医療一般|page:298

焦点性てんかん重積状態に対する薬理学的治療のレビュー

 てんかん重積状態(SE)は、罹患率や死亡率が高く、神経学的に急を要する。SEのタイプは、予後因子の1つであるといわれている。スペイン・Hospital Universitario Severo OchoaのN. Huertas Gonzalez氏らは、SE治療に関連するさまざまな学会や専門家グループの最新レコメンデーションおよび最新研究を分析し、焦点性SEのマネジメントに関する文献を評価した。Neurologia誌オンライン版2019年5月7日号の報告。  2008年8月~2018年8月に公表された成人の焦点性SEおよび他のタイプの薬理学的治療に関する研究をPubMedより検索した。

IV期NSCLCに対するEGFR-TKIと放射線療法の併用

 EGFR変異を有するIV期の非小細胞肺がん(NSCLC)における1次治療として、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)と胸部放射線療法を組み合わせた有効性と安全性が、前向き研究により検討された。  今回、中国・Xinqiao Hospitalがん研究所のLinPeng Zheng氏らが行った研究結果は、The oncologist誌オンライン版2019年4月30日号に掲載された。末期NSCLCにおける1次治療としてのEGFR-TKIと胸部放射線療法の併用は、原発性肺病変の長期管理を可能にするかもしれない。

食塩摂取と肥満の関連~日本と中国・英国・米国

 食塩摂取が過体重や肥満の独立した危険因子である可能性が、いくつかの研究で報告されている。しかし以前の研究では、1日食塩摂取量を推定するために24時間蓄尿ではなく単回尿や食事思い出し法を用いていること、単一国や単施設のみの集団でのサンプルといった限界があった。今回、中国・西安交通大学のLong Zhou氏らは、International Study of Macro-/Micro-nutrients and Blood Pressure(INTERMAP研究)のデータから、日本、中国、英国、米国における、2回の24時間蓄尿で推定した食塩摂取量とBMIおよび過体重/肥満の有病率の関係を調査した。

脳梗塞リスク有するAF患者への経皮的植込み型頸動脈フィルターの有用性は?【Dr.河田pick up】

 脳梗塞リスクが高いものの、経口抗凝固薬が適さない心房細動(AF)患者に対しては、異なった脳梗塞予防の戦略が必要となる。両側の頸動脈に直接植込むことができる、新規のコイル型永久フィルターは、径が1.4mm以上の塞栓を捕捉するようにデザインされている。  この論文は、Icahn School of Medicine at Mount Sinai(米、ニューヨーク)のVivek Reddy氏とHomolka Hospital(チェコ、プラハ)のPetr Neuzil氏がJACC誌オンライン版5月3日号に発表したものである。米国では新規のデバイスに対するFDAの審査が厳しく、治験に時間がかかる。

軽度認知障害や認知症を診断するためのACE-III日本語版のスクリーニング精度

 軽度認知障害(MCI)や認知症の早期発見は、適切な治療の迅速な開始と、疾患の悪化を防ぐために、非常に重要である。岡山大学の竹之下 慎太郎氏らは、MCIおよび認知症を診断するためのAddenbrooke's Cognitive Examination III(ACE-III)日本語版のスクリーニング精度について調査を行った。BMC Geriatrics誌2019年4月29日号の報告。  オリジナルのACE-IIIを翻訳して作成したACE-III日本語版を、日本人の集団に使用した。認知機能を評価するため、改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)およびミニメンタルステート検査(MMSE)を用いた。総対象者は389例(認知症:178例、MCI:137例、対照群:73例)であった。

早期乳がんへの術前nab-PTX、DFSを改善/JCO

 GeparSepto試験では、早期乳がん患者のネオアジュバント治療として、アルブミン懸濁型パクリタキセルの週1回投与(weekly nab-PTX)が、従来の溶媒型パクリタキセルの週1回投与(weekly sb-PTX)に比べ、病理学的完全寛解率を有意に改善することが示されている。今回、ドイツ・Helios Klinikum Berlin-BuchのMichael Untch氏らは、本試験の長期アウトカムとして、invasive disease-free survival(iDFS)などを報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年5月13日号に掲載。

早期乳がん患者の心血管疾患リスク、運動で低下/JAMA Oncol

 がんサバイバーの心血管疾患による死亡は重大な懸念となっている。米国・南カリフォルニア大学のKyuwan Lee氏らによる前向き無作為化臨床試験の結果、16週間の監視型有酸素運動およびレジスタンス運動の介入により、過体重または肥満の早期乳がん患者におけるFraminghamリスクスコア(FRS)で予測された10年間の心血管疾患発症リスクが、低下することが示された。FRSは、10年間の心血管疾患発症リスクを予測する有効な方法として知られる。早期乳がんで過体重の患者では、同年齢の健康な女性と比較してFRSが高いことが報告されているが、これまでこの患者集団において運動介入によりFRSが低下するかどうかはわかっていなかった。JAMA Oncology誌オンライン版2019年3月28日号掲載の報告。

