循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

お金の心配が心臓の老化を早めて死亡リスクを高める

 家計のやりくりの心配が、既に知られている心臓病のリスク因子と同程度以上に、心臓の老化や死亡リスクに関係していることが報告された。米メイヨー・クリニック心臓血管研究センターのAmir Lerman氏らの研究によるもので、詳細は「Mayo Clinic Proceedings」12月号に掲載された。  この研究によると、経済的負担と食料不安が心臓の老化を加速させる最も大きな要因であって、それらに関連する心臓の老化は、糖尿病や高血圧、心筋梗塞の既往などの既に知られているリスク因子によって引き起こされる老化と似ているという。そして、そのような心臓の老化の結果として、心臓病の発症と心臓関連死のリスクが上昇するとのことだ。

ステント重視? 心房細動重視?(解説:後藤信哉氏)

 「ステント血栓症には抗血小板薬」「心房細動の脳卒中予防には抗凝固薬」のように、適応症、製薬企業によるマーケティング戦略は切り分けられていた。血栓予防には、抗凝固薬、抗血小板薬ともに有用であるが、いずれも出血合併症を増加させる。抗血栓効果は抗凝固薬のほうが強いが、出血合併症も多いという状況で冠動脈にはステントを入れた心房細動例の至適抗血栓が探索された。ステント治療後の標準療法である抗血小板薬併用療法のみでも重篤な出血合併症は多発する。抗凝固薬を併用すると出血イベントリスクは著しく増加してしまう。抗血小板薬ないし抗凝固薬を止めて出血イベントリスクを受け入れ、可能なレベルまで低減させる必要がある。

女性の重度冠動脈疾患における治療選択、PCIかCABGか

 動脈の詰まりに対する最適な治療法は、男女で異なる可能性があるようだ。冠動脈疾患(CAD)患者に対しては、細い金網状のチューブを狭窄した動脈内に入れて広げるステント留置術(経皮的冠動脈インターベンション〔PCI〕)が行われることが多い。しかし、重度の慢性CADの女性患者に対しては、冠動脈バイパス術(CABG)を施行する方が、長期的に見て良好なアウトカムにつながり得ることが、新たな研究で示唆された。米ニューヨーク・プレスビテリアン病院および米コロンビア大学アービング医療センターのKevin An氏らによるこの研究結果は、「European Heart Journal」に11月25日掲載された。

肥満症治療薬、投与中止後は体重が急増/BMJ

 英国・オックスフォード大学のSam West氏らは、過体重または肥満の成人における体重管理薬(weight management medication:WMM)中止後の体重増加を定量化し比較する目的でシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、WMM中止後は体重が急激に増加し、心代謝マーカーに対する有益な効果が逆転することを明らかにした。また、WMM中止後の体重増加は、行動的体重管理プログラム(BWMP:低エネルギー食と身体活動の増加を支援する肥満管理の基礎)後と比べて速かった。著者は、「より包括的な体重管理アプローチを伴わない短期の薬剤使用には、注意が必要であることを示唆している」とまとめている。

納豆が心房細動リスクを下げる?~日本人前向き研究

 大豆食品の摂取量が多いと心血管疾患を予防する可能性があることが報告されているが、心房細動予防においては解明されていない。今回、国立循環器病研究センターのParamita Khairan氏らが、都市部の日本人一般集団を対象とした前向きコホート研究で、大豆食品およびその栄養素(イソフラボン、ビタミンK)における心房細動発症率との関連を調査したところ、女性でのみ、納豆およびビタミンKの摂取量が多いと心房細動リスクが低いことが示された。The Journal of Nutrition誌2026年1月号に掲載。

食事の飽和脂肪酸を減らすことは心疾患の高リスク者に有益

 心疾患のリスクが高い人は、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことで健康にプラスの効果を得られる可能性のあることが、新たなシステマティックレビューで示された。心疾患リスクの高い人が食事中の飽和脂肪酸の量を減らした場合、心筋梗塞や脳卒中の発症数が減少することが明らかになったという。一方、心疾患のリスクが低い人では、5年間の追跡期間で同様の効果は明確には確認されなかった。詳細は、「Annals of Internal Medicine」に12月16日掲載された。  このシステマティックレビューでは、合計6万6,337人が参加した17件の臨床試験のデータを分析し、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことが心臓の健康やコレステロール値、全死因死亡にどのような影響を与えるのかを調べた。

