精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

ブロークンハート症候群による死者数は依然として多い

 「ブロークンハート症候群」と聞くと、深い喪失感から心が打ちひしがれるといったロマンチックなおとぎ話をイメージするかもしれない。しかし、正式には「たこつぼ型心筋症(Takotsubo cardiomyopathy;TC)」と呼ばれるこの疾患は、高い死亡率や合併症の発生率に関連しており、こうした状況は改善していないことが、米アリゾナ大学サーバー心臓センター臨床教授のMohammad Reza Movahed氏らによる研究で示された。詳細は、「Journal of the American Heart Association」に5月14日掲載された。

うつ病予防に対するカフェインの作用メカニズム

 疫学研究において、カフェイン摂取はうつ病と逆相関しており、腸内細菌叢に影響を及ぼす可能性があることが示唆されている。中国・重慶医学大学のWentao Wu氏らは、うつ病と腸内細菌叢との関連に着目し、予防的なカフェイン摂取が腸脳軸に作用することでうつ病発症に影響を及ぼすかを調査するため、本研究を実施した。European Journal of Pharmacology誌オンライン版2025年5月8日号の報告。  オスC57BL/6Jマウスを対照群、慢性予測不能ストレス(CUS)を負荷した群(CUS群)、カフェイン(CAF)を腹腔内投与後、CUSを負荷した群(CAF群)にランダムに割り付けた。うつ病様行動および不安様行動を評価し、腸脳軸関連分子を調査した。

レカネマブによる治療はメモリークリニックでも可能

 レカネマブ(商品名レケンビ)は、アルツハイマー病(AD)の進行抑制に有効な初めての抗アミロイドβ抗体薬として、2023年に米食品医薬品局(FDA)に承認された。しかし、承認前の臨床試験で、この薬剤は脳浮腫や脳出血などの副作用を伴うことが示されたことから、実用化には懸念の声も寄せられていた。こうした中、レカネマブに関する新たなリアルワールド研究により、記憶に関する専門クリニック(メモリークリニック)でも副作用をコントロールしながら安全にレカネマブによる治療を行えることが示された。論文の上席著者である米ワシントン大学医学部神経学教授のBarbara Joy Snider氏らによるこの研究結果は、「JAMA Neurology」に5月12日掲載された。

救急外来におけるアルコール使用障害マネジメントの課題

 アルコール使用障害は、世界で1億人に影響を及ぼしているといわれており、救急外来への受診につながるケースも少なくない。近年の研究では、救急外来でnaltrexoneを投与することで飲酒行動を効果的に抑制することが示唆されているが、十分に活用されているとはいえない。米国・ペンシルベニア大学のIvan Covarrubias氏らは、救急外来においてnaltrexone投与開始を検討する際、臨床医と患者が直面する障壁およびnaltrexone投与を促進するための介入を特定するため、本研究を実施した。The Journal of Emergency Medicine誌オンライン版2025年1月23日号の報告。

行方不明の認知症患者が亡くなっている場所とは/警察庁

 認知症患者が一人歩き中に行方不明になると、事件・事故に巻き込まれるケースがあるため、家族などから行方不明者届(旧捜索願)が警察に出されることも多い。  警察庁は、6月5日に「令和6年における行方不明者届受理等の状況」を公表した。この中で、認知症による行方不明者数は令和6(2024)年で1万8,121人おり、平成27(2015)年の1万2,208人より緩やかに増加していることが判明した。  警察に届出のあった行方不明者数全体は8万2,563人(前年比7,581人減少)であり、男性5万2,502人(63.6%)、女性3万61人(36.4%)と男性の方が多かった。年代別では、10~20代の行方不明が多く、全体の約4割を占めていた。原因・動機では、疾病関係が2万3,663人で1番多く、家庭関係が1万2,466人、事業・仕事関係が6,722人と続いていた。

統合失調症に対するコリン作動薬の有用性~RCTメタ解析

 統合失調症患者の3人に1人は、副作用や限られた有効性のため、従来の抗精神病薬による治療反応が不十分である。ムスカリン受容体とニコチン受容体を標的とし、統合失調症の病態生理に関連するコリン作動薬の機能不全を活用した、新たな治療法が注目されている。インド・All India Institute of Medical SciencesのAmiya Shaju氏らは、統合失調症に対するコリン作動薬の有効性および安全性を評価するため、ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を実施した。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2025年5月2日号の報告。

