循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

PADを有する2型DM、セマグルチドは歩行距離を改善/Lancet

 症候性末梢動脈疾患(PAD)を有する2型糖尿病(DM)患者において、セマグルチドはプラセボと比較して歩行距離の改善が大きかったことが示された。米国・コロラド大学のMarc P. Bonaca氏らSTRIDE Trial Investigatorsが、第IIIb相二重盲検無作為化プラセボ対照試験「STRIDE試験」の結果を報告した。PADは世界中で2億3,000万人超が罹患しており、有病率は高齢化により上昇していて、2型DMを含む心代謝性疾患の負担を増している。PAD患者に最も早期に発現し、最も多くみられ、最も支障を来す症状は機能低下と身体的障害であるが、機能や健康関連QOLを改善する治療法はほとんどなかった。Lancet誌オンライン版2025年3月29日号掲載の報告。

「心不全診療ガイドライン」全面改訂、定義や診断・評価の変更点とは/日本循環器学会

 日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドラインである『2025年改訂版 心不全診療ガイドライン』が、2025年3月28日にオンライン上で公開された。2018年に『急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)』が発刊され、2021年にはフォーカスアップデート版が出された。今回は国内外の最新のエビデンスを反映し、7年ぶりの全面改訂となる。2025年3月28~30日に開催された第89回日本循環器学会学術集会にて、本ガイドライン(GL)の合同研究班員である北井 豪氏(国立循環器病研究センター 心不全・移植部門 心不全部)が、ガイドライン改訂の要点を解説した。

新たな冠動脈リスク予測モデルで女性のMACEリスクを4段階に層別化可能

 新たに開発された女性の冠動脈リスクスコア(COronary Risk Score in WOmen;CORSWO)は、女性の冠動脈リスクを効果的に層別化し、特に高リスクおよび非常に高リスクの検出に優れていることから、主要心血管イベント(MACE)発生の予測に有効であるとする研究結果が、「Radiology: Cardiothoracic Imaging」に2024年12月5日掲載された。  女性の冠動脈疾患(CAD)の発症は男性と比較して7~10年遅く、非典型的な症状を伴うため、女性におけるMACE発生を予測するツールが求められている。バルデブロン大学病院(スペイン)のGuillermo Romero-Farina氏らは、前向きに収集された臨床データを用いた後ろ向き解析を行い、女性でのMACE発生を予測するためのモデル(CORSWO)を構築し、その予測能を検証した。対象は、2000年から2018年の間に心電図同期SPECT(単一光子放射断層撮影)心筋血流イメージング(gSPECT MPI)を受けた2万5,943人の連続した患者の中から抽出した女性患者2,226人(平均年齢66.7±11.6歳)とし、平均4±2.7年間追跡し、MACE(不安定狭心症、非致死的な心筋梗塞、冠動脈血行再建術、心臓死)の発生を評価した。

医師の喫煙率、男女・診療科で差/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、4月2日に定例の記者会見を開催した。会見では、松本氏が3月28日に発生したミャンマー大地震の犠牲者などに哀悼の意を示すとともに、支援金として医師会より合計1,000万円を支援したことを報告した。また、2000年より医師会と日本大学が共同調査を行っている「喫煙意識調査報告」の内容、4月19日に開催されるシンポジウム「未来ビジョン若手医師の挑戦」の開催概要が説明された。  「第7回(2024年)日本医師会員喫煙意識調査報告」について副会長の茂松 茂人氏(茂松整形外科 院長)がその概要を述べ、調査を行った兼板 佳孝氏(日本大学医学部社会医学系公衆衛生学分野 教授)が詳細を説明した。

