日本人統合失調症患者における抗精神病薬の治療パターンと機能アウトカムとの関係

提供元:ケアネット

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公開日:2025/12/23

 

 抗精神病薬の多剤併用や長時間作用型注射剤(LAI)の使用などの治療パターンは、統合失調症患者の機能アウトカムに影響を及ぼすのか。実臨床において、この課題に対する検討は、いまだ十分になされていない。福島県立医科大学の森 湧平氏らは、抗精神病薬の治療パターンと機能アウトカムとの縦断的な関係を明らかにするため、慢性期統合失調症患者を対象に10年間のレトロスペクティブ研究を実施した。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2026年2月号の報告。

 対象は、日本人慢性期統合失調症患者114例。1ヵ月当たりの全般的機能評価(GAF)スコア(122ヵ月以上)と抗精神病薬の治療パターン(多剤併用、LAI使用、クロルプロマジン[CP]換算量)との関係を評価した。前月の治療パターンが翌月のGAFスコアを予測するかを、lagged線形混合効果モデルを用いて検証した。抗精神病薬の累積投与量と最終GAFスコアおよび10年間の変化の評価には、最小二乗回帰分析を用いた。未治療期間により層別化し、サブグループ解析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・GAFスコアは、前月の多剤併用(推定値:+1.50±0.14、p<0.001)およびLAI使用(推定値:+1.89±0.27、p<0.001)と有意な正の関連を示した。また、前月のCP換算量(推定値:3.7×10-3±1.8×10-4、p<0.001)と有意な負の関連が認められた。
・入院は、機能アウトカムと負の関連を示した(β=-0.24、p=0.038)。
・多剤併用、LAI使用、CP換算量の累積は、最終的なGAFスコアおよび10年間のGAFスコアの変化の両方において有意な関連が認められなかった。
・未治療期間によるサブグループ解析では、すべてのモデルにおいて統計的に有意な結果は示されなかった。しかし、未治療期間が12ヵ月未満の患者では、教育水準と入院回数が長期的な機能アウトカムに影響を及ぼすことが示唆された。

 著者らは「抗精神病薬の多剤併用およびLAI使用は、短期的なGAFスコアの改善と関連していたが、高用量での使用は機能アウトカム低下を予測した。未治療期間に基づく解析では、全体として有意な関連は認められなかった」としている。

(鷹野 敦夫)