循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:10

診察室血圧および24時間自由行動下血圧モニタリングにおける夜間血圧と予後-なぜ夜間血圧の予後予測能がいいのか?-(解説:石川讓治氏)-1131

自由行動下血圧モニタリング(ABPM)は、15~30分間隔で連続して血圧測定を行い、診察室以外での自由行動下および睡眠中の血圧測定が可能である。疫学的研究において、24時間平均自由行動下血圧、とくに夜間血圧が、診察室血圧よりも優れた高血圧性臓器障害や予後予測指標であることが報告されてきた。International Database on Ambulatory Blood Pressure in Relation to Cardiovascular Outcomes(IDACO)研究は、ABPMを用いた世界中の多数の疫学研究データを統合し、これらの研究結果をグローバル化させることを行ってきた。本研究の結果、24時間平均自由行動下血圧、とくに夜間血圧が、診察室血圧よりも優れた予後予測指標であったことが再確認された。

高血圧の第1選択薬、単剤での有効性を比較/Lancet

 降圧治療の単剤療法を開始する際、サイアザイド(THZ)系/THZ系類似利尿薬はACE阻害薬に比べて優れており、非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は、その他の第1選択薬4クラスの降圧薬に比べ有効性が劣ることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のMarc A. Suchard氏らが行った系統的な国際的大規模解析の結果、示された。残余交絡や出版バイアスなども補正した包括的フレームワークを開発し、米国、日本、韓国などの490万例の患者データを解析して明らかにしたもので、その他の第1選択薬については、現行ガイドラインに合わせて降圧治療の単剤療法を開始した場合の有効性は同等であったという。高血圧に対する至適な単剤療法については曖昧なままで、ガイドラインでは、並存疾患がない場合はあらゆる主要な薬剤を第1選択薬に推奨されている。この選択肢について無作為化試験では精錬がされていなかった。Lancet誌オンライン版2019年10月24日号掲載の報告。

アルドステロン拮抗薬の死角を制する!(解説:石上友章氏)-1130

腎ネフロンは、高度に分化した組織であり、ヒトの水・電解質の恒常性の維持に重要な働きをしている。ナトリウムの出納についての恒常性の維持機構が発達しており、尿細管の各セグメントごとに、特徴的なナトリウムトランスポーターが発現している。ナトリウムイオンは、原尿中にろ過されたのち、各セグメントのナトリウムトランスポーターにより再吸収される。NHE1(Sodiumu-Hydrogen-Exchanger)は、近位尿細管のapical membrane(頂端側)に発現し、Naイオンと、Hイオンの交換に関与している。ヘンレのループ(loop of Henle)には、NKCC:Na+-Cl--K+共輸送体が発現しており、ループ利尿薬であるフロセミドが特異的な阻害薬である。遠位尿細管の近位部(proximal DCT)には、サイアザイド感受性NCCT:Na+-Cl-共輸送体が、そして遠位部では、上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)が、ナトリウムイオンの再吸収を行っている。

心停止蘇生後の「低体温療法」に脳保護効果

 心停止から蘇生した患者に対する低体温療法は、これまで考えられていたよりも多くの患者を救える可能性があることが、ナント大学病院(フランス)のJean-Baptiste Lascarrou氏らが実施した臨床試験で示された。心電図波形が「ショック非適応リズム」の心停止患者に低体温療法を実施したところ、標準的な治療を行った場合に比べて、蘇生後に良好な脳機能が保たれる確率が約2倍に上ることが分かった。この結果は「New England Journal of Medicine」10月2日オンライン版に発表された。