働き方改革スタートから1年、「変化を感じる」は35%/ウォルターズ・クルワー調査

 医師の働き方改革がスタートして1年。医療業界向けの情報サービス事業のウォルターズ・クルワー・ヘルスは医師を対象に「『医師の働き方改革』に関する調査」と題したアンケートを行い、その結果を発表した。 「自身の勤務先の働き方改革の取り組み」を聞いた設問には、「取り組んでいる」との回答が83%だったが、その中で自身の働き方にも「変化を感じる」と答えた人は35%に留まった。

オフポンプCABGの周術期管理、NIRS+血行動態モニタリングは有効か/BMJ

 オフポンプ冠動脈バイパス術(CABG)の周術期管理において、通常ケアと比較して、近赤外線分光法(NIRS)による組織酸素飽和度モニタリングと血行動態モニタリングのガイドに基づくケアは、組織酸素化をほぼベースラインの水準に維持するが、このアプローチは術後の主要な合併症の発生率を減少させないことが、中国・天津大学のJiange Han氏らBottomline-CS investigation groupが実施した「Bottomline-CS試験」で示された。研究の詳細は、BMJ誌2025年3月24日号で報告された。

組み換え帯状疱疹ワクチン シングリックス、定期接種として使用可能に/GSK

 グラクソ・スミスクラインは、2025年4月1日、予防接種法施行規則および予防接種実施規則の一部改正で帯状疱疹が予防接種法のB類疾病に位置づけられたことにより、同社の帯状疱疹のワクチン「シングリックス筋注用(以下、シングリックス)」が定期接種として使用可能となったと発表した。  シングリックスは、帯状疱疹の予防を目的とした世界で初めての遺伝子組換え型のサブユニットワクチンで、現在50ヵ国以上で販売されている。日本では、50歳以上を対象として(2018年3月23日)、帯状疱疹の発症リスクが高いと考えられる18歳以上を対象として(2023年6月26日)承認を取得している。

健康行動変容支援システムは体重のリバウンド対策に有効か

 ダイエットでは体重のリバウンドが常に課題となる。では、減量した体重の維持には、認知行動療法(CBT)などを活用した健康行動変容支援システム(HBCSS)は有効だろうか。この課題に対し、フィンランドのオウル大学生体医学・内科学研究ユニットのEero Turkkila氏らの研究グループは、ウェブベースのHBCSSの長期的有効性評価を目的に、2年にわたり検証を行った。その結果、12ヵ月間のHBCSS介入では、5年後の体重減少について非HBCSSよりも良好に維持することはできなかった。この結果は、International Journal of Obesity誌2025年3月15日オンライン版で公開された。

起立性高血圧に厳格降圧治療は有効か?/BMJ

 血圧高値または高血圧症を有する成人コホートにおいて、起立性高血圧は一般的にみられ、厳格降圧治療が起立性高血圧の発生をわずかだが低減することが示された。米国・ハーバード大学医学大学院のStephen P. Juraschek氏らが、個別患者データを用いたメタ解析の結果で報告した。著者は、「今回示された所見は、座位で認められる高血圧症に一般的に用いられるアプローチが、立位で認められる高血圧症も予防可能であることを示すものである」とまとめている。BMJ誌2025年3月25日号掲載の報告。  研究グループは、起立性高血圧への厳格降圧治療の有効性を、システマティックレビューと個別患者データのメタ解析で評価した。2023年11月13日時点でMEDLINE、Embase、Cochrane CENTRALのデータベースを検索した。

TIA後の脳卒中リスクは長期間持続する(解説:内山真一郎氏)

 本研究は、38件の研究に登録された17万1,068例のTIAまたは軽症脳梗塞(大多数はTIA)のメタ解析である。脳卒中の再発リスクは最初の1年で5.9%、5年で12.5%、10年で19.8%であり、2年後からは毎年1.8%再発していた。われわれの行ったTIA registry.org研究でも、発症後2年後から5年後まで累積再発曲線は減衰することなく直線的に推移し、ブレーキがかかっていなかった(Amarenco P, et al. N Engl J Med. 2018;378:2182-2190.、本論文の引用文献14)。