ギリシャ・Agios Andreas General Hospital of PatrasのAndreas A. Argyriou氏らは、フレマネズマブで治療反応が認められた片頭痛患者における2年間投与後の治療中止の影響、片頭痛悪化後およびフレマネズマブ治療再開後の治療反応の違いを評価した。European Journal of Neurology誌2025年8月号の報告。
本研究は、Greek Research Alliance for Studying headache and Pain(GRASP)研究グループによるプロスペクティブ多施設共同リアルワールド試験である。フレマネズマブの24ヵ月投与を完了後に休薬し、その後片頭痛悪化に伴いフレマネズマブを再開した高頻度エピソード性片頭痛(HFEM)または慢性片頭痛(CM)患者149例を解析対象とした。1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD/MHD)およびその他の有効性における縦断的な変化を評価するため、ベースライン(T0)、3ヵ月目(T1)、24ヵ月目(T2)、治療休止期間(T3)、フレマネズマブ再開後3ヵ月目(T4)に面接調査を行った。主要評価項目は、T4における50%以上および75%以上の奏効率をT3とT2間での比較とした。
主な結果は以下のとおり。
・過去にフレマネズマブで治療反応を示した患者において、T3で片頭痛が再発した。フレマネズマブ再開は過去の治療時と同等の効果を示さず、とくにCMにおいて50%以上の奏効率の低下が認められた。
・T4では、過去に治療反応を示したHFEM患者6例(9.7%)およびCM患者27例(31%)は、T3と比較して50%以上のMMD/MHD減少を達成できなかった。
・T3で75%以上の反応を示したHFEM患者およびCM患者のスーパーレスポンダーの割合もT4では低下した。
著者らは「フレマネズマブを24ヵ月以降に中止すると、MMD/MHDが上昇することが明らかとなった。また、フレマネズマブを再開しても、最初の3ヵ月間は、フレマネズマブ中止前と比較して、効果が相対的に低下する可能性が示唆された」とし「今回の結果は、片頭痛予防において抗CGRP抗体による治療を中断することを義務付ける根拠に疑問を投げかけるものである」としている。
(鷹野 敦夫)