循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

糖尿病患者の心血管リスク軽減のための先手必勝手段:PCSK9阻害薬による早期介入?(解説:島田俊夫氏)

本研究の最大のセールスポイントは、これまで主に「心筋梗塞や脳卒中の既往がある患者(2次予防)」に限定されていたPCSK9阻害薬の有効性を、「イベント未発症でリスクが高い糖尿病患者(1次予防)」において初めて証明した点にある。劇的な脂質改善:エボロクマブ投与により、LDLコレステロール(LDL-C)値をプラセボ群の111mg/dLに対し、エボロクマブ投与群では52mg/dLまで大幅に低下させた。確かなイベント抑制効果:主要心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中)のリスクを31%減少(ハザード比:0.69)させた。

医療者向けChatGPT登場!米国在住の医師が特別レポート

多くのAIツールを医療者が使うようになり、医療者の情報検索に特化したOpenEvidenceなどの専門AIツールも急速に普及するなか、4月末に汎用型AIツール・ChatGPTが医療者向けのChatGPT for Cliniciansをリリース。現時点では使用は米国在住の医師に限られるものの、医療AIの「本命」となるのかが注目される。CareNet.comで「タイパ時代のAI英語革命」「医療者のためのAI活用術」などを連載する原田 洸氏(米国・マウントサイナイ医科大学病院)が使用感を特別レポート。

塩分の多い食事で心不全リスクが上昇

 塩分の過剰摂取が高血圧につながり得ることは周知の事実だが、実はそれ以上に危険かもしれない。新たな研究で、心不全(HF)高リスク群におけるナトリウムの過剰摂取は、HFの新規発症と関連することが示された。米ヴァンダービルト大学トランスレーショナル・臨床心血管研究センター(VTRACC)のDeepak Gupta氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Cardiology: Advances(JACC:Advances)」に3月18日掲載された。

1次予防の脂質低下療法強化の指標、apoBが費用対効果優れる/JAMA

 スタチンの適応があり、かつアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のない成人の1次予防において、脂質低下療法の強化のマーカーとして、アポリポ蛋白B(apoB)値はLDLコレステロール(LDL-C)値や非HDLコレステロール(non-HDL-C)値と比較して、質調整生存年(QALY)が増加し、増分費用効果比(ICER)が基準値を満たし、費用効果に優れることが、米国・ Northwestern University Feinberg School of MedicineのSamuel Luebbe氏らによる検討で示された。リスクの予測や脂質低下療法の強度決定の指針として、apoB値の優位性は十分に確立されているが、検査費用などの問題のため、主要な脂質マーカーとして採用することには懸念もあるという。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年4月8日号に掲載された。

心血管疾患の再発予防には、LDLコレステロール値もthe lower, the better(解説:桑島巖氏)

LDLコレステロールが心筋梗塞や脳梗塞などの重大なリスク因子であることは議論の余地はないが、その治療目標値においては、各国のガイドラインに差異がみられる。1次予防に関しては、リスクの有無により<120~140mg/dLとされ、各国ガイドラインに差がみられるが、2次予防に関しては、より厳格な管理が有効であるとするエビデンスが相次いで発表されている。日本では標準的2次予防目標値として100mg/dL未満、急性冠症候群、糖尿病、非心原性脳梗塞合併例などの非常に高リスクな場合には、70mg/dL未満が目標値として掲げられている。

心血管リスクが高い女性は骨折リスクも高い

 女性では心臓の健康状態が骨折のリスクと関連していることを示すデータが報告された。米テュレーン大学のRafeka Hossain氏らの研究によるもので、詳細は「The Lancet Regional Health-Americas」に3月27日掲載された。心血管イベントリスクが高い女性は、大腿骨近位部骨折のリスクもほぼ2倍に上るという。  論文の筆頭著者であるHossain氏は、「これまでの研究でも心血管疾患と骨折リスクの関連性が示唆されていたが、大腿骨近位部骨折のリスクとの関連の強さに驚いた」と述べている。また、「心血管イベントと骨折はいずれも非常に発生頻度が高く、治療費も高額となる」とし、「両者のリスクを抑制することで高齢者の生活の質(QOL)を向上させられるのではないか」と語っている。

生活習慣病予防、朝と夕どちらに運動するのが効果的?

 運動を行う時間帯の違いが、健康状態に異なる影響を及ぼす可能性のあることを示唆するデータが報告された。朝に運動をしている人は、遅い時間帯に運動をしている人よりも、肥満や2型糖尿病などの有病率が低いという。米マサチューセッツ大学チャン医学部のPrem Patel氏らが3月29日、米国心臓病学会学術集会(ACC.26、3月28~30日、ニューオーリンズ)で発表した。  Patel氏はこの研究の目的を、「どんな運動でもしないよりはした方が良いことは既に分かっているが、われわれは運動を行う最適なタイミングがあると考え、その特定を試みた」と解説。

“IVUS-using PCI”?―違和感だらけのIVUS-CHIP試験(解説:中野明彦氏)

【背景】IVUS-guided PCI vs. angio-guided PCIについてはこれまで数多くの試験が行われ、メタ解析を含めIVUS-guided PCI 優位という結果が大勢だった。1,000例を超える大規模RCTには、IVUS-XPL(2015、韓国、long lesion)、ULTIMATE(2018、中国、all-comers)、IVUS-ACS(2024、中国主体、ACS)などがあり、いずれもMACEあるいはTLF/TVFがほぼダブルスコアの結果だった。さらに、IVUSにOCTを含めた血管内イメージングガイド戦略として複雑病変を対象に比較したRENOVATE-COMPLEX-PCI(2023、韓国)も同様の結果だった。こうした流れの中で、複雑・高リスクPCIを対象とした今回のIVUS-CHIP試験が、主要評価項目である標的血管不全においてハザード比1.25(95%CI:0.97~1.60)と、むしろIVUS-guide群が不利にも見える結果を示したことは驚きであった。

短時間でも高強度の運動で慢性疾患リスクは低下する

 健康のために、長時間の運動は必ずしも必要ないようだ。新たな大規模研究で、毎日、ほんの数分でも強めの運動を取り入れるだけで、主要心血管イベント(MACE)や心房細動、2型糖尿病などの慢性疾患リスクを下げるのに役立つ可能性が示された。中南大学(中国)湘雅公衆衛生学院のMinxue Shen氏らによるこの研究結果は、「European Heart Journal」に3月29日掲載された。  運動時間が同じである場合、高強度の運動は中強度の運動よりも健康効果が高いことが知られている。しかし、高強度の運動がさまざまな慢性疾患にどの程度の効果があるのか、また、運動の強度と量のどちらが重要なのかは明確になっていない。

中リスクの急性肺血栓塞栓症に対する超音波補助カテーテル血栓溶解療法が有効で重篤な出血合併症を増加させなかった(HI-PEITHO試験)(解説:佐田政隆氏)

急性肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism:PTE)の死亡率は、診断されず未治療の場合は約30%と高いが、適切な治療を実施すれば2~8%まで低下することが知られている。致死的PTE患者の75%は発症から1時間以内に、残りの25%は発症48時間以内に死亡するとされており、遅れることなくPTEを診断して適切な治療を施すことがきわめて重要である。心停止やショックといった高リスク例では、早急に機械的補助循環を導入し、抗凝固療法に加えて再灌流療法(血栓溶解療法、外科的血栓摘除術、カテーテル治療)の実施を検討することが国内外で推奨されている。