未治療の肺サルコイドーシス患者おいて、メトトレキサートはprednisoneに対して、ベースラインから24週時までの%FVC(努力肺活量[FVC]の予測値に対する実測値の割合)の変化量に関して非劣性であることが示された。オランダ・エラスムス医療センターのVivienne Kahlmann氏らが同国17施設で実施した無作為化非盲検非劣性試験「PREDMETH試験」の結果を報告した。prednisoneは現在、肺サルコイドーシスの第1選択治療薬として推奨されているが、多くの副作用を伴うことがある。一方、第2選択治療薬として推奨されているメトトレキサートは、prednisoneより副作用は少ないが、作用発現が遅いとされている。肺サルコイドーシスの1次治療として、メトトレキサートの有効性および副作用プロファイルをprednisoneと比較したデータが必要とされていた。著者は、「副作用プロファイルの違いは、医療従事者と患者による治療選択に関する共同意思決定に役立つ可能性がある」とまとめている。NEJM誌オンライン版2025年5月18日号掲載の報告。
ベースラインから24週時の%FVC変化量を比較
研究グループは、未治療の肺サルコイドーシス患者を、事前に規定された治療スケジュールに従い、prednisone群またはメトトレキサート群に1対1の割合で無作為に割り付けた。
主な適格基準は、米国胸部学会、欧州呼吸器学会(ERS)および世界サルコイドーシス肉芽腫性疾患学会の定義にしたがって肺サルコイドーシスと診断され、治療開始の肺適応があること(現在のERSガイドラインの推奨に従い、中等度以上の症状があり健康悪化や死亡のリスクを有するもの)、%FVC<90%、%DLco<70%、過去12ヵ月以内に%FVCが5%以上低下または%DLcoが10%以上低下、治験責任医師評価による実質的な肺異常所見ありであった。
prednisoneは1日40mg経口投与から開始して、4週ごとに減量し16週時には維持量1日10mgとした。メトトレキサートは週15mg経口投与から開始して、4週ごとに5mgずつ増量し最大投与量は週25mgとした。
主要エンドポイントは、24週時における%FVCのベースラインからの平均変化量であった。無作為化され少なくとも1回以上治験薬の投与を受けた患者を解析対象集団として、反復測定混合モデルを用いて解析し、非劣性マージンは群間差の95%信頼区間(CI)の下限が-5%ポイントとした。
メトトレキサートはprednisoneに対して非劣性
2020年7月17日~2024年2月22日に138例が登録され、無作為化された(prednisone群70例、メトトレキサート群68例)。有効性解析対象集団には、prednisone群68例、メトトレキサート群67例、計135例が含まれた。
%FVCのベースラインから24週時までの変化量(調整前平均値)は、prednisone群6.75%ポイント(95%CI:4.50~8.99)、メトトレキサート群6.11%ポイント(3.72~8.50)であった。24週時の変化量の補正後群間差(最小二乗平均値)は、-1.17%ポイント(95%CI:-4.27~1.93)であり、メトトレキサートのprednisoneに対する非劣性が示された。
有害事象の発現割合は、prednisone群96%、メトトレキサート群94%と同程度で、主な有害事象はprednisone群が体重増加、不眠症、食欲増進、メトトレキサート群が悪心、疲労、および肝機能検査値異常であった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)