呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

地方在住のがん患者は手術のために都市部へ行くべきか

 地方のがん患者は、主要な医療機関で治療を受けるために長距離移動することが多いが、そうした長旅は、必ずしも必要ではないかもしれない。肺がんまたは大腸がん患者を対象にした新たな研究で、地元の病院で治療を受けた場合と都市部の医療機関へ移動して治療を受けた場合で、死亡率や手術の転帰に大きな差は認められなかったことが明らかになった。米ルイビル大学外科学分野のMichael Egger氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Surgeons」に2月11日掲載された。

nalbuphine:IPFに伴う慢性咳嗽に対する新しいアプローチ(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

本研究は、IPFに伴う慢性咳嗽に対する「ナルブフィン(nalbuphine)」の有効性と安全性を評価した第IIb相国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。nalbuphineは、オピオイドκ受容体作動薬かつμ受容体拮抗薬という今までにないユニークな機序を持つ薬剤であり、2026年3月現在、本邦未承認のオピオイドである。その鎮痛活性はモルヒネと同等とされている。8週間以上持続する咳嗽を有するIPF患者165例を、nalbuphine徐放剤27mg、54mg、108mg、またはプラセボを1日2回投与する群に無作為に割り付け、6週間観察した。結果として、主要評価項目である「24時間客観的咳頻度」は、プラセボ群の16.9%低下に対し、27mg群で47.9%、54mg群で53.4%、108mg群で60.2%低下と、用量依存的かつ統計学的に有意な改善を示した。また、高用量群(54mg・108mg)では、患者報告による主観的な咳の頻度、重症度、およびQOLスコアも有意に改善した。

抗菌薬・PPI、NSCLCの術前ICI+化学療法への影響は?(CReGYT-04 Neo-Venus副次解析)

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)において、抗菌薬やプロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用は、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の有効性の低下と関連する可能性が指摘されている。しかし、術前ICI+化学療法などの周術期治療に及ぼす影響は明らかになっていない。そこで、切除可能NSCLCに対する術前ICI+化学療法について、抗菌薬やPPIが及ぼす影響を多施設共同後ろ向き観察研究「CReGYT-04 Neo-Venus」の副次解析で評価した。その結果、抗菌薬やPPIの使用は、術前ICI+化学療法の奏効と有意な関連がみられなかった。本研究結果は、戸田 道仁氏(関西労災病院 呼吸器外科)らによって、Lung Cancer誌オンライン版2026年2月26日号で報告された。

インフルへのバロキサビル、感受性低下の割合は?

 キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ、以下バロキサビル)は2018年2月に承認され、臨床で使用されている。国立感染症研究所の高下 恵美氏らの研究グループは、最初の7シーズン(2017/18~2023/24シーズン)におけるインフルエンザウイルスのバロキサビル感受性を調査した。その結果、感受性低下の割合は1.7%であった。本研究結果は、Eurosurveillance誌2026年1月8日号に掲載された。  研究グループは、WHOのFluNetに報告された国内のインフルエンザウイルス3万7,137件のうち、約500の定点医療機関から収集した検体から週ごとに加重無作為抽出した3,671件について、インフルエンザウイルスの表現型および遺伝子型の解析を実施した。

超加工食品の大量摂取でがんサバイバーの死亡リスクが上昇か

 がんを克服することは容易ではないが、超加工食品を多く含む食事は、がんサバイバーの将来的な健康を損なう可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。超加工食品の摂取量が最も多いがんサバイバーは、最も少ないがんサバイバーに比べて、がんによる死亡リスクが57%高いことが示されたという。IRCCS Neuromed(イタリア)の疫学・予防研究者であるMarialaura Bonaccio氏らによるこの研究結果は、「Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention」に2月4日掲載された。  Bonaccio氏は、「がんと診断された後に何を食べるかは生存に影響を与える可能性があるが、これまでの研究は主に栄養素に焦点を当てており、食品の加工度には注目していなかった。食品の工業的加工に関わる物質は代謝プロセスに干渉し、腸内細菌叢を乱し、炎症を促進する可能性がある。

アミバンタマブ・ラゼルチニブ併用時のアピキサバン、使用上の注意改訂/厚労省

 厚生労働省は2026年3月6日、アミバンタマブ、アミバンタマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ、ラゼルチニブメシル酸塩水和物、アピキサバンの添付文書について、改訂を指示した。改訂内容は、アミバンタマブとラゼルチニブの併用投与時において、静脈血栓塞栓症の発症抑制を目的としてアピキサバンを投与する場合の腎機能障害患者に対する注意喚起の追加である。アピキサバンは、腎不全(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)の患者には禁忌であることから、使用上の注意の改訂が適切と判断された。

若年成人のがん、唯一死亡率が増えているのは?

 若年成人におけるがん罹患率の増加を報告する研究は多数存在するが、検出バイアスの影響を受けにくい死亡率ではどうか。50歳未満の人々における主要5大がんの死亡率の変化を検証した研究結果が、JAMA誌オンライン版2026年1月22日号 「Research Letter」に掲載された。  米国がん協会(アトランタ)のRebecca L. Siegel氏らは、米国健康統計センター(NCHS)の死亡証明データから、1990〜2023年に50歳未満でがん死に至った約127万件を解析した。主要5大がん(大腸がん、肺がん、乳がん、白血病、脳腫瘍)を中心に、年間死亡数および10万人当たりの年齢調整死亡率の推移を評価した。

第23回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2026

 日本臨床腫瘍学会は、2026年2月28日にプレスセミナーを開催し、3月26~28日に横浜で開催される第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)の注目演題などを紹介した。  今回のテーマは「Medical Oncologists for Cancer Patients」。これは、2025年9月19日に「がん薬物療法」領域が日本専門医機構によりサブスペシャルティ領域として正式に承認されたことを受けて、もう一度学会としてどのようにメディカルオンコロジスト(腫瘍内科医)を育成すべきかを考えるという意図が込められている。なお、がん薬物療法専門医は2025年4月1日時点で1,825人が認定されている。

複数のがん種で診断後の運動量とがん死亡リスク低下が関連

 これまでの研究で、一部のがん種では身体活動ががんの発症や再発・死亡リスク低下と関連することが報告されている。しかし、乳がん、大腸がん、前立腺がん以外のがん種における身体活動とがん死亡に関するエビデンスは限られている。今回、米国がん協会のErika Rees-Punia氏らは、身体活動とがん死亡との関連が十分に検討されてこなかった7種のがん(膀胱がん、子宮体がん、腎がん、肺がん、口腔がん、卵巣がん、直腸がん)の患者を対象に、診断後の身体活動量、および診断前後の身体活動量の変化とがん死亡リスクとの関連を検討する観察研究を実施した。結果はJAMA Network Open誌2026年2月17日号に掲載された。

市中肺炎への抗菌薬、72時間以内の経口剤への切り替えは安全?

 市中肺炎の入院治療において、注射用抗菌薬から経口抗菌薬への早期切り替えは、入院期間や抗菌薬投与日数の短縮につながることが報告されている。そのため、本邦の『成人肺炎診療ガイドライン2024』でも「市中肺炎治療において、症状・検査所見の改善に伴い、注射用抗菌薬から経口抗菌薬への変更(スイッチ療法)を行うことは推奨されるか」というクリニカルクエスチョンが設定され、推奨は「症状・検査所見の改善が得られればスイッチ療法を行うことを強く推奨する(エビデンスの確実性:B)」となっている1)。