呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:13

小児の喘息のエンドタイプを特定できる新たな検査法を開発

 新しい迅速かつ簡便な鼻腔スワブ検査により、小児の喘息の背後にある特定の免疫システムや病態に関する要因(エンドタイプ)を特定できる可能性のあることが、新たな研究で示された。研究グループは、この非侵襲的アプローチは、臨床医がより正確に薬を処方するのに役立つだけでなく、これまで正確に診断することが困難で、研究の進んでいないタイプの喘息に対するより良い治療法の開発につながる可能性があると見ている。米ピッツバーグ医療センター(UPMC)小児病院呼吸器科部長で上級研究員のJuan Celedón氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に1月2日掲載された。

鳥インフルエンザA(H5N1)、ヒト感染例の特徴/NEJM

 米国疾病予防管理センター(CDC)のShikha Garg氏らは、米国で2024年3月~10月に確認された高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)のヒト感染症例46例の特徴について報告した。1例を除き、感染動物への曝露により短期間の軽度の症状を呈し、ほとんどの患者は迅速な抗ウイルス治療を受け、ヒトからヒトへのA(H5N1)ウイルスの伝播は認められなかったという。NEJM誌オンライン版2024年12月31日号掲載の報告。  米国の州および地域の公衆衛生当局は、A(H5N1)ウイルスの感染疑いまたは感染が確認された動物(家禽、乳牛)に、職業上曝露した人々を曝露後10日間モニタリングし、症状のある人から検体を採取してCDCのヒトインフルエンザリアルタイムRT-PCR診断パネルインフルエンザA(H5)亜型アッセイを用いてA(H5N1)ウイルスが検出された人を特定した。感染が確認された患者に対し、標準化された新型インフルエンザ症例報告書を用いて調査が行われた。

多剤耐性結核の家庭内曝露小児、予防的レボフロキサシン投与は有効か/NEJM

 多剤耐性(MDR)結核に家庭内で曝露した小児は、レボフロキサシンによる予防的治療を受けた集団で、プラセボと比較し結核の発症率が低いもののその差は有意ではなく、Grade3または4の有害事象の頻度は同程度であることが、南アフリカ共和国・ステレンボッシュ大学のAnneke C. Hesseling氏らが実施した「TB-CHAMP試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2024年12月19・26日号で報告された。  TB-CHAMP試験は、南アフリカ共和国の5施設が参加した二重盲検クラスター無作為化プラセボ対照試験であり、2017年9月~2023年1月に行われた(Unitaidなどの助成を受けた)。

2025年に医師会が掲げる4つの課題/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催し、2025年の医師会の課題を語った。  新年の挨拶として松本氏は、年末年始にインフルエンザの患者の診療対応にあたった診療所の医師、医療者などに感謝の意を示すとともに、地域によっては予想を超えるインフルエンザ患者が来院したことを明らかにした。また、依然としてインフルエンザの検査キット、注射薬、治療薬などが不足していること、引き続き厚生労働省と協議し、各メーカーに増産用を要請していることを述べるとともに、引き続き、マスクの着用や手指衛生など感染対策の実施と医療機関にはなるべく診療時間内に診療を受診するように述べた。

多剤耐性結核の家庭内感染予防、レボフロキサシンは有効か/NEJM

 ベトナムの多剤耐性(MDR)結核患者の家庭内接触者の感染予防において、プラセボと比較してレボフロキサシンの連日投与は、30ヵ月の時点での結核の発生率が低いものの、その差は有意ではなく、有害事象はレボフロキサシンで多かったがGrade3/4の頻度は同程度であることが、オーストラリア・シドニー大学のGreg J. Fox氏らが実施した「VQUIN MDR試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2024年12月19・26日合併号に掲載された。  VQUIN MDR試験は、ベトナムの都市部と農村部を含む10の省で行われた二重盲検無作為化対照比較試験であり、2016年3月~2019年8月に参加者のスクリーニングを実施した(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]の助成を受けた)。

SBTの最適な頻度と手法は?(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

本研究は、人工呼吸器の離脱に最適な自発呼吸トライアル(SBT)の施行頻度とその手技の方法について検討された。人工呼吸管理されている患者の状態が改善し、人工呼吸器が必要とされた原因が解決したときにウィーニングが開始される。一般的には長期間人工呼吸器で管理された症例は慎重かつ徐々にウィーニングを行い、短期間であれば早期に離脱が可能である。本研究では患者が自発的に呼吸を開始し、人工呼吸器をトリガーできる能力があること、動脈血酸素分圧(PaO2)と吸入酸素濃度(FiO2)の比が200mmHg以上であること、呼吸数が35回/分以下、心拍数が140回/分以下であること、呼吸数と1回換気量の指標(Rapid Shallow Breathing Index:RSBI)が105回/分/L未満であること、人工呼吸器設定のPEEPが10cmH2O以下であることが挙げられている。

インフルワクチン、小児の救急外来・入院を50%減少/CDC

 今シーズンはインフルエンザが猛威を振るっている。厚生労働省の1月9日の発表によると、インフルエンザの定点当たりの報告数は全国平均で1施設当たり64.39例(2024年第52週時点)で、同時期の報告数として過去10年で最多となった。  インフルエンザは小児に重篤な疾患を引き起こす可能性があり、とくに5歳未満の小児ではリスクが高い。米国疾病予防管理センター(CDC)のKelsey M. Sumner氏らは、2015~20年の5年間にわたり、急性呼吸器疾患(acute respiratory illness:ARI)で救急外来受診や入院治療を受けた生後6ヵ月~17歳を対象にインフルエンザワクチンの有効性を検証した。

1回の肺CT検査でCNNがCOPDを正確に診断

 人工知能(AI)を活用した新しい肺検査によって、呼吸困難のある人が慢性閉塞性肺疾患(COPD)であるかどうかを確認できる可能性のあることが、新たな研究で示された。通常のCOPDの診断では、患者が完全に息を吸い込んだときと吐き出したときの2回のCT検査が必要であるが、新しい検査では、息を吸いこんだときに撮影したCT画像のみからCOPDを正確に診断できるという。米サンディエゴ州立大学数学・統計学分野のKyle Hasenstab氏らによるこの研究結果は、「Radiology: Cardiothoracic Imaging」に12月12日掲載された。

コロナ罹患後症状、研究指標をアップデート/JAMA

 米国・スタンフォード大学のLinda N. Geng氏らは、米国国立衛生研究所(NIH)によるRECOVER(Researching COVID to Enhance Recovery)Initiativeの一環であるRECOVER-Adult studyにおいて、追加の参加者のデータを含めた最新解析を行い、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の持続的な症状であるLong COVID(LC)の研究指標を報告した。著者は、「LCの理解が進むに従って指標の継続的な改善が必要で、LC研究指標2023年版を更新した2024年版は、研究者がLCとその症状サブタイプを分類するのに役立つ」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年12月18日号掲載の報告。

「小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療GL」第2版が発刊

 日本癌治療学会編『小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2024年12月改訂 第2版』が12月20日に発刊された。本書は、「小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン 2017年版」をMinds診療ガイドライン作成マニュアル2020に準拠して、7年ぶりに全面改訂された。  2024年版は、女性生殖器、乳腺、泌尿器、小児、造血器、骨軟部、消化器、脳の8つの領域に、新たに肺、耳鼻咽喉・頭頸部、膠原病が加わり11領域をカバーしている。また、従来の性腺毒性分類は、2003年のASCOの分類表以降の国際的な報告を元に最新のJSCO分類として生まれ変わっている。