腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:293

ピオグリタゾンと膀胱がんの関連はいかに…(解説:吉岡 成人 氏)-589

2016年3月末、英国のプライマリケアのデータベースを利用して、14万5,806例の新たに治療を開始した2型糖尿病患者を解析したデータにおいて、ピオグリタゾン投与群ではそれ以外の薬剤治療群と比較してハザード比で1.63(95%信頼区間:1.22~2.19)倍、膀胱がんの発症が多いことがBritish Medical Journal誌に報告された。

再発/転移上咽頭がん、GEM+CDDPが有用/Lancet

 再発または転移上咽頭がんに対し、ゲムシタビン+シスプラチンはフルオロウラシル+シスプラチンと比較して、無増悪生存期間を有意に延長することが報告された。中国・中山大学がんセンターのLi Zhang氏らが第III相多施設共同無作為化非盲検試験の結果を、Lancet誌オンライン版2016年8月23日号で発表した。試験は中国国内22施設で、ECOG PSが0または1、臓器機能正常、RECISTガイドラインver1.1で測定可能病変を有する患者を対象に行われたもの。再発または転移上咽頭がんの転帰は不良であり、1次治療の化学療法は確立されていない。今回の結果を踏まえて著者は、「本検討の患者集団においてゲムシタビン+シスプラチンは、1次治療の治療オプションであることが確認された」とまとめている。

早期乳がんの遺伝子診断で過剰な術後化療を回避/NEJM

 遺伝子診断の導入により、臨床リスクが高い乳がん患者の半数近くが、術後の化学療法は不要と判定され、毒性を伴う化学療法による過剰治療の回避につながる可能性があることが、ポルトガル・Champalimaud臨床センターのFatima Cardoso氏らが行ったMINDACT試験で示された。研究の成果はNEJM誌2016年8月25日号に掲載された。早期乳がん患者への術後補助療法の適用は、腫瘍および患者の特性に基づく臨床リスクで決定される。これらの特性を判定する診断ツールのアルゴリズムは、個々の患者の腫瘍の生物学的特性を考慮していないため、多くの患者が過剰治療となり、効果のない治療による毒性のリスクに曝されている可能性があるという。70遺伝子シグニチャー検査(MammaPrint)は、早期乳がん女性の臨床アウトカムの予測を改善することが示されている。

顔面移植術後の長期アウトカムは?/Lancet

 顔面移植では術前の十分な手術可否の検討と、術後の長期的なサポートプログラムが必要であることを、フランス・パリ第5大学のLaurent Lantieri氏らが単施設において前向きに追跡した結果、報告した。顔面移植は2005年以降に30件以上が実施されているが、これまでに長期追跡の報告論文はなかった。Lancet誌オンライン版2016年8月24日号掲載の報告。

再発/難治性多発性骨髄腫、daratumumab追加の3剤併用も有効/NEJM

 再発性または再発・難治性多発性骨髄腫に対し、ヒトIgGκモノクローナル抗体daratumumabを、ボルテゾミブとデキサメタゾンに併用することで、2剤のみの場合に比べ無増悪生存期間が延長し、12ヵ月無増悪生存率は約60%になることが示された。イタリア・トリノ大学のAntonio Palumbo氏らが、約500例の患者を対象に行った第III相無作為化比較試験の結果、明らかにした。daratumumabはCD38をターゲットとし、直接的・間接的な抗骨髄活性を誘発する。先行研究で、多くの前治療歴のある多発性骨髄腫患者に対して、単独療法の高い有効性が示され、またボルテゾミブとの併用療法では、新規に診断された多発性骨髄腫患者において同様の高い効果が示されていた。NEJM誌2016年8月21日号掲載の報告より。

地中海食と大腸がんリスク~本場イタリアでの検討

 地中海食の順守は数種のがんのリスク低下と関連しているが、地中海地方で実施した研究は少ない。今回、ミラノ大学のValentina Rosato氏らが、イタリアでの3件のケースコントロール研究のデータから、地中海食が大腸がんリスク低下に関与していることを確認した。British journal of cancer誌オンライン版2016年8月18日号に掲載。

ピオグリタゾンと膀胱がんリスク関連なし~欧州38万人の解析/BMJ

 2型糖尿病患者において、ピオグリタゾンの使用と膀胱がんのリスクに関連性はなく、ピオグリタゾンを長期間使用しても膀胱がんのリスクは増加しない。フィンランド・EPID ResearchのPasi Korhonen氏らが、欧州医薬品庁の要請で行った欧州4ヵ国での後ろ向きコホート研究で明らかにした。これまで多くの疫学研究でピオグリタゾンによる膀胱がんのリスク増加が報告されてきたが、なかには割り付けバイアスあるいは膀胱がんの危険因子に関する情報不足が認められた研究もあった。一方、最近ではピオグリタゾンと膀胱がんリスクとの関連はないという大規模長期追跡研究も報告されているが、今回も同様の結果であった。著者は、「欧州におけるピオグリタゾンの安全性に関する重要情報が上積みされた」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年8月16日号掲載の報告。

転移性脳腫瘍に対するSRSは、SRS+WBRTに比べて認知機能障害が少ない(解説:中川原 譲二 氏)-584

 全脳照射は、定位放射線照射後の腫瘍コントロールを改善するが、認知機能障害を合併するため、転移性脳腫瘍治療におけるその役割については、論争がある。1~3個の転移性脳腫瘍を有するがん患者では、SRS単独はSRS+WBRTに比べ認知機能の悪化割合が低いことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのPaul D Brown氏らの無作為化臨床試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年7月26日号に掲載された。