コーヒーの1日摂取量と死亡率の関係、砂糖入りでは?

提供元:ケアネット

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公開日:2025/06/04

 

 コーヒー摂取がさまざまな健康上のベネフィットと関連することが示されているが、砂糖や飽和脂肪(saturated fat)の添加がどのような影響を及ぼすかは明確ではない。米国・タフツ大学のBingjie Zhou氏らによる大規模前向きコホート研究の結果、コーヒー摂取が全死亡リスクの低下と関連することが確認されたが、その関連はブラックコーヒーおよび添加された砂糖や飽和脂肪量が少ないコーヒーでのみ認められた。The Journal of Nutrition誌オンライン版2025年5月12日号掲載の報告。

 本研究では、1999~2018年までの米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータと、国民死亡記録(National Death Index)の死亡データをリンクさせて解析が行われた。24時間思い出し法による有効な食事調査結果を有する20歳以上の4万6,332人が対象となった。

 コーヒー摂取は、種類(カフェイン入りまたはデカフェ)、砂糖量(8オンス[約240mL=1杯と定義]当たり<2.5gまたは≧2.5g)および飽和脂肪量(1杯当たり<1gまたは≧1g)に基づいて分類。死亡アウトカムには、全死亡のほか、がんおよび心血管疾患(CVD)による死亡が含まれた。

 Cox比例ハザードモデルを用いて、コーヒーの種類、摂取量(非摂取者、<1杯/日、1〜<2杯/日、2〜<3杯/日、≧3杯/日)、および添加された砂糖および飽和脂肪の量(ブラック、LSLF[1杯当たり砂糖<2.5g/飽和脂肪<1g]、LSHF[同<2.5g/同≧1g]、HSLF[同≧2.5g/同<1g]、HSHF[同≧2.5g/同≧1g])に基づく死亡リスクについて、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中央値9.3〜11.3年を通じて7,074人の死亡が確認され、がんによる死亡は1,176人、CVDによる死亡は1,089人であった。
・非摂取者と比較して、コーヒー摂取量の多さは全死亡リスク低下と関連していた(<1杯/日でHR:0.89[95%CI:0.78~1.02]、1〜<2杯/日で0.84[0.77~0.92]、2〜<3杯/日で0.83[0.75~0.93]、≧3杯/日で0.85[0.77~0.95]、傾向のp=0.004)。
・コーヒー摂取量と全死亡リスク(非線形のp<0.001)およびCVD死亡リスク(非線形のp=0.02)との間には、非線形の逆相関が認められた。一方、がん死亡リスクとの間には有意な関連は認められなかった。また、カフェイン入りコーヒー摂取量との間には同様の関連が認められたが、デカフェコーヒー摂取量との間には認められなかった。
・コーヒーに添加された砂糖や飽和脂肪の量別にみると、全死因死亡に対するベネフィットは、ブラックコーヒー(HR:0.86[95%CI:0.77~0.97])およびLSLFコーヒー(HR:0.86[0.75~0.99])の摂取者に限定されていた。

(ケアネット 遊佐 なつみ)