循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

低用量リバーロキサバン、LAAO後の無症候性脳塞栓の減少や認知機能維持に効果/ESC2026

心房細動(AF)患者に対する左心耳閉鎖術(LAAO)後の抗血栓療法において、長期維持療法の最適なレジメンは確立されていない。今回、LAAO成功後のAF患者を対象に、低用量リバーロキサバン(10mg/日)が抗血小板療法と比較して無症候性脳塞栓(SCE)を減少させ、認知機能を維持しうるかを検討する「HALO-SCE試験」を実施。その結果、低用量リバーロキサバンは抗血小板療法と比較し、新規SCEの発生率を有意に低下させ、認知機能低下の抑制効果が認められることが明らかになった。本研究結果は、中国・南京医科大学第一附属病院のKexin Wang氏が8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表し、European Heart Journal誌オンライン版2026年8月31日号に同時掲載された。

降圧薬による認知症リスクの低下、ARB vs.Ca拮抗薬~日本人大規模データ

 降圧薬の「種類」の違いが、血圧低下とは独立して認知症リスクに影響するかについては、十分に明らかになっていなかった。今回、統計数理研究所/総合研究大学院大学の野間 久史氏らが実施した65歳以上を対象とした標的試験エミュレーションの結果、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の新規開始はカルシウム拮抗薬(CCB)の新規開始に比べて、認知症、とくに血管性認知症のリスクが低いことが示された。Alzheimer’s & Dementia誌2026年8月号に掲載。  本研究では、19自治体の医療・健診情報を統合した約505万人の大規模医療データベースであるLIFE Studyの2014年4月~2024年9月のデータから、新規にARBまたはCCBによる高血圧治療を開始した65歳以上の認知症ではない成人を対象に、標的試験エミュレーションによりARB開始群とCCB開始群の認知症リスクを比較した。

心臓手術前の貧血患者への鉄剤補充、術後在宅日数を延長/BMJ

 待機的心臓手術を受ける予定で貧血がみられる患者において、術前鉄剤投与はプラセボと比較して、術後90日間における自宅での生存日数のわずかな改善をもたらし、赤血球輸血の機会が減少することを、オーストラリア・アルフレッド病院のPaul S. Myles氏らAustralian and New Zealand College of Anaesthetists Clinical Trials Network and the ITACS investigatorsが「ITACS試験」において示した。貧血や輸血は、心臓手術後の合併症リスクの増加や入院期間の長期化と関連しており、術前の静脈内鉄剤補充投与はヘモグロビン濃度を上昇させ、赤血球輸血の必要性を減らす可能性が指摘されている。研究の成果は、BMJ誌2026年8月19日号で報告された。

マラソン中の心停止、スタート時の気温が低いほどリスク上昇か

 マラソン中の心停止はまれではあるものの、生命を脅かす重大なアクシデントだ。今回、日本全国のフルマラソン約453万人の参加データを解析した研究で、スタート時の気温が低いほど心停止リスクが高い可能性が示された。一方、大気汚染物質との有意な関連は認められなかった。研究は、霞ヶ浦医療センター循環器内科の加藤穣氏らによるもので、詳細は6月30日付の「JACC:Advances」に掲載された。  マラソン中の心停止は、冠動脈疾患などランナー側の心血管疾患が主な原因と考えられている。一方、これまでの研究はランナー個人の特徴や基礎疾患に焦点を当てたものが中心で、レース当日の気象条件や大気汚染などの環境要因が心停止リスクに与える影響については十分に明らかになっていなかった。

LDL-C<55mg/dLでもMACE再発、リスク因子は?/ESC2026

動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の2次予防では、超高リスク患者においてLDL-C<1.4mmol/L(55mg/dL)の達成が推奨されている。一方で、LDL-Cを良好に管理しても動脈硬化の進展や心血管イベントの再発は起こりうる。今回、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後にLDL-C<1.4mmol/Lを達成した冠動脈疾患(CAD)患者におけるASCVD再発の臨床的特徴を検討した結果、主要心血管イベント(MACE)は6.2%に発生し、動脈硬化性疾患(polyvascular disease:PVD)がMACEと強く関連する一方、PCI後2ヵ月時点の治療中LDL-C<1.0mmol/L(40mg/dL)の達成はMACEリスク低下と関連していたことが明らかになった。本研究結果は、国立循環器病研究センター 循環器内科の片岡 有氏が8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)の2次予防のセッションで発表、Journal of Clinical Lipidology誌2026年8月号にも掲載された。

