呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:16

最新の制吐療法、何が変わった?「制吐薬適正使用ガイドライン」改訂

 『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版』が発刊された。本書は2015年10月【第2版】(Web最新版ver.2.2)を全面改訂したもので、書籍としては8年ぶりの改訂となる。悪心・嘔吐治療の基本は“過不足ない適切な発現予防を目指す”ことであることから、第3版では、がん薬物療法の催吐性リスクに応じた適切な最新の制吐療法を提示するのはもちろん、有用性が明確ではないまま行われている非薬物療法のエビデンスに基づいた評価、患者サポートとして医療現場で行うべき制吐対応などにも焦点が当てられている。今回、ガイドライン改訂ワーキンググループ委員長の青儀 健二郎氏(四国がんセンター乳腺外科 臨床研究推進部長)に主な改訂ポイントについて話を聞いた。

生後6ヵ月~4歳へのコロナワクチン、救急受診・入院予防に40%有効/CDC

 米国では2022年6月より、新型コロナウイルスの起源株に対する1価mRNAワクチンが、生後6ヵ月~4歳児に推奨となった。米国疾病予防管理センター(CDC)は、2022年7月~2023年9月における乳幼児への新型コロナワクチンの有効性を評価したところ、ワクチン未接種と比較すると、2回以上のコロナワクチン接種は、救急外来受診と入院の予防に40%有効であることが認められた。本結果はCDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)誌2023年12月1日号に掲載された。

パクスロビド投与後のCOVID-19再発リスクは高い?

 抗ウイルス薬のパクスロビド(一般名ニルマトレルビル・リトナビル、日本での商品名パキロビッドパック)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化予防に有効ではあるが、その反面、再発リスクを著しく高める可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。パクスロビドを投与されたおよそ5人に1人で、そのようなウイルス学的なリバウンドが認められたという。米マサチューセッツ総合病院の感染症専門医であるMark Siedner氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に11月14日掲載された。

オンコマインDx、METエクソン14スキッピング非小細胞肺がんに対するテポチニブのコンパニオン診断として追加申請/サーモフィッシャー

 サーモフィッシャーサイエンティフィックは、次世代シーケンシング(NGS)技術を用いたコンパニオン診断システム「オンコマイン Dx Target Test マルチ CDxシステム(以下、オンコマインDx)」について、「テポチニブ塩酸塩水和物」のMET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対するコンパニオン診断システムとして、2023年12月4日付で厚生労働省に医療機器製造販売承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。  上記の一部変更が承認されると、オンコマインDxの判定補助対象は、非小細胞肺がんの7ドライバー遺伝子(BRAF、EGFR、HER2、ALK、ROS1、RET、MET)、甲状腺がんの1ドライバー遺伝子(RET)、甲状腺髄様がんの1ドライバー遺伝子(RET)となる。

コロナ・インフル同時迅速検査キットを発売/Meiji Seika・ロート

 Meiji Seika ファルマは12月5日付のプレスリリースにて、ロート製薬が10月13日に製造販売承認を取得した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)・インフルエンザウイルス抗原迅速検査キット「チェックMR-COV19+Flu」を発売したことを発表した。  本検査キットはイムノクロマト法によるもので、特別な測定機器を必要とせず、鼻咽頭ぬぐい液および鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2抗原、A型インフルエンザウイルス抗原およびB型インフルエンザウイルス抗原を同時検出することができる。1つのキットで15分(陽性の場合は3~15分)と、迅速かつ簡便に検査を行うことができ、診断時間の短縮と負担軽減につなげる。本製品の測定原理は金コロイドクロマト免疫測定法。有効期限は24ヵ月で、1パッケージに10テスト分を包装。  Meiji Seika ファルマは、ロート製薬と締結した販売提携契約に基づき、本製品の国内での流通、販売、プロモーションを行う。

ファイザーXBB.1.5対応コロナワクチン、流行中の各変異株に有効

 2023年9月に欧米諸国や日本で承認となったファイザーのオミクロン株XBB.1.5対応新型コロナワクチン(BNT162b2 XBB.1.5)の効果を検証するため、ドイツ・Hannover Medical SchoolのMetodi V Stankov氏らの研究チームは、本ワクチン30μgを接種した医療従事者53人について、接種から8~10日後の免疫応答を解析した。その結果、すべての接種者において抗スパイクIgG抗体が大幅に増加し、現在流行しているSARS-CoV-2の各系統に対する強力な中和反応が誘発されたことが示された。The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年11月20日号掲載の報告。

コロナ罹患後症状におけるワクチン有効性、3回接種で73%/BMJ

 感染前の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種と、罹患後症状(Post-COVID-19 Condition:PCC)の診断を受けるリスクの低下には強い関連性があることが、スウェーデン・ヨーテボリ大学のLisa Lundberg-Morris氏らが、スウェーデン住民約59万人を対象に行った住民ベースコホート試験「Swedish Covid-19 Investigation for Future Insights-a Population Epidemiology Approach using Register Linkage:SCIFI-PEARLプロジェクト」の結果で示された。著者は「試験の結果は、PCCの集団的負荷を軽減するために、ワクチン接種の重要性を強調するものである」と述べている。BMJ誌2023年11月22日号掲載の報告。

EGFR変異陽性NSCLC脳転移例、ダコミチニブの奏効率97%

 ダコミチニブは第2世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であり、進行または転移を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、第1世代EGFR-TKIのゲフィチニブと比べて無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を改善したことが報告されている1,2)。しかし、脳転移を有するNSCLC患者に対するダコミチニブの有用性は明らかになっていない。そこで韓国・成均館大学のHyun Ae Jung氏らの研究グループは脳転移を有する進行NSCLC患者におけるダコミチニブの有効性を検討した。その結果、ダコミチニブの頭蓋内奏効率(iORR)およびORRは共に96.7%であり、無増悪生存期間(PFS)中央値も17.5ヵ月と良好であった。

喫煙はがんの抑制に関わる遺伝子の変異と関連

 喫煙ががんの主因であることは周知の事実だが、喫煙によりがんが発生する機序の一端を解き明かす研究結果が、カナダの研究グループにより発表された。この研究によると、喫煙は、DNAのストップゲイン変異と呼ばれる危険な変異と関連しており、この変異が特に、がん抑制遺伝子で多く認められることが明らかになったという。オンタリオがん研究所(OICR、カナダ)のJuri Reimand氏らによるこの研究の詳細は、「Science Advances」に11月3日掲載された。  ストップゲイン変異では、DNA塩基の変異によりアミノ酸をコードする部分がタンパク質合成を終結させる終止コドンと呼ばれるコードに置き換わってしまう。その結果、正常なタンパク質が作られず、そのタンパク質が本来持つはずの機能を発揮できなくなる可能性がある。Reimand氏は、「われわれの研究により、喫煙が、がん抑制遺伝子の変異と関連することが明らかになった。がん抑制因子が作られなければ、細胞の防御機能が働かずに異常な細胞が増殖し続け、がんが発生しやすくなる」とOICRのニュースリリースで説明している。

COVID-19後の嗅覚・味覚障害は3年で回復へ

 軽症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患し、嗅覚障害や味覚障害を経験している人にとって朗報となる研究結果が発表された。COVID-19パンデミック初期に軽症のCOVID-19に罹患した人を3年間追跡したこの研究によると、罹患者と非罹患者との間での嗅覚障害と味覚障害の有病率は、罹患から3年後では同等であることが明らかになった。トリエステ大学(イタリア)のPaolo Boscolo-Rizzo氏らによるこの研究結果は、「JAMA Otolaryngology-Head and Neck Surgery」に11月9日掲載された。