医療一般|page:300

低線量CTの肺がんスクリーニング、5年以上実施で10年生存が改善/Ann Oncol

 肺がんスクリーニングは肺がん死を減少するのか。National Lung Screening Trial(NLST)では、低線量CTによる年1回3年間の肺がんスクリーニングが肺がん死を減少させたことが示されている。イタリア・Foundation IRCCS国立がん研究所のUgo Pastorino氏らは、低線量CTによるさらに長期のスクリーニングについて評価する前向き無作為化臨床試験「Multicentric Italian Lung Detection:MILD試験」を行った。その結果、5年を超える長期スクリーニングは、NLST研究と比較し、早期発見のベネフィットの増強が可能であり、全死亡および肺がん死を大きく減少できる可能性が認められたという。

低食物摂取アルツハイマー病患者に対するリバスチグミンパッチの有効性

 多くのアルツハイマー病(AD)患者は、食物摂取不良や食欲不振を経験し、認知障害の進行を加速させる。これまでのいくつかの報告によると、リバスチグミンがAD患者の食欲を改善させることが示唆されている。香川大学の角 徳文氏らは、AD患者における低食物摂取を改善させるためのリバスチグミンパッチの有効性について検討を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年3月12日号の報告。  対象は、「AD患者の食物摂取に対するリバスチグミンの効果に関する研究」にて募集した、食欲不振または不十分な食物摂取のいずれかを経験したAD患者。

「働き方改革」一歩前進へ-ロボット麻酔システム-

 2019年4月16日、福井大学医学部の重見 研司氏(麻酔・蘇生学教授)、ならびに松木 悠佳氏(同、助教)とその共同研究者らは、全身麻酔の3要素である鎮静・鎮痛・筋弛緩薬をすべて自動的に制御する日本初のシステムについて厚生労働省で記者発表した。本会見には共同研究者の長田 理氏(国立国際医療研究センター麻酔科診療科長)、荻野 芳弘氏(日本光電工業株式会社 呼吸器・麻酔器事業本部専門部長)も同席し、実用化に向けた取り組みについて報告した。

心房細動アブレーションに対するエドキサバン継続 vs.ワルファリン継続(ELIMINATE-AF)【Dr.河田pick up】

 エドキサバンはFXa(活性化血液凝固第X因子)を選択的に阻害することにより、心房細動患者において脳梗塞を予防する。心房細動アブレーションを受ける患者に対するエドキサバンの継続療法に関しては、これまで試験が行われていない。  ELIMINATE-AF試験は、多国籍、多施設共同、オープンラベルの無作為化並行群間比較試験。カテーテルアブレーションを受ける心房細動患者における、ワルファリンと比較したエドキサバン(1日1回60mg、減量投与が必要な患者には30mg)の安全性と有効性を評価するために行われた。

境界性パーソナリティ障害に対する集団精神療法のメタ解析

 境界性パーソナリティ障害(BPD)治療ガイドラインでは、必須とはいかないまでも、患者ケアの重要な要素として精神療法を推奨している。米国・Rawson-Neal Psychiatric HospitalのStephanie P. B. McLaughlin氏らは、BPDに対する集団精神療法と通常治療(TAU)を比較したランダム化比較試験のメタ解析を行った。Psychotherapy誌オンライン版2019年3月14日号の報告。  グループおよび患者の特性、バイアス変数リスク、TAU比較条件の治療要素(精神療法が含まれるかどうかなど)に基づくアウトカムの違いを調査するため、モデレーター分析を行った。

女性化乳房のPPIによる発症リスクを調査

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)による女性化乳房の症例報告は多いが、大規模な疫学研究はなかった。今回、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のBonnie He氏らが大規模な後ろ向きコホート研究を実施し、男性患者におけるPPIによる女性化乳房リスクを調べた。その結果、PPI使用による女性化乳房発症リスクはアモキシシリン使用に比べ、50歳超で1.5倍であった。Pharmacotherapy誌オンライン版2019年3月13日号に掲載。

日本人の悪性黒色腫4,594例を解析、その特徴が判明

 筑波大学医学医療系皮膚科長・准教授・病院教授の藤澤 康弘氏を含む日本皮膚悪性腫瘍学会・Japanese Melanoma Study(JMS)の研究グループらは、日本人患者4,594例の悪性黒色腫による臨床的特徴や予後因子を分析した成果を、Cancer Medicine誌オンライン版2019年4月1日号で発表した。各ステージの5年疾患特異的生存率は白人種と同等の傾向がみられること、あらゆるステージで病型と生存率に関連性はみられないが、末端黒子型黒色腫(ALM)がStageIIIAでは予後不良と関連することなどが明らかになったという。著者は「このようなまれな浸潤性が強い悪性黒色腫をターゲットとした臨床試験の実施を提案する」と述べている。

