循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

心血管疾患の再発予防には、LDLコレステロール値もthe lower, the better(解説:桑島巖氏)

LDLコレステロールが心筋梗塞や脳梗塞などの重大なリスク因子であることは議論の余地はないが、その治療目標値においては、各国のガイドラインに差異がみられる。1次予防に関しては、リスクの有無により<120~140mg/dLとされ、各国ガイドラインに差がみられるが、2次予防に関しては、より厳格な管理が有効であるとするエビデンスが相次いで発表されている。日本では標準的2次予防目標値として100mg/dL未満、急性冠症候群、糖尿病、非心原性脳梗塞合併例などの非常に高リスクな場合には、70mg/dL未満が目標値として掲げられている。

心血管リスクが高い女性は骨折リスクも高い

 女性では心臓の健康状態が骨折のリスクと関連していることを示すデータが報告された。米テュレーン大学のRafeka Hossain氏らの研究によるもので、詳細は「The Lancet Regional Health-Americas」に3月27日掲載された。心血管イベントリスクが高い女性は、大腿骨近位部骨折のリスクもほぼ2倍に上るという。  論文の筆頭著者であるHossain氏は、「これまでの研究でも心血管疾患と骨折リスクの関連性が示唆されていたが、大腿骨近位部骨折のリスクとの関連の強さに驚いた」と述べている。また、「心血管イベントと骨折はいずれも非常に発生頻度が高く、治療費も高額となる」とし、「両者のリスクを抑制することで高齢者の生活の質(QOL)を向上させられるのではないか」と語っている。

生活習慣病予防、朝と夕どちらに運動するのが効果的?

 運動を行う時間帯の違いが、健康状態に異なる影響を及ぼす可能性のあることを示唆するデータが報告された。朝に運動をしている人は、遅い時間帯に運動をしている人よりも、肥満や2型糖尿病などの有病率が低いという。米マサチューセッツ大学チャン医学部のPrem Patel氏らが3月29日、米国心臓病学会学術集会(ACC.26、3月28~30日、ニューオーリンズ)で発表した。  Patel氏はこの研究の目的を、「どんな運動でもしないよりはした方が良いことは既に分かっているが、われわれは運動を行う最適なタイミングがあると考え、その特定を試みた」と解説。

“IVUS-using PCI”?―違和感だらけのIVUS-CHIP試験(解説:中野明彦氏)

【背景】IVUS-guided PCI vs. angio-guided PCIについてはこれまで数多くの試験が行われ、メタ解析を含めIVUS-guided PCI 優位という結果が大勢だった。1,000例を超える大規模RCTには、IVUS-XPL(2015、韓国、long lesion)、ULTIMATE(2018、中国、all-comers)、IVUS-ACS(2024、中国主体、ACS)などがあり、いずれもMACEあるいはTLF/TVFがほぼダブルスコアの結果だった。さらに、IVUSにOCTを含めた血管内イメージングガイド戦略として複雑病変を対象に比較したRENOVATE-COMPLEX-PCI(2023、韓国)も同様の結果だった。こうした流れの中で、複雑・高リスクPCIを対象とした今回のIVUS-CHIP試験が、主要評価項目である標的血管不全においてハザード比1.25(95%CI:0.97~1.60)と、むしろIVUS-guide群が不利にも見える結果を示したことは驚きであった。

短時間でも高強度の運動で慢性疾患リスクは低下する

 健康のために、長時間の運動は必ずしも必要ないようだ。新たな大規模研究で、毎日、ほんの数分でも強めの運動を取り入れるだけで、主要心血管イベント(MACE)や心房細動、2型糖尿病などの慢性疾患リスクを下げるのに役立つ可能性が示された。中南大学(中国)湘雅公衆衛生学院のMinxue Shen氏らによるこの研究結果は、「European Heart Journal」に3月29日掲載された。  運動時間が同じである場合、高強度の運動は中強度の運動よりも健康効果が高いことが知られている。しかし、高強度の運動がさまざまな慢性疾患にどの程度の効果があるのか、また、運動の強度と量のどちらが重要なのかは明確になっていない。

