腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:294

高齢がん患者、認知機能障害だと2年死亡率が6倍

 高齢がん患者でがん治療開始時に認知機能障害であった場合、生存率にはどのくらい影響するのだろうか。ベルギー・ブリュッセル自由大学のYves Libert氏らは、縦断的な2年間の追跡調査により、認知機能障害のある高齢患者はそうでない患者に比べ、がん治療開始後の2年間で死亡するリスクが6倍であったことを報告した。著者らは、高齢患者の罹患率と死亡率を減らすための介入ができるように、がん治療開始時に認知機能障害についてスクリーニングすべきとしている。PLOS ONE誌2016年8月1日号に掲載。

前立腺全摘除術、ロボット支援腹腔鏡 vs.開腹手術/Lancet

 ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術vs.開腹恥骨後式前立腺全摘除術のアウトカムを直接比較する第III相無作為化試験の術後早期12週時点の結果が発表された。オーストラリア・Royal Brisbane & Women's Hospital(RBWH)のJohn W Yaxley氏らによる検討で、機能的アウトカムについて有意差はみられなかったという。著者は、さらなる長期追跡が必要であるとしたうえで、「中間解析の時点では、患者は手術アプローチではなく、信頼を寄せている気心が通じた経験豊かな執刀医の選択を優先することを推奨する」と述べている。これまで両手術アプローチを比較した試験のデータはなかった。Lancet誌オンライン版2016年7月26日号掲載の報告。

転移性脳腫瘍の放射線治療、認知機能を維持するには/JAMA

 1~3個の転移性脳腫瘍を有するがん患者では、定位放射線照射(SRS)単独はSRS+全脳照射(WBRT)に比べ認知機能の悪化割合が低いことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのPaul D Brown氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年7月26日号に掲載された。SRSが適応となる転移性脳腫瘍では、SRS施行後にWBRTを加えると腫瘍コントールが改善するが、認知機能の低下を招くため、脳転移の治療におけるWBRTの役割について議論が続いている。

10~30代での飲酒が精巣胚細胞腫瘍リスクに

 精巣胚細胞腫瘍(TGCT)の病因についてこれまでのデータから、出生後の環境や生活習慣が関与する可能性が示唆されている。今回、米国ワシントン大学のMary L Biggs氏らが集団ベースの症例対照研究で調べた結果、青年期や成人期の飲酒がTGCTリスクの増加に関連する可能性があることが示唆された。International journal of cancer誌オンライン版2016年7月30日号に掲載。

日々の適度な身体活動が長時間座位による死亡リスクを抑制/Lancet

 毎日の適度な身体活動(1日約60~75分)は、長時間座位と関連する死亡リスクを排除すると思われることが、英国・ケンブリッジ大学のUlf Ekelund氏らによる男女100万人超のデータをメタ解析した結果、明らかにされた。一方で、同活動はTV視聴時間と関連する死亡リスクについては、低減はするが排除するまでには至らなかった。長時間座位は多くの慢性症状や死亡との関連が示唆されている一方、身体活動が長時間座位による有害作用を減少もしくは排除にまで至るのかは不明であった。著者は、「検討の結果は、とくに長時間座位労働者が増えており、今後パブリックヘルスの推奨が行われていく社会において、身体活動のベネフィットについてさらなるエビデンスを提供するものだった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年7月27日号掲載の報告。

甲状腺がん1次治療後の画像診断を再考すべき/BMJ

 分化型甲状腺がんの1次治療後の画像診断検査の実施は、再発治療の増加と関連しているが、放射性ヨウ素スキャンによるもの以外は、疾患特異的生存率の改善には結び付いていないことが、米国・ミシガン大学のMousumi Banerjee氏らの検討で明らかにされた。米国では過去20年で甲状腺がん発症率が上昇しているが、その上昇の大半は死亡に至らない低リスク甲状腺がんの増加による。一方で同一時期に甲状腺がんの1次治療後の画像診断施行も増加したことから、研究グループは、この画像診断の実施が再発治療や疾患死亡の低下と関連していないかを調べた。著者は、「検討の結果は、1次治療後の不必要な画像診断を抑制することの重要性を強調し、甲状腺がんのサーベイランスのあり方を見直す必要があることを提示するものであった」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年7月20日号掲載の報告。

体外受精は乳がんリスクを増加させるか?/JAMA

 1980~95年にオランダで不妊治療を受けた女性を平均21年追跡し、乳がんリスクについて体外受精(IVF)療法群と非IVF療法群を比較したが、体外受精群のリスク増加はみられず、一般集団と比較しても乳がんリスクに有意な差はないことが示された。オランダがん研究所のAlexandra W. van den Belt-Dusebout氏らが、後ろ向きコホート研究「OMEGA」の結果、報告した。これまでにいくつかの研究で、IVFのため卵胞刺激を行った女性の乳がんリスク増加が報告されているが、追跡期間が短いなどの限界があり、結論は得られていなかった。今回の所見を受けて著者は、「IVF療法を受けた女性で乳がんリスクは増加しない」とまとめている。JAMA誌2016年7月19日号掲載の報告。

高齢者肺がんの長期生存、放射線治療 vs.低侵襲手術/BMJ

 高齢者肺がんに対する、体幹部定位放射線治療(stereotactic ablative radiotherapy:SABR)後および胸腔鏡下肺葉切除後のがん特異的生存率でみた長期生存を比較した結果、とくに腫瘍径が大きい症例では胸腔鏡下肺葉切除のほうが、有意に改善する可能性が示唆された。米国・RWJ Barnabas Health SystemのSubroto Paul氏らによる、全米集団ベース傾向適合比較解析を行った結果で、著者は、「交絡因子が排除しきれず結果は限定的だが、手術可能な早期肺がんでSABRの治療選択が浸透する前に、さらなる詳細な評価を行う必要があるだろう」とまとめている。SABRは手術可否を問わず、早期非小細胞肺がんに有用とされている。SABR後の生存率について、低侵襲手術による切除後に疾患リスクが改善した場合と比べた場合に、同等であるかどうかは明らかになっていなかった。BMJ誌オンライン版2016年7月8日号掲載の報告。