医療一般|page:1

初発うつ病患者の抑うつ/不安症状と血圧との関係

 抑うつ症状および不安症状は、うつ病患者によくみられる症状である。しかし、未治療うつ病患者におけるこれらの症状と血圧との関連は、これまで十分に解明されていなかった。中国・南京医科大学第二附属医院のQi Qian氏らは、初回発症・未治療のうつ病患者における抑うつ症状および不安症状と血圧との間の潜在的な関連を検討するため、本研究を実施した。Scientific Reports誌2026年2月10日号の報告。  対象は、初回発症・未治療のうつ病患者1,718例。抑うつ症状はハミルトンうつ病評価尺度(HAMD-17)、不安症状はハミルトン不安尺度(HAMA)を用いて評価した。

既治療EGFR変異NSCLCにおけるsacituzumab tirumotecanのOS最終結果(OptiTROP-Lung03)/ELCC2026

 既治療のEGFR陽性非小細胞肺がん(NSCLC)においてsacituzumab tirumotecan(sac-TMT)が持続した全生存期間(OS)の改善を示した。  sac-TMTはTROP2を標的とした抗体薬物複合体(ADC)である。独自のリンカーでトポイソメラーゼI阻害薬belotecanの腫瘍細胞への送達を最大化する。すでに第II相OptiTROP-Lung03試験で、既治療のEGFR陽性NSCLCに対する有意な無増悪生存期間(PFS)およびOSの改善が報告されている。欧州肺がん学会(ELCC2026)では、中国・中山大学がんセンターのYunpeng Yang氏がOptiTROP-Lung03試験の最終OS解析を紹介した。

高齢者機能評価+コミュニケーション支援が高齢がん治療の安全性を改善/日本臨床腫瘍学会

 Webアプリを活用した高齢者機能評価(GA)に基づくマネジメントとコミュニケーション支援を組み合わせたプログラムが、高齢がん患者の健康アウトカムを改善した。  同プログラムの有効性を評価する多施設共同無作為化比較試験について、国立がん研究センターがん対策研究所の松岡 歩氏が第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)で発表した(2025年米国臨床腫瘍学会・発表演題の再報告)。  高齢がん患者では、栄養状態の低下、抑うつ、社会的孤立、身体機能低下といった加齢に伴う問題が、治療の安全性に大きく影響する。この問題は診療現場で十分に把握・共有されないまま治療が開始されることが多い。

帯状疱疹、50歳未満でも罹患リスクが高くなる6つの併存疾患

 50歳以上および免疫不全を有する成人では、帯状疱疹の罹患リスクが高いが、18~49歳の併存疾患を有する患者における帯状疱疹罹患リスクについてのエビデンスは不足している。グラクソ・スミスクラインのRachel A. Cohen氏らによる米国の医療保険請求データを用いた大規模後ろ向き研究の結果、特定の併存疾患を有する若年成人(30歳以上)では、50~59歳の併存疾患および免疫不全のない成人と比較して帯状疱疹の罹患リスクが高いことが示された。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2026年3月27日号掲載の報告。

筋力が高齢女性の死亡リスクと関連

 筋力が寿命に好ましい影響を与える可能性が報告された。高齢女性において、握力などで評価した筋力と8年間の追跡期間中の死亡リスクとの間に、有意な関連が見られたという。米ニューヨーク州立大学バッファロー校のMichael LaMonte氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に2月13日掲載された。  この研究では、高齢者の筋力の評価によく用いられている、握力および椅子から立ち上がる速度(5回立ち上がりテスト:椅子からの立ち上がり動作を5回行った所要時間)という2項目が測定された。その結果、高齢女性では握力が15ポンド(7kg弱)高いごとに死亡率が12%低下し、椅子から立ち上がる所要時間が6秒短いごとに死亡率が4%低下するという関連が示された。

日本における多剤併用の診療報酬改定が睡眠薬の長期処方に及ぼした影響

 神戸大学の木村 丈司氏らは、日本における多剤併用に関する診療報酬改定が高齢患者の睡眠薬の長期処方に及ぼす影響を評価するため、本研究を実施した。Geriatrics & Gerontology International誌2026年2月号の報告。  対象は、50歳以上の外来および入院患者。JMDC医療機関データベースを用いて分析を行った。対象とした睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬(BZD)、Z薬、ラメルテオンおよびオレキシン受容体拮抗薬(ラメルテオン/ORA)。2015~22年の各月における、外来および入院患者1万人当たりの睡眠薬新規処方率(4週間以上)を算出した。診療報酬改定が行われた2020年4月を介入点として、中断時系列分析を実施した。