日本人高齢者の脳Aβ沈着に対するDHAの保護効果

 アルツハイマー病は、アミロイドベータ(Aβ)プラークの蓄積により引き起こされるが、そのメカニズムはいまだに解明されていない。オメガ3(ω3)脂肪酸、とくにドコサヘキサエン酸(DHA)には、保護作用があるといわれているが、Aβ蓄積との関係は、完全に解明されているとはいえない。米国・ピッツバーグ大学の関川 暁氏らは、ω3脂肪酸の摂取量が多いことで知られている日本人において、認知機能が正常な日本人高齢者を対象に画像診断の6〜9年前に測定した血清DHAおよびエイコサペンタエン酸(EPA)濃度が、脳Aβ沈着と逆相関を示すかを調査しました。PETに基づくAβ陽性と判定されたアルツハイマー病進行リスクの高い高齢者に焦点を当て、DHAが早期アミロイド病変を軽減する可能性を評価した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2025年5月8日号の報告。

うつ病合併片頭痛に対するフレマネズマブの有効性〜UNITE試験

 片頭痛とうつ病は併発することが多いものの、両疾患を合併した患者における片頭痛予防に関する有効性を評価したエビデンスは限られている。米国・Albert Einstein College of MedicineのRichard B. Lipton氏らは、うつ病を合併した成人片頭痛患者におけるフレマネズマブの有効性および安全性を評価するため、二重盲検プラセボ対照並行群間ランダム化試験であるUNITE試験を実施した。JAMA Neurology誌オンライン版2025年5月5日号の報告。  UNITE試験は、4週間のスクリーニング期間、12週間の二重盲検期間および12週間の非盲検継続試験により構成され、2020年7月9日〜2022年8月31日に12ヵ国、55施設で実施した。対象患者は、スクリーニング前12ヵ月以上にわたりDSM-V基準に基づくうつ病歴があり、スクリーニング時に活動性の抑うつ症状を呈した反復性片頭痛(EM)または慢性片頭痛(CM)の成人患者。フレマネズマブ225mgを月1回投与したフレマネズマブ群とプラセボ群に1:1でランダムに割り付けられた。継続試験に参加した患者には、フレマネズマブ675mgを四半期ごとに投与した。主要アウトカムは、12週間の二重盲検期間中における1ヵ月当たりの片頭痛日数のベースラインからの変化量とした。

思春期うつ病に最も効果的な抗うつ薬は?

 中国・Capital Medical UniversityのTianwei Wu氏らは、10代の若者におけるうつ病治療に対する各種抗うつ薬の有効性を評価し、思春期うつ病に対する治療の有効性および忍容性を評価するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。BMC Psychiatry誌2025年5月10日号の報告。  対象は、各種診断基準(DSM-5、CCMD-3、DSM-4、ICD10/11)でうつ病と診断された6〜18歳の青年。2024年10月までに公表されたランダム化比較試験(RCT)を主要データベース(PubMed、Cochrane Library、Web of Science)よりシステマティックに検索した。検索に使用したキーワードは、うつ病、うつ病性障害、感情障害、青年期、若年成人、未成年者、fluoxetine、セルトラリン、パロキセチン、agomelatine、vilazodone、エスシタロプラム、ベンラファキシンとした。バイアスリスクは、Cochraneバイアスリスクツールを用いて評価した。

糖尿病患者の認知症リスク低減、GLP-1薬とSGLT2阻害薬に違いは?

 GLP-1受容体作動薬(GLP-1薬)およびSGLT2阻害薬と2型糖尿病患者のアルツハイマー病およびアルツハイマー病関連認知症(ADRD)のリスクを評価した結果、両剤はともに他の血糖降下薬と比較してADRDリスクの低下と関連しており、GLP-1薬とSGLT2阻害薬の間には有意差は認められなかったことを、米国・University of Florida College of PharmacyのHuilin Tang氏らが明らかにした。JAMA Neurology誌2025年4月7日号掲載の報告。  GLP-1薬およびSGLT2阻害薬とADRDリスクとの関連性はまだ確認されていない。そこで研究グループは、2型糖尿病患者におけるGLP-1薬およびSGLT2阻害薬に関連するADRDリスクを評価するために、2014年1月~2023年6月のOneFlorida+ Clinical Research Consortiumの電子健康記録データを使用して、無作為化比較試験を模倣するターゲットトライアルエミュレーションによる検証を実施した。対象は50歳以上の2型糖尿病患者で、ADRDの診断歴または認知症治療歴がない者とした。ADRDは臨床診断コードを用いて特定した。