循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

Country Specific and Practical Clinical TrialsがNEJMに掲載される時代(解説:後藤信哉氏)

臨床研究者はNEJMに論文を掲載されるのが夢である。NEJM掲載の審査は、きわめて慎重に行われており、世界の医学にインパクトを与える論文が発表されてきた。歴史的に循環器内科領域では、米国、欧州の研究代表者による論文が多かったが、日本などで施行された研究も、臨床へのインパクトが大きい場合には採択される場合があった。本研究では、冠動脈にDES留置後12ヵ月のDAPTとクロピドグレル単独療法が、臨床的、病変的にhigh riskとされた症例において比較された。症例数は3,203例と、著しく多いわけではないが仮説検証には十分な症例数であった。

残余リスク可視化へ、Lp(a)コンセンサス・ステートメント公表/日本動脈硬化学会

 日本動脈硬化学会は2026年9月14日、Lp(a)に関する日本版『コンセンサス・ステートメント』を公表した。本ステートメントは、「世界的なエビデンスと日本の疫学的および臨床的現実を統合し、将来の治療および医療システムの発展を支援しつつ、日本に合わせたLp(a)の測定、解釈、リスク層別化、および管理に関する明確な推奨事項を提供することを目標」として作成された。今回、日常診療においてLp(a)測定の普及促進を訴える、日本動脈硬化学会Lp(a)タスクフォースの吉田 雅幸氏(日本動脈硬化学会理事長/東京科学大学 生命倫理センター長・大学院先端倫理医科学分野 教授)が測定法や心血管リスク評価への具体的な活用法など、診療で実践すべき臨床的Key takeawayについて解説した。

非閉塞性肥大型心筋症にもaficamtenが有効/NEJM

 症候性の非閉塞性肥大型心筋症(HCM)患者において、aficamtenはプラセボと比較して36週時の運動耐容能および患者報告の健康状態を有意に改善することが示された。米国・オレゴン健康科学大学のAhmad Masri氏らACACIA-HCM Investigatorsが、19ヵ国160施設で実施した第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「ACACIA-HCM試験」の結果を報告した。HCMは最も多くみられる遺伝性心筋症であり、非閉塞性HCMは重要なサブタイプであるが確立された薬物治療はない。心筋ミオシン阻害薬aficamtenによる治療が有用であることが第II相試験で示され、ACACIA-HCM試験では症候性の非閉塞性HCM成人患者を対象としたaficamtenによる治療の評価が行われた。NEJM誌オンライン版2026年8月28日号掲載の報告。なお、本研究は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表された。

医師はネコ派とイヌ派ではどちらが多い?/医師1,000人アンケート

 全国犬猫飼育実態調査2025(日本ペットフード協会調べ)によれば、ネコの飼育数は約884万頭、イヌの飼育数は約682万頭と報告されている。近年は室内飼いの手軽さやSNS映えからネコの人気が高い。では、医師はネコ派とイヌ派のどちらが多いのだろう。CareNet.comでは、2026年8月12~18日にかけて「ネコ派かイヌ派か」について医師会員のアンケートを行い、医師会員1,025人より回答を得た。  質問1で「ネコ派かイヌ派」を尋ねたところ、「ネコ派」と回答した医師会員は20%、「イヌ派」と回答した医師会員は56%、「どちらでもない/決めることはできない」と回答した医師会員は24%であり、医師会員の間では「イヌ派」が圧倒的に多かった。

高過ぎるテストステロン値は心房細動リスクを高める?

 「低テストステロン」は注目を集めている健康トピックであり、年齢を重ねた男性に対し、テストステロン(T)がまさに「若返りの泉」であるかのように宣伝されている。しかし、T値が高過ぎるのも、心臓の健康には良くないようだ。新たなレビューで、T値が低い男性と高い男性はいずれも、不整脈の一種である心房細動(AF)のリスクが高まる可能性が示唆された。米カンザスシティ退役軍人医療センターのRajat Barua氏らによるこのレビューは、9月1日付で「Journal of the Endocrine Society」に掲載された。

