循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

糖尿病における血圧と転帰の関係はJカーブか?線形か?~587万例の用量反応メタ解析

 2型糖尿病における血圧とアウトカムとの関連は、とくに血圧が低い場合には十分に解明されておらず、低血圧域において死亡や心血管リスクが増加するJカーブ現象の有無が議論されてきた。今回、2型糖尿病患者を対象に、収縮期・拡張期血圧と全死亡や心血管イベント、腎アウトカムとの関連を検討した用量反応メタ解析により、血圧と多くのアウトカムとの関係は見かけ上のJ字型を示す場合があるものの、低血圧域でのリスク上昇は明確ではなく、全体としては線形または単調な関連を示すことを、中国・上海交通大学のSiyu Wang氏らが明らかにした。Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2026年1月14日号掲載の報告。

乳がん後の心筋梗塞と脳卒中リスク

 乳がんと診断された女性におけるその後の心筋梗塞と脳卒中のリスクを分析したところ、心筋梗塞は20%、脳卒中は58%のリスク増加が示唆された。イタリア・トリノ大学のFulvio Ricceri氏らが、イタリア北西部の130万人の女性を対象とした大規模集団研究で分析した結果を、Breast Cancer Research and Treatment誌2026年1月29日号で報告した。  乳がんの生存期間は検診の普及と治療法の進歩により延長したが、同時に他疾患のリスクも増加している。原因としては、遺伝的要因、共通のリスク因子、治療による副作用などが挙げられる。そこで本研究では、治療の潜在的な副作用を考慮しつつ、乳がん患者における心筋梗塞と脳卒中のリスクを分析した。

ラテンアメリカにおける最も一般的な非虚血性心筋症、シャーガス心筋症に対して、サクビトリル・バルサルタンはエナラプリルと比較して有効性は示されなかった(解説:原田和昌氏)

シャーガス病はトリパノソーマ・クルジという原虫によって引き起こされるラテンアメリカにおける非虚血性心筋症(慢性シャーガス心筋症:CCC)の最も一般的な原因である。CCCは急性心筋炎と慢性線維化性心筋炎を呈する。これまでエナラプリルがCCC患者の心機能に良い効果を有する、CCCの動物モデルでエナラプリルが心筋線維化と心機能を改善したという報告があるが、ガイドラインが推奨する心不全治療のCCC患者に対する有効性と安全性は明らかでない。

高血圧アプリの有効性決定因子が明らかに/Hypertension

 苅尾 七臣氏(自治医科大学内科学講座循環器内科学 教授/自治医科大学附属病院循環器センター センター長)らが高血圧治療補助アプリを用いた研究「B-INDEX研究」を実施し、ベースライン血圧値とは無関係に、高齢・減塩・初期の体重減少が治療アプリ(デジタルセラピューティクス:DTx)による効果的な血圧低下の予測因子であることを明らかにし、「DTxによる高血圧治療では、最初の4週間が重要」と示唆した。Hypertension誌2026年1月号掲載の報告。  本研究は、高血圧患者を対象とした12ヵ月間の多施設共同介入研究で、DTx介入による家庭血圧低下効果の決定要因を調査。

降圧薬なしで降圧目標を達成する患者、γ-GTPが関連

 高血圧患者で、降圧薬に頼らず生活習慣改善のみで降圧目標を達成できるのはどのような患者なのだろうか。今回、大阪大学の小原 僚一氏らが神奈川県平塚市の特定健診(SHC)データを用いて解析した結果、降圧薬非使用群における降圧目標達成の主要な因子として、前年度の特定健診における高血圧既往歴がないことや血圧グレードが低いことに加え、γ-GTPの減少が重要であることが明らかになった。本研究の結果は、生活習慣指導が有効なレスポンダーを特定する一助となる可能性がある。Journal of Cardiology誌オンライン版2026年1月16日号に掲載。  本研究は、2016年5月~2023年3月に平塚市の特定健診を受診した40~74歳の未治療高血圧患者(140/90mmHg以上)5,428例を対象とした解析である。