新精神作用物質使用患者における臨床症状の変化

 新精神作用物質(NPS)の使用は、国内外を問わず広まり続けている。NPSは、より深刻な臨床的、公的および社会的な問題と関連している。日本におけるNPSの影響を改善するための政治的な措置は、治療法を確立することではなく、規制を厳しくすることに焦点が当てられてきた。現在の研究では、数年にわたるNPS関連疾患を有する患者の精神症状を比較しようとしている。国立精神・神経医療研究センターの船田 大輔氏らは、NPSを規制するための法的な措置の影響を明らかにするため、依存症治療専門病院を受診した患者を調査した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年4月9日号の報告。

がん患者の喫煙継続で増える治療失敗とコストはどの程度?

 喫煙は、がんの大きなリスク因子といわれているが、がん患者の喫煙継続およびがん1次治療の失敗増は、がん2次治療コストの有意な増大と関連していることが、米国・サウスカロライナ医科大学のGraham W. Warren氏らによる検討の結果、示された。著者は「さらなる調査を行い、コスト増を軽減する最適な方法を明らかにする必要があるだろう」と述べている。先行研究で、がん患者の喫煙継続は全死亡率・がん死亡率や二次原発がんリスク、がん治療の毒性作用を増大することが示唆されていたが、著者らによれば、喫煙によるがん治療の追加コストの推算はこれまでされていなかったという。JAMA Network Open 2019年4月5日号掲載の報告。

プロカルシトニン値による抗菌薬投与短縮と肺炎再発

 肺炎における抗菌薬投与について、プロカルシトニン(PCT)値に基づいた管理により、死亡率を増加させることなく投与期間を短縮したという研究がいくつか報告されている。今回、福岡大学筑紫病院の赤木 隆紀氏らの研究により、PCTガイドによる抗菌薬中止により、肺炎の再発を増加させることなく投与期間を短縮するのに役立つ可能性が示唆された。the American Journal of the Medical Sciences誌オンライン版2019年4月16日号に掲載。

日本人統合失調症患者に対するブロナンセリンとハロペリドールの二重盲検ランダム化比較試験

 以前、CNS薬理研究所の村崎 光邦氏が、統合失調症患者に対するブロナンセリンの有効性および安全性について、ハロペリドールとの比較を行った日本の多施設共同ランダム化二重盲検試験を日本語で発表した。米国・マイアミ大学のPhilip D. Harvey氏らは、以前報告されたプロトコルごとのデータセットの代わりに完全な分析データセットに基づく試験結果を提示し、統合失調症の薬理学的治療の最新知識に照らし合わせて、調査結果についての議論を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年4月30日号の報告。

認知症患者におけるカフェインと精神症状~システマティックレビュー

 カフェイン摂取は、健康成人の行動や睡眠に影響を及ぼすことが知られている。行動症状や睡眠障害に対しカフェイン摂取が影響している可能性のある認知症患者は、多く見受けられる。オランダ・ライデン大学のM. A. Kromhout氏らは、認知症患者におけるカフェイン摂取と精神症状との関連について調査するため、システマティックレビューを行った。Experimental Gerontology誌オンライン版2019年4月30日号の報告。

新生児アトピー予防戦略、ビタミンD補給よりも紫外線曝露

 ビタミンDとアトピー性疾患の関連はさまざまに取り上げられている。オーストラリア・西オーストラリア大学のKristina Rueter氏らは、新生児におけるビタミンD補給による湿疹および免疫能への効果を明らかにするため、二重盲検無作為化プラセボ対照試験を実施。その結果、ビタミンD補給と湿疹罹患率との間に有意な関連はみられなかった。一方で、一部の対象児について行った紫外線曝露量との関連評価(非無作為の探索的解析)から、その曝露量が多い児では湿疹罹患率が低く、炎症誘発性免疫マーカー値が低値であったことを報告した。著者は今回の検討は紫外線量と湿疹罹患率などの関連を初めて明らかにしたものだとしたうえで、「生まれて間もない時期のアレルギー予防策として、紫外線曝露がビタミンD補給よりも有益と思われることを示すものである」とまとめている。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌2019年3月号掲載の報告。

治療抵抗性統合失調症に対するECTの治療反応速度と臨床的有効性

治療抵抗性統合失調症患者に対する電気けいれん療法(ECT)は、有効であることが示唆されