循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

10月24日開催『第7回ヘルスケアベンチャー大賞』最終審査会【ご案内】

 日本抗加齢協会は2025年10月24日(金)、医療・ヘルスケア分野で革新的な挑戦を続けるスタートアップを応援する「第7回ヘルスケアベンチャー大賞」最終審査会を日本橋ライフサイエンスハブにて開催する。  本アワードは、医療・学術界と産業界をつなぎ、新しい価値を創出するヘルスケアスタートアップを発掘・支援することを目的に2017年から開催しており、毎回大きな注目を集めている。過去の受賞者には、世界的イノベーションコンペティション「XPRIZE」のセミファイナリストが輩出されるなど、国内外から高く評価される企業も生まれており、本アワードはグローバルに羽ばたく登竜門としての役割を担っている。

60歳以上への2価RSVワクチン、全心肺疾患による入院も抑制/JAMA

 60歳以上の高齢者における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症に対する2価RSV融合前Fタンパク(RSVpreF)ワクチン接種は、同ワクチンを接種しなかった場合と比較し、全心肺疾患による入院を有意に減少させた。デンマーク・Copenhagen University Hospital-Herlev and GentofteのMats C. Hojbjerg Lassen氏らが、DAN-RSV試験の事前に規定された2次解析の結果を報告した。RSV感染は、とくに心血管疾患(CVD)の既往を有する患者で心血管リスクの上昇と関連している。最近、RSVpreFワクチンがRSV関連下気道疾患の予防として承認されたが、心血管アウトカムに対する有効性を評価した無作為化試験はなかった。著者は、「今回の結果は、全CVDによる入院に対する効果は有意ではなかったものの、RSVワクチン接種が心肺疾患に対しても有用である可能性を示唆している」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年8月30日号掲載の報告。

さまざまなリスクの左室駆出率の低下した心不全へのベルイシグアトの効果―VICTORIA・VICTOR試験統合解析より(解説:加藤貴雄氏)

VICTORIA試験は、直近の心不全増悪があった左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)患者に対する試験であり、2025年8月の欧州心臓病学会で発表されたVICTOR試験は、6ヵ月以内の入院歴や3ヵ月以内の外来での利尿薬静注の「最近増悪した症例」を除外し、NT-proBNP 600~6,000pg/mL(心房細動は900~6,000pg/mL)を組み入れ基準とした試験で、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬であるベルイシグアトの二重盲検ランダム化比較試験である。

日本人男性のCVDリスク、最適な予測指標はBMIではなかった

 日本人男性の将来の心血管疾患(CVD)リスクの評価において、従来広く用いられてきたBMIよりも腹囲身長比(waist-to-height ratio)や体の丸み指数(body roundness index)のほうが有用で、欧米での報告と同様に日本人男性でも腹囲が身長の約半分に達するとCVD発症リスクが上昇することが、京都府立医科大学の市川 貴博氏らによって明らかになった。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2025年8月23日号掲載の報告。  肥満は世界的に重要な公衆衛生上の課題であり、とくに中心性肥満はさまざまな代謝疾患の発症に関連することが報告されている。日本では主にBMIを用いて肥満を判定しているが、BMIでは内臓脂肪の蓄積を正確に反映することができないという限界がある。そこで研究グループは、大規模な日本人集団のデータをもとに、5つの異なる体格指標が肥満の重大な合併症であるCVDの発症にどのように関連するのかを13年間にわたって比較・検証した。

多枝病変NSTEMI血行再建、責任病変のみvs.FFRガイド下/JAMA

 オランダ・Zuyderland Medical CentreのTobias F. S. Pustjens氏らの研究チームは国際的な臨床無作為化試験「SLIM試験」において、多枝病変を有する非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)では、梗塞責任病変のみの血行再建と比較して、責任病変とともに血流予備量比(FFR)のガイド下にすべての非責任病変の完全血行再建を行う戦略が、複合アウトカム(全死因死亡や非致死的心筋梗塞の再発などから成る)の発生を有意に改善し、この効果は主に再血行再建の減少によることを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年8月31日号で発表された。

新薬が血圧コントロール不良の慢性腎臓病患者に降圧効果

 アルドステロンというホルモンを合成する酵素を阻害する新薬のバクスドロスタットの投与により、既存の薬では高血圧をコントロールできなかった慢性腎臓病(CKD)患者の収縮期血圧が約5%低下したとする第2相臨床試験(FigHTN)の結果が報告された。米ユタ大学保健学部のJamie Dwyer氏らによるこの研究結果は、米国心臓協会(AHA)のHypertension Scientific Sessions 2025(9月4〜7日、米ボルチモア)で発表されるとともに、「Journal of the American Society of Nephrology」に9月6日掲載された。Dwyer氏は、「CKDと高血圧を抱えて生きる人にとって、この研究結果は励みになる。この2つの病状はしばしば同時に進行し、危険な悪循環を生み出す」と述べている。

経口抗凝固療法中の慢性冠症候群患者、アスピリン併用は?/NEJM

 経口抗凝固薬を服用中のアテローム血栓症リスクが高い慢性冠症候群患者において、アスピリンの追加投与はプラセボと比較し、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、全身性塞栓症、冠動脈血行再建術または急性下肢虚血の複合アウトカムのリスクを増加させ、さらに全死因死亡および大出血のリスクも高める。フランス・リール大学のGilles Lemesle氏らが、同国の51施設で実施された二重盲検プラセボ対照無作為化試験「Assessment of Quitting versus Using Aspirin Therapy in Patients with Stabilized Coronary Artery Disease after Stenting Who Require Long-Term Oral Anticoagulation trial:AQUATIC試験」の結果を報告した。長期経口抗凝固療法中の高リスク慢性冠症候群患者に対する適切な抗血栓療法のレジメンは依然として明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2025年8月31日号掲載の報告。

心筋梗塞後にβ遮断薬は今日でも標準治療薬か?正反対の結論を導いた2つのトライアル(解説:桑島巌氏)

10年ほど前までは、β遮断薬は心筋梗塞発症後の再発予防と生命予後改善薬の標準治療薬の代表格として位置付けられており、その処方が行われていない場合には、その医療機関や担当医師がEvidence Based-Medicineを順守していないとみなされていた時代が長く続いた。しかし近年、急性心筋梗塞後の治療は、PCIによる血行再建術が普及し、アスピリンやクロピドグレルなどの抗血小板薬処方が必須となり、また高脂血症治療薬による厳格なコレステロール管理がなされるようになるなど、その状況は大きく変わった。そのような時代の変遷の中で、β遮断薬は心筋梗塞後に必須の治療薬として残存しているのか。

アブレーション後のAF患者、抗凝固療法中止の影響は?/JAMA

 心房細動(AF)のカテーテルアブレーション後1年以上心房性不整脈の再発が確認されていない患者では、経口抗凝固療法を中止したほうが継続した場合と比較し、脳卒中、全身性塞栓症および大出血の複合アウトカムのリスク低下に結び付いたことが示された。韓国・Yonsei University College of MedicineのDaehoon Kim氏らALONE-AF Investigatorsが、同国の18施設で実施した研究者主導の無作為化非盲検比較試験「Anticoagulation One year after Ablation of Atrial Fibrillation in Patients with Atrial Fibrillation:ALONE-AF試験」の結果を報告した。AFに対するカテーテルアブレーション後の患者における、長期抗凝固療法に関する無作為化比較試験のデータは不足していた。JAMA誌オンライン版2025年8月31日号掲載の報告。