大動脈弁閉鎖不全症に対してトリロジー経カテーテル大動脈弁を用いたTAVIで予後改善(解説:加藤貴雄氏)

外科手術リスクが高い症候性の中等度から重度の大動脈弁閉鎖不全症(AR)患者を対象に、AR専用に設計されたトリロジー経カテーテル大動脈弁を用いたTAVI(経カテーテル大動脈弁植込み術)を実施した研究(ALIGN-AR)である(Makkar RR, et al. Lancet. 2025;406:2757-2771.)。1年半前に短期間成績が報告され(Vahl TP, et al. Lancet. 2024;403:1451-1459)、今回は1年後の予後を含む形でLancet誌に報告された。背景として、大動脈弁狭窄症(AS)向けの経カテーテル大動脈弁は、石灰化の少ないARに最適化されておらず、AR専用のプラットフォームを用いたTAVIの安全性、弁機能、転帰を明らかにすることが目的であり、多施設前向き単アーム試験が行われた。システムは、3つの「ロケーター」が本来の弁尖を挟み込むことで、石灰化がなくても正確な位置にしっかりと固定し、また冠動脈へのアプローチがしやすい大きなセル構造である。また、弁周囲からの逆流が少ない特徴がある。

ECMO装着心原性ショックにlevosimendanの早期投与に関する有効性は明らかではなかった(解説:加藤貴雄氏)

levosimendanは、心筋収縮タンパク質をカルシウムに感受させることで心収縮力を高めるカルシウム増感剤として強心薬作用を持ち、血管平滑筋におけるATP依存性カリウムチャネルの開口を通して末梢と冠動脈の両方の血管を拡張する薬剤であり、1週間作用が持続するため、1回24時間の静脈注射で使用される。ESCのガイドラインに記載されているが(McDonagh TA, et al. Eur Heart J. 2021;42:3599-3726.)、本邦・米国では未承認で記載もされていない。心原性ショックにおける有効性を支持するエビデンスは限られており、これまでの研究結果は一貫していない。

NSAIDsによるVTEリスク上昇は本当?~アセトアミノフェンと比較

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、静脈血栓塞栓症(VTE)発症リスクを上昇させる可能性が指摘されている。しかし、VTE発症リスクの上昇は、NSAIDsが必要となる患者背景による影響を受けている可能性も考えられている。そこで、松尾 裕一郎氏(東京大学)らの研究グループは、日本のレセプトデータベースを用いた研究において、NSAIDsとアセトアミノフェンのVTE発症リスクを比較した。その結果、新規にNSAIDsを処方された患者は、アセトアミノフェンを処方された患者と比較して、VTE発症リスクが有意に低かった。一方で、NSAIDsを処方された患者は、NSAIDsを処方されていない患者と比較するとVTEリスクが高かった。著者らは、アセトアミノフェンがVTE発症リスクを上昇させないと仮定すると、NSAIDsがVTE発症リスクを上昇させるわけではないことが示唆されたとしている。

前糖尿病状態が寛解すれば心臓の健康が守られる

 2型糖尿病の合併症の中で心血管疾患などについては、糖尿病の診断基準に至らない軽度の高血糖状態である「前糖尿病」の段階でも増加することが知られている。しかし前糖尿病が寛解(血糖値が正常化)すると、そのリスクが有意に低下することを示すデータが報告された。心血管死や心不全入院などが半減するという。英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)のAndreas Birkenfeld氏らの研究によるもので、詳細は「The Lancet Diabetes & Endocrinology」に12月12日掲載された。  前糖尿病では心血管疾患や心不全のリスクが高いため、主として減量を目指した食事療法や運動療法などの生活習慣改善が推奨されている。