呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:14

医師の喫煙率、男女・診療科で差/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、4月2日に定例の記者会見を開催した。会見では、松本氏が3月28日に発生したミャンマー大地震の犠牲者などに哀悼の意を示すとともに、支援金として医師会より合計1,000万円を支援したことを報告した。また、2000年より医師会と日本大学が共同調査を行っている「喫煙意識調査報告」の内容、4月19日に開催されるシンポジウム「未来ビジョン若手医師の挑戦」の開催概要が説明された。  「第7回(2024年)日本医師会員喫煙意識調査報告」について副会長の茂松 茂人氏(茂松整形外科 院長)がその概要を述べ、調査を行った兼板 佳孝氏(日本大学医学部社会医学系公衆衛生学分野 教授)が詳細を説明した。

がん術前1ヵ月間の禁煙で合併症が減少~メタ解析

 がん手術の前に4週間禁煙した患者では、手術が近づいても喫煙していた患者よりも術後合併症が有意に少なかったことを、オーストラリア・ディーキン大学のClement Wong氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2025年3月7日号掲載の報告。  喫煙は術後合併症のよく知られた危険因子であり、喫煙する患者では合併症リスク増大の懸念から外科手術の延期を検討することもある。しかし、がん患者の手術が延期された場合、患者が禁煙している間に病勢が進行するリスクがある。今回、研究グループはがん患者の喫煙状態や禁煙期間とがん手術後の合併症との関連を調べるために、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。

EGFR陽性NSCLCへのCRT後オシメルチニブ、OSアップデート解析(LAURA)/ELCC2025

 切除不能なStageIIIのEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)において、化学放射線療法(CRT)後のオシメルチニブ地固め療法が無増悪生存期間(PFS)を大幅に改善したことが国際共同第III相無作為化比較試験「LAURA試験」で示され、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得している。ただし、全生存期間(OS)の中間解析では、成熟度が20%と低く、OSの有意な改善はみられなかった(ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.42~1.56)。そのため、OSの長期フォローアップデータの解析が待たれている。そこで、OSのアップデート解析が実施され、欧州肺がん学会(ELCC2025)で米国・エモリー大学のSuresh S. Ramalingam氏が結果を報告した。 ・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験 ・対象:18歳以上(日本は20歳以上)の切除不能なStageIIIのEGFR遺伝子変異(exon19delまたはL858R)陽性NSCLC患者のうち、CRT(同時CRTまたはsequential CRT)後に病勢進行が認められなかった患者216例

市中肺炎へのセフトリアキソン、1g1日2回vs.2g1日1回~日本の前向きコホート

 セフトリアキソンは、日本感染症学会/日本化学療法学会の感染症治療ガイドラインにおいて市中肺炎入院患者におけるエンピリック治療の第1選択薬の1つに挙げられている。投与方法は1g1日2回点滴静注または2g1日1回点滴静注が推奨されているが、これらを比較した前向き研究は限られている。今回、倉敷中央病院の中西 陽祐氏らが、これらの投与方法の有効性と安全性を前向きコホート研究で比較し、報告した。Journal of Infection and Chemotherapy誌2025年1月号に掲載。

ARDSの鎮静、セボフルラン対プロポフォール/JAMA

 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者の管理では機械換気が重要とされ、多くの場合鎮静を要するが、至適な鎮静法は依然として不明だという。フランス・Universite Clermont AuvergneのMatthieu Jabaudon氏らSESAR Trial Investigatorsは「SESAR試験」において、中等症~重症のARDS患者では、プロポフォール静脈内投与と比較してセボフルラン吸入による鎮静は、28日の時点での換気を必要としない日数(無換気日数)が少なく、90日生存率が低いことを示した。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2025年3月18日号に掲載された。  SESAR試験は、ARDS患者の鎮静におけるセボフルラン吸入の有効性と安全性の評価を目的とする医師主導型の非盲検評価者盲検無作為化第III相試験であり、2020年5月~2023年10月にフランスの37の集中治療室(ICU)で患者を登録した(French Ministry of Healthなどの助成を受けた)。

