重症AKIの腎代替療法、開始遅延でも死亡率に影響なし/Lancet

生命を脅かす合併症がない重症の急性腎障害(AKI)患者への腎代替療法(RRT)の開始時期については、活発な議論が続いている。フランス・AP-HP Avicenne HospitalのStephane Gaudry氏らは、RRTの緊急適応のない重症AKI患者において、RRTを待機的に開始する遅延的戦略は、早期開始戦略と比較して生存への影響に差はなく、緊密な患者モニタリングの下で安全に延期が可能であることを示した。研究の詳細は、Lancet誌2020年5月9日号に掲載された。RRTの早期開始により、代謝異常や、死亡増加に関連する他の合併症のコントロールが改善する可能性があるが、医原性の合併症(低血圧症、出血、感染症、低体温症)をもたらす可能性がある。一方、RRTの開始を意図的に遅らせることで、腎機能が自然に回復するまでの時間を確保でき、RRTの必要性を除去する可能性があるという。