循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

減塩には甘じょっぱい味は向かない/京都府立医科大

 高血圧の管理では、塩分摂取量の削減は重要である。人間は塩分を好むという前提に基づいているが、高濃度の塩分に対し、嫌悪感も認識することが大切である。近年の研究では、慢性腎臓病(CKD)患者において味覚認識だけでなく、高塩分濃度への嫌悪感も変化していることが明らかにされた一方で、さまざまな味覚を組み合わせた場合の影響は依然として不明であった。そこで、京都府立医科大学大学院医学研究科腎臓内科学の奥野-尾関 奈津子氏らの研究グループは、甘味を加えることでCKD患者の塩分嫌悪に影響を与えるかどうかを研究した。その結果、甘味は健康成人とCKD患者の双方で高塩分への嫌悪感を低減することが判明した。この結果はScientific Reports誌電子版2025年7月7日号に掲載された。

直近5年、アクセプトされた論文があると答えた医師は何割?/医師1,000人アンケート

 オンラインジャーナルやオープンアクセスジャーナルの普及に加え、生成AIを活用した検索や翻訳・要約も広まりつつあり、論文の閲覧・執筆を取り巻く状況が大きく変化している。今回CareNet.comでは会員医師約1,000人を対象に、論文閲覧・執筆の最近の状況についてアンケートを実施した(2025年8月26~27日実施)。 興味のある論文を見つけるための主な手段について、76.5%の医師がPubMedと回答し、医中誌(39.1%)、ケアネット・m3・日経メディカルなどの論文紹介記事(38.4%)、所属する学会の学会誌(19.6%)などが続いた。  年代別にみると、PubMedとの回答が最も多いのは共通していたが、20~50代では75%以上を占めたのに対し、60代では59.0%と若干低い傾向がみられた。一方、ケアネット・m3・日経メディカルなどの論文紹介記事との回答は20~50代では40%以下だったのに対し、60代では51.2%であった。そのほか、XなどのSNSからの情報との回答は全体で4.0%と低いものの、20~30代では10.9%と他世代と比較して高かった。

ICD患者のK値はいくつにすべきか―4.0mEq/Lでは低すぎる(解説:高月誠司氏)

血清Na濃度は140mEq/Lに対して、細胞内Na濃度は15mEq/L、相補的に血清K濃度は4~5mEq/Lに対して、細胞内K濃度は140mEq/Lと濃度は逆転している。心筋の静止膜電位は-90mVだが、Naチャネルが開口し、一気に細胞内にNaイオンが流入することにより、膜電位は脱分極し、心筋の活動電位が発生する。活動電位においてKは細胞外に放出され、再分極を担う。細胞外K濃度が変化すると、静止膜電位に影響する。K濃度が上昇すると、静止膜電位は脱分極し、Naチャネルの抑制方向に働く。高K血症は伝導速度の低下や伝導ブロックにつながる。一方でK濃度が低下すると静止膜電位は過分極するが、それよりもKチャネルのconductanceの低下による細胞外へのKの放出の抑制が影響する。

ネット上の血圧測定の写真の多くが間違った測り方を示している

 家庭血圧を測定しようとする人の中には、インターネットの画像検索で測定方法を知ろうとしている人がいるかもしれないが、新たな研究によると、その調べ方は要注意なようだ。ネット上に存在する血圧測定シーンの写真の大半が、正しい測定方法を示していないとする論文が、「Hypertension」に9月8日掲載された。  この研究は、ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)のAletta Schutte氏らによるもので、ネット上にある血圧測定写真のうち、正しい測り方を示した写真は7枚中1枚に過ぎないことが明らかになった。論文の上席著者である同氏は、「半分程度は正確な測定法を示しているだろうと考えていたが、結果は予想よりも悪かった。人々は、文章の説明よりも画像の方をよく覚えている傾向がある。これは画像優位性効果と呼ばれるものだ。ネット上の誤った血圧測定画像は、この効果を介して、公衆衛生に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と語っている。

