循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

医療者で多い心血管リスク因子と管理状況は?/ESC2026

医療者は心血管予防の担い手である一方、自身の心血管リスク管理の実態は十分に明らかではない。そこでスイス・チューリッヒ大学のFlorian A. Wenzl氏らは、2025年8月29日~9月1日にスペイン・マドリードで開催されたEuropean Society of Cardiology ESC 2025(ESC2025、欧州心臓病学会)に参加した医療者の心血管リスク、治療状況、目標達成率などを評価した。その結果、医療者は一般集団より良好な心血管リスクプロファイルを示すものの、心血管疾患予防やガイドライン推奨薬物の使用に関しては大きなギャップがみられたことが明らかになった。本研究結果は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたESC2026で発表され、European Heart Journal誌オンライン版2026年8月30日号に同時掲載された。

ACSへの抗血小板療法、milvexian上乗せは無効/NEJM

 急性冠症候群(ACS)発症後7日以内の患者において、標準的な抗血小板療法にmilvexianを上乗せしても、プラセボと比較して心血管死、心筋梗塞または虚血性脳卒中のリスクは低下しなかった。一方で、頭蓋内出血や致死的出血のリスクが増加することはなかった。米国・ハーバード大学のC. Michael Gibson氏らが、日本を含む44ヵ国893施設で実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「LIBREXIA ACS試験」の結果を報告した。ACS発症後は虚血性イベントの再発リスクが高まるが、経口第XIa因子阻害薬であるmilvexianは、出血リスクを最小限に抑えつつ主要有害臨床イベントのリスクを低減させる可能性が示唆されていた。

米国の20代の8割に心腎代謝症候群の兆候

 米国では多くの若年成人が、将来の心血管・腎・代謝に関する健康リスクを高める状態にあることが明らかになった。米ボストン大学のDonald Lloyd-Jones氏らの研究の結果であり、詳細は「Circulation:Population Health and Outcomes」に8月20日付で掲載された。平均年齢23歳という若年集団を対象とした調査で、参加者の約8割に心腎代謝(CKM)症候群の兆候が認められたという。  CKM症候群とは、代謝性リスク因子、腎疾患、心血管疾患が相互に関連し、心血管疾患の発症・進行リスクを高める状態を指し、米国心臓協会(AHA)によると、その初期兆候として、高血圧、脂質異常、インスリン抵抗性、糖尿病前症などが現れてくるという。

多枝病変STEMIの完全血行再建、機能的ガイドvs.従来ガイド/NEJM

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)かつ多枝冠動脈疾患を有する患者における、完全血行再建術の非責任病変に対する施行戦略に関して、機能的冠動脈造影ガイド下のほうが従来冠動脈造影ガイド下よりも、主要評価項目のイベント(全死因死亡、心筋梗塞、脳血管障害、または虚血による再血行再建)リスクが低いことが、イタリア・フェラーラ大学病院のSimone Biscaglia氏らAIR-STEMI Trial Investigatorsが行った無作為化試験の結果で示された。STEMIかつ多枝冠動脈疾患を有する患者には完全血行再建が推奨されるが、非責任病変に対する適切な戦略は明らかになっていない。NEJM誌2026年9月10日号掲載の報告。なお、本研究は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表された。

心血管疾患歴や糖尿病がない高齢者でも、高用量スタチンは心筋梗塞、脳卒中発症を予防する。しかし、認知症、フレイルの発症予防には効果なし―STAREE研究(解説:桑島巖氏)

メルボルン在住で、心血管疾患の既往や糖尿病がない70歳以上の住民9,971例を、アトルバスタチン40mg治療群とプラセボ群にランダマイズして平均5.9年間追跡し、(1)心血管疾患発症率、心血管死および、(2)認知症、フレイル、総死亡の2つを主要エンドポイントとして評価した臨床研究である。本試験の特徴として、両群ともLDL-コレステロール平均値が、治療群では126.2±27.8mg/dL、プラセボ群では127.0±28.1mg/dLと正常範囲内であることである。すなわち、高コレステロール基準に達していない例が多いことが挙げられる。

