救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:64

新型コロナウイルス受診の目安を発表/厚生労働省

 国内での新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、先日開催された内閣の新型コロナウイルス感染症専門家会議で議論された「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」が、2月17日に厚生労働省より発表された。主な目的は、国民の新型コロナウイルスへの不安の鎮静化と検査や診療による医療機関への過度な集中を防ぐためのものである。  具体的な相談・受診の目安として、「風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続く」「強いだるさや息苦しさがある」、また、「高齢者や基礎疾患(糖尿病、心不全など)があり、前記の2つの症状が2日程度続く」という人は、各都道府県に設置されている帰国者・接触者センターへの相談を要請している。

日本環境感染学会が「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド」公開

 新型コロナウイルスの感染者は世界的に増加しており、わが国でも行政や民間の連携の下、さまざまな感染防止、封じ込めに向けて施策が行われている。  こうした状況の中、日本環境感染学会(理事長:吉田正樹)は、医療機関に向けて「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第1版)」を2月12日に発表し、日本環境感染学会のサイトで公開を始めた(現在は第2版を公開中)。  本ガイドは、今回の新型コロナウイルスが拡大した場合の国内の医療現場の混乱を防ぎ、適切な対応が取られることを目的に作成され、一般の医療機関のほか、高齢者介護施設でも感染対策として参考にできるとしている。ただ、本ガイドの内容は日本環境感染学会が示した1つの目安であり、各施設の状況に応じ具体的な対応を決めることが重要である。ガイドの内容は随時アップデートされる予定。

救急AF患者、薬物+電気ショックvs.電気ショック単独/Lancet

 急性心房細動で緊急部門に搬送された患者に対する、薬理学的除細動+必要に応じた電気的除細動(薬物ショック)と、電気的除細動のみ(ショック単独)はいずれも、洞調律の回復において高い有効性、迅速性、安全性を示し、再入院の必要性も回避することが、カナダ・オタワ大学のIan G. Stiell氏らが396例を対象に行った無作為化比較試験「RAFF2試験」の結果、示された。薬物ショック群では、薬理学的除細動が約半数に作用し電気的除細動に必要なセデーションを回避できたこと、また、電気的除細動のパッド貼付位置(前後方vs.前外側)による有意差がないことも示された。結果を踏まえて著者は、「緊急部門に搬送された急性心房細動患者では、即時の除細動が、優れたアウトカムに結び付く」とまとめている。Lancet誌2020年2月1日号掲載の報告。

新型コロナウイルス肺炎、重症例の特徴と院内感染の実態/JAMA

 中国・武漢大学中南医院のDawei Wang氏らは、2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)肺炎(NCIP)の臨床的特徴(特に重症例)を明らかにするため、自院の入院患者138例について調査した。その結果、重症例では年齢が高く、高血圧や糖尿病といった併存疾患を有する割合が高く、呼吸困難や食欲不振を訴える患者が多かった。また、138例中57例(41.3%)で院内感染が疑われるという。JAMA誌オンライン版2020年2月7日号に掲載。  著者らは、2020年1月1~28日に同院で2019-nCoVが確認された全症例について後ろ向き調査を実施した。症例はRT-PCRで確認し、疫学的、人口統計学的、臨床的、放射線学的特徴および検査データを解析した。アウトカムは2020年2月3日まで追跡された。

新型コロナウイルス感染症、“疑い例”の定義について/日本医師会

 刻々と状況が変化する中、新型コロナウイルス感染症の「臨床的特徴」や「感染が疑われる患者の要件」について、適時アップデートが行われている。2月5日の日本医師会の定例会見では、厚生労働省発出の文書に基づく現時点での定義や、今後の医療機関での対応の見通しについて、釜萢 敏常任理事が説明した。

