腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:296

全粒穀物摂取があらゆる病気発症リスクの抑制/回避に役立つ可能性を示唆!(解説:島田 俊夫 氏)-567

私たちは、主に三大栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質)をエネルギーの糧として生きているが、そのなかでも炭水化物が最大のエネルギー源であることは周知の事実である。しかしながら、炭水化物の摂り過ぎが、糖尿病、肥満、心臓疾患、がんの誘因になりうる可能性が取りざたされており、その反動で行き過ぎた糖質制限食が一部で行われ、逆に健康を悪化させているケースも散見されている。

トリプルネガティブ乳がん、veliparib+CBDCA併用の術前化学療法でpCR向上/NEJM

 トリプルネガティブの乳がん患者では、術前補助化学療法として標準療法に加え、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬veliparib+カルボプラチンを併用することで、病理学的完全奏効率が向上することが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHope S. Rugo氏らが、多施設共同の適応的無作為化第II相試験「I-SPY2」で明らかにしたもので、NEJM誌2016年7月7日号で発表した。乳がんは、遺伝的・臨床的不均一性から有効な治療の特定が困難になっている。研究グループは、実験的試験で効果のあるがんサブタイプを見つけることを目的とした。

進行全身性肥満細胞症、midostaurinが有効/NEJM

 すでに進行した全身性肥満細胞症に対する、新規開発薬midostaurin(PKC412)の有効性が、米国・スタンフォードがん研究所のJason Gotlib氏らによる国際多施設共同の第II相非盲検試験の結果、確認された。対象被験者には致死率の高い異型肥満細胞白血病の症例も含まれていた。進行全身性肥満細胞症は、予後不良で有効な治療選択肢がないまれな造血器腫瘍を伴う。midostaurinは、疾患発症の主因子であるKIT D816Vを阻害するマルチキナーゼ経口阻害薬である。NEJM誌2016年6月30日号掲載の報告。

膵がん切除後のS-1とゲムシタビンによる補助化学療法の有用性(解説:上村 直実 氏)-560

膵がんは、最も予後の悪い悪性腫瘍の1つであり、手術可能な早期がんで発見され治癒切除術が施行された場合でも、その5年生存率は20%程度であるとされている。手術単独での再発率が高いため、治癒率を上げるために補助化学療法が必要となる。膵がん切除後の補助化学療法は、ゲムシタビンを使用したものが標準レジメンとされているが、今回、日本で胃がんや大腸がんに対する主要な経口抗がん剤であるS-1の有用性を検討するため、S-1とゲムシタビンとのRCT「JASPAC-01研究」の結果が報告された。

乳房生検の診断精度、セカンド・オピニオンで改善/BMJ

 セカンド・オピニオンにより、乳房の病理組織の診断精度が統計学的に有意に改善することが、米国・ワシントン大学のJoann G Elmore氏らの検討で示され、BMJ誌オンライン版2016年6月22日号に掲載された。病理医による乳房生検組織の解釈には大きなばらつきがみられ、患者に害が及ぶ懸念があるとされる。乳房生検の2回目の評価では、統計学的に有意な初回診断からの変更が、患者の10%以上にみられることが報告されているが、誤判別を防止するアプローチとしてのセカンド・オピニオン戦略を系統的に比較した研究はこれまでないという。

ホジキンリンパ腫、中間PET-CT結果による治療変更は有効か?/NEJM

 進行期古典的ホジキンリンパ腫の患者に対し、ABVD(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)療法2サイクル後に中間PET-CTを行い、その結果を基に治療をガイドしていくことは有効なのか。英国・サウサンプトン大学のPeter Johnson氏らが、1,214例の患者を対象に無作為化比較試験にて検討した。中間PET-CTの結果が陰性例について、ブレオマイシンを除いたAVD療法に変更した場合、ABVD療法の継続例と比較して、肺毒性発生率は低下し、有効性に有意な低下は認められなかったという。NEJM誌2016年6月23日号掲載の報告。

太り過ぎの期間が10年増えるとがんリスクが1.4倍

 欧米の8つのコホート研究の約33万人について、高齢者のがん発症リスクにおける過体重の期間・程度の影響について検討したところ、長期間の過体重が有意にがん発症と関連することを、国際がん研究機関(IARC、本部:フランス・リヨン)のMelina Arnold氏らが報告した。European journal of epidemiology誌オンライン版2016年6月14日号に掲載。

全粒穀物の摂取は、あらゆる死亡リスクを下げる/BMJ

 全粒穀物の摂取は、心血管疾患、がん、全死亡、呼吸器疾患・感染症・糖尿病・非心血管疾患または非がんによる死亡のリスク低下と関連していることを、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのDagfinn Aune氏らが、前向き研究のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。全粒穀物の摂取量の多さと、2型糖尿病、心血管疾患および体重増加のリスク低下が関連することが示唆されていたが、慢性疾患や死亡リスクを低下させるための全粒穀物の摂取量や種類はよくわかっていなかった。著者は、「慢性疾患や早期死亡のリスクを減らすために全粒穀物を多く摂取する食事ガイドラインが推奨される」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年6月14日号掲載の報告。

自殺リスクの高い胃がん患者の特性は

 胃がん患者の自殺リスクは米国一般住民の約4倍で、診断から3ヵ月以内が最も高いことがわかった。さらに「男性」「白色人種」「独身」「遠隔転移のある病期」が有意に自殺リスクの増加と関連していた。東海大学医学部付属八王子病院放射線治療科の菅原 章友氏らが報告した。Japanese journal of clinical oncology誌オンライン版2016年6月15日号に掲載。