緑茶は肝がんリスクを下げるのか~JACC Study

 緑茶の摂取と肝がんのリスクとの関連について、これまでの報告は一貫していない。今回、日本人成人の大規模な前向きコホート研究であるJACC Studyで、緑茶の摂取が肝がんリスクの低下と関連し、用量反応関係を示したことが報告された。Asian Pacific Journal of Cancer Prevention誌2026年4月号に掲載。  本コホート研究には、1988~90年のベースライン時点で肝がんの既往がなく、40~79歳の4万1,999人(男性1万8,205人、女性2万3,794人)が登録された。検証済みの自己記入式質問票を用いて、個人の社会人口統計学的特性、既往歴、生活習慣を評価し、2009年末まで肝がん発症状況を追跡した。

感染症の届け出基準を一部改正、多剤耐性緑膿菌感染症を全数把握へ/厚労省

 厚生労働省は、感染症法に基づく対象の感染症の届け出について、「医師及び指定届出機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準」を一部改正し、これまで定点把握の対象であった「薬剤耐性緑膿菌感染症」を全数把握の対象とし、名称を「多剤耐性緑膿菌感染症」と変更した。また、同感染症の届出のために必要な検査所見などについて、判定基準値が一部変更された。同改正は令和8年4月6日より適用されている。  「医師及び指定届出機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準」第6について、下記のとおり改正する。

不妊治療経験者のがん罹患率は一般女性とほぼ同程度

 不妊治療を受けても女性のがんリスクは高まらないとする新たな研究結果が報告された。研究によると、medically assisted reproduction(MAR、医療的に補助された生殖)を受けた女性での浸潤がんの罹患率は、一般女性と比べて高くないことが明らかになった。ただし、がんの種類によっては若干の違いが見られ、罹患率がやや高いものと低いものがあったという。ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)のビッグデータ健康研究センターのAdrian Walker氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に3月10日掲載された。

マルチビタミン・ミネラルが生物学的老化の進行をわずかに抑制か

 毎日マルチビタミン・ミネラル(MVM)を摂取することで得られる健康への効果は、老化の進み方にも及ぶ可能性があるようだ。新たな研究において、MVMを2年間摂取した高齢者では、生物学的老化における「wear and tear(体や遺伝子に蓄積していく摩耗や損耗)」の進行が遅くなる傾向が認められた。この効果は、研究開始時点ですでに老化が加速していた高齢者において顕著だったという。米マス・ジェネラル・ブリガムで予防医学部門副部長を務めるHoward Sesso氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に3月9日掲載された。  Sesso氏は、「現在、人々の関心は、単に長生きすることだけではなく、より良く生きることにも向けられている。

2日間のオートミール食で悪玉コレステロールが低下

 果物をトッピングするか、ピーナッツバターで風味をつけるかにかかわらず、オートミールを中心とした食事はコレステロール値の低下に役立つ可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。この試験では、メタボリックシンドロームの人が48時間にわたって厳格なオーツ麦ベースの食事プランを実践したところ、悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロール(LDL-C)が約10%低下し、その改善効果は6週間後も確認されたという。ボン大学(ドイツ)栄養・食品科学研究所のMarie-Christine Simon氏らによるこの研究結果は、「Nature Communications」に1月14日掲載された。  メタボリックシンドロームとは、過体重、高血圧、高血糖、脂質異常などの健康問題が組み合わさった状態であり、心臓病や2型糖尿病のリスクを高める。

体内CAR-T細胞生成による多発性骨髄腫治療、ESO-T01の第I相試験結果/Nat Med

 体内でのCAR-T細胞の生成は、体外培養やリンパ球除去を省略できるため、細胞療法へのアクセスを簡素化・迅速化する可能性がある。今回、再発・難治性多発性骨髄腫の成人患者を対象に、体内でCAR-T細胞を生成するレンチウイルスベクターであるESO-T01の安全性と忍容性を評価した第I相試験の結果を、中国・Huazhong University of Science and TechnologyのNing An氏らがNature Medicine誌オンライン版2026年3月25日号に報告した。  ESO-T01は、ナノボディ指向性の免疫遮蔽レンチウイルスベクターで、ヒト化抗B細胞成熟抗原(BCMA)CARをコードしている。

少量〜中等量でも死亡リスクが高まるお酒の種類は?/ACC2026

 過度な飲酒は健康に悪影響を及ぼすが、少量~中等量の飲酒と死亡率との関連については、飲料の種類によってリスク構造が大きく異なることがUKバイオバンクのデータを用いた大規模調査で明らかになった。本研究は米国心臓学会議(ACC2026、3月28~30日)のPoster Contributionsにおいて、中国・中南大学湘雅第二病院のZhangling Chen氏が発表し、Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2026年4月7日号(第87巻第13号増刊号)に掲載された。  本研究は、アルコールの総摂取量ならびに種類別摂取量と、全死亡および原因別死亡率との関連を明らかにするため、2006〜22年にUKバイオバンクに参加した34万924人を解析。各参加者を1日および1週間あたりの純アルコール摂取量(グラム)に基づいて4つのカテゴリーに分類し、Cox回帰分析した。

