循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:9

フィネレノンの効果の多くはアルブミン尿抑制作用が媒介

 非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬であるフィネレノンによる腎転帰および心血管転帰改善効果の多くは、アルブミン尿抑制作用が媒介した結果であることを示唆するデータが報告された。米インディアナ大学のRajiv Agarwal氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に12月5日掲載された。  フィネレノンは、慢性腎臓病(CKD)患者や2型糖尿病患者のアルブミン尿抑制という他覚所見の改善とともに、心腎イベント発生リスクを低下させ、転帰を改善し得ることが報告されている。ただし、心腎イベント抑制効果に対して、アルブミン尿抑制作用がどの程度関与しているのかは明らかにされていない。Agarwal氏らは、同薬の第3相臨床試験として実施された2件の研究のプールされたデータを用いた媒介分析を行い、この点を検討した。

冠動脈CT血管造影による冠血流予備量比は安定狭心症の3年転帰を予測

 安定狭心症患者において冠動脈CT血管造影から得た冠血流予備量比(FFR)は、3年間の全死亡または非致死的心筋梗塞のリスクを予測するという研究結果が、「Radiology」9月号に掲載された。  南デンマーク大学病院(デンマーク)のKristian T. Madsen氏らは、新規発症の安定狭心症の患者において、冠動脈CT血管造影から得られたFFR検査の結果による3年間の臨床転帰の予測能を評価した。解析対象は、デンマークの3 施設で2015年12月~2017年10月に登録され、30%以上の冠動脈狭窄を1カ所以上有し、冠動脈CT血管造影によるFFR検査の結果を取得できた連続症例900人(平均年齢64.4歳、男性65%)であった。

ADHD治療薬、長期使用で心血管疾患リスク増大

 注意欠如・多動症(ADHD)の罹患者数は過去数十年で大幅に増加しており、治療薬の処方もそれに伴い増加している。ADHD治療薬には心拍数・血圧の上昇との関連が報告されているが、これに関し、重大な心血管疾患(CVD)との関連を調査した研究結果が発表された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLe Zhang氏らによる本研究の結果は、JAMA Psychiatry誌2024年2月1日号に掲載された。  2007~20年にスウェーデン国内でADHD診断を受けた、または同国で承認されたADHD治療薬である精神刺激薬(メチルフェニデート・アンフェタミン・デキストロアンフェタミン・リスデキサンフェタミン)および非精神刺激薬(アトモキセチン・グアンファシン)のいずれかの処方を受けた6~64歳の患者を対象に、ADHD治療薬の長期使用とCVD(虚血性心疾患・脳血管疾患・高血圧・心不全・不整脈・血栓塞栓症・動脈疾患・その他の心疾患)の関連を調査した。CVDの既往歴がある患者は除外され、ADHD治療薬の累積使用期間は14年以内であった。

ダークチョコレートはCVDリスクを低減させる?

 ダークチョコレートの摂取と12種類の心血管疾患(CVD)のリスクとの間に因果関係があるかどうかをメンデルランダム化解析で検討した結果、ダークチョコレート摂取により本態性高血圧症のリスクが有意に低減した一方で、そのほかのCVDでは因果関係は認められなかったことを、中国・Shaoxing People's HospitalのJuntao Yang氏らが明らかにした。Scientific Reports誌2024年1月10日号掲載の報告。  ダークチョコレートには、フラバノールやメチルキサンチンなどの身体に有益とされる成分が豊富に含まれていて、小規模のランダム化比較試験では心血管系に良好な影響を与えたことが報告されている。しかし、ダークチョコレート摂取がCVDリスクと関連するかどうかは確立されていない。そこで研究グループは、ダークチョコレートの摂取とCVDリスクとの因果関係を調べるために、メンデルランダム化解析を実施した。

枕が高いと脳卒中に?/国立循環器病研究センター

 脳卒中は高齢者で多いが、若年~中年者でも特殊な原因で起こることがある。その原因の1つである特発性椎骨動脈解離の発症と枕の高さの関連を、国立循環器病研究センターの江頭 柊平氏らが症例対照研究で検討したところ、枕が高いほど特発性椎骨動脈解離の発症割合が高く、また枕が硬いほど関連が顕著であることが示された。著者らは殿様枕症候群(Shogun pillow syndrome)という新たな疾患概念を提唱している。European Stroke Journal誌オンライン版2024年1月29日号に掲載。