降圧薬、処方通りの服用で心血管リスクが低下

 高血圧の薬を処方通りに飲まなくても健康への影響はそれほどないと思っている人は、その考えを改めた方がよさそうだ。新たな研究で、降圧薬の服薬アドヒアランスが低いと、降圧効果が小さくなり、脳卒中や心筋梗塞などに対する予防効果も得られにくくなることが示された。英オックスフォード大学のQianqian Yang氏らによるこの研究結果は、欧州心臓病学会学術集会(ESC Congress 2026、8月28~31日、ドイツ・ミュンヘン)で発表された。  Yang氏はニュースリリースの中で、「今回の結果は、『薬は飲まなければ効かない』という言葉を裏付けるものだ。服薬アドヒアランスが低い患者では心血管系への恩恵がほとんど、あるいは全く得られなかったのに対し、服薬アドヒアランスが高い患者では血圧がより大きく低下し、心血管イベントも予防された」と述べている。

医療者で多い心血管リスク因子と管理状況は?/ESC2026

医療者は心血管予防の担い手である一方、自身の心血管リスク管理の実態は十分に明らかではない。そこでスイス・チューリッヒ大学のFlorian A. Wenzl氏らは、2025年8月29日~9月1日にスペイン・マドリードで開催されたEuropean Society of Cardiology ESC 2025(ESC2025、欧州心臓病学会)に参加した医療者の心血管リスク、治療状況、目標達成率などを評価した。その結果、医療者は一般集団より良好な心血管リスクプロファイルを示すものの、心血管疾患予防やガイドライン推奨薬物の使用に関しては大きなギャップがみられたことが明らかになった。本研究結果は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたESC2026で発表され、European Heart Journal誌オンライン版2026年8月30日号に同時掲載された。

ACSへの抗血小板療法、milvexian上乗せは無効/NEJM

 急性冠症候群(ACS)発症後7日以内の患者において、標準的な抗血小板療法にmilvexianを上乗せしても、プラセボと比較して心血管死、心筋梗塞または虚血性脳卒中のリスクは低下しなかった。一方で、頭蓋内出血や致死的出血のリスクが増加することはなかった。米国・ハーバード大学のC. Michael Gibson氏らが、日本を含む44ヵ国893施設で実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「LIBREXIA ACS試験」の結果を報告した。ACS発症後は虚血性イベントの再発リスクが高まるが、経口第XIa因子阻害薬であるmilvexianは、出血リスクを最小限に抑えつつ主要有害臨床イベントのリスクを低減させる可能性が示唆されていた。

米国の20代の8割に心腎代謝症候群の兆候

 米国では多くの若年成人が、将来の心血管・腎・代謝に関する健康リスクを高める状態にあることが明らかになった。米ボストン大学のDonald Lloyd-Jones氏らの研究の結果であり、詳細は「Circulation:Population Health and Outcomes」に8月20日付で掲載された。平均年齢23歳という若年集団を対象とした調査で、参加者の約8割に心腎代謝(CKM)症候群の兆候が認められたという。  CKM症候群とは、代謝性リスク因子、腎疾患、心血管疾患が相互に関連し、心血管疾患の発症・進行リスクを高める状態を指し、米国心臓協会(AHA)によると、その初期兆候として、高血圧、脂質異常、インスリン抵抗性、糖尿病前症などが現れてくるという。

多枝病変STEMIの完全血行再建、機能的ガイドvs.従来ガイド/NEJM

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)かつ多枝冠動脈疾患を有する患者における、完全血行再建術の非責任病変に対する施行戦略に関して、機能的冠動脈造影ガイド下のほうが従来冠動脈造影ガイド下よりも、主要評価項目のイベント(全死因死亡、心筋梗塞、脳血管障害、または虚血による再血行再建)リスクが低いことが、イタリア・フェラーラ大学病院のSimone Biscaglia氏らAIR-STEMI Trial Investigatorsが行った無作為化試験の結果で示された。STEMIかつ多枝冠動脈疾患を有する患者には完全血行再建が推奨されるが、非責任病変に対する適切な戦略は明らかになっていない。NEJM誌2026年9月10日号掲載の報告。なお、本研究は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表された。