循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

AI搭載聴診器は英国プライマリケア医による心不全検出率を改善せず(解説:佐田政隆氏)

 高齢化社会を迎え心不全患者は激増すると予測され、心不全パンデミック時代に向けて早期診断、早期介入の必要性が各国で強調されている。  心疾患の検出においては聴診などのphysical examinationが重要であるが、すべての医師が日常診療で十分な理学的所見をとるスキルがあるとは必ずしも言えない。最近は、AIがX線や内視鏡、心電図、超音波診断などの大きな助けになりつつあるが、聴診においてもAI搭載聴診器が開発され、その有用性が報告されている。  本TRICORDER試験では、「AI搭載聴診器を使用することがプライマリケア医の実臨床における心不全検出率を向上するか」が、RCTで検討された。

PCI後早期のLDL-C値55mg/dL未満達成でMACEリスク激減/日本循環器学会

 欧州心臓病学会(ESC)および欧州動脈硬化学会(EAS)のガイドラインでは、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の二次予防において、非常に高リスクな患者にはLDLコレステロール(LDL-C)55mg/dL未満、きわめて高リスクな場合には40mg/dL未満という目標値を推奨している1)。しかし、日本人患者においてこれほど厳格な管理が実際に予後を改善するかは十分に検証されていなかった。現在、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、二次予防の目標値は、原則100mg/dL未満、ハイリスク者で70mg/dL未満と設定されている2)。

高血圧の修正可能なリスク因子、日本人で最も影響が大きいのは?

 高血圧の1次予防において、修正可能なリスク因子の特定と優先順位付けが重要であるが、日本人における高血圧症の発症に関する修正可能なリスク因子の人口寄与割合(PAF)に関するデータが不足している。そこで、大規模データベースを用いた検討が実施され、日本人集団における高血圧症の発症で、人口寄与が最も大きい修正可能なリスク因子は、肥満であることが示された。本研究結果は、Hypertension Research誌オンライン版2026年3月4日号で、責任著者の金子 英弘氏(東京大学循環器内科)らによって報告された。

がん関連VTE発症予測に包括的ゲノムプロファイリングは有用か/日本循環器学会

がん患者における重要な心血管合併症の1つに静脈血栓塞栓症(VTE)があり、2023年に公開されたASCO Guidelineにおいても、このようなVTEの高リスク患者への1次予防が推奨されている。しかし、がん関連VTEの発症を正確に予測できるモデルは現段階では確立されていない。そこで今回、中村 栞奈氏(京都大学医学部附属病院 循環器内科)がVTE発症の予測として包括的ゲノムプロファイリングを用いた最新知見について、3月20~22日に開催された第90回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Cohort Studies 1において報告した。なお、本結果はJournal of thrombosis and haemostasis誌オンライン版2026年3月20日号に同時掲載された。

夜食を控えると心臓にメリットがもたらされる

 1日の終わりの習慣を少し変えるだけで、心臓の健康上のメリットを得られることが、新たな研究で明らかになった。就寝前の数時間、食事を控えるだけでよく、摂取カロリーは減らさなくても良いという。  この研究は、米ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部睡眠医学科神経学研究室のDaniela Grimaldi氏らの研究によるもので、詳細は「Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology」に2月12日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「体の自然な覚醒・睡眠リズムに合わせて絶食時間を調整することで、心臓、代謝、睡眠の状態を改善できる。これらは全て、心血管の健康を守るために協調して働いている」と解説している。

急性静脈血栓塞栓症の出血リスク、アピキサバンvs.リバーロキサバン/NEJM

 急性静脈血栓塞栓症の患者において、3ヵ月の治療期間における臨床的に重要な出血リスクは、アピキサバン投与群がリバーロキサバン投与群よりも有意に低下したことが、カナダ・オタワ大学のLana A. Castellucci氏らCOBRRA Trial Investigatorsによる検討で示された。アピキサバンおよびリバーロキサバンは、急性静脈血栓塞栓症の治療でよく用いられる経口抗凝固薬であるが、両薬の出血リスクの差については不明なままであった。NEJM誌2026年3月12日号掲載の報告。  研究グループは、急性静脈血栓塞栓症の患者におけるアピキサバンとリバーロキサバンを比較するプラグマティックな多国間共同(カナダ、オーストラリア、アイルランドが参加)前向き無作為化非盲検エンドポイント盲検化試験を行った。

古代中国発祥の八段錦、速歩プログラムと同程度の降圧効果

 古代中国発祥の心身の健康法である八段錦に、薬物療法や速歩プログラムに匹敵する降圧効果があることを示唆する臨床試験の結果が報告された。八段錦は構造化されたゆっくりとした動きと深い呼吸、瞑想を組み合わせた8つの動作で構成された健康法で、多くの人々に親しまれている。この結果を報告した心血管疾病国家重点実験室(中国)予防医学部門長のJing Li氏らによると、八段錦を続けた人では、収縮期血圧(SBP)が平均約3〜5mmHg低下し、その効果は速歩プログラムの実施と同程度であったという。この研究の詳細は、「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に2月18日掲載された。

日本の健康アウトカムに地域差、「へき地度」で示された疾患別死亡率との関連

 日本では地域によって医療資源や人口構成が異なり、健康アウトカムの差が指摘されている。今回、こうした地域特性を定量的に評価する指標「へき地度(Rurality Index for Japan:RIJ)」を用いた全国規模の研究で、RIJが高い地域ほど脳血管疾患の死亡率や男性の自死率が高い傾向が示された。研究は、横浜市立大学大学院データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻の金子惇氏、山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座の池田登顕氏によるもので、詳細は1月26日付で「BMJ Open」に掲載された。

日本の心房細動患者、1年後の死亡・脳卒中・血栓塞栓症の発生率は?

 日本の心房細動患者は、経口抗凝固薬の使用率が81%と高く、1年後の全死亡率は0.1%と低く、脳卒中/血栓塞栓症の発生率も0.1%と低いことが、APHRS-AFレジストリ(Asia-Pacific Heart Rhythm Society Atrial Fibrillation Registry)の日本人における1年時の解析で示された。日本医科大学の淀川 顕司氏らがJournal of Arrhythmia誌2026年2月8日号で発表した。  APHRS-AFレジストリはアジアの大都市圏における前向き研究で、心房細動患者のベースライン特性、治療、臨床アウトカムについて重要な情報を提供する。今回、本レジストリに登録された日本人患者の1年間の追跡調査データを解析した。

治療抵抗性高血圧、baxdrostat上乗せで24時間SBP改善/Lancet

 治療抵抗性高血圧症の患者において、選択的アルドステロン合成酵素阻害薬baxdrostatはプラセボと比較して、24時間自由行動下収縮期血圧(SBP)を有意に低下させたことが、フランス・パリ・シテ大学のMichel Azizi氏らBax24 investigatorsによる海外第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Bax24試験」の結果で示された。著者は、「コントロールが困難な高血圧症の治療に、選択的アルドステロン合成酵素阻害薬が有望であるエビデンスが上積みされた」とまとめている。Lancet誌2026年3月7日号掲載の報告。  Bax24試験は22ヵ国79臨床施設(プライマリ、2次、3次医療施設および研究施設)で行われ、利尿薬を含む降圧薬3剤以上を服用しているにもかかわらず、座位SBPが140mmHg以上170mmHg未満の成人(18歳以上)を対象とした。