循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

喫煙者の多くはタバコが心臓や脳に及ぼすリスクを認識していない

 タバコのリスクに関する過去数十年にわたる啓発活動にもかかわらず、多くの喫煙者が喫煙や受動喫煙が心臓発作や脳卒中を引き起こすという事実をまだ十分認識していないことが、46カ国で行われた調査から明らかになった。ウォータールー大学(カナダ)と米疾病対策センター(CDC)タバコ規制プログラムの研究者による研究の結果であり、同大学のJanet Chung-Hall氏らによる論文が、「BMJ Open」に8月4日付で掲載された。  この研究では、2002~2022年の国際タバコ規制プロジェクト(ITC)と、2008~2020年の世界成人タバコ調査(GATS)のデータを用い、46カ国の18歳以上の喫煙者において、喫煙と受動喫煙が肺がんや心血管疾患(CVD)の原因になるという認識が、過去約20年間でどのように変化してきたかが解析された。

PCI後1年での高リスク例、クロピドグレル単剤vs.DAPT延長/NEJM

 欧米の現行ガイドラインは、薬剤溶出性ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行後は、6~12ヵ月間の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の後、アスピリンまたはクロピドグレルによる長期の抗血小板薬単剤療法を推奨しているが、冠動脈の複雑な解剖学的形態や併存疾患などの患者特性を考慮しつつ、虚血と出血リスクのバランスを取ることが可能な長期の維持療法の戦略は確立されていない。韓国・延世大学校医科大学のSeung-Jun Lee氏らA-CLOSE investigatorsは、PCI後12ヵ月の時点で虚血性イベントのリスクが高い患者では、その24ヵ月後の全臨床的有害事象の発生に関して、クロピドグレル単剤療法はDAPTの延長に対し非劣性であり、同単剤療法は虚血性イベントと死亡が多いものの出血イベントは少ないことを「A-CLOSE試験」の結果で示した。

電子シーシャ、ニコチンの有無で人体への影響に違いは?

 フレーバー付きリキッドを加熱・エアロゾル化して吸引する電子シーシャは、近年若年層を中心に普及が進んでいる。ニコチンを含有しない製品も販売されているが、心血管系を含め人体への影響については未解明の点が多い。  米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のMary Rezk-Hanna氏らの研究グループは、健康な若い習慣的シーシャ(水タバコ)喫煙者を対象に、ニコチン含有/非含有の電子シーシャの吸引前後での心血管疾患関連マーカーの変化を比較した。その結果、ニコチンの有無にかかわらず、電子シーシャ吸引後に炎症および凝固系マーカーである血漿フィブリノゲンレベルが有意に上昇したことが確認された。本研究結果は、Journal of the American Heart Association誌2026年8月4日号に掲載された。

高リスクASCVDのLDL-C低下、インクリシランvs.ベムペド酸/ESC2026

最大耐用量のスタチン治療を受けてもLDL-C目標値に到達しない高リスクのアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)患者を対象に、ドイツ・Deutsches Herzzentrum der ChariteのIngo Hilgendorf氏らは、インクリシランとベムペド酸を直接比較する第IV相無作為化比較試験「VICTORION-Challenge試験」を実施した。その結果、インクリシランはベムペド酸よりLDL-C低下率および目標値達成率が有意に高かった。本結果は、2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表され、European heart journal誌オンライン版2026年8月31日号に同時掲載された。

TAVI後のNOAC単剤はアスピリンを上回るか?/JAMA

 重症大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)後の非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)単剤療法は、アスピリン(ASA)単剤療法と比較し、低吸収性弁尖肥厚(HALT)の存在で定義した弁尖血栓症の発生率を有意に低下させるとともに、出血、血栓塞栓性イベントまたは死亡のリスクに関して非劣性であった。ノルウェー・オスロ大学のChristopher S. Dodgson氏らが、同国内でTAVIの大部分を担う3施設(3次病院2施設、地域病院1施設)において実施された無作為化非盲検評価者盲検試験「Anticoagulation vs Acetylsalicylic Acid After Transcatheter Aortic Valve Implantation:ACASA-TAVI試験」の結果を報告した。

