腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:265

乳がん化学療法、望ましいアントラサイクリンは?

 アントラサイクリン系抗がん剤の心毒性は古くから知られており、抗腫瘍効果との兼ね合いがよく話題に上る。中国・上海中医薬大学のZhujun Mao氏らは、乳がんに対するアントラサイクリン系薬の有用性はなお議論の的であり結論が得られていないとして、無作為化臨床試験のネットワークメタ解析を行った。その結果、心毒性と抗腫瘍効果を考慮すると乳がんの化学療法に適したアントラサイクリン系薬は、ドキソルビシンリポソームまたはエピルビシン+デクスラゾキサンであることが示されたという。Oncology Research and Treatment誌オンライン版2019年5月17日号掲載の報告。

胃がん、ペムブロリズマブによる1次治療の結果(KEYNOTE-062)/ASCO2019

 国内の進行・再発胃がんでの免疫チェックポイント阻害薬の使用は、化学療法無効後のニボルマブ、同じく化学療法無効後の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)例に対するペムブロリズマブがそれぞれ単剤療法で承認されている。ただ、現時点ではこうした進行・再発胃がんでの1次治療で承認されている免疫チェックポイント阻害薬は存在しない。  そうした中、進行胃・胃食道接合部腺がんに対する1次治療での抗PD-1抗体ペムブロリズマブの有効性を評価した第III相試験「KEYNOTE-062」の結果から、PD-L1陽性(CPS1以上)の患者で、ペムブロリズマブ単独療法は標準治療の化学療法に対して、全生存期間(OS)で非劣性、CPS10以上では臨床的に意義のある改善を示すことがわかった。また、ペムブロリズマブと化学療法の併用は、化学療法単独に対してOSで優越性を示せなかった。スペインVall d’Hebron University Hospital and Institute of OncologyのJosep Taberneroがシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で報告した。

MET阻害薬tepotinibのMETΔex14変異NSCLCに対する効果(VISION)/ASCO2019

 METエクソン14スキッピング変異(METΔex14)は非小細胞肺がん(NSCLC)の3~4%にみられる。tepotinibはMET受容体チロシンキナーゼ(c-MET)に高い選択性を有するMET-TKIであり、わが国でも非小細胞肺がんに対する先駆け審査指定制度対象品目に指定されている。VISION試験は、MET遺伝子変異を有するNSCLCに対するtepotinibの第II相シングルアーム試験で、コホートA(MET△ex14対象)とコホートB(MET増幅対象)に分かれる。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)ではコホートAの結果について発表された。

アパルタミド、転移去勢感受性前立腺がんのPFS、OSを改善/NEJM

 転移を伴う去勢感受性前立腺がんの患者に対し、アンドロゲン除去療法(ADT)+アパルタミド(商品名:アーリーダ)の併用は、ADT単独と比べて2年後の放射線学的無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)は、いずれも有意に改善したことが示された。副作用プロファイルは両群でほとんど異ならなかった。カナダ・BC Cancer and Vancouver Prostate CentreのKim N. Chi氏らが1,052例を対象に行った第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版5月31日号で発表された。被験者には、局所前立腺がん治療歴やドセタキセル投与歴のある人も含まれていたという。アパルタミドは、経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬で、本邦では5月30日に発売が開始された。

MET阻害薬capmatinibのMETΔex14変異NSCLCに対する効果(GEOMETRY mono1)/ASCO2019

 METエクソン14スキッピング変異(METΔex14)は非小細胞肺がん(NSCLC)の3~4%にみられ、予後不良かつ標準治療に奏効しにくいとされる。capmatinibは最も強力なMET阻害薬である。第II相多施設マルチコホートGEOMETRY mono1試験の中間解析では、治療ラインにかかわらずMETΔex14変異を有する進行NSCLC患者に深い奏効を示した。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)にて発表された。

超加工食品の高摂取で死亡リスク増大/BMJ

 超加工食品を1日4サービング以上摂取すると、死亡のハザードが相対的に62%増加し、1日1サービング増えるごとに死亡リスクが18%増加することが、スペイン・ナバラ大学のAnais Rico-Campa氏らの調査で示された。研究の成果はBMJ誌2019年5月29日号に掲載された。既報の成人を対象とした前向きコホート研究により、超加工食品の摂取は、がん、過敏性腸症候群、肥満、高血圧のハザードの上昇と関連することが知られている。

ビタミンDは消化管のがんに有用なのか?(解説:上村直実氏)-1059

脂溶性ビタミンであるビタミンDはカルシウムとともに骨代謝における重要な役割を担っているが、最近、動物実験において細胞増殖の抑制および細胞死の促進作用を示す成績が報告され、臨床研究においても国立がん研究センターによる住民コホート研究や欧米の観察研究の結果から血中ビタミンD濃度が高値を示す場合はがんの罹患リスクが低下することが報告されており、ビタミンDの補充療法によるがん予防や再発予防効果が期待されている。

BRCA変異膵がんの維持治療におけるオラパリブの効果(POLO)/ASCO2019

 現在なお固形がんの中では最も5年生存率が低いのが膵臓がんであり、また治療薬の選択肢が少ないという厳しい現実が横たわっている。しかし、近年、PARP阻害薬が一部の膵臓がんに有効との報告が相次いでいる。  そうしたPARP阻害薬の1つオラパリブが生殖細胞系BRCA(gBRCA)変異を持つ転移のある膵臓がんの1次治療後の維持療法として無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが明らかになった。米シカゴ大学のHedy L. Kindler 氏らが、gBRCA変異陽性進行膵臓がんの1次治療のプラチナ製剤で増悪しなかった患者での維持療法としてのオラパリブの有効性を検討したプラセボ対照二重盲検無作為化比較第III相POLO試験の結果として米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。

ペメトレキセド+シスプラチンのNSCLC術後アジュバントにおける可能性(JIPANG)/ASCO2019

 非小細胞肺がん(NCSLC)の術後アジュバントのプラチナベース化学療法においては、どの組み合わせが最も効果的かは明らかではない。静岡県立静岡がんセンターの釼持 広知氏らは、完全切除非扁平上皮NSCLCの術後補助療法において、ペメトレキセド+シスプラチン(CDDP)とビノレルビン(VNR)+CDDPを比較する無作為化第III相JIPANG Studyを実施。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)のOral Sessionにおいて、その結果を発表した。