腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:291

エルロチニブによるNSCLCネオアジュバントの有効性(CTONG-1103)/ESMO2018

 EGFR-TKIゲフィチニブによるEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法は、ADJVANT試験において、PFSの有意な延長が報告された。CTONG-1103試験は、のStageIII-N2 EGFR変異陽性NSCLCの術前補助療法において、エルロチニブ単剤とゲムシタビン+シスプラチン(GC)を比較したオープンラベル無作為化比較第II相試験である。ドイツ・ミュンヘンでの欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)において、その結果が発表された。

FTD/TPI、3次治療以降の胃がんでOS、PFSを延長(TAGS)/ESMO2018

 転移を有する胃がん(mGC)の予後は不良で、5年OS率は4%とされる。また、3次治療の選択肢が限られており、高度の前治療を受けた患者における課題は多い。トリフルリジン・チピラシル(FTD/TPI)(商品名:ロンサーフ)は、治療歴のあるmGC患者を対処にした我が国の第II相EPOC1201試験で、全生存期間(OS)中央値8.7ヵ月、病勢コントロール率(DCR)65.5%という成績が報告されている。ドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)では、3次治療以降の転移を有する胃・胃食道接合部がん(mGC/GEJC)患者を対象に、FTD/TPIとプラセボを比較したTAGS試験の結果が報告された。

PI3K阻害薬alpelisib、HR+/HER2-進行乳がんでPFS約2倍(SOLAR-1)/ESMO2018

 ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)進行乳がんにおいて、α特異的PI3K阻害薬alpelisibとフルベストラントの併用療法が、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。HR+/HER2-乳がん患者の約40%がPIK3CA遺伝子変異を有する。日本も参加している第III相SOLAR-1試験の結果に基づき、フランス・パリ第11大学のFabrice André氏がドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で報告した。SOLAR-1試験では、閉経後女性および男性の、HR+/HER2-進行乳がん患者(ECOG PS≦1、1ライン以上のホルモン療法歴あり、進行後の化学療法歴はなし)を対象に、PIK3CA遺伝子変異陽性もしくは陰性コホートでそれぞれ、alpelisib併用群(alpelisib 300mg/日+28日を1サイクルとして、フルベストラント500mgを1サイクル目の1日目と15日目、以降1日目に投与)とプラセボ群(プラセボ+28日を1サイクルとして、フルベストラント500mgを1サイクル目の1日目と15日目、以降1日目に投与)に1:1の割合で無作為に割り付けた。

MSI-H固形がんへのペムブロリズマブ、日本人サブ解析結果(KEYNOTE-158)/癌治療学会

 マイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H)固形がんの日本人症例に対するペムブロリズマブの有用性が示された。MSI-H固形がん(大腸がん以外)を対象としたペムブロリズマブの第II相試験(KEYNOTE-158)における日本人7例でのサブグループ解析結果について、近畿大学の中川 和彦氏が10月18~20日に横浜市で開催された第56回日本癌治療学会学術集会で発表した。  本試験は、大腸がん以外の転移のあるもしくは切除不能のMSI-H固形がんが対象。進行もしくは標準的な1次治療に不耐容、かつECOG PS 0~1の患者がエントリーされた。ペムブロリズマブ200mgを3週ごとに最大2年間投与した。最初の1年間は9週ごとに、それ以降は12週ごとに画像診断を実施した。主要評価項目は奏効率(ORR)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、安全性であった。

オシメルチニブ1次治療における耐性獲得機序(FLAURA)/ESMO2018

 進行EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患の1次治療に対する第III相FLAURA試験において、オシメルチニブは、標準治療EGFR-TKI(ゲフィチニブ、エルロチニブ)と比較して優れた有効性を示し、1次治療の適応となった。そのため、オシメルチニブ1次治療における獲得耐性メカニズムについての知見は、今後の治療開発にとって重要な情報である。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018 Congress)では、上記FLAURA試験中に進行した患者におけるオシメラチニブに対する獲得耐性メカニズムに関する予備的データが報告された。

nab-パクリタキセル+アテゾリズマブ、トリプルネガティブ乳がんでPFS延長(IMpassion130)/ESMO 2018

 進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)への1次治療として、nab-パクリタキセルと抗PD-L1抗体アテゾリズマブの併用療法が、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。日本も参加している第III相ランダム化比較試験IMpassion130の結果に基づき、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏がドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で報告した。同患者対象の1次治療の第III相試験で、免疫療法についてポジティブな結果が出たのは初となる。

メディカル・アフェアーズの役割は医療と製薬産業の橋渡し

 2018年9月29日に開催された第9回日本製薬医学会年次大会において、製薬企業におけるメディカルアフェアーズ(MA)とメディカルサイエンスリエゾン(MSL)の役割や期待に対する葛藤などについて、西村 剛氏(大日本住友製薬)、柴 英幸氏(アストラゼネカ社)、松本 志保氏(武田薬品工業)、向井 陽美氏(アッヴィ合同会社)が発表した。  MAとは、セールスの評価を伴わず、自社製品における適正使用の推進や正しい臨床成績を出すための製薬企業の一部門である。医薬品は製剤情報をはじめ、市販後の情報が追加・付加されることで価値が高まっていく。創出した医学情報は治療の選択肢を増やすことにつながり、医療従事者や患者にとってメリットになる。そのため正しい臨床情報を創出することが重要である。

免疫CP阻害薬の治療効果と便秘の関係

 近年、腸内細菌叢にある宿主免疫制御が報告され、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の治療効果との相関が注目されている。また、腸内細菌叢は排便習慣により変化することが報告されている。非小細胞肺がん(NSCLC)患者における便通異常と、ICIの治療効果の関連性について後ろ向きに検討した京都府立医科大学の研究結果が、片山 勇輝氏らにより第16回日本臨床腫瘍学会で報告された。