循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

フィネレノン、CKD有するHFmrEF/HFpEFに有効~3RCT統合解析(FINE-HEART)/日本循環器学会

 心不全患者のほぼ半数が慢性腎臓病(CKD)を合併している。心不全とCKDは、高血圧、肥満、糖尿病といった共通のリスク因子を持ち、とくに左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)患者ではその関連がより顕著である。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)や交感神経系の活性化、炎症、内皮機能障害、線維化、酸化ストレスといった共通の病態生理学的経路を有する。したがって、心不全患者、とくにHFpEF患者において、腎保護が治療成功の鍵となっている。

DES留置術前の石灰化病変処置、オービタルアテレクトミーは予後を改善するか/Lancet

 薬剤溶出性ステント(DES)を用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行前の重度の冠動脈石灰化病変の切削において、バルーン血管形成術に基づくアプローチと比較して、アテローム切除アブレーション式血管形成術用カテーテル(Diamondback 360 Coronary Orbital Atherectomy System)によるオービタルアテレクトミーは、最小ステント面積を拡張せず、1年後の標的血管不全の発生率も減少しないことが、米国・Columbia University Medical Center/NewYork-Presbyterian HospitalのAjay J. Kirtane氏らECLIPSE Investigatorsが実施した「ECLIPSE試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌2025年4月12日号に掲載された。

鉄欠乏症心不全患者に対するカルボキシマルトース第二鉄の静注は、心不全入院と心血管死を有意に減少させなかった:The FAIR-HF2無作為化臨床試験-心不全治療において貧血は難題-(解説:佐田政隆氏)

心不全では貧血を伴うことが多く、貧血は心不全の重要な予後規定因子である。心不全による貧血の進行の機序としては、慢性炎症、腎機能低下、体液貯留による血液希釈、鉄欠乏などが想定されているが、「心・腎・貧血症候群」として近年、問題視されており、その病態の悪循環を断つためにいろいろな介入方法が試みられているが、特効薬がないのが現状である。鉄欠乏は心不全患者の半数以上に合併し、心不全症状や運動耐容能の低下、心不全入院、心血管死と関連することが報告されている。鉄欠乏状態を評価するため、2つの指標が用いられている。フェリチンは体内の鉄を貯蔵するタンパク質で、血液中のフェリチンの量を測定することで体内の鉄の貯蔵量を推定することができる。一方、血清鉄は、トランスフェリンというタンパク質に結合して搬送され、血清鉄/総鉄結合能✕100(%)が鉄飽和度(TSAT)と呼ばれ、血液中の鉄と結合しているトランスフェリンの割合を指し、鉄の過不足を判断する指標として用いられる。心不全患者の鉄欠乏の基準として、血清フェリチン<100ng/mL、または血清フェリチン100~300ng/mLかつTSAT<20%と定義されており、このような患者を対象にして鉄補充の有効性と安全性をみる数々の臨床研究が行われてきた。6分間歩行や最大酸素摂取量といったソフトエンドポイントでは有効性を示した報告が多いが、心血管死と心不全入院といったハードエンドポイントでは、有効性を示すことができなかった研究がほとんどである。

ワインによる各脂質レベルへの影響~メタ解析

 ワイン摂取が脂質プロファイルに及ぼす影響について、これまで脂質をトリグリセライド、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、フィブリノゲンに分けてメタ解析を行った研究はなかった。今回、スペイン・University of Castilla-La ManchaのMaribel Luceron-Lucas-Torres氏らが系統的レビューとメタ解析を実施した結果、赤ワインによるLDLコレステロール減少効果が示された。The Journal of Nutrition, Health and Aging誌2025年6月号に掲載。  本研究では、MEDLINE(PubMed)、Scopus、Cochrane、Web of Scienceのデータベースを調べ、系統的レビューとメタ解析を行った。

