循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:7

プロテインS異常、血栓症と関連/JAMA

 遺伝性のPROS1機能欠損はまれであるが、一般集団ではこれまで考えられていたよりも静脈血栓塞栓症(VTE)の強いリスク因子であることが示された。また、PROS1コーディング変異よりも後天的環境的要因や他の遺伝的要因のほうが血漿プロテインS欠乏を引き起こす可能性が高く、血漿プロテインS低値はVTEと関連していたという。米国・The Broad Institute of MIT and HarvardのSharjeel A. Chaudhry氏らが、縦断的集団コホートを用いた横断研究の結果を報告した。血栓性疾患における臨床的意思決定は、これまでプロテインS低下に伴う静脈・動脈血栓症のリスクの大きさが明らかになっていなかったことで妨げられていた。JAMA誌オンライン版2025年3月3日号掲載の報告。

再発高リスクのVTE患者、DOACは減量可能か?/Lancet

 再発リスクが高く長期の抗凝固療法が必要な静脈血栓塞栓症(VTE)患者において、直接経口抗凝固薬(DOAC)の減量投与は全量投与に対して、非劣性基準を満たさなかった。しかしながら両投与群ともVTEの再発率は低く、減量投与群のほうが臨床的に重要な出血が大幅に減少し、減量投与は治療選択肢として支持可能なことが示されたという。フランス・Centre Hospitalier Universitaire BrestのFrancis Couturaud氏らRENOVE Investigatorsが、多施設共同無作為化非盲検エンドポイント盲検化非劣性試験「RENOVE試験」の結果を報告した。再発リスクが高くDOACの長期投与が適応のVTE患者において、その最適な投与量は明らかになっていなかった。結果を踏まえて著者は、「さらなる試験を行い、抗凝固薬の減量投与をすべきではないサブグループを特定する必要があるだろう」と述べている。Lancet誌2025年3月1日号掲載の報告。

慢性疾患を持つ労働者の多くが職場で病気を隠している

 糖尿病、心臓病、喘息などの慢性疾患を持つ米国の労働者の60%は、そのような健康上の問題を職場の管理者に伝えていないという実態が報告された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のGillian SteelFisher氏らが行った調査の結果であり、2月11日、同大学院のサイトにニュースリリースが掲載された。  調査の結果、慢性疾患を持つ労働者の3分の1以上が、過去1年間に、仕事の都合で必要な受診をしない日があったことも明らかになった。SteelFisher氏は、「慢性疾患を持つ労働者は、自分の健康状態のために差別を受けていると感じることが多く、そのために仕事と健康の双方に深刻な影響が及ぶこともある」と話している。

包括的高度慢性下肢虚血、最も有効な血行再建術とは/BMJ

 大腿膝窩動脈領域の血行再建術(±膝下血行再建術)を要する包括的高度慢性下肢虚血患者において、薬剤を塗布していないバルーン血管形成術±ベアメタルステント留置術(PBA±BMS)と比較し、薬剤塗布バルーン血管形成術±BMS(DCBA±BMS)および薬剤溶出性ステント留置術(DES)はいずれも有意な臨床的有益性をもたらさないことが、英国・バーミンガム大学のAndrew W. Bradbury氏らBASIL-3 Investigatorsが実施した「BASIL-3試験」で示された。研究の詳細は、BMJ誌2025年2月24日号で報告された。  BASIL-3試験は、大腿膝窩動脈領域の血行再建術を要する包括的高度慢性下肢虚血患者において、臨床的に最も有効な血行再建術を明らかにすることを目的とする実践的な第III相非盲検無作為化優越性試験であり、2016年1月~2021年8月に英国の35施設で患者を登録した(英国国立衛生研究所[NIHR]医療技術評価[HTA]プログラムの助成を受けた)。

