循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

DES留置後1年以上の心房細動、NOAC単剤vs.NOAC+クロピドグレル併用/NEJM

 1年以上前に薬剤溶出ステント(DES)の留置を受けた心房細動患者において、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)単剤療法はNOAC+クロピドグレルの併用療法と比較し、全臨床的有害事象(NACE)に関して非劣性であることが認められた。韓国・Yonsei University College of MedicineのSeung-Jun Lee氏らが、同国32施設で実施した研究者主導の無作為化非盲検非劣性試験「Appropriate Duration of Antiplatelet and Thrombotic Strategy after 12 Months in Patients with Atrial Fibrillation Treated with Drug-Eluting Stents trial:ADAPT AF-DES試験」の結果を報告した。ガイドラインの推奨にもかかわらず、DES留置後の心房細動患者におけるNOAC単剤療法の使用に関するエビデンスは依然として限られていた。NEJM誌オンライン版2025年11月8日号掲載の報告。

ウォートンゼリー由来間葉系幹細胞の冠動脈内注入は心筋梗塞後の心不全を予防するかもしれない(解説:原田和昌氏)

間葉系幹細胞による再生医療に関心が高まっている。幹細胞治療における最大規模の第III相BAMI試験では、急性心筋梗塞後において骨髄由来単核球細胞の冠動脈内注入により主要評価項目の総死亡率に有意な利益は示されなかったが、心不全による入院は有意に減少した。間葉系幹細胞は骨髄由来単核球細胞よりも大きな可能性がある。間葉系幹細胞の全体的な安全性に加え、ウォートンゼリー由来間葉系幹細胞(WJ-MSC)は分離が容易で、体外やin vitroで増殖しやすく、免疫適合性が高く拒絶反応のリスクがほとんどないという。ウォートンゼリーは、胎児の臍帯の中にあるゼラチン状の組織で、胎児の成長過程で形成される間葉系の組織である。

SGLT2阻害薬の腎保護作用:eGFR低下例・低アルブミン尿例でも新たな可能性/JAMA(解説:栗山哲氏)

SGLT2阻害薬は、2型糖尿病、糖尿病関連腎臓病(DKD)、慢性腎臓病(CKD)、心不全患者などにおいて心・腎アウトカムを改善する明確なエビデンスがある。しかし、腎保護作用に関し、従来、ステージ4 CKD(G4)や尿アルブミン排泄量の少ない患者での有効性は不明瞭であり、推奨度は低かった。この点に注目し、SGLT2阻害薬が腎アウトカムに与える「クラス効果(class effect)」を高精度に評価することを目的とし、オーストラリアのBrendon L. Neuen氏らは、SGLT2阻害薬の大規模臨床研究(ランダム化二重盲検プラセボ対照試験:RCT)を、SGLT2 Inhibitor Meta-Analysis Cardio-Renal Trialists' Consortium(SMART-C:国際共同研究)として統合的にメタ解析した。

ビタミンDの個別化投与で心筋梗塞リスクが半減

 成人の心臓病患者では、血中ビタミンD濃度が最適域に達するように患者ごとに用量を調整して投与すると、そうでない場合に比べて心筋梗塞の発症リスクが5割以上低下することが示された。米インターマウンテン・ヘルスの疫学者Heidi May氏らによるこの研究結果は、米国心臓協会(AHA)年次総会(Scientific Sessions 2025、11月7〜10日、米ニューオーリンズ)で発表された。  過去の研究では、血中ビタミンD濃度の低下は心臓の健康状態の悪化につながることが示されている。今回のランダム化比較試験(TARGET-D)では、急性冠症候群の成人患者630人(平均年齢63歳、男性78%)を対象に、血中ビタミンD濃度が最適(40ng/mL超〜80ng/mL以下)になるように、患者ごとに用量を調整してビタミンD投与することで、心筋梗塞の再発、脳卒中、心不全による入院、または死亡を予防できるかどうかを検証した。試験参加者の48%に心筋梗塞の既往歴があった。参加者は、3カ月ごとに血液検査で血中ビタミンD濃度を確認して投与量を調整する治療群か、ビタミンD濃度のモニタリングや用量調整を行わない標準治療群のいずれかにランダムに割り付けられた。

VTE後の抗凝固療法、90日以上継続で再発リスク大幅低下/BMJ

 米国・ハーバード大学医学大学院のKueiyu Joshua Lin氏らの研究チームは、誘因のない静脈血栓塞栓症(VTE)の患者では、90日以上の初期抗凝固療法終了後に経口抗凝固療法(OAC)を継続すると、抗凝固療法を中止した場合と比較して、VTE再発のリスクが低下し、大出血のリスクは上昇するが、OAC継続群で良好な純臨床的ベネフィット(net clinical benefit:VTE再発と大出血の複合アウトカム)を認め、これらはVTE発症から少なくとも3年にわたりOACを使用している患者でも持続的に観察されることを示した。研究の成果は、BMJ誌2025年11月12日号で発表された。