2型糖尿病合併HFpEF、セマグルチドとチルゼパチドが入院・死亡リスクを低減/JAMA

 心代謝性(2型糖尿病合併)の左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)患者において、セマグルチドとチルゼパチドはいずれもプラセボと比較し、心不全による入院または全死亡の複合リスクを40%以上減少させたが、チルゼパチドとセマグルチドとの間に有意差は示されなかった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のNils Kruger氏らが、5件のコホート研究から得られた結果を報告した。HFpEFは、肥満や2型糖尿病などの心代謝合併症を有する患者に多くみられ、入院の主な原因となっている。セマグルチドとチルゼパチドの初期試験では、これらの患者における症状改善に有望な結果が示されたが、これらの知見は臨床イベント数が少なく、治療の推奨は確実とはいえないままであった。JAMA誌オンライン版2025年8月31日号掲載の報告。

10月24日開催『第7回ヘルスケアベンチャー大賞』最終審査会【ご案内】

 日本抗加齢協会は2025年10月24日(金)、医療・ヘルスケア分野で革新的な挑戦を続けるスタートアップを応援する「第7回ヘルスケアベンチャー大賞」最終審査会を日本橋ライフサイエンスハブにて開催する。  本アワードは、医療・学術界と産業界をつなぎ、新しい価値を創出するヘルスケアスタートアップを発掘・支援することを目的に2017年から開催しており、毎回大きな注目を集めている。過去の受賞者には、世界的イノベーションコンペティション「XPRIZE」のセミファイナリストが輩出されるなど、国内外から高く評価される企業も生まれており、本アワードはグローバルに羽ばたく登竜門としての役割を担っている。

60歳以上への2価RSVワクチン、全心肺疾患による入院も抑制/JAMA

 60歳以上の高齢者における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症に対する2価RSV融合前Fタンパク(RSVpreF)ワクチン接種は、同ワクチンを接種しなかった場合と比較し、全心肺疾患による入院を有意に減少させた。デンマーク・Copenhagen University Hospital-Herlev and GentofteのMats C. Hojbjerg Lassen氏らが、DAN-RSV試験の事前に規定された2次解析の結果を報告した。RSV感染は、とくに心血管疾患(CVD)の既往を有する患者で心血管リスクの上昇と関連している。最近、RSVpreFワクチンがRSV関連下気道疾患の予防として承認されたが、心血管アウトカムに対する有効性を評価した無作為化試験はなかった。著者は、「今回の結果は、全CVDによる入院に対する効果は有意ではなかったものの、RSVワクチン接種が心肺疾患に対しても有用である可能性を示唆している」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年8月30日号掲載の報告。

さまざまなリスクの左室駆出率の低下した心不全へのベルイシグアトの効果―VICTORIA・VICTOR試験統合解析より(解説:加藤貴雄氏)

VICTORIA試験は、直近の心不全増悪があった左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)患者に対する試験であり、2025年8月の欧州心臓病学会で発表されたVICTOR試験は、6ヵ月以内の入院歴や3ヵ月以内の外来での利尿薬静注の「最近増悪した症例」を除外し、NT-proBNP 600~6,000pg/mL(心房細動は900~6,000pg/mL)を組み入れ基準とした試験で、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬であるベルイシグアトの二重盲検ランダム化比較試験である。

日本人男性のCVDリスク、最適な予測指標はBMIではなかった

 日本人男性の将来の心血管疾患(CVD)リスクの評価において、従来広く用いられてきたBMIよりも腹囲身長比(waist-to-height ratio)や体の丸み指数(body roundness index)のほうが有用で、欧米での報告と同様に日本人男性でも腹囲が身長の約半分に達するとCVD発症リスクが上昇することが、京都府立医科大学の市川 貴博氏らによって明らかになった。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2025年8月23日号掲載の報告。  肥満は世界的に重要な公衆衛生上の課題であり、とくに中心性肥満はさまざまな代謝疾患の発症に関連することが報告されている。日本では主にBMIを用いて肥満を判定しているが、BMIでは内臓脂肪の蓄積を正確に反映することができないという限界がある。そこで研究グループは、大規模な日本人集団のデータをもとに、5つの異なる体格指標が肥満の重大な合併症であるCVDの発症にどのように関連するのかを13年間にわたって比較・検証した。