03~0.80)、ICU入所率低下(4.1%対12.4%、0.35、0.14~0.90)、より早期のホスピス登録(65.6%対44.5%、1.65、0.04~2.63)につながった。補正解析の結果、積極的治療の種類が多いほど、患者自身のQOL低下(6.4対4.6、F=3.61、P=0.01)、残された介護者の大うつ病発症リスク増大(補正オッズ比:3.37、95%信頼区間:1.12~10.13)と関係していたが、ホスピス滞在期間が長いほど、患者自身のQOLは上昇した(平均スコア:5.6対6.9、F=3.70、P=0.01)。追跡調査の結果、患者自身のQOLが良好なほど、介護者のQOLも良好だった(β=0.20、P=0.001)。Wright氏は「終末期についての適切な説明は、死を間近にした積極的治療を少なくし、早期のホスピス照会につながる。積極的治療は、患者自身のQOL低下と介護者の死別適応を悪化させる」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

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COPDの予後に対する医師の悲観的な予測が、必要な入院治療を損なう

イギリスでは毎年約3万人がCOPDで死亡している。COPDの増悪には人工呼吸器が有用だが、挿管にはICUへの入院を要する。一方、医師はICUに入院したCOPD患者の予後を必要以上に悲観的に予測する傾向にあることが示されている。入院は医師の予後診断によって決まるため、入院すべき患者が挿管のためのICU入院を否認されている可能性がある。 Northern General Hospital(イギリス、シェフィールド)のMartin J. Wildman氏らは、COPDの重篤な急性増悪に対する医師の予後診断と、実際の生存アウトカムを比較するプロスペクティブなコホート研究を行った。BMJ誌11月1日付オンライン版、12月1日付本誌掲載の報告。ICU退室時、退院時、180日後の生存を予測対象はCOPD、喘息、COPD/喘息併存の増悪による息切れ、呼吸不全、精神状態の変化がみられる45歳以上の患者とした。2002年3月~2003年9月の間に92のICUおよび3つの呼吸器高度治療室(RHDU)に入院した832例が試験に登録された。医師は入院時に、当該患者のICU/RHDU退室時、病院退院時、入院から180日後の生存について尋ねられた。180日後の生存はGPを通じて確認し、国立統計局を通じて確定した。予測180日生存率は49%、実際は62.1%実際の退室時生存率は80.9%、退院時生存率は70.2%であった。入院から180日後に517例が生存しており、生存率は62.1%であったのに対し、医師による平均予測180日生存率は49%であった。予後の良好度を5段階に分けた場合に、最も不良な予後が予測された患者群の予測180日生存率は10%であったが、実際の生存率は40%であった。10段階に分けた場合に最も予後が不良とされた患者群では、医師の予測生存率は3%にすぎなかったが、実際の生存率は36%であった。試験に参加したICU/RHDUと参加しなかったICU/RHDUの設備は同等であり、同一施設で試験に登録された患者と登録されなかった患者の背景に差はなかった。イギリスの悲観主義的な文化的背景が影響かWildman氏は、「COPD患者、喘息患者の挿管のためのICU入院は、医師の予後診断によって決まるため、入院していれば生存が可能であった症例が根拠のない悲観的な予後予測が原因で入院を否認されている可能性がある」と結論している。また、同氏は「イギリスの悲観主義的な文化が、COPD患者のトリアージにおける医師の意思決定(decision making)をゆがめている可能性がある」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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