循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:385

プロゲスチン単独避妊薬は静脈血栓塞栓症リスクを増大させない

 プロゲスチンのみを含有する経口避妊薬は、女性の静脈血栓塞栓症のリスクを増大させないことが、米国・Lahey Clinic(マサチューセッツ州、バーリントン)のSimon Mantha氏らの検討で示された。ホルモン系避妊薬による静脈血栓塞栓イベントのリスクは、エストロゲンの量およびプロゲスチンの剤型の影響を受ける。静脈血栓塞栓症の発症リスクが高い女性(産後、遺伝性血栓性素因、静脈血栓塞栓症の既往など)は、プロゲスチン単独による避妊が好ましいとされるが、プロゲスチン単独避妊薬と血栓の関連を評価したデータはわずかだという。BMJ誌2012年9月1日号(オンライン版2012年8月7日号)掲載の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(19)〕 CKDは糖尿病に匹敵する心筋梗塞のリスク

 糖尿病が心筋梗塞発症の重大なリスクであるとの報告は枚挙にいとまがないが、なかでも有名なものは1998年にN Engl J Medに発表されたFinnish研究である(Haffner SM et al. N Engl J Med. 1998 ; 339: 229-234.)。7年間の心筋梗塞の発症頻度が、非糖尿病の3.5%に対して、糖尿病患者では20.2%と心筋梗塞既往例の再発率の18.8%に匹敵するリスクと報告された。

心筋梗塞のリスクはCKDが糖尿病よりも高い、約127万人のコホート試験

 心筋梗塞による入院のリスクは、心筋梗塞の既往歴がある場合に最も高いが、既往歴がない場合はCKDが糖尿病よりも高リスクであることが、カナダ・Alberta大学のMarcello Tonelli氏らAlberta Kidney Disease Network(AKDN)の検討で示された。糖尿病の冠動脈イベントのリスクは心筋梗塞の既往歴に匹敵すると考えられている。慢性腎臓病(CKD)も冠動脈イベントのリスクが高い(とくに蛋白尿がみられる場合)とされるが、CKDによる冠動脈イベントのリスク等価性を糖尿病と比較した試験はなかったという。Lancet誌2012年9月1日号(オンライン版2012年6月19日号)掲載の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(18)〕 安全な内視鏡的大伏在静脈グラフト(SVG)採取には熟練した内視鏡術者が不可欠である

 冠動脈バイパス手術(CABG)で内視鏡を用いた大伏在静脈グラフト(SVG)採取は、米国では一般的な術式である。2009年に報告されたPREVENT IV Trialでは、グラフト1年開存率で内視鏡的SVG採取は外科的採取よりも劣り、3年生存率でより高い死亡率を示した。内視鏡的採取は技術依存性が高く、非熟練者による採取ではグラフト内膜損傷などグラフトの質が落ちるのは明らかである。

中程度リスクの冠動脈性心疾患リスク予測、冠動脈カルシウムの追加で予測能改善

 中程度リスクの人に対する冠動脈性心疾患などの予測モデルについて、フラミンガム・リスクスコアに冠動脈カルシウム値などを加えることで予測能が改善することが示された。米国・Wake Forest University School of MedicineのJoseph Yeboah氏らが、1,300人超を約8年追跡して明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月22・29日号で発表した。これまで、フラミンガム・リスクスコアに冠動脈カルシウムや冠動脈性心疾患の家族歴などを追加した場合の冠動脈性心疾患の予測能改善については、単一コホートで直接比較した研究はなかったという。

CABGの静脈グラフトにおける内視鏡的採取、切開採取と長期アウトカムは同等

 冠動脈バイパス術(CABG)の静脈グラフトについて、内視鏡的採取と切開採取では、長期死亡率は同等であることが示された。米国・デューク大学メディカルセンターのJudson B. Williams氏らが、CABGを受けた23万人超を対象とした観察研究で明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月1日号で発表した。静脈グラフトの内視鏡的採取は1990年代半ばから使われているが、その安全性については、近年、疑問が持ち上がっていたという。

交代勤務で血管イベントが増加、200万人以上の国際的メタ解析

 交代勤務制の労働形態により、血管イベントが有意に増加することが、カナダ・ウェスタン大学のManav V Vyas氏らの検討で示された。交代勤務は、一般に規則的な日中勤務(おおよそ9~17時の時間帯)以外の勤務時間での雇用と定義され、高血圧、メタボリック症候群、脂質異常症、糖尿病のリスクを増大させることが知られている。さらに、概日リズムの乱れにより血管イベントを起こしやすいとの指摘があるが、相反するデータもあるという。BMJ誌2012年8月25日号(オンライン版2012年7月26日号)掲載の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(13)〕 心房細動診療のピットフォール―心房細動で出血死させないために。CKDに配慮したリスク評価を!

 非弁膜症性心房細動(NVAF)に伴う心原性塞栓による脳梗塞は、中大脳動脈などの主要動脈の急性閉塞による発症が多いため、アテローム血栓性梗塞やラクナ梗塞に比べて梗塞範囲が大きく、救命された場合でも後遺症による著しいADLの低下を招きやすい。周術期の肺血栓塞栓症同様に、予防が重要である。