PCI後DAPT例の維持療法、クロピドグレルvs.アスピリン/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後に標準的な期間の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を完了した、虚血性イベントの再発リスクが高い患者の維持療法において、アスピリン単剤療法と比較してクロピドグレル単剤療法は、3年時の主要有害心・脳血管イベント(MACCE)が少なく、なかでも心筋梗塞のリスクが有意に減少し、出血の発生率は両群で差がなく、上部消化管イベントのリスクはクロピドグレル群で低いことが、韓国・Sungkyunkwan University School of MedicineのKi Hong Choi氏らSMART-CHOICE 3 investigatorsが実施した「SMART-CHOICE 3試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年3月30日号で報告された。

3枝病変へのFFRガイド下PCIは有効か/Lancet

 左冠動脈主幹部以外の冠動脈3枝病変を有する患者の治療では、冠動脈バイパス術(CABG)と比較してゾタロリムス溶出ステントを用いた冠血流予備量比(FFR)ガイド下経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、5年間の追跡調査において、死亡、脳卒中、心筋梗塞の複合アウトカムの発生に関して有意差はみられないが、心筋梗塞と再血行再建術の頻度は高いことが、米国・スタンフォード大学のWilliam F. Fearon氏らが実施した「FAME 3試験」で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2025年3月30日号に掲載された。

バターを植物油に置き換えると死亡リスク17%減

 バターがあれば何でもおいしくなる、というのは料理人の格言だが、バターは健康には良くないことが新たな研究で示された。バターの摂取量が多い人は少ない人に比べて早期死亡リスクが高いが、オリーブ油のような植物性の油を主に使っている人は早期死亡リスクが低いことが明らかになったという。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のYu Zhang氏らによるこの研究結果は、「JAMA Internal Medicine」に3月6日掲載されると同時に、米国心臓協会(AHA)の生活習慣科学セッション(EPI/Lifestyle Scientific Sessions 2025、3月6~9日、米ニューオーリンズ)でも発表された。

死亡リスクの高いPAH患者に対するsotaterceptの有効性/NEJM

 最大耐量の基礎療法を受けている死亡リスクの高い肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者において、sotaterceptの上乗せはプラセボと比較し、全死因死亡、肺移植またはPAH悪化による24時間以上の入院の複合リスクを低下させることが、フランス・パリ・サクレー大学のMarc Humbert氏らによる第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「ZENITH試験」の結果で示された。sotaterceptは、世界保健機関(WHO)機能分類クラスIIまたはIIIのPAH患者の運動耐容能を改善し、臨床的悪化までの時間を遅らせるが、進行したPAHで死亡リスクの高い患者に対するsotaterceptの追加投与の有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版2025年3月31日号掲載の報告。

高感度CRP、心不全の悪化予測に有用か/日本循環器学会

 日本人の高齢化に伴い、国内での心血管疾患(CVD)の発生が増加傾向にある。このCVD発生には全身性の炎症マーカーである高感度C反応性蛋白(hsCRP)の上昇が関連しており、これが将来の心血管イベントの発症予測にも有用とされている。しかし、その関連性は主に西洋人集団で研究されており、日本人でのデータは乏しい状況にある。そこで今回、小室 一成氏(国際医療福祉大学 副学長/東京大学大学院医学系研究科 先端循環器医科学講座 特任教授)が日本人集団における全身性炎症と心血管リスクの関係を評価し、3月28~30日に開催された第89回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Cohort Studies1において発表した。

鉄欠乏心不全、カルボキシマルトース第二鉄vs.プラセボ/JAMA

 鉄欠乏性貧血を伴う心不全患者において、カルボキシマルトース第二鉄はプラセボと比較して、心不全による初回入院または心血管死までの期間を有意に短縮せず、心不全による入院総数も低減しなかった。ドイツ・Deutsches Herzzentrum der ChariteのStefan D. Anker氏らが行った多施設共同無作為化試験「FAIR-HF2 DZHK05試験」で、試験全コホートまたはトランスフェリン飽和度(TSAT)<20%の患者集団いずれにおいても同様の結果が示された。JAMA誌オンライン版2025年3月30日号掲載の報告。