循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

心筋梗塞PCI前のエボロクマブ、1年後LDL目標8割達成/JAMA

 PCSK9阻害薬は、心筋梗塞(MI)発症後の2次または3次の脂質低下療法としての推奨にとどまるため、その結果としてLDL-コレステロール(LDL-C)値のコントロールが不十分な期間が長期化するとされる。機械的再灌流術の前に、1次治療としてのPCSK9阻害薬の投与を、カテーテル室での判断に基づいて開始した場合に、1年後のLDL-Cのコントロールおよび臨床アウトカムが改善するかは明らかでないという。フランス・ソルボンヌ大学のGilles Montalescot氏らAMUNDSEN Investigators of the ACTION Study Groupは「AMUNDSEN試験」において、プライマリまたは緊急の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が適応の急性心筋梗塞(AMI)患者に対し、カテーテル室でエボロクマブと高強度の脂質低下療法の併用を開始したところ、1年後に80%以上の患者がガイドラインで推奨されるLDL-Cの目標値(<55mg/dLかつ≧50%減少)を達成したと報告した。研究の成果はJAMA誌オンライン版2026年8月29日号に掲載された。なお、本研究は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表された。

感染性心内膜炎、治療反応に基づく抗菌薬短縮は可能か/NEJM

 左心系の感染性心内膜炎に対し、臨床反応に基づく個別化抗菌薬治療(抗菌薬の早期中止が可能)は標準的な投与期間の抗菌薬治療と比較して、抗菌薬を必要としない生存期間を有意に延長させ、安全性は非劣性の基準を満たしたが、感染性心内膜炎または菌血症の再発率は高かった。デンマーク・コペンハーゲン大学のHenning Bundgaard氏らPOET II Investigatorsが「POET II試験」の結果を報告した。同疾患に対し、現在欧米で推奨されている最長6週間の抗菌薬治療は、無作為化試験というよりは、主に専門家の見解や過去の観察結果に基づいており、臨床反応に応じた戦略によって、安全性を損なわずに治療期間を短縮できるかは不明だという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年8月28日号で発表された。なお、本研究は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表された。

喫煙者の多くはタバコが心臓や脳に及ぼすリスクを認識していない

 タバコのリスクに関する過去数十年にわたる啓発活動にもかかわらず、多くの喫煙者が喫煙や受動喫煙が心臓発作や脳卒中を引き起こすという事実をまだ十分認識していないことが、46カ国で行われた調査から明らかになった。ウォータールー大学(カナダ)と米疾病対策センター(CDC)タバコ規制プログラムの研究者による研究の結果であり、同大学のJanet Chung-Hall氏らによる論文が、「BMJ Open」に8月4日付で掲載された。  この研究では、2002~2022年の国際タバコ規制プロジェクト(ITC)と、2008~2020年の世界成人タバコ調査(GATS)のデータを用い、46カ国の18歳以上の喫煙者において、喫煙と受動喫煙が肺がんや心血管疾患(CVD)の原因になるという認識が、過去約20年間でどのように変化してきたかが解析された。

PCI後1年での高リスク例、クロピドグレル単剤vs.DAPT延長/NEJM

 欧米の現行ガイドラインは、薬剤溶出性ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行後は、6~12ヵ月間の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の後、アスピリンまたはクロピドグレルによる長期の抗血小板薬単剤療法を推奨しているが、冠動脈の複雑な解剖学的形態や併存疾患などの患者特性を考慮しつつ、虚血と出血リスクのバランスを取ることが可能な長期の維持療法の戦略は確立されていない。韓国・延世大学校医科大学のSeung-Jun Lee氏らA-CLOSE investigatorsは、PCI後12ヵ月の時点で虚血性イベントのリスクが高い患者では、その24ヵ月後の全臨床的有害事象の発生に関して、クロピドグレル単剤療法はDAPTの延長に対し非劣性であり、同単剤療法は虚血性イベントと死亡が多いものの出血イベントは少ないことを「A-CLOSE試験」の結果で示した。

電子シーシャ、ニコチンの有無で人体への影響に違いは?

