腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:267

肝がん1次治療、レンバチニブ対ソラフェニブREFLECT試験の日本人データ/日本臨床腫瘍学会

 レンバチニブ(商品名:レンビマ)は、VEGFR1~3、FGFR1~4、PDGFRα、RET、KITを標的とした経口マルチキナーゼ阻害薬であり、進行肝細胞がん(HCC)において、従来の標準治療薬であるソラフェニブ(商品名:ネクサバール)に対する非劣性が国際無作為化オープンラベル第III相非劣性試験REFLECT試験で示されている。第15回日本臨床腫瘍学会では、同試験の日本人集団の解析結果が、国立がん研究センター東病院池田 公史氏より発表された。

大部分のがんは男性で発症しやすく生存率も低い

 がんの発症リスクと生存率における性差について、スウェーデンがん登録のデータで調査したところ、男性のほうが39がん種のうち34がん種で発症リスクが高く、27がん種で生存率が低いことをスウェーデン・カロリンスカ研究所のCecilia Radkiewicz氏らが報告した。著者らは、「これらの性差を引き起こす原因を特定して排除することで、全体的ながん負担を軽減させる可能性がある」としている。European journal of cancer誌オンライン版2017年8月10日号に掲載。

乳房温存術後の放射線照射、全乳房vs.部分vs.減量/Lancet

 早期乳がんに対する乳房温存術後の放射線療法において、乳房部分照射単独あるいは減量全乳房照射+乳房部分照射は、標準的な全乳房照射に対し5年同側乳房再発率に関して非劣性であることが検証され、有害事象も同等または少ないことが確認された。英国・ケンブリッジ大学のCharlotte E. Coles氏らが、同国放射線治療センター30施設で実施した第III相多施設共同無作為化試験「IMPORT LOW」の5年追跡結果を報告した。著者は、「この方法は難しくなく、世界中の放射線治療センターで実施可能である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年8月2日号掲載の報告。

メトホルミン、腸内細菌叢や免疫系への影響は?

 最近の研究で、メトホルミンが腸内細菌叢や免疫系にも影響を及ぼすことが明らかになっている。このことは、2型糖尿病に対してだけではなく、がんやその他の疾病に対するメトホルミンの新たな適応の可能性を示すものである。カナダ・McGill大学のMichael Pollak氏は、これらの分野におけるいくつかの研究結果について概観し、「基礎研究で得られている結果を基に、細菌叢の組成や薬物動態に注意を払いつつ、臨床的関連性を明らかにしていくことが重要だろう」とまとめている。Diabetologia誌オンライン版2017年8月2日号に掲載。

切除不能大腸がん、FOLFOX6/CapeOX対S-1+CPT-11/日本臨床腫瘍学会

 FOLFOXおよびCapeOXレジメンは切除不能大腸がん(mCRC)の1次治療として最も多く用いられる。しかし、オキサリプラチンベースレジメンの有害事象である末梢神経障害は、治療中断の原因となり、またQOLの低下をもたらす。一方、S-1+イリノテカン(CPT-11)療法は、2次治療におけるFOLFIRIレジメンとの非劣性が証明されているものの、1次治療での有用性は確立していない。大崎市民病院の蒲生 真紀夫氏は、S-1+CPT-11+ベバシズマブ(Bmab)のmFOLFOX6/CapeOX+Bmabに対する非劣性および優越性を検証する無作為化第III相試験TRICOLORE試験を実施し、その結果を第15回日本臨床腫瘍学会で発表した。

乳がん術後リンパ浮腫、弾性スリーブによる発症予防効果が明らかに

 乳がん関連リンパ浮腫(BCRL)は、手術後の大きな長期合併症の1つである。BCRLにおける圧縮治療の有効性については数多く報告があるが、圧縮衣服の術後予防を評価する無作為化比較試験はない。そこで、ポーランドSt. Lazarus Hospice のKatarzyna Ochalekらにより、術後の腫脹および乳がんに関連する腕リンパ浮腫の発生率を低下における軽度弾性スリーブの潜在的役割を評価することを目的とした研究が行われた。

BRCA1/2変異保有者における乳がん、卵巣がんおよび対側乳がん発症リスクに関する大規模研究(解説:矢形 寛 氏)-710

本研究は欧米の3つのコンソーシアムに登録されているBRCA1/2変異保有者における前向き観察研究であり、遺伝カウンセリングを行ううえで非常に参考になるものである。今まではメタ分析あるいは英国の前向き研究の結果を用いていたが、今後はより規模が大きく精度の高い本研究の結果を活用したい。

PDE5阻害薬で皮膚がんリスク増大か

 ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬とメラノーマとの関連が議論の的となっているが、米国・インディアナ大学のHuilin Tang氏らは、観察研究のメタ解析を行い、PDE5阻害薬の使用がメラノーマおよび基底細胞がんの発症リスク増加とわずかだが有意に関連していることを明らかにした。なお、結果について著者は、「潜在的な交絡因子のコントロールが一貫していない、異質性のある観察研究のみが解析対象となっていることに、研究の限界がある」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年7月17日号掲載の報告。

第4回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座【ご案内】

 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター、同院腫瘍化学療法外科、同大学院未来がん医療プロフェッショナル養成プラン、同大学院臨床腫瘍学分野、同大学院応用腫瘍学講座は、2017年10月1日(日)に、第4回「がんを考える」市民公開講座を開催する。本講座は、同院が地域がん診療連携拠点病院の活動の一環として、がんに関するさまざまなテーマで開催する公開講座の4回目となる。今回は『正しく知ろう!「化学療法」』をテーマに、化学療法の目的と効果、さまざまなサポートについて広く知ってもらうための内容となっており、各種ブース展示や体験コーナーなど、楽しく学べる企画が多数予定されている。