症候性心房細動、カテーテルアブレーションはQOLを改善するか?/Lancet

 症候性心房細動患者に対するカテーテルアブレーションはシャム(偽手技)との比較において、心房細動関連QOLの改善に関して優越性は認められなかった。ドイツ・ライプチヒ大学病院のRolf Wachter氏らが、同国およびポーランドの9施設で実施した無作為化二重盲検シャム対照試験「PVI-SHAM-AF試験」の結果を報告した。ガイドラインでは、心房細動患者の症状緩和を目的としてカテーテルアブレーションが推奨されているが、これまで患者報告アウトカムを評価した先行研究は非盲検試験であり、カテーテルアブレーションに関する無作為化シャム対照試験はわずか2件にとどまっていた。Lancet誌オンライン版2026年8月30日号掲載の報告。なお、本研究は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表された。

(シタグリプチンと比べて)チルゼパチドでMACEリスク32%低減(解説:小川大輔氏)

GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬には、主要心血管イベント(MACE:心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中)のリスクを抑制する効果が認められている。ただ、実際にどの程度抑制する効果が認められるかは明らかではない。最近、GIP/GLP-1受容体作動薬のチルゼパチドの実臨床における心血管イベント抑制効果を検討した研究結果が報告された1)。この研究は米国の保険請求データベースを用いて、心筋梗塞や脳卒中などアテローム動脈硬化性心血管疾患の既往のある2型糖尿病のデータを解析したコホート研究である。標準治療にチルゼパチドの投与を開始した群と、その対照としてDPP-4阻害薬のシタグリプチンの投与を開始した群の合計5万2,971例の解析が行われ、チルゼパチド投与群はシタグリプチン投与群と比較してMACEの発生を32%抑制したという結果であった。

70歳以上の1次予防、スタチンは有益か?/NEJM

 地域で暮らす70歳以上の高齢者を対象としたプラセボ対照無作為化試験で、アトルバスタチンは主要心血管イベントリスクを抑制したが(追跡期間中央値5.9年時点)、障害のない生存期間の延長には寄与しなかったことが示された。オーストラリア・モナシュ大学のSophia Zoungas氏らSTAREE Investigatorsが、同国の一般診療所(general medical practice)で行った「STAREE試験」の結果を報告した。高リスク成人において、スタチンが心筋梗塞や虚血性脳卒中のリスクを低減させることは十分に確立されているが、臨床ガイドラインにおいて、70歳以上の高齢者へのスタチン処方を強く推奨する記述はなく、とくに75歳以上の高齢者への処方を推奨するエビデンスは乏しい。

心不全への経カテーテル三尖弁修復術は有用か/NEJM

 重症三尖弁閉鎖不全症の患者に対する経カテーテル三尖弁修復術+薬物療法は薬物療法単独よりも、1年時点の全死因死亡、心不全入院、QOLの階層的複合評価項目に関して優れることが示され、また、3年時点の全死因死亡または心不全入院の複合リスクも低下させたことが示された。ドイツ・Ludwig-Maximilians-Universitat MunchenのJorg Hausleiter氏らTRIC-I-HF-DZHK24 Investigatorsが、同国29施設で行った非盲検無作為化試験の結果を報告した。重症三尖弁閉鎖不全症患者に対する経カテーテル三尖弁修復術の、臨床アウトカム(死亡および心不全入院など)への影響は依然として明らかになっていない。

AF治療中に脳梗塞を招く潜在的要因とは

心房細動(AF)患者における経口抗凝固薬(OAC)投与は、脳梗塞予防の中心であるが、適切に治療されていても脳梗塞を発症する事例が存在する。こうしたブレークスルー脳梗塞(breakthrough ischemic stroke)の潜在的原因や、その後の予後への影響は十分に明らかになっていない。そこで、イタリア・University of L'AquilaのFederico De Santis氏らは、AFに対するOAC継続中に発症した脳梗塞患者を対象に、潜在的な原因と90日転帰との関連を検討した。その結果、潜在的な原因は約半数で認められ、90日以内の脳梗塞再発リスク上昇と関連していた。本研究結果は、Journal of Neurology誌オンライン版2026年8月17日号に掲載された。