「血痰は喀血」、繰り返す喀血は軽症でも精査を~喀血診療指針

 本邦初となる喀血診療に関する指針「喀血診療指針」が、2024年11月に日本呼吸器内視鏡学会の学会誌「気管支学」に全文掲載された。そこで、喀血ガイドライン作成ワーキンググループ座長の丹羽 崇氏(神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科 医長 兼 喀血・肺循環・気管支鏡治療センター長)に、本指針の作成の背景やポイントなどを聞いた。  「喀血診療の現場では、長年にわたって公式な診療指針が存在せず、個々の医師が経験と知識を基に対応していたことに、大きなジレンマを感じていた」と丹羽氏は述べる。自身でカテーテル治療や内視鏡治療を行うなかで、より体系的な診療指針の必要性を実感していたところ、日本呼吸器内視鏡学会の大崎 能伸理事長(当時)より「ガイドラインを作ってみないか」と声をかけられたことから、喀血ガイドライン作成ワーキンググループが立ち上がり、作成が始まったとのことである。

EGFR陽性NSCLC、アミバンタマブ+ラゼルチニブがOS改善(MARIPOSA)/ELCC2025

 EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療として、EGFRおよびMETを標的とする二重特異性抗体アミバンタマブと第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬ラゼルチニブの併用療法は、国際共同第III相無作為化比較試験「MARIPOSA試験」において、オシメルチニブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)を改善したことがすでに報告されている。また、世界肺がん学会(WCLC2024)で報告されたアップデート解析では、アミバンタマブ+ラゼルチニブが全生存期間(OS)を改善する傾向(ハザード比[HR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.61~0.96、名目上のp値=0.019)にあったことが示され、OSの最終解析結果の報告が待たれていた。

限局型小細胞肺がん、CRT後のデュルバルマブ承認/AZ

 アストラゼネカは2025年3月27日、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)について「限局型小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法」の適応で、厚生労働省より承認を取得したことを発表した。根治的化学放射線療法(CRT)後に病勢進行が認められない限局型小細胞肺がん(LD-SCLC)を対象とした免疫療法では、本邦初の承認となる。  本承認は、LD-SCLC患者を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験「ADRIATIC試験」の結果に基づくものである。

家庭内空気汚染の疾病負担、1990~2021年の状況は?/Lancet

 世界的には家屋内で固形燃料(石炭・木炭、木材、作物残渣、糞)を用いて調理をする家庭は減少しており、家庭内空気汚染(household air pollution:HAP)に起因する疾病負担は大幅に減少しているものの、HAPは依然として主要な健康リスクであり、とくにサハラ以南のアフリカと南アジアでは深刻であることが、米国・ワシントン大学のKatrin Burkart氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2021 HAP Collaboratorsの解析で示された。著者は、「本研究で得られたHAPへの曝露と疾病負担に関する推定値は、医療政策立案者らが保健介入を計画・実施するための信頼性の高い情報源となる。多くの地域や国でHAPが依然として深刻な影響を及ぼしている現状を踏まえると、資源の乏しい地域で、よりクリーンな家庭用エネルギーへ移行させる取り組みを加速させることが急務である。このような取り組みは、健康リスクの軽減と持続可能な発展を促進し、最終的には何百万もの人々の生活の質と健康状態の改善に寄与することが期待される」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年3月18日号掲載の報告。

化学療法誘発性末梢神経障害の克服に向けた包括的マネジメントの最前線/日本臨床腫瘍学会

 2025年3月6~8日に第22回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催され、8日の緩和ケアに関するシンポジウムでは、「化学療法誘発性末梢神経障害のマネジメント」をテーマに5つの講演が行われた。化学療法誘発性末梢神経障害(chemotherapy-induced peripheral neuropathy:CIPN)は、抗がん剤投与中から投与終了後、長期にわたって患者のQOLに影響を及ぼすものの、いまだ有効な治療の確立に至っていない。そこで、司会の柳原 一広氏(関西電力病院 腫瘍内科)と乾 友浩氏(徳島大学病院 がん診療連携センター)の進行の下、患者のサバイバーシップ支援につなげることを目的としたトピックスが紹介された。