心臓手術後の輸血、フィブリノゲン製剤はクリオ製剤に非劣性/JAMA

 心肺バイパス手術後に臨床的に重大な出血と後天性低フィブリノゲン血症を呈する患者において、フィブリノゲン製剤投与はクリオプレシピテート投与に対し、バイパス手術後24時間に輸血された血液成分単位に関して非劣性であることが示された。カナダ・Sunnybrook Health Sciences CentreのJeannie Callum氏らによる無作為化試験「FIBRES試験」の結果で、著者は「フィブリノゲン製剤は、心臓手術後に後天性の低フィブリノゲン血症を呈する患者の輸血療法において使用可能と思われる」と述べている。大量出血は心臓手術では一般的な合併症であり、出血の重大な原因として後天性の低フィブリノゲン血症(フィブリノゲン値<1.5~2.0g/L)がある。後天性低フィブリノゲン血症に対してガイドラインでは、フィブリノゲン製剤もしくはクリオプレシピテートによるフィブリノゲン補充療法が推奨されているが、両製剤には重大な違いがあることが知られており、臨床的な比較データは不足していた。JAMA誌オンライン版2019年10月21日号掲載の報告。

ありふれた降圧薬で自殺リスクが高まる?

 ありふれた降圧薬の使用で自殺リスクが高まる可能性があることが、セント・マイケルズ病院(カナダ)のMuhammad Mamdani氏らの研究で明らかになった。アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を使用している患者は、ACE阻害薬を使用している患者と比べて、自殺により死亡するリスクが有意に高いことが分かった。ただし、今回の研究では因果関係は明らかになっておらず、同氏らは結果の慎重な解釈を求めている。結果の詳細は「JAMA Network Open」10月16日オンライン版に掲載された。

露骨に不利な条件でもワルファリンが負けなかった訳は?(解説:後藤信哉氏)-1129

NEJMのEditorであったマーシャ・エンジェル博士は、製薬企業による情報操作の実態を著書『ビッグ・ファーマ 製薬企業の真実』に描いた。個別医師の経験よりもランダム化比較試験の結果を重視するEBMの世界は、ランダム化比較試験が「作為なく」施行されていることが前提になっている。エンジェル博士の著書にも紹介されているが、純粋に科学的な仮説検証研究とは言えないランダム化比較試験が、製薬会社主導にて多数施行されている実態がある。本論文も製薬企業が主導したことを明記したランダム化比較試験であるが、試験プロトコールはfairに設計されたとは言えない。

スタチン使用と認知症リスク~900万人超のメタ解析

 認知症リスク低下に対するスタチンの影響については、これまで10年間にわたり議論の対象となってきたが、決定的なエビデンスは存在しない。台湾・台北医科大学のTahmina Nasrin Poly氏らは、スタチン療法と認知症リスクとの関連性を定量化するため、これに関連する観察研究のメタ解析を実施した。Neuroepidemiology誌オンライン版2019年10月1日号の報告。  2000年1月~2018年3月までに公表された関連研究を、EMBASE、Google、Google Scholar、PubMed、Scopus、Web of Scienceよりシステマティックに検索した。2人の研究者により、研究の選択、データの抽出化、バイアスリスクの評価が行われた。次に、選択した研究からデータを抽出し、変量効果モデルを用いて観察研究のメタ解析を行った。サブグループ解析および感度分析も併せて実施した。

モノ作りに優れて戦略に劣る日本?(解説:後藤信哉氏)-1127

新薬開発企業は認可承認のために第III相試験を行う。第III相試験の結果が「エビデンス」として広く広報される。認可承認後に施行された第IV相試験の多くも製薬会社が製品の宣伝を目的として施行している。本研究は直接製薬企業によるfundを受けていない。実臨床にて使用可能なプラスグレルとチカグレロルの有効性と安全性を直接比較したオープンラベルのランダム化比較試験として臨床におけるインパクトの大きな研究である。

魚油サプリは心臓に良い――摂取量が多いほどリスクが低下

 魚油に多く含まれているオメガ3脂肪酸の摂取により心血管疾患(CVD)リスクが低下することが示唆されているが、否定的な報告もある。その一方、米国では数百万人が魚油サプリメントを摂取しているとされる。今回、その行動が間違っていない可能性を示す研究結果が報告された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のJoAnn Manson氏らによるこの報告は、「Journal of the American Heart Association」9月30日オンライン版に掲載された。