救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:66

またも敗北した急性心不全治療薬―血管拡張薬に未来はないのか(解説:絹川弘一郎氏)-1124

急性心不全に対する血管拡張薬は、クリニカルシナリオ1に対しては利尿薬も不要とまで一時いわれたくらい固い支持があるクラス1の治療である。シナリオ2でもほどほど血圧があればafterloadを下げることは古くから収縮不全に悪かろうはずがないと考えられてきて、そもそもV-HeFT IやV-HeFT IIはvasodilatorがHFrEFの長期予後を改善するのではないかという(今では顧みられない)コンセプトで始まり、レニンアンジオテンシン系にたどり着いた歴史的経緯がある。

終末期には患者家族との意思疎通に訓練が必要

 2010年10月2日~4日の3日間、都内において「第47回 日本救急医学総会・学術集会」(会長:田中 裕[順天堂大学大学院医学研究科救急災害医学 教授])が、「不断前進、救命救急 今、ふたたび『仁』」をテーマに開催された。  学会では、「病院前診療」「心肺蘇生」「外傷診療」「敗血症診療」などをテーマに特別講演、シンポジウム、パネルディスカッションをはじめ、さまざまな企画が開催されたほか、市民向けには敗血症の説明講座やAEDを使用した実技講習会などが開催された。

東京2020で発生しうる患者とその対応策/日本救急医学会

 東京2020オリンピック・パラリンピックの開催まで300日を切った。この開催を迎える上で医学的に重要なのは、熱中症やインバウンド感染症、そしてテロへの対策ではないだろうか。そこで、医学系学会のうち25団体(2019年10月現在)が“2020年東京オリンピック・パラリンピックに係る救急・災害医療体制を検討する学術連合体(コンソーシアム)”を結成。リスクを想定し、対策に取り組んでいる。  この構成団体の中のうち、日本救急医学会ほか5学会(日本臨床救急医学会、日本感染症学会、日本外傷学会、日本災害医学会 、日本集中治療医学会)と東京都医師会の担当委員が、2019年10月2~4日に開催された第47回日本救急医学会総会・学術集会のパネルディスカッション8「2020年東京オリンピック・パラリンピックに関わる救急・災害医療体制を検討する学術連合体の活動現状と今後の展開について」にて、各学会の委員会活動の進捗を報告した。

PPCI前の遠隔虚血プレコンディショニング、STEMI予後に有意義か/Lancet

 プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PPCI)を受けるST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者では、PPCI前に遠隔虚血コンディショニング(remote ischaemic conditioning:RIC)を行っても心臓死/心不全による入院は減少しないことが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのDerek J. Hausenloy氏らが行ったCONDI-2/ERIC-PPCI試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年9月6日号に掲載された。RICは、上腕に装着したカフの膨張と解除を繰り返すことで、一時的に虚血と再灌流を引き起こす。これにより、PPCIを受けるSTEMI患者の心筋梗塞の大きさが20~30%縮小し、臨床アウトカムが改善すると報告されていたが、十分な検出力を持つ大規模な前向き研究は行われていなかった。

救急受診アルツハイマー病患者における向精神薬有害事象

 130万超の救急部門(ED)受診は、高齢者の薬物有害事象(ADE)と関連している。高齢者におけるアルツハイマー病(AD)有病率は増加しており、AD患者に処方される向精神薬のパターンにより、ADEの相加リスクが増加している。このような患者における向精神薬関連のADEついて、全国レベルの研究は十分とは言えない。米国・カリフォルニア大学のAryana Sepassi氏らは、高齢AD患者における向精神薬関連ADEの発生率と経済的負担について、非AD高齢者と比較し検討を行った。The Annals of Pharmacotherapy誌オンライン版2019年7月25日号の報告。

serelaxin、急性心不全の予後改善せず/NEJM

 急性心不全で入院した患者の治療において、serelaxinの静注はプラセボに比べ、180日時の心血管系の原因による死亡および5日時の心不全の悪化の発生率を改善しないことが、イタリア・ブレシア大学のMarco Metra氏らが行ったRELAX-AHF-2試験で示された。研究の詳細は、NEJM誌2019年8月22日号に掲載された。リラキシンは、妊娠中に観察される心血管や腎臓の機能の変化に寄与するホルモンであり、末端器官では血管拡張、抗線維化、抗炎症作用を示す。serelaxinは、ヒトリラキシン-2の遺伝子組み換え製剤であり、血管拡張作用(うっ血を軽減)と直接的な臓器保護作用の双方により効果を発揮する。先行研究のRELAX-AHF試験では、プラセボに比べ入院中の心不全の悪化の発生率が低く、探索的解析により180日時の心血管死の発生率が低い可能性が示唆されていた。

全国の医療施設、災害対策の実情はいかに!?

 地震大国の日本において、異常気象の常態化によるスコール、それに伴う洪水・土砂災害などが後を絶たない。このような災害時には、DMAT(災害急性期に活動できる機動性を持った トレーニングを受けた医療チーム)と呼ばれる災害派遣医療チームにより医療支援が行われる場合がある。しかし、医療者一人ひとりが日頃から災害を意識し準備を行っていなければ、家族や患者、ましてや自らの命は救えないだろう。  そこで、ケアネットでは2019年7月に会員医師約200名を対象とし、「院内の災害対策」に関するアンケート調査を実施。医師たちの災害に対する意識や対策状況などの実態について、実情や意見を聞いた。

アナフィラキシーには周囲の理解が必要

 2019年8月21日、マイランEPD合同会社は、9月1日の「防災の日」を前に「災害時の食物アレルギー対策とは」をテーマにしたアナフィラキシー啓発のメディアセミナーを開催した。セミナーでは、アナフィラキシー症状についての講演のほか、患児の親の声も紹介された。  セミナーでは、佐藤さくら氏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 病態総合研究部)を講師に迎え、「アナフィラキシーの基礎知識とガイドラインに基づく正しい治療法について」をテーマに講演を行った。

喘息患者の3 人に1 人は救急経験あり

 アストラゼネカ株式会社は、気管支喘息患者を取り巻く現状や喘息治療の実態を明らかにすることを目的とした患者調査を全国3,000名の患者に実施し、その結果が公表された。  調査結果は今回発表の「喘息患者さんの予定外受診・救急受診・救急搬送の現状」編のほか、「喘息患者さんの通院・服薬の現状」編、「重症喘息患者さんの現状」編という3つのテーマで公開される。監修は東田 有智氏(近畿大学病院 病院長)が担当した。  調査実施日:2019年4月15~26日

急性期PE、年間症例数が多い病院で死亡率低下/BMJ

 急性症候性肺塞栓症患者では、本症の年間症例数が多い病院(high volume hospitals)へ入院することで、症例数が少ない病院に比べ、30日時の本症に関連する死亡率が低下することが、スペイン・Ramon y Cajal Institute for Health Research(IRYCIS)のDavid Jimenez氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年7月29日号に掲載された。hospital volumeは、内科的/外科的疾患のアウトカムの決定要因として確立されている。一方、急性肺塞栓症発症後の生存に、hospital volumeが関連するかは知られていないという。