うつ病歴は慢性疾患の発症を早める

 過去にうつ病と診断されたことがある人は、同年代のうつ病歴がない人に比べて中高年期に慢性疾患に罹患している可能性が高く、また、より早いペースで新たな慢性疾患を発症する可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。英エディンバラ大学の統計学者であるKelly Fleetwood氏らによるこの研究は、「PLOS Medicine」に2月13日掲載された。Fleetwood氏は、「うつ病歴のある人は、ない人に比べて心臓病や糖尿病などの慢性疾患を発症しやすい」と述べている。  この研究では、UKバイオバンク参加者から抽出した17万2,556人を対象に、UKバイオバンク参加当時および追跡期間中のうつ病歴と慢性疾患との関連が検討された。対象者は、2006〜2010年にUKバイオバンクに参加し(参加時の年齢は40〜71歳)、評価を受けていた。追跡期間は平均6.9年だった。慢性疾患については、血液がん、固形がん、心筋炎、冠動脈性心疾患、脳卒中、1型および2型糖尿病、高血圧、勃起不全、アレルギー性・慢性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、認知症など69種類を対象とした。対象者の17.8%に当たる3万770人がうつ病歴を持っていた。

「善玉」コレステロールは緑内障リスクを高める?

 心臓の健康に良いとされるHDLコレステロール(HDL-C)は緑内障のリスクを上昇させる一方で、心臓の健康に悪いとされるLDLコレステロール(LDL-C)は緑内障リスクを低下させる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。中山大学(中国)中山眼科センターのZhenzhen Liu氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Ophthalmology」に2月4日掲載された。  Liu氏は、「HDL-Cは70年間にわたり『善玉コレステロール』と考えられてきた。しかし、この研究では、高レベルのHDL-Cが必ずしも良好なアウトカムと関連しているわけではないことが示された」と述べている。

脳出血既往AFに対する脳梗塞予防、DOACは有用か?/Lancet

 直接経口抗凝固薬(DOAC)は、心房細動を伴う脳内出血生存者の虚血性脳卒中予防に有効ではあるが、その有益性の一部は脳内出血再発の大幅なリスク増加により相殺されることが示された。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのRoland Veltkamp氏らPRESTIGE-AF Consortiumが、欧州6ヵ国75施設で実施された第III相無作為化非盲検評価者盲検比較試験「PRESTIGE-AF試験」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「これら脆弱な患者集団における脳卒中予防を最適化するには、さらなるエビデンスと無作為化データのメタ解析が必要である。特定の患者に対しては、より安全な薬物療法または機械的代替療法の評価も求められる」と述べている。DOACは、心房細動患者において血栓塞栓症の発症頻度を低下させるが、脳内出血生存者に対するベネフィットとリスクは不明であった。Lancet誌オンライン版2025年2月26日号掲載の報告。

スタチンは片頭痛予防に有効か?~メタ解析

 近年、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)が片頭痛のリスクを低減し、予防治療として有効である可能性が示唆されているが、そのエビデンスは確証されていない。エジプト・Minia大学のHamdy A. Makhlouf氏らの研究チームは、スタチンの片頭痛の予防効果について、システマティックレビューおよびメタ解析で評価した。その結果、スタチンは片頭痛予防に有効であり、片頭痛頻度を有意に減少させることなどが判明した。The Journal of Headache and Pain誌2025年2月3日号に掲載。

高カロリーの朝食はCVD患者のうつ病リスクを低減する

 心血管疾患(CVD)を持つ成人は、朝食を高カロリーにすることでうつ病の発症リスクを低下させられる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。ハルビン医科大学(中国)のHongquan Xie氏らによるこの研究結果は、「BMC Psychiatry」に1月31日掲載された。  研究グループによると、CVDを持つ人は一般集団と比べてうつ病を発症しやすいことに関するエビデンスは増えつつあるという。また、食事を摂取するタイミングは概日リズムに大きく影響し、概日リズムの乱れはうつ病の一因となる可能性も指摘されている。しかしながら、カロリーや主要栄養素の摂取タイミングとCVDを持つ人のうつ病発症との関連については明らかになっていない。

米国の医療支出に大きな地域差、その要因は?/JAMA

 米国では、3,110の郡の間で医療支出に顕著なばらつきがみられ、支出が最も多い健康状態は2型糖尿病であり、郡全体では支出のばらつきには治療の価格や強度よりも利用率のばらつきの影響が大きいことが、米国・Institute for Health Metrics and EvaluationのJoseph L. Dieleman氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年2月14日号に掲載された。  研究グループは2010~19年の期間に、米国の3,110の郡のそれぞれにおいて、4つの医療費支払元(メディケア、メディケイド、民間保険、自己負担)で、148の健康状態につき38の年齢/性別グループ別に7種の治療の医療支出を推定する目的で、400億件以上の保険請求と約10億件の施設記録を用いて観察研究を行った(Peterson Center on HealthcareとGates Venturesの助成を受けた)。