循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

「まずは金属除去」ではない? 金属アレルギー診療と管理の手引きを公開/日本アレルギー学会

 本邦では初となる金属アレルギーに特化した手引き『金属アレルギー診療と管理の手引き 2025』1)が、2025年9月26日に公開された。そこで、手引きの検討委員会の代表を務める矢上 晶子氏(藤田医科大学ばんたね病院 総合アレルギー科 教授)が、第74回日本アレルギー学会学術大会(10月24~26日)において、手引きの作成の背景と概要を紹介した。なお、手引きはアレルギーポータルの医療従事者向けページで公開されている。  本邦では「アレルギー疾患対策基本法」が定められており、喘息やアトピー性皮膚炎などの6疾患が重点的な対象疾患となっている。しかし、現状では金属アレルギーは対象疾患に含まれていない。この理由について、矢上氏は「若年で発症し、後年に金属製材料を使用するときに苦慮する方がいる」「患者は複数の診療科を受診するが連携した診療体制が不十分」「患者数が未知」といった背景があったと述べる。そこで「厚生労働科学研究事業で、それらを補う情報をまとめたほうが良いのではないかということで研究が始まり、疫学調査結果や検査法などをまとめて、手引きを作成する方向となった」とのことだ。これらの研究成果を集約した『金属アレルギー診療と管理の手引き2025』には、診療の流れや検査・管理の要点、多診療科・多職種が連携した診療体制の構築の重要性などが記載されている。

シャーガス心筋症の心不全、サクビトリル・バルサルタンvs.エナラプリル/JAMA

 シャーガス心筋症により左室駆出率が低下した心不全(HF)患者において、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)サクビトリル・バルサルタンは、エナラプリルとの比較において臨床的アウトカムに関する有意差は認められなかったが、サクビトリル・バルサルタン投与患者では、12週時点でNT-proBNPの顕著な低下が認められた。米国・Duke Clinical Research InstituteのRenato D. Lopes氏らPrevention and Reduction of Adverse Outcomes in Chagasic Heart Failure Trial Evaluation(PARACHUTE-HF)Investigatorsが非盲検多施設共同無作為化試験の結果を報告した。HFに対してガイドラインで推奨される治療の有効性と安全性は、シャーガス心筋症患者におけるHFについては明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2025年12月3日号掲載の報告。

メチシリン感性黄色ブドウ球菌菌血症に対するクロキサシリンとセファゾリンの比較(CloCeBa試験)(解説:寺田教彦氏)

メチシリン感性黄色ブドウ球菌(MSSA)菌血症は、感染性心内膜炎などの多彩な合併症を伴うことがあり、死亡率も高い重篤な疾患である。日本では、中枢神経系合併症を除けば、MSSA菌血症の治療にはセファゾリンが第1選択薬として推奨されている。一方、欧米では長年の臨床経験を背景に、nafcillin、oxacillin、クロキサシリンなどの抗ブドウ球菌ペニシリン(antistaphylococcal penicillins:ASPs)が標準治療薬とされてきた。本邦でASPsが普及しなかった背景には、静注製剤が承認されていないこと、代替として安全性の高いセファゾリンが広く使用されてきたことなどがある。

スタチン使用は本当にうつ病リスクを低下させるのか?

 これまで、スタチンのうつ病に対する潜在的な影響については調査が行われているものの、そのエビデンスは依然として一貫していない。台北医学大学のPei-Yun Tsai氏らは、スタチン使用とうつ病の関連性を明らかにするため、最新のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。General Hospital Psychiatry誌2025年11〜12月号の報告。  2025年9月11日までに公表された研究をPubMed、the Cochrane Library、EMBASEより、言語制限なしでシステマティックに検索した。また、対象論文のリファレンスリストの検討を行った。プールされたオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、ランダム効果モデルを用いた。

「TAVI弁展開後における弁尖可動不良事象に関するステートメント」公表/THT協議会

 経カテーテル的大動脈弁植込み術(TAVI)による弁展開直後や追加手技後に弁尖の一部または複数が可動不良となり、重度の急性大動脈弁閉鎖不全を呈する事象(frozen leaflet/stuck leaflet)が複数報告されていることから、経カテーテル的心臓弁治療関連学会協議会(THT)は12月11日付で医療安全情報ステートメントを公表した。

