日本循環器学会が閉塞性肥大型心筋症治療薬マバカムテンの適正使用に関するステートメント(第1版、2025年)を作成し、4月24日に同学会ホームページで公表した。マバカムテン(商品名:カムザイオス)は3月27日にブリストル マイヤーズ スクイブが製造販売承認を取得しており、年内の国内販売が見込まれている。
肥大型心筋症におけるマバカムテンの位置付けは、2025年3月に発刊された『2025年改訂版 心不全診療ガイドライン』の治療フローチャート(p.130)や推奨表(閉塞性肥大型心筋症の圧較差軽減のための治療薬の推奨とエビデンスレベル、p.131)にも、対象患者や処方目的などが明記されているが、投与対象者の選定や用量調整、中止/休薬の基準に注意を要することから、ステートメントにてマバカムテンを導入できる施設要件と医師要件が示された。
<マバカムテンを安全に導入するための体制>
1.施設要件
以下の条件を満たす施設で導入および維持量が決定するまで管理を行うこと
(1)日本循環器学会認定循環器研修施設
(2)心臓超音波検査を専門とする循環器専門医が在籍する施設(日本心エコー図学会認定心エコー図専門医もしくは日本超音波医学会認定超音波専門医を持つ循環器専門医が在籍することが好ましい)で、心臓超音波検査を4週おきに行い、肥大型心筋症評価に必要な検査(左室駆出率および安静時およびバルサルバ負荷時の圧較差)を適切に実施できること
(3)年間20例以上の肥大型心筋症患者を診療している施設
(4)カムザイオスカプセル E-Learningを受講した医師が在籍していること
2.医師要件
以下の条件を満たす医師により導入および維持量が決定するまでの管理を行うこと
(1)最新の診断基準に則り診断された肥大型心筋症患者を継続的に5例/年以上診療している医師
(2)循環器専門医の資格を有していること
(3)カムザイオスカプセル E-Learningを受講していること
維持量が決定し、病状の安定している患者への継続処方については、患者さんの利便性を考慮して、後方病院(循環器研修関連施設もしくは循環器専門医資格を有する医師の在籍するクリニック、処方する医師はカムザイオスカプセル E-Learningを受講済みであることは必須)でも可である。また、増量中の処方も、通院が頻回になるため、後方病院(前記)でも可とする。しかし、増量、減量、中止の判断に重要な心エコー検査は、循環器研修施設で行う。維持量の変更もあるために、導入した施設は、可能なら定期的モニタリングと臨床経過の追跡調査が可能な状態を維持すること。
(ケアネット 土井 舞子)