 フレーバー付きリキッドを加熱・エアロゾル化して吸引する電子シーシャは、近年若年層を中心に普及が進んでいる。ニコチンを含有しない製品も販売されているが、心血管系を含め人体への影響については未解明の点が多い。  米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のMary Rezk-Hanna氏らの研究グループは、健康な若い習慣的シーシャ(水タバコ)喫煙者を対象に、ニコチン含有/非含有の電子シーシャの吸引前後での心血管疾患関連マーカーの変化を比較した。その結果、ニコチンの有無にかかわらず、電子シーシャ吸引後に炎症および凝固系マーカーである血漿フィブリノゲンレベルが有意に上昇したことが確認された。本研究結果は、Journal of the American Heart Association誌2026年8月4日号に掲載された。

高リスクASCVDのLDL-C低下、インクリシランvs.ベムペド酸/ESC2026

最大耐用量のスタチン治療を受けてもLDL-C目標値に到達しない高リスクのアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)患者を対象に、ドイツ・Deutsches Herzzentrum der ChariteのIngo Hilgendorf氏らは、インクリシランとベムペド酸を直接比較する第IV相無作為化比較試験「VICTORION-Challenge試験」を実施した。その結果、インクリシランはベムペド酸よりLDL-C低下率および目標値達成率が有意に高かった。本結果は、2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表され、European heart journal誌オンライン版2026年8月31日号に同時掲載された。

TAVI後のNOAC単剤はアスピリンを上回るか?/JAMA

 重症大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)後の非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)単剤療法は、アスピリン(ASA)単剤療法と比較し、低吸収性弁尖肥厚(HALT)の存在で定義した弁尖血栓症の発生率を有意に低下させるとともに、出血、血栓塞栓性イベントまたは死亡のリスクに関して非劣性であった。ノルウェー・オスロ大学のChristopher S. Dodgson氏らが、同国内でTAVIの大部分を担う3施設(3次病院2施設、地域病院1施設)において実施された無作為化非盲検評価者盲検試験「Anticoagulation vs Acetylsalicylic Acid After Transcatheter Aortic Valve Implantation:ACASA-TAVI試験」の結果を報告した。

症候性心房細動、カテーテルアブレーションはQOLを改善するか?/Lancet

 症候性心房細動患者に対するカテーテルアブレーションはシャム(偽手技)との比較において、心房細動関連QOLの改善に関して優越性は認められなかった。ドイツ・ライプチヒ大学病院のRolf Wachter氏らが、同国およびポーランドの9施設で実施した無作為化二重盲検シャム対照試験「PVI-SHAM-AF試験」の結果を報告した。ガイドラインでは、心房細動患者の症状緩和を目的としてカテーテルアブレーションが推奨されているが、これまで患者報告アウトカムを評価した先行研究は非盲検試験であり、カテーテルアブレーションに関する無作為化シャム対照試験はわずか2件にとどまっていた。Lancet誌オンライン版2026年8月30日号掲載の報告。なお、本研究は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表された。

(シタグリプチンと比べて)チルゼパチドでMACEリスク32%低減(解説:小川大輔氏)

GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬には、主要心血管イベント(MACE:心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中)のリスクを抑制する効果が認められている。ただ、実際にどの程度抑制する効果が認められるかは明らかではない。最近、GIP/GLP-1受容体作動薬のチルゼパチドの実臨床における心血管イベント抑制効果を検討した研究結果が報告された1)。この研究は米国の保険請求データベースを用いて、心筋梗塞や脳卒中などアテローム動脈硬化性心血管疾患の既往のある2型糖尿病のデータを解析したコホート研究である。標準治療にチルゼパチドの投与を開始した群と、その対照としてDPP-4阻害薬のシタグリプチンの投与を開始した群の合計5万2,971例の解析が行われ、チルゼパチド投与群はシタグリプチン投与群と比較してMACEの発生を32%抑制したという結果であった。

70歳以上の1次予防、スタチンは有益か?/NEJM

 地域で暮らす70歳以上の高齢者を対象としたプラセボ対照無作為化試験で、アトルバスタチンは主要心血管イベントリスクを抑制したが(追跡期間中央値5.9年時点)、障害のない生存期間の延長には寄与しなかったことが示された。オーストラリア・モナシュ大学のSophia Zoungas氏らSTAREE Investigatorsが、同国の一般診療所(general medical practice)で行った「STAREE試験」の結果を報告した。高リスク成人において、スタチンが心筋梗塞や虚血性脳卒中のリスクを低減させることは十分に確立されているが、臨床ガイドラインにおいて、70歳以上の高齢者へのスタチン処方を強く推奨する記述はなく、とくに75歳以上の高齢者への処方を推奨するエビデンスは乏しい。