機械的換気によるICU患者の死亡率、胃薬で抑制される?/JAMA

 侵襲的機械換気を要するICU患者におけるストレス潰瘍の予防戦略としてのプロトンポンプ阻害薬(PPI)とヒスタミン2受容体拮抗薬(H2RA)には、院内死亡率に関して大きな差はないことが、ニュージーランド医学研究所のPaul J. Young氏らが行った無作為化試験「PEPTIC試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2020年1月17日号に掲載された。ICUでは、ストレス潰瘍の予防法としてPPIやH2RAが使用されるが、これらの薬剤が死亡率に及ぼす影響は知られていないという。

出血ハイリスクの重症患者に対する予防的なPPI・H2RAは有用か?(解説:上村直実氏)-1177

プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬(H2RA)など酸分泌抑制薬は胃食道逆流症に対する有用性により世界中で頻用されている一方、長期投与による肺炎や骨折のリスク、腸内細菌叢の変化に伴うClostridium difficile(CD)感染症のリスク増加などを危惧する報告が散見されている。このように酸分泌抑制薬の有用性と安全性のバランスは臨床現場で最も注目されている課題の1つである。重症患者が主体のICUにおいて消化管出血の予防処置としてPPIやH2RAが当然のように投与されているが、薬剤のリスクを考慮した有用性に関する確実なコンセンサスが得られていないのが現状である。

新型肺炎で緊張高まる中、感染症予防連携プロジェクトが始動

 東京オリンピック・パラリンピックを迎える年となる2020年1月、日本感染症学会・日本環境感染学会は感染症予防連携プロジェクト「FUSEGU(ふせぐ)2020」を発足、発表会を行った。年頭から中国での新型コロナウイルス感染がニュースとなり、図らずとも感染症への一般の関心が高まる中でのスタートとなった。  挨拶に立った日本感染症学会理事長の舘田 一博氏は、本プロジェクトの意義を「オリンピックイヤーを迎え、マスギャザリング(一定期間、限定された地域において同一目的で多人数が集まること)に向けた注意喚起が重要。既に各学会・団体がさまざまな取り組みをしているがそれを連携させ、産官学が協働して一般市民を巻き込んで情報提供をしていく必要がある」と述べた。

再入院抑制施策の導入で、死亡は増大したのか/BMJ

 米国では再入院率を低下させるため、インセンティブ付きのプログラム「Hospital Readmissions Reduction Program(HRRP)」が施行されている。しかしそのために、直近の退院患者では再入院が必要となった場合も入院を拒否される可能性があり、死亡リスクが増大するのではとの指摘がある。実際にここ数年、心不全で入院が必要になったメディケア受給者で退院後30日死亡が増加しており、全米で経過観察病棟や救命救急部門(ED)での治療の増加が報告されているという。米国・テキサス大学サウスウエスタン医療センターのRohan Khera氏らは、HRRP対象症状で入院した患者の退院後間もないEDなどの利用データと患者アウトカムについて、プログラムの影響を評価する必要があるとして調査を行った。結果、プログラムの影響はみられなかったことが判明したという。BMJ誌2020年1月15日号掲載の報告。

高出血リスク重症例への予防的PPI・H2RAは有用か/BMJ

 出血リスクの高い成人重症患者において、プロトンポンプ阻害薬(PPI)およびH2受容体拮抗薬(H2RA)の予防的投与は非投与群と比較して、消化管出血について臨床的に意味のある減少をもたらす可能性が示された。中国・首都医科大学のYing Wang氏らがシステマティックレビューとメタ解析を行い明らかにしたもので、リスクの低い患者ではPPIおよびH2RAの予防的投与による出血の減少は意味のないものであり、また、これらの予防的投与は、死亡率や集中治療室(ICU)滞在期間、入院日数などのアウトカムとの関連は認められなかった一方、肺炎を増加する可能性が示されたという。消化管出血リスクの高い患者の大半が、ICU入室中は胃酸抑制薬を投与されるが、消化管出血予防処置(多くの場合ストレス性潰瘍の予防とされる)については議論の的となっている。BMJ誌2020年1月6日号掲載の報告。