症候性発作性AFのアブレーション、パルスフィールドvs.クライオバルーン/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2025/04/18

 

 症候性発作性心房細動患者において、パルスフィールドアブレーション(PFA)はクライオバルーンアブレーション(CBA)と比較し、植込み型心臓モニターを用いた持続的リズムモニタリングによる評価で、心房性頻脈性不整脈の初回再発の発生率に関して非劣性であることが示された。スイス・ベルン大学のTobias Reichlin氏らSINGLE SHOT CHAMPION Investigatorsが、スイスの3次医療機関2施設で実施した医師主導の無作為化非劣性試験「SINGLE SHOT CHAMPION試験」の結果を報告した。肺静脈隔離術は発作性心房細動の有効な治療法で、PFAは非熱的アブレーション法のため心筋以外への有害作用はほとんどない。持続的リズムモニタリングを用いて評価したアウトカムに関するPFAとCBAの比較データは不足していた。NEJM誌オンライン版2025年3月31日号掲載の報告。

アブレーション後の心房性頻脈性不整脈の再発を植込み型心臓モニターで評価

 研究グループは、過去24ヵ月以内に12誘導心電図またはホルター心電図で30秒以上持続する症候性発作性心房細動が確認され、現在の心房細動治療ガイドラインに従って肺静脈隔離術の適応を有する18歳以上の成人患者を、PFA群またはCBA群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

 PFA群では、多電極のペンタスプライン型PFAカテーテル(Farapulse、Boston Scientific製)、CBA群ではクライオバルーン(Arctic Front、Medtronic製)を用い、全例に植込み型心臓モニター(Reveal LinQ、Medtronic製)を留置して持続的リズムモニタリングを行った。

 主要エンドポイントは、ブランキング期間以降のアブレーション後91~365日における30秒以上持続する初回心房性頻脈性不整脈(心房細動、粗動または頻拍)の再発とし、非劣性マージンは、再発の累積発生率の群間差(PFA群-CBA群)の両側95%信頼区間(CI)の上限20%ポイントとした。

 安全性エンドポイントは、30日以内の手技関連合併症(心嚢穿刺を要する心タンポナーデ、24時間以上持続する横隔神経麻痺、介入を要する重篤な血管合併症、脳卒中/一過性脳虚血発作、左房食道瘻、死亡)の複合とした。

再発率はPFA群37.1%vs.CBA群50.7%、PFAの非劣性が示される

 2022年9月20日~2023年11月16日に計210例が無作為化された(PFA群105例、CBA群105例)。

 主要エンドポイントのイベントはPFA群39例、CBA群53例に認められ、Kaplan-Meier法による累積発生率はそれぞれ37.1%および50.7%、群間差は-13.6%(95%CI:-26.9~-0.3、非劣性のp<0.001、優越性のp=0.046)であった。

 30日以内の手技関連合併症は、PFA群で1例(1.0%)に脳卒中、CBA群で2例(1.9%)に心嚢穿刺を要する心タンポナーデが発現した。

 なお著者は、検討したPFAはFarapulseシステムのみを使用しており、他のPFAシステムには当てはまらない可能性があること、追跡調査期間が1年と短期であることなどを研究の限界として挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)