循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

院外心停止後の低体温療法、冷却延長は神経学的予後を改善せず/JAMA

 33℃での低体温療法を受ける院外心停止後に昏睡状態にある生存者において、冷却時間の延長は神経学的アウトカムを改善させなかったことが、米国・ミシガン大学のWilliam J. Meurer氏らSIREN Investigatorsが同国71病院で実施した、多施設共同無作為化アダプティブ割り付け臨床試験の結果で示された。心停止後の神経保護を目的とした低体温療法は広く行われているが、臨床試験において一貫した神経学的アウトカムの改善は示されておらず、最適な冷却時間は依然として不明のままであった。JAMA誌オンライン版2026年8月5日号掲載の報告。

スタチン使用に伴う重篤な筋障害はまれ

 スタチンによる重篤な筋障害への懸念は過大視されている可能性があるようだ。英オックスフォード大学の研究グループが開発した新たなリスク予測モデルでスタチン治療の適応となる成人の重篤な筋障害リスクを推定したところ、98%超が低リスクであることが示された。この研究結果は、「The Lancet Digital Health」に6月25日掲載された。筆頭著者である同大学のTing Cai氏はニュースリリースで、「重篤な筋障害は、スタチンに関して最も広く懸念されている副作用の一つである。しかし今回の結果から、スタチン治療の効果を期待できる大多数の人では、そのリスクは極めて低いことが示唆された」と述べている。

多枝冠動脈バイパス術後の身体的回復、小開胸vs.胸骨正中切開/Lancet

 多枝冠動脈疾患を有する適格患者において、経験豊富なチームが施行した低侵襲冠動脈バイパス術(MICS CABG)は胸骨正中切開によるCABGと比較し、術後1ヵ月時点の患者報告による身体的回復を改善し、かつ術後12ヵ月までの安全性に明らかな不利益は認められなかった。カナダ・オタワ大学のMarc Ruel氏らが、研究者主導の国際共同無作為化非盲検比較試験「Multivessel coronary artery bypass grafting via small thoracotomy versus sternotomy:MIST」の結果を報告した。CABGは一般的であるが侵襲性が高い手術で、従来は胸骨正中切開によって行われてきた。

肥満症治療薬単独では血管の健康改善効果は限定的

 GLP-1受容体作動薬などの肥満症治療薬は、肥満治療を大きく変えつつある。しかし、血管の健康の維持には、運動が依然として決定的な役割を果たす可能性を示した研究が、6月24日付で「Nature Metabolism」に掲載された。論文の上席著者であるコペンハーゲン大学(デンマーク)生物医学分野教授のSigne Torekov氏は、「本研究は、薬物療法は体重維持を支える一方で、血管の健康を改善するのは、薬物療法の有無にかかわらず運動であることを示している」と述べている。  肥満と身体活動不足は、血管内皮機能の低下や動脈硬化と関連付けられている。

婦人科腫瘍の循環器合併症~血栓症と高血圧~/日本婦人科腫瘍学会

 婦人科がんと循環器疾患の関連は深い。第68回日本婦人科腫瘍学会学術集会にて、大阪がん循環器病予防センターの向井 幹夫氏は「婦人科腫瘍学と腫瘍循環器学の連携」と題し、両者の密接な関係について紹介した。  婦人科腫瘍患者は、閉経後の動脈硬化リスク上昇に加え、卵巣摘出後の外科的閉経や薬物治療により心血管イベントリスクが増大する。中でも、CATへの対応は婦人科腫瘍の診療においてきわめて重要である。  がんはTissue Factor(TF)やサイトカイン、さらにマイクロパーティクルを分泌して凝固系を活性化し血栓を形成する。がんはこの血栓を利用して転移するのである。がん自体による血栓形成以外に、薬剤による血栓形成も問題となる。婦人科がんで汎用される内分泌薬やパクリタキセル、タキサンなどの化学療法薬は血栓症合併リスクが高い。

