レビー小体型認知症が疑われる患者の初期症状と診断時の特徴

提供元:ケアネット

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公開日:2020/08/26

 

 レビー小体型認知症(DLB)は、さまざまな初期症状がみられるが、多くのDLBの症例に焦点を当てた報告は、これまでほとんどなかった。北海道・砂川市立病院の内海 久美子氏らは、診断時にDLBおよびDLB関連症状が認められた患者234例を対象に、初期症状をレトロスペクティブに評価し、症状プロファイルの性差について検討を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2020年8月2日号の報告。

 対象は、2017年に改訂されたDLBの臨床診断に関するコンセンサス基準を満たした、DLBの可能性の高い患者234例。DLBは、ドパミントランスポーターシンチグラフィと123 I-MIBG心筋シンチグラフィで確認した。脳灌流は、SPECTを用いて測定した。これらに加えて、中心および補助的な臨床的特徴を考慮した。

 主な結果は以下のとおり。

・初期症状には、認知機能障害(41.9%)、幻視、幻聴、妄想、うつ症状などの精神症状(42.3%)が認められた。
・女性では、ほぼ半数で最初に精神症状が認められ、男性よりも幻聴の頻度が高かった。
・男性では、女性よりもREM睡眠行動障害の発生率が有意に高かった。
・診断時のDLB関連症状は男女間で異なっており、男性では、女性よりもREM睡眠行動障害、パーキンソニズム、嗅覚低下、失神が有意に多く認められた。女性では、男性よりも幻聴が有意に多く認められた。

 著者らは「DLBの症状は、初期症状だけでなく診断時に観察されるその後の症状においても、性差があることが示唆された。男性ではREM睡眠行動障害、女性では精神症状の発生率が高かった」としている。

(鷹野 敦夫)