慢性片頭痛に対するオナボツリヌス毒素A+抗CGRP抗体~メタ解析

 オナボツリヌス毒素Aと抗CGRP抗体による二重標的療法は、単剤療法で効果が不十分な慢性片頭痛患者に対する潜在的な治療選択肢として浮上している。個々の観察研究報告からのエビデンスにおいて有益性が示唆されているが、利用可能な研究の規模、一貫性、方法論的な質については依然として不明である。イラン・テヘラン医科大学のAbbas Sarvari Soltani氏らは、慢性片頭痛におけるオナボツリヌス毒素Aと抗CGRP抗体の併用療法の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。European Journal of Medical Research誌オンライン版2026年2月20日号の報告。

肺がんのICIの投与のベストタイミングは午前か午後か(i-TIMES)/ELCC2026

 非小細胞肺がん(NSCLC)および小細胞肺がん(SCLC)における免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の投与タイミングについてスイス・ローザンヌ大学のSolange Peters氏が欧州肺がん学会(ELCC2026)で発表。午後投与は午前投与に対する非劣性を示した。  ICIの治療効果に、概日リズム(サーカディアンリズム)が与える影響については、長年議論されてきた。近年、ICIの抗腫瘍効果について、遅時間帯投与に比べ早時間帯投与で 臨床結果 が改善するという研究が、後ろ向き研究やメタアナリシスで示されている。

世界の乳がん負担、低所得国を中心に2050年まで増加すると予測

 乳がんによる死亡は、不健康な生活習慣などの影響により、今後15年にわたって増加し続けることが、新たな研究で予測された。世界の乳がんによる死亡数は、2023年の76万4,000人から2050年には137万人に増加し、新規罹患数も増加が見込まれたという。米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)のKayleigh Bhangdia氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Oncology」3月号に掲載された。  Bhangdia氏は、「乳がんは、依然として女性の生活や地域社会に深刻な影響を及ぼしている。

MASLD患者の心血管疾患入院、糖尿病合併で院内死亡リスク約2倍

 代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)患者が心血管疾患(CVD)で入院した場合、糖尿病併存例では院内死亡や合併症のリスクが有意に高いことが、日本の大規模レジストリ研究で明らかになった。研究は、宮崎大学医学部内科学講座循環器・腎臓内科学分野の小牧聡一氏、松浦祐之介氏らによるもので、2月15日付の「Diabetic Medicine」に掲載された。  MASLDは、従来の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に代わる新たな疾患概念として提唱されており、世界で最も頻度の高い慢性肝疾患の一つとされる。CVDとの関連が強いことから心血管リスク評価の重要性が指摘されているが、診断基準を構成する各代謝因子が予後に及ぼす影響については、十分に明らかになっていなかった。

『大型血管炎診療ガイドライン』改訂、治療のCQ推奨が新設/日本循環器学会

 大血管炎の高安動脈炎(TAK)や巨細胞性動脈炎(GCA)、そしてバージャー病に関する治療エビデンスや診断基準などをまとめた『2026年改訂版 大型血管炎診療ガイドライン』1,2)が8年ぶりに改訂された。第90回日本循環器学会学術集会(3月20~23日)会期中の3月20日に発刊され、本ガイドラインの研究班長を務めた中岡 良和氏(国立循環器病研究センター研究所副所長/血管生理学部長)が本学術集会プログラム「ガイドラインに学ぶ2」において、改訂点などを解説した。

胃がん周術期、デュルバルマブ+FLOTは日本人でも有効性を再現(MATTERHORN)/日本臨床腫瘍学会

 MATTERHORN試験は、切除可能な胃がん/胃食道接合部がん患者を対象に、周術期のデュルバルマブ+FLOT(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)療法の有用性を検討した試験である。昨年の米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で、デュルバルマブ+FLOT群がプラセボ+FLOT群と比較して無イベント生存期間(EFS)、病理学的完全奏効(pCR)、全生存期間(OS)を有意に改善したことが報告され、欧米の多くの国ではすでに標準治療となっている。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)のPresidential Sessionで愛知県がんセンターの室 圭氏が本試験の日本人集団の結果を報告した。

リアルワールドにおけるチルゼパチドの減量効果

 減量治療を行っている肥満患者への薬物治療において、チルゼパチドの効果はどのくらいあるのであろうか。このテーマについて米国・Weill Cornell MedicineのSarah R. Barenbaum氏らの研究グループは後ろ向きコホート研究を実施し、チルゼパチド治療を受けた成人の6ヵ月間の減量の転帰を分析した。その結果、チルゼパチドは全群において有意な体重減少をもたらすことがわかった。この結果はObesity誌オンライン版2026年3月28日号で公開された。