糖尿病へのスタチン、開始時期で認知症リスクに差?/ESC2026

高齢化に伴い認知症の負担は増大しており、とくに糖尿病患者ではリスクが高いことが知られている。一方、LDLコレステロールは認知症の修正可能なリスク因子として注目されている。そこで、デンマーク・Copenhagen University Hospital-Herlev and GentofteのTummas Ternhamar氏らは、2型糖尿病診断後のスタチン開始時期と認知症リスクとの関連を検討した。その結果、診断後1年以内の「スタチン早期開始」が、全認知症リスクの有意な低下と関連することが示された。本結果は、2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表され、The Lancet Regional Health Europe誌オンライン版2026年8月27日号に掲載された。

心筋梗塞PCI前のエボロクマブ、1年後LDL目標8割達成/JAMA

 PCSK9阻害薬は、心筋梗塞(MI)発症後の2次または3次の脂質低下療法としての推奨にとどまるため、その結果としてLDL-コレステロール(LDL-C)値のコントロールが不十分な期間が長期化するとされる。機械的再灌流術の前に、1次治療としてのPCSK9阻害薬の投与を、カテーテル室での判断に基づいて開始した場合に、1年後のLDL-Cのコントロールおよび臨床アウトカムが改善するかは明らかでないという。フランス・ソルボンヌ大学のGilles Montalescot氏らAMUNDSEN Investigators of the ACTION Study Groupは「AMUNDSEN試験」において、プライマリまたは緊急の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が適応の急性心筋梗塞(AMI)患者に対し、カテーテル室でエボロクマブと高強度の脂質低下療法の併用を開始したところ、1年後に80%以上の患者がガイドラインで推奨されるLDL-Cの目標値(<55mg/dLかつ≧50%減少)を達成したと報告した。研究の成果はJAMA誌オンライン版2026年8月29日号に掲載された。なお、本研究は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表された。

感染性心内膜炎、治療反応に基づく抗菌薬短縮は可能か/NEJM

 左心系の感染性心内膜炎に対し、臨床反応に基づく個別化抗菌薬治療(抗菌薬の早期中止が可能)は標準的な投与期間の抗菌薬治療と比較して、抗菌薬を必要としない生存期間を有意に延長させ、安全性は非劣性の基準を満たしたが、感染性心内膜炎または菌血症の再発率は高かった。デンマーク・コペンハーゲン大学のHenning Bundgaard氏らPOET II Investigatorsが「POET II試験」の結果を報告した。同疾患に対し、現在欧米で推奨されている最長6週間の抗菌薬治療は、無作為化試験というよりは、主に専門家の見解や過去の観察結果に基づいており、臨床反応に応じた戦略によって、安全性を損なわずに治療期間を短縮できるかは不明だという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年8月28日号で発表された。なお、本研究は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表された。

喫煙者の多くはタバコが心臓や脳に及ぼすリスクを認識していない

 タバコのリスクに関する過去数十年にわたる啓発活動にもかかわらず、多くの喫煙者が喫煙や受動喫煙が心臓発作や脳卒中を引き起こすという事実をまだ十分認識していないことが、46カ国で行われた調査から明らかになった。ウォータールー大学(カナダ)と米疾病対策センター(CDC)タバコ規制プログラムの研究者による研究の結果であり、同大学のJanet Chung-Hall氏らによる論文が、「BMJ Open」に8月4日付で掲載された。  この研究では、2002~2022年の国際タバコ規制プロジェクト(ITC)と、2008~2020年の世界成人タバコ調査(GATS)のデータを用い、46カ国の18歳以上の喫煙者において、喫煙と受動喫煙が肺がんや心血管疾患(CVD)の原因になるという認識が、過去約20年間でどのように変化してきたかが解析された。

PCI後1年での高リスク例、クロピドグレル単剤vs.DAPT延長/NEJM

 欧米の現行ガイドラインは、薬剤溶出性ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行後は、6~12ヵ月間の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の後、アスピリンまたはクロピドグレルによる長期の抗血小板薬単剤療法を推奨しているが、冠動脈の複雑な解剖学的形態や併存疾患などの患者特性を考慮しつつ、虚血と出血リスクのバランスを取ることが可能な長期の維持療法の戦略は確立されていない。韓国・延世大学校医科大学のSeung-Jun Lee氏らA-CLOSE investigatorsは、PCI後12ヵ月の時点で虚血性イベントのリスクが高い患者では、その24ヵ月後の全臨床的有害事象の発生に関して、クロピドグレル単剤療法はDAPTの延長に対し非劣性であり、同単剤療法は虚血性イベントと死亡が多いものの出血イベントは少ないことを「A-CLOSE試験」の結果で示した。