開胸手術は不要に? 世界初の低侵襲冠動脈バイパス術が登場

 動脈の詰まりによって起こる心疾患に苦しむ人に対する開胸手術は、近い将来、過去のものになるかもしれない。心疾患の長い既往歴を持つ67歳の男性に対して、胸壁を切開せずに行う世界初の低侵襲冠動脈バイパス術のVECTOR法(Ventriculo-coronary transcatheter outward navigation and reentry)が実施され、成功裡に終えたことが明らかにされた。手術から6カ月が経過しても、男性には動脈の詰まりに起因する心臓の問題は一切認められなかったという。米エモリー大学医学部のAdam Greenbaum氏らによるこの症例報告は、「Circulation: Cardiovascular Interventions」に1月6日掲載された。

睡眠データから130種類の疾患リスクを予測可能か

 眠っている間に体はさまざまな「メッセージ」を発しており、それを読み取ることで将来の重大な病気のリスクを予測できる可能性のあることが、新たな研究で示された。「SleepFM」と呼ばれる人工知能(AI)を用いた実験的な睡眠基盤モデルは、ポリソムノグラフィー(PSG)データを用いて、約130種類の疾患・健康状態の将来のリスクを予測できるという。米スタンフォード大学医学部生物医学データサイエンス分野のJames Zou氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に1月6日掲載された。研究グループは、「SleepFMは、がん、妊娠合併症、心疾患、精神疾患など、非常に幅広い疾患の予測において高い性能を示した。また、全死亡リスクの予測も可能だった」と述べている。

DM合併冠動脈疾患、Abluminus DES+シロリムスステントの有用性は?/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受ける糖尿病合併患者において、血管壁側(abluminal)およびバルーン表面をコーティングしたシロリムス溶出ステント(Abluminus DES+SES)は、XIENCE耐久性ポリマーエベロリムス溶出ステント(XIENCE EES)と比較し、12ヵ月時の虚血による再度の標的病変血行再建術および標的病変不全の発生率が高く、非劣性は認められなかった。ブラジル・Heart Institute of University of Sao PauloのAlexandre Abizaid氏らが、16ヵ国74施設で実施した無作為化非盲検比較試験「ABILITY Diabetes Global試験」の結果を報告した。著者は、「糖尿病合併患者における治療成績の最適化が依然として課題であることが浮き彫りとなり、この患者集団における虚血リスクを低減するためステント設計および補助的薬物療法のさらなる革新が必要である」とまとめている。Lancet誌2026年1月17日号掲載の報告。

LDHでHFrEFの予後予測?

 乳酸脱水素酵素(LDH)は、肝臓をはじめ、心臓、肺などほぼ全身の組織に細胞質酵素として存在する。これまで循環器領域では心筋梗塞の指標として用いられているが、このほど、LDHの上昇が心不全(HF)の予後予測に重要であることが明らかになった。英国・心臓財団グラスゴー心血管研究センターの小野 亮平氏らがGALACTIC-HF試験対象者を解析した結果、LDHの上昇が左室駆出率の低下した心不全 (HFrEF)の臨床アウトカムの上昇と独立して関連性を示したという。 JACC:Heart Failure誌オンライン版 2026年1月15 日号掲載の報告。  研究者らは、細胞障害の非特異的な指標であるLDH とHFrEFの臨床的特徴など評価するため、GALACTIC-HF試験*データを用い、LDHと臨床アウトカムの関係を解析した。

年齢調整Dダイマーカットオフ値、下肢DVTの除外診断に有効/JAMA

 年齢調整Dダイマーカットオフ値(50歳以上の患者では年齢×10μg/L)は、肺塞栓症(PE)が疑われる患者ではDダイマーの診断的有用性を安全性を損なわずに高めるが、下肢深部静脈血栓症(DVT)が疑われる患者に外挿可能かは確立されていない。カナダ・Ottawa Health Research InstituteのGregoire Le Gal氏らは「ADJUST-DVT試験」において、年齢調整Dダイマーカットオフ値は、安全性を低下することなくDVTを除外して診断効率を向上し、不必要な画像検査を低減する可能性があることを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年1月5日号に掲載された。