AZ社の新型コロナワクチン有効率最大90%、貯蔵はより容易か/第II/III相試験中間解析

提供元:ケアネット

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公開日:2020/11/25

 

 アストラゼネカ社は、COVID-19に対するウイルスベクターワクチンAZD1222の第II/III相および第III相試験の中間分析の結果、最大90%の有効率が示されたことを11月23日に発表した。2つの異なる投与レジメンで有効性が示され、平均70%の有効率が示されている。条件付きまたは早期承認のためのデータを世界各国の規制当局に提出し、承認取得次第、2021年に最大30億回分のワクチンを製造できるよう準備を進めているという。

 AZD1222は、SARS-CoV-2ウイルススパイクタンパク質の遺伝物質を含む、複製欠損および弱毒化されたチンパンジー由来の風邪アデノウイルスを用いて作製される。ワクチン接種後スパイクタンパク質が生成され、感染した場合に免疫系を刺激し、SARS-CoV-2ウイルスを攻撃する。

 第II/III相COV002試験は英国の12,390人の参加者を対象に、第III相COV003試験はブラジルの10,300人の参加者を対象に実施されている。ともに参加者は18歳以上で健康あるいは医学的に安定した慢性疾患を有する患者。COV002では、半用量(〜2.5×1010ウイルス粒子)または全用量(〜5×1010ウイルス粒子)のAZD1222、対照群として髄膜炎菌ワクチンMenACWYを1回または2回筋肉内投与。COV003では、全用量のAZD1222またはMenACWYが2回投与される(対照群では1回目にMenACWY、2回目はプラセボとして生理食塩水を投与)。

 中間分析では計131例のCOVID-19発症が確認された。今回発表された結果のうち、1回目に半用量を投与後、少なくとも1か月間隔で全用量を投与した2,741人では、90%の有効率を示した。少なくとも1か月間隔で全用量を2回投与した8,895人では、62%の有効率を示している。両投与レジメンの11,636人についての複合解析では、平均70%の有効率が示され、これらの結果はすべて統計的に有意であった(p≦0.0001)。

 独立データモニタリング委員会は、2回投与を受けてから14日以上後に発生するCOVID-19からの保護を示す主要評価項目を満たしたと判断し、今回の結果が発表された。AZD1222に関連する重大な安全イベントは確認されておらず、AZD1222投与群ではCOVID-19による入院や重症例は報告されていない。

 なお、AZD1222の臨床試験は、米国、日本、ロシア、南アフリカ、ケニア、ラテンアメリカでも実施されており、他のヨーロッパやアジアの国々でも試験が計画されている。また、同社はAZD1222の貯蔵について、標準的な家庭用または医療用冷蔵庫の温度である2~8℃(36~46°F)で少なくとも6ヵ月間保管、輸送、および取り扱いでき、既存の医療環境で投与可能としている。

(ケアネット)