循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

認知症のない期間、高血圧・糖尿病・喫煙の3因子で13年短縮

 高血圧、糖尿病、喫煙といった血管リスク因子は認知症や早期死亡に関連することが知られているが、これらが重複した際、認知症を発症せずに過ごせる期間(認知症のない生存期間)がどれほど短縮するのかは明らかでなかった。中国・清華大学のJiaqi Hu氏らの研究グループは、米国の大規模な動脈硬化リスクコミュニティ研究の解析から、中年期における血管リスク因子の蓄積が認知症のない生存期間を最大12.6年短縮させることを明らかにした。Neurology Open Access誌2026年9月号に掲載。  本研究では、米国4地域で実施された「Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)研究」の参加者のうち、55歳時点で認知症がない1万2,409例(平均年齢56.2歳、女性56.0%)を対象に前向きコホート研究を行った。

経口グレリン受容体作動薬AC01のHFrEFに対する安全性と忍容性が示された(解説:原田和昌氏)

グレリンは1999年寒川らによって発見された胃から産生されるペプチドホルモンで、下垂体に働いて成長ホルモン分泌を促進し、視床下部に働いて食欲を増進させる。HFrEF患者に静脈内投与するとLVEFと最高酸素摂取量が増加し、心不全症状が改善し、除脂肪体重が増加する。AC01(AnaCardio社)は新規の経口カルシウム感受性増強薬でグレリン受容体作動薬でもある。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のLund氏らはGOAL-HF1試験で、HFrEF患者へのAC01の28日間の投与は安全で良好な忍容性を示し、重篤な有害事象や明らかな心電図異常は認められなかったと報告した。

日本の心不全診療、2013年から転帰の改善状況は?(JROADHF)/Eur Heart J

 心不全(HF)診療では薬物療法や介入、退院後管理が進歩している一方、実臨床での診療内容の変化と患者転帰への影響は十分に明らかになっていない。米国・マサチューセッツ工科大学の遠山 岳詩氏らは、日本の2つの大規模HFレジストリを比較し、HF診療と転帰の変化を検討した。その結果、ガイドライン推奨治療や患者教育の実施率が増加し、1年死亡およびHF再入院はいずれも低下していた。本結果は、European Heart Journal誌オンライン版2026年8月8日号に掲載された。

日本人2型糖尿病へのGLP-1薬、MACE・死亡リスクへの影響は?

 日本の大規模レセプトデータベースを用いたリアルワールド研究において、2型糖尿病患者に対するGLP-1受容体作動薬(GLP-1薬)の使用は、心血管イベントにおいてほかの血糖降下薬との有意差は認められなかったが、全死因死亡率はGLP-1薬群で有意に低く、これらの知見は残余交絡を反映している可能性があることを、千葉大学の越坂 理也氏らが示した。研究成果はDiabetes, Obesity and Metabolism誌オンライン版2026年8月11日号で発表された。  本研究は、約190万人規模の日本の大規模レセプトデータベースを用いたリアルワールド研究である。

閉塞性睡眠時無呼吸、記憶力低下・認知症リスクと関連

 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、本人の記憶機能低下や認知症リスクと関連する可能性が示された。モナシュ大学(オーストラリア)のGabriel Abdelmessih氏らは、2,795人の40~70歳の成人を対象とする研究を行い、OSAと、記憶力低下や認知症リスクとの関連性を調査した。その詳細がアルツハイマー病協会発行の「Alzheimer's & Dementia」に6月29日付で掲載された。  研究の結果、OSAを有する参加者は、OSAがない参加者と比べて記憶機能が低下していた。特に、治療を受けていないOSA患者では記憶成績の低下が認められた一方、治療を受けているOSA患者ではOSAがない人との間に有意な差は認められなかった。

心房細動の新規発症、日本人の腎機能低下はどれくらい?

 新規発症の心房細動(AF)は、腎機能低下を加速させる可能性があるという研究結果が、「JAMA Network Open」に5月14日掲載された。  京都大学の森雄一郎氏らは、就労年齢の成人において、新規発症のAFとその後の腎機能低下との関連を検討するため、後ろ向きコホート研究を実施した。対象は、AFの既往歴、心血管系疾患、末期腎疾患のない、洞調律の35~59歳の健診受診者とした。年次健診の間にAFの新規発症を認めた2万3,510人(AF発症群)を、AFを認めなかった11万7,550人(対照群)と1対5でマッチングした。

BMIだけでは心血管リスクを見誤る?腹囲・WHRの意義/JACC

 BMIは全身の肥満度を評価する指標として広く用いられているが、体組成や脂肪分布を反映しにくく、心血管疾患(CVD)リスクの異質性を見落とす可能性がある。腹囲やウエスト・ヒップ比(WHR)は中心性肥満の代替指標であり、BMI区分と一致しない場合も少なくない。そこで、米国・Johns Hopkins Ciccarone Center for Prevention of Cardiovascular Diseaseの Zeina A Dardari氏らは、BMIの標準体重・過体重・肥満区分を腹囲およびWHRで再分類し、9つのCVD関連アウトカムに対する予後的意義を検討した。その結果、腹囲およびWHRは従来のBMI区分におけるリスクの過小・過大評価を同定し、CVDリスクの再分類に有用であることが示された。本研究結果は、Journal of the American College of Cardiology誌2026年8月11日号に掲載された。

待機的心臓手術後のAKI発生、周術期ダパグリフロジン投与で抑制/JAMA

 待機的心臓手術を受ける患者において、SGLT2阻害薬ダパグリフロジン(10mg)の周術期における4回投与(手術日前日~術後2日目まで1日1回経口投与)はプラセボと比較して、術後7日間の急性腎障害(AKI)の発生を減少させたことが示された。オランダ・アムステルダム大学医療センターのMaartina J. P. Oosterom-Eijmael氏らMERCURI-2 Study Groupが、同国で行った多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果を報告した。待機的心臓手術を受ける患者の2~50%でAKI発生が認められるが、これを予防する薬物療法は確立されていない。

CKM症候群の突然死リスク、フィネレノンで19%低下(FINE-HEART)

 非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)フィネレノンの有効性と安全性を検証した3件の大規模第III相試験の統合解析「FINE-HEART」の事前規定解析の結果、フィネレノンは心血管・腎・代謝(CKM)症候群における突然死リスクの低下と関連していたことが、イタリア・IRCCS Azienda Ospedaliero-Universitaria di BolognaのAlberto Foa氏らによって示された。これまでの研究で、フィネレノンはCKM症候群の心血管系および腎転帰を改善することが報告されているが、突然死に対する影響は明らかではなかった。Journal of the American College of Cardiology誌2026年8月4日号掲載の報告。

心血管疾患既往の2型糖尿病、チルゼパチドでMACEリスク32%低減/BMJ

 チルゼパチドは、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)受容体とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体の両方を活性化するインクレチン関連薬であり、血糖値の低下と体重減少をもたらすが、心血管系への効果については議論が続いている。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のNils Kruger氏らは、2型糖尿病とアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有する患者では、標準治療にシタグリプチンを併用した場合と比較して、チルゼパチドの併用は主要心血管イベント(MACE)の発生を有意に抑制し、入院を要する感染症や感染症関連死のリスクも低いことを示した。研究の成果は、BMJ誌2026年8月5日号で報告された。