PAH診断1年未満の中~高リスク患者へのソタテルセプト上乗せは有効である(解説:原田和昌氏)

アクチビンシグナル伝達阻害薬ソタテルセプトは長期罹患の肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者においてPAHの悪化と死亡率を改善するが、診断後1年未満のPAH患者における有効性は不明であった。米国のMcLaughlin氏らは、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であるHYPERION試験により、PAHの診断から1年未満の成人において、基礎治療へのソタテルセプトの追加はプラセボと比較し臨床的悪化のリスクを有意に低下させることを示した。WHO機能分類クラスII~IIIのPAH患者で、診断から1年未満、死亡リスクが中~高リスク(REVEAL Lite 2リスクスコア≧6またはCOMPERA 2.0スコア≧2)、また90日以上安定した2剤または3剤併用療法を受けている18歳以上の患者を、ソタテルセプト群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、上乗せ投与した。主要エンドポイントは臨床的悪化(全死亡およびPAHの悪化による24時間以上の予期せぬ入院、心房中隔欠損作成術、肺移植、PAHによる運動負荷試験の成績の悪化)で、初回イベント発生までの時間を評価した。

非小細胞肺がん、アミバンタマブ・ラゼルチニブ併用における予防的抗凝固療法に関する合同ステートメント/日本臨床腫瘍学会ほか

 日本臨床腫瘍学会、日本腫瘍循環器学会、日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌治療学会、日本血栓止血学会、日本静脈学会は2025年12月8日、非小細胞肺がん(NSCLC)のアミバンタマブ・ラゼルチニブ併用療法における予防的抗凝固療法の適正使用に関する合同ステートメントを発表した。  EGFR遺伝子変異陽性の切除不能進行・再発NSCLCに対する新たな治療戦略として二重特異性モノクローナル抗体であるアミバンタマブと第3世代EGFR-TKIラゼルチニブの併用療法が臨床導入された。アミバンタマブ・ラゼルチニブ併用療法では、静脈血栓塞栓症(VTE)の発症が高頻度であることが国内外の臨床試験により報告されている。このためVTE発症予防を目的として、併用療法開始後4ヵ月間にわたる直接経口抗凝固薬アピキサバンの投与が2025年3月27日付で厚生労働省保険局医療課により承認された。

低用量アスピリン処方が2型糖尿病患者の初回イベントリスク低下と関連――AHA

 動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の既往のない成人2型糖尿病患者に対する低用量アスピリン(LDA)の処方が、心筋梗塞や脳卒中、全死亡リスクの低下と関連しているとする、米ピッツバーグ大学医療センターのAleesha Kainat氏らの研究結果が、米国心臓協会(AHA)年次学術集会(AHA Scientific Sessions 2025、11月7~10日、ニューオーリンズ)で発表された。追跡期間に占めるLDA処方期間の割合が高いほど、より大きなリスク低下が認められるという。  AHA発行のリリースの中でKainat氏は、「これまでのところ、ASCVD一次予防でのLDAの有用性は証明されていない。しかし、2型糖尿病はASCVDのリスク因子である。本研究では、2型糖尿病を有し、かつASCVDリスクが中等度以上に高い集団における、一次予防としてのLDA投与の意義を検討した」と、研究背景を述べている。

個別化プレハビリテーションで手術アウトカムが改善

 大きな手術を控えている場合、手術そのものや術後のリハビリテーション(以下、リハビリ)に備えてエネルギーを温存する必要があると考える人は少なくないだろう。こうした考えは十分理解できるものだが、実際には、術前から開始するリハビリであるプレハビリテーションに参加した方が良い状態につながることが、米スタンフォード大学麻酔科学・周術期医学・疼痛医学教授のBrice Gaudilliere氏らが実施した臨床試験で明らかにされた。同試験では、マンツーマンでのプレハビリテーションが最も効果的であることが示されたという。詳細は、「JAMA Surgery」に11月12日掲載された。

朝食後の歯みがきが高血圧リスク低下と関連/鹿児島大

 高血圧は生活習慣に大きく左右される疾患であり、予防には日常行動の改善が重要とされる。今回、地域住民を対象とした横断研究で、朝食後に歯を磨く習慣が高血圧の有病率低下と独立して関連することが示された。研究は鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科学の手塚綾乃氏、窪薗琢郎氏らによるもので、詳細は10月9日付で「Scientific Reports」に掲載された。