糖尿病患者、カルシウムサプリ常用でCVDリスク増

 カルシウムは、骨の組成に重要であり、カルシウム補助食品やサプリメントは骨粗鬆症性骨折予防などに広く用いられている。一方で、カルシウムサプリ摂取が血中カルシウム濃度を急激に上昇させ、心血管系に有害となる可能性がある。とくに心血管疾患(CVD)のリスクが高く、カルシウム代謝が低下していることが多い糖尿病患者における安全性の懸念が提起されている。中国・武漢のTongji Medical CollegeのZixin Qiu氏らによる、糖尿病患者におけるカルシウムサプリ摂取の安全性をみた研究結果がDiabetes Care誌2024年2月号に掲載された。

GLP-1受容体作動薬の投与には適切な患者をSELECTするのが肝要だろう(解説:住谷哲氏)

注射薬であるGLP-1受容体作動薬セマグルチド(商品名:オゼンピック)が心血管イベントハイリスク2型糖尿病患者の心血管イベント発症を26%減少させることが、SUSTAIN-6試験で報告されている。一方で、経口セマグルチド(同:リベルサス)はPIONEER 6試験において心血管イベントハイリスク2型糖尿病患者の心血管イベント発症を増加させないこと、つまり既存の治療に対する非劣性は示されたが優越性は証明されなかった。したがって、同じセマグルチドではあるが、心血管イベント抑制を目標とするのであれば経口薬ではなく注射薬を選択するのが妥当だろう。

超早産児の動脈管開存症、イブプロフェンによる早期治療は無益/NEJM

 超早産児の動脈管開存症(PDA)の治療において、早期のイブプロフェン投与はプラセボと比較し、最終月経後年齢36週時における死亡または中等度~重度気管支肺異形成症のリスクを低下させないことが示された。英国・ダラム大学のSamir Gupta氏らが、英国の新生児集中治療室(NICU)32施設で実施した多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。シクロオキシゲナーゼ阻害薬であるイブプロフェンは、早産児のPDA治療に使用できるが、大きなPDAへの選択的早期治療が、短期アウトカムを改善するかどうかは不明であった。NEJM誌2024年1月25日号掲載の報告。

3月3日開催『第4回アンチエイジングセミナーin鹿児島』【ご案内】

 2024年3月3日(日)、鹿児島市医師会館において『第4回アンチエイジングセミナーin鹿児島』が開催される。参加費は無料で、医師、歯科医師、研究者、メディカルスタッフほか、医療関係者であれば誰でも参加ができる。なお、申込締切は2月26日(月)で、定員100名に達し次第、締め切りとなる。  “最先端の抗加齢医学に触れてみませんか!”と題し、アンチエイジングの分野をリードしてきた各領域のエキスパートが講演を行う。「老化研究の現状と展望」「循環器のアンチエイジング」「ホルモンとアンチエイジング」「自らの行動変容を促す健康教室」など、アンチエイジングにとって重要なテーマを取りそろえており、最新の知識を学び、予防医療への未来へ一歩リードできるようなセミナーを目指している。

心臓カテーテル検査前に絶食は必要か

 鎮静下で実施する心臓カテーテル検査では、検査前に長時間、絶食する必要はない可能性が、新たな研究で示唆された。米パークビュー心臓研究所の看護部長であるCarri Woods氏らによるこの研究結果は、「American Journal of Critical Care」に1月1日掲載された。  心臓カテーテル検査は、カテーテルと呼ばれる細い管を血管から心臓まで通して心臓の圧を測定したり、心臓の機能や血管の状態を調べるための検査である。この検査を受ける患者は通常、検査前の午前0時以降は何も口にしないように言われる。Woods氏は、「麻酔ガイドラインでは何十年も前から、意識下鎮静法を要する処置では、処置を受ける全ての患者に6時間以上の絶食を求めてきた」と説明する。絶食は患者に、不快感やイライラ感、脱水、喉の渇きと空腹感の増加、低血糖症などの悪影響をもたらす。しかし、低度から中等度のリスクの患者に対する心臓カテーテル検査で絶食が必要なことを裏付けるエビデンスはない。