血液凝固因子第XI因子を阻害すればよいというものではない?(解説:後藤信哉氏)

バイオベンチャーの技術の進歩はすさまじい。ヒトを構成する各種分子の構造と機能は詳細に解明され、分子の構造と機能に基づいた阻害薬も多数開発された。血液凝固第X因子阻害薬はビジネス的に大成功した。しかし、止血に必須の機能を担う第X因子の阻害では、重篤な出血イベントリスクの増加が不可避であった。第XI因子の止血における役割は補助的である。第XI因子の阻害により出血しない抗凝固薬ができる可能性を目指して開発が進んでいる。第XI因子の酵素活性の阻害抗体と、第XI因子の活性化を阻害する抗体の効果が臨床的に試された。

大動脈弁逆流症、専用弁によるTAVIが有望/Lancet

 手術のリスクが高いと考えられる中等度~重度または重度の先天性大動脈弁逆流症患者では、本症専用の人工弁を用いた経カテーテル的大動脈弁植込み術(TAVI)は、事前に規定した安全性と有効性の性能目標を達成するとともに、最長で2年間にわたり、大動脈弁逆流症の大幅な改善が得られ、心機能状態の改善と生活の質の向上をもたらすことが示された。米国・Cedars-Sinai Medical CenterのRaj R. Makkar氏らALIGN-AR Investigatorsが、多施設共同試験「ALIGN-AR試験」の結果を報告した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年11月16日号で発表された。

アブレーションしたら抗凝固薬やめられる?(解説:後藤信哉氏)

筆者は20年以上、発作性心房細動に悩んでいる。臨床エビデンスにかかわらず、患者として直感的に洞調律の維持が予後の改善に役立つことを感じている。長年、抗不整脈薬にて洞調律を維持した。脳卒中予防の重要性はわかるが、ワルファリン、DOAC共に年間3%程度の重篤な出血イベントリスクと考えると、とても抗凝固薬に手は出せなかった。薬による洞調律の維持に限界を感じてカテーテルアブレーションを受けることにした。アブレーションには心タンポナーデなどの重篤な合併症リスクがあることは承知した。アブレーションに内膜障害が起こるので短期間は抗凝固薬が必須と考え、内膜障害が消失するまで数ヵ月はDOACも使用することにした。アブレーションが成功して洞調律に戻れば抗凝固薬はやめられるか? 年間3%の重篤な出血イベントリスクから離れられる価値は、きわめて大きい。本試験の結果には医師としても患者としても注目したい。

降圧薬数漸減で、フレイル高齢者の死亡率は改善するか/NEJM

 介護施設に入居し、複数の降圧薬による治療を受けているフレイルの高齢者では、通常治療と比較して降圧薬数を漸減する治療法は、全死因死亡率を改善せず、転倒や骨折の頻度は同程度であることが、フランス・Universite de LorraineのAthanase Benetos氏らが実施した「RETREAT-FRAIL試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2025年11月20日号で発表された。  研究グループは、フレイル高齢者における降圧薬中止の便益とリスクの評価を目的に、フランスの108の介護施設で非盲検無作為化対照比較試験を行った(フランス保健省などの助成を受けた)。2019年4月~2022年7月に参加者を登録し、2024年7月に追跡を終了した。

DES留置後1年以上の心房細動、NOAC単剤vs.NOAC+クロピドグレル併用/NEJM

 1年以上前に薬剤溶出ステント(DES)の留置を受けた心房細動患者において、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)単剤療法はNOAC+クロピドグレルの併用療法と比較し、全臨床的有害事象(NACE)に関して非劣性であることが認められた。韓国・Yonsei University College of MedicineのSeung-Jun Lee氏らが、同国32施設で実施した研究者主導の無作為化非盲検非劣性試験「Appropriate Duration of Antiplatelet and Thrombotic Strategy after 12 Months in Patients with Atrial Fibrillation Treated with Drug-Eluting Stents trial:ADAPT AF-DES試験」の結果を報告した。ガイドラインの推奨にもかかわらず、DES留置後の心房細動患者におけるNOAC単剤療法の使用に関するエビデンスは依然として限られていた。NEJM誌オンライン版2025年11月8日号掲載の報告。