EGFR陽性MET増幅NSCLCに対するオシメルチニブとsavolitinib併用(TATTON)/AACR2019

 MET増幅は、EGRF変異陽性進行NSCLCのEGFR-TKIの獲得耐性の1つとして注目されている。savolitinibは高い親和性を持つ経口MET-TKIとして開発中の薬剤である。進行NSCLCを対象にした第Ib相オープンラベル多施設共同試験TATTONの中間解析として、EGFR変異陽性MET増幅患者に対するオシメルチニブとsavolitinibの併用治療の結果米国がん研究会議年次集会(AACR2019)で報告された。  オシメルチニブとsavolitinib併用のコホートは2つ。コホート1では第1世代または第2世代EGFR-TKI治療での進行患者が、コホート2では第3世代EGFR-TKI治療での進行患者がそれぞれ登録された。対象患者にはオシメルチニブ80mg/日とsavolitinib600mg/日が投与された。

小児におけるリスペリドン使用関連有害事象

 リスペリドンは、小児の行動障害によく使用されるが、この集団における薬剤関連有害事象の定義は、あいまいである。米国・ヴァンダービルト大学のKazeem A. Oshikoya氏らは、リスペリドン治療を受けた小児における有害事象発生率およびリスク因子について検討を行った。Drugs-Real World Outcomes誌オンライン版2019年3月27日号の報告。  ジェネラリストおよび小児科専門医が所属する学術医療センターで、4週間以上のリスペリドン治療を受けた18歳以下の患者を対象とした。

VT/VFに対するランジオロールの試験結果が発表/日本循環器学会

 短時間作用型β1選択的遮断薬ランジオロール(商品名:オノアクト)に対し、2019年3月に「生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合:心室細動、血行動態不安定な心室頻拍」の効能が追加承認された。  その根拠となった後期第II相/第III相試験[J-LandII study]の結果が、第83回日本循環器学会学術集会(2019年3月29~31日)で発表された。発表者は、東京女子医科大学循環器内科、志賀剛氏。  J-LandII studyは、III群抗不整脈薬を使用しているにも関わらず血行動態が不安定な心室頻拍(VT)/心室細動(VF)を呈する患者を対象に、ランジオロールの有効性と安全性を検討した多施設共同非盲検非対称試験である。主要評価項目には、有効性評価期間(1-49時間)における血行動態不安定なVTあるいはVFの非再発率が設定された。

高血圧治療ガイドライン2019で降圧目標の変更は?

 本邦における高血圧有病者は約4,300万人と推計される。このうち、治療によって良好なコントロールが得られているのは30%以下。残りの70%は治療中・未治療含め血圧140/90mmg以上のコントロール不良の状態となっている。2014年以来5年ぶりの改訂となる「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」では、一般成人の降圧目標値が引き下げられ、より早期からの非薬物治療を主体とした介入を推奨する内容となっている。

糖尿病性腎臓病におけるエンパグリフロジンの複合腎・心血管アウトカム/国際腎臓学会

 SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)によるEMPA-REG OUTCOME試験における、ベースライン時の顕性アルブミン尿を伴う糖尿病性腎臓病(DKD)患者での複合腎・心血管アウトカムの結果が、4月12~15日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会(ISN)-World Congress of Nephrology(WCN)2019にて公表された。日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社と日本イーライリリー株式会社が発表した。  EMPA-REG OUTCOME試験では、心血管イベントの発症リスクが高い2型糖尿病患者において、標準治療にエンパグリフロジンを上乗せ投与した結果、プラセボ群と比較して、主要評価項目である複合心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)のリスクが14%減少し、心血管死リスクが38%減少したことが報告されている。

COPD診療における最新知見/日本呼吸器学会

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療に対する吸入ステロイド薬(ICS)の上乗せについて、新しい臨床試験の結果が続々と報告されているが、それらをどう捉えればよいのだろうか。2019年4月12日から3日間、都内にて開催された第59回 日本呼吸器学会学術講演会において、シンポジウム3「COPD、ACOガイドラインを超えて」での講演から最新の知見を紹介する。  COPDの安定期における治療は、原則として長時間作用性抗コリン薬(LAMA)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の気管支拡張薬である。これまで、通常のCOPD治療にICSを追加する有益性は高くないとされていたため、本学会が発刊している『COPD診断と治療のためのガイドライン2018(第5版)』と『喘息とCOPDのオーバーラップ診断と治療の手引き2018』では、喘息とCOPDの合併例(asthma COPD overlap:ACO)に限定して、ICSの早期使用が推奨されている。