中リスクの急性肺血栓塞栓症に対する超音波補助カテーテル血栓溶解療法が有効で重篤な出血合併症を増加させなかった(HI-PEITHO試験)(解説:佐田政隆氏)

急性肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism:PTE)の死亡率は、診断されず未治療の場合は約30%と高いが、適切な治療を実施すれば2~8%まで低下することが知られている。致死的PTE患者の75%は発症から1時間以内に、残りの25%は発症48時間以内に死亡するとされており、遅れることなくPTEを診断して適切な治療を施すことがきわめて重要である。心停止やショックといった高リスク例では、早急に機械的補助循環を導入し、抗凝固療法に加えて再灌流療法(血栓溶解療法、外科的血栓摘除術、カテーテル治療)の実施を検討することが国内外で推奨されている。

「遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン」8年ぶりの全面改訂、非専門医が押さえておきたいポイントは?/日本循環器学会

 日本循環器学会と日本不整脈心電学会の合同研究班による「2026年改訂版 遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン」1)が、2026年3月20日にオンライン上で公開された。2018年の前回改訂以来、8年ぶりの全面改訂となる。今回の改訂では、「遺伝学的知見と臨床エビデンスの統合」が基本コンセプトに掲げられ、新たに8つの章が追加されるなど、ページ数が前回の約1.6倍(127ページ)に拡充された。3月20~22日に開催された第90回日本循環器学会学術集会では、班長を務めた牧山 武氏(京都大学大学院医学研究科 循環器内科学)が本ガイドラインの要点を解説した。

脳内出血既往患者、低用量3剤配合降圧薬の追加で再発減少/NEJM

 脳内出血患者において、標準治療に加え3種類の低用量降圧薬の配合錠を1日1回投与することにより、プラセボと比較し脳卒中の再発および主要心血管イベントの発生が減少したことを、オーストラリア・George Institute for Global HealthのCraig S. Anderson氏らTrident Research Groupが「TRIDENT試験」の結果で報告した。降圧は脳卒中を予防する、唯一の立証済み治療法である。標準的な降圧治療への低用量3剤配合降圧薬の追加が、標準治療単独より血圧をさらに低下させ、脳卒中再発リスクを低減できるかどうかは明らかにされていなかった。NEJM誌2026年4月23日号掲載の報告。

超加工食品の摂取量が心臓発作や脳卒中、死亡リスクなどと関連

 工業的に多くの加工が加えられている「超加工食品」と呼ばれる食品の摂取量が、心筋梗塞や脳卒中、およびそれらによる死亡のリスクと関連していることが報告された。超加工食品を1日に平均9回分摂取する人は1回分摂取する人に比べて、7割近くハイリスクだという。米テキサス大学ヒューストン健康科学センターのAmier Haidar氏らの研究によるもので、詳細は「JACC Advances」に3月17日掲載された。  超加工食品は、未加工の食品から工業的に抽出された物質を用いて製造される。飽和脂肪酸やでんぷん、添加糖などを多用して味が整えられ、さらに見た目をよくするための加工が施され、保存性を高めるといった目的で多くの添加物も使用されている。

非保護左主幹部狭窄に対するPCI vs.CABG、長期死亡率に差なし/Lancet

 非保護左冠動脈主幹部病変を有し、これ以外の複雑病変のない慢性または急性冠症候群の患者の治療において、10年時点での全死因死亡の発生に関して、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と冠動脈バイパス術(CABG)には有意な差がなく、急性冠症候群のサブグループではPCIが10年全死因死亡率の低下と関連することが、デンマーク・オーフス大学病院のEmil Nielsen Holck氏らが実施した「NOBLE試験」の長期の追跡調査で示された。研究の成果は、Lancet誌2026年4月4日号に掲載された。