日本人Lp(a)の実態解明、2つのカットオフ値を提案(LEAP研究)

 日本人のLp(a)濃度分布やLp(a)の心血管疾患(CVD)との関連を明らかにするために国内で実施されている多施設共同後ろ向き観察研究(LEAP研究)。2025年の第57回日本動脈硬化学会総会・学術集会での発表時には、日本人におけるLp(a)濃度分布と冠動脈疾患(CAD)をはじめとする併存疾患の関連性について、具体的に示されていなかった。今回、本研究の筆頭著者である山田 知明氏(東京科学大学病院 医療情報部)らはそれらを明らかにし、Journal of Atherosclerosis and Thrombosis誌2026年8月1日号で報告した。

LDL-C上昇の成人が世界で46億人に増加、高齢化で疾病負担増/JAMA

 心血管疾患は、早期死亡の主要な原因であり、LDL-C値の上昇は介入可能なリスク因子とされる。LDL-Cに関連する疾病負担を評価することは、心血管疾患の予防および治療戦略を策定するうえできわめて重要と考えられる。米国・ワシントン大学のChristian Razo氏らGBD 2023 LDL Cholesterol Collaboratorsは、世界疾病負担(GBD)研究の一環として、1990~2023年におけるLDL-C値上昇(35~54mg/dLとの比較)に起因する虚血性心疾患および虚血性脳卒中の疾病負担を、世界、地域、国ごとに推定し、人口増加、高齢化、曝露量の変化などが疾病負担の傾向に及ぼす影響を定量化した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年7月29日号で報告された。

心・脳血管疾患の既往やNSAIDs使用はパーキンソン病リスクを高めるか?

 心・脳血管疾患の既往はパーキンソン病(PD)のリスク増加と関連することが示されているが、逆の因果関係による可能性が疑われていた。一方、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はPDリスクを低減させると考えられてきたが、過去のエビデンスは一貫しておらず、背景にある血管疾患による交絡の可能性も懸念されていた。英国・University of OxfordのClare Wotton氏らは、女性約82万例を対象とした大規模前向きコホート研究「Million Women Study」のデータを用いて解析を行った。その結果、虚血性心疾患および脳血管疾患の既往はPD発症リスクの有意な上昇と関連しており、逆の因果関係だけでは説明できないことが示された。

抗凝固療法が必要な症例に、PCIを行った後の至適な抗血栓療法とは(解説:山地杏平氏)

抗凝固療法が必要な症例に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行した際の抗血栓療法では、虚血イベントを抑制しながら、いかに出血リスクを低減するかが重要な課題となっています。これまでWOEST、PIONEER AF-PCI、RE-DUAL PCI、AUGUSTUS、ENTRUST-AF PCIなどの試験により、経口抗凝固薬にP2Y12阻害薬を加えた2剤併用療法は、3剤併用療法と比較して出血リスクを低減できることが示され、その安全性が確立されてきました。一方で、この2剤併用療法をどの程度の期間継続すべきかについては、依然として明確なエビデンスが不足していました。

マイクロプラスチックは心筋梗塞と関連?

 心筋梗塞を起こした人では、血液中からマイクロプラスチックおよびナノプラスチック(MNP)が高い割合で検出され、その濃度も高いことを示すデータが報告された。サピエンツァ大学サンタンドレア病院(イタリア)のPasquale Paolisso氏らの研究によるもので、詳細は7月14日付で「European Heart Journal」に掲載された。喫煙や大気汚染も、MNPの検出と関連があるという。  この論文では、「先行研究により、ヒトの臓器や組織にMNPが存在していることが既に示されている」と、研究背景が記されている。しかし、筆頭著者であるPaolisso氏によると、冠動脈(心臓の筋肉に血液を供給する動脈)の血液中にもMNPが存在するのか、また、喫煙や大気汚染などの環境要因がその存在に影響を与えるのかどうかという点については、「ほとんど知られていなかった」という。