高血圧への腎交感神経アブレーション vs.シャム対照群のメタ解析【Dr.河田pick up】

 コントロール不良な高血圧に対する新しい治療法として、カテーテルによる腎動脈交感神経アブレーションの研究が行われている。しかしながら、腎動脈交感神経切除の高血圧に対する無作為化試験の結果は肯定的なものと否定的なものがあり、一定していない。この研究の目的はシャム対照群を用いた研究における、腎動脈交感神経アブレーション後の血圧の評価である。Brown大学のPartha Sardar氏ら米国の複数のグループにより、Journal of American College of Cardiology誌2019年4月号に報告された。

父親の年齢と統合失調症や双極性障害との関連

 これまでの研究では、出産時の父親の高齢化と統合失調症や双極性障害のリスク増加との関連が報告されていた。この関連は、父親の精子におけるデノボ突然変異によって引き起こされるとする仮説や、高齢時に子供持つ父親の心理社会的特徴に関連するともいわれている。イスラエル・Chaim Sheba Medical CenterのMark Weiser氏らは、これらの仮説について検証を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019年3月4日号の報告。  イスラエルのドラフトボードレジストリ、精神科入院レジストリよりプロスペクティブ集団ベースコホート研究を行った。

国際腎臓学会で患者中心の透析医療を目指した「SONGイニシアチブ」

 4月12~15日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会(ISN)-World Congress of Nephrology(WCN)2019で、4日間にわたり取り上げられた話題は多岐にわたるが、ここでは「患者を中心とした腎臓病治療」について紹介したい。  まず国際腎臓学会12日のセッション、「患者中心の慢性腎臓病(CKD)管理」では、患者の立場から、現在の臨床試験における評価項目の妥当性を問う、“SONGイニシアチブ”という取り組みが報告された。患者目線で見た場合、CKD治療で最重要視されるのは必ずしも生命予後や心血管疾患ではないようだ。CKD患者の「人生」を良くするために、医療従事者は何を指標にすればよいのか―。Allison Tong氏(オーストラリア・シドニー大学)の報告を紹介する。

肉の摂取頻度が認知症リスクと関連

 これまで、食物摂取と認知症リスクとの関連は、初発症状バイアス(逆因果関係)の可能性を考慮して研究されていなかった。フランス・モンペリエ大学のLaure Ngabirano氏らは、肉、魚、果物、野菜の摂取頻度と認知症やアルツハイマー病(AD)の長期リスクとの関係について、初発症状バイアスを考慮して検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌2019年号の報告。  12年間に2~4年ごとのフォローアップを行ったThree-city studyより、65歳以上のボランティア5,934例のデータを分析した。

NSCLCの1次治療としてのペムブロリズマブ単剤の適応をTPS≧1%に拡大/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は、2019年4月11日、外科的切除または根治的化学放射線療法の候補ではないStageIIIまたは転移のある、PD-L1(TPS)1%以上の非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療としてペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)を承認した。この承認は1274例を対象に行われたKEYNOTE-042試験に基づくもの。ペムブロリズマブ単剤投与の1次治療は従来、PD-L1(TPS)発現50%以上の転移を有するNSCLCに承認されていた。

心房細動を防ぐ生活習慣、3階なら階段で/日本循環器学会

 国立循環器病研究センターでは2年前、心房細動罹患予測確率を計算する吹田心房細動リスクスコアを開発した。しかし、心房細動発症予防のための生活習慣に関するエビデンスは、わが国では喫煙と飲酒のみときわめて少ない。今回、国立循環器病研究センター予防健診部の小久保 喜弘氏らは、吹田研究を用いて心房細動になりにくい健康的な生活習慣の指標を検討し、それを吹田心房細動リスクスコアに加えることにより予測能が向上することを示した。健診や日常外来で用いることにより、心房細動の予防啓発につながることが期待される。2019年3月29~31日に開催された第83回日本循環器学会学術集会にて発表された。

抗核抗体陽性肺がんへのPD-1阻害薬治療、安全性と有効性

 肺がん患者へのPD-1阻害薬治療において、抗核抗体(ANA)発現の有無は生存に影響するのか。九州大学病院 呼吸器科の米嶋 康臣氏らが、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者83例を対象に安全性と有効性の検討を行った結果、自己免疫疾患の明らかな増悪はみられなかったが、ANA陽性患者生存予後は、ANA陰性患者と比べて有意に不良であったという。Lung Cancer誌2019年4月号掲載の報告。