心臓手術時の血小板輸血、長期冷蔵保存血液でも止血効果/JAMA

人工心肺装置(CPB)の使用を伴う心臓手術を受ける患者は、出血に対する血小板輸血を要することが多いという。血小板は通常、室温(20~24℃)で最長5~7日間保存されるが、冷蔵保存(1~6℃)により、止血機能を損なわずに保存期間を延長できる可能性が示唆されている。米国・ピッツバーグ大学のPhilip C. Spinella氏らCHIPS Investigator Groupは「CHIPS試験」において、心臓手術を受ける患者では、手術中の活動性出血の制御に関して、最長21日間保存された冷蔵保存血小板(CSP)は、室温保存血小板(RTP)と同程度の止血効果が期待できることを示した。研究の成果はJAMA誌オンライン版2026年8月17日号で報告された。

同種iPS細胞由来の心筋細胞と間質細胞から成るパッチ型心筋移植片BioVATは心不全治療に有望かも(解説:原田和昌氏)

BioVATは同種iPS細胞由来の心筋細胞と間質細胞から成るパッチ型心筋移植片で、LVEFが低下した心不全患者における心筋再筋肉化を目的とする。ドイツ・ゲッチンゲン大学のZimmermann氏らはBioVAT-HF研究において、ドイツの2施設で非盲検第I/II相研究を実施し、外科的なBioVAT移植が3ヵ月の時点で有意な標的壁厚の増加とLVEFの上昇、健康状態の改善をもたらしたと報告した。対象はLVEF 35%以下の症候性の重症心不全で、少なくとも1つの左室セグメントに壁運動の低下または異常を認め、ガイドラインに基づく薬物療法に抵抗性である年齢18~80歳の患者であった。

スタチンとARBの併用で認知症リスクは低下するのか

 高血圧と脂質異常症は、認知症の修正可能な危険因子であり、スタチンと降圧薬の併用は保護的な効果をもたらす可能性がある。しかし、特定の薬剤の組み合わせに関するエビデンスは依然として限られている。オーストラリア・タスマニア大学のEyayaw Ashete Belachew氏らは、アンジオテンシンII(Ang-II)産生を増加させる降圧薬(Ang-II産生促進薬)とスタチンの併用と、Ang-II産生を減少させる降圧薬(Ang-II産生抑制薬)とスタチンの併用を、認知症リスクとの関連について比較検討した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌2026年8月号の報告。

アルツハイマー病と強く関連したのは、高血圧より低血圧?

 アルツハイマー病(AD)と関連する心血管疾患(CVD)のサブタイプが特定され、最も強く一貫した関連が見られたのは低血圧であったという研究結果が、「Journal of the American Heart Association(JAHA)」6月16日号に掲載された。  米ミシガン工科大学のAili Toyli氏らは、UKバイオバンク(対象者50万2,133人)とAll of Us研究プログラム(対象者28万7,011人)という2つの大規模なバイオバンクにおいて、ADと11種類のCVDサブタイプとの関連を検討した。

ドンペリドン、葛根湯などに重大な副作用追加/厚労省

 2026年8月25日、厚生労働省は添付文書の改訂指示を発出し、ドンペリドンおよびメトクロプラミド、葛根湯、一部の免疫チェックポイント阻害薬などにおいて「重大な副作用」が追記された。  ドンペリドン(商品名:ナウゼリン錠ほか)、メトクロプラミド(同:プリンペラン錠ほか)および塩酸メトクロプラミド(同:プリンペラン注射液)に対し、国内外の疫学調査において致死性不整脈および心突然死のリスク増加が示唆されたことから、「重大な副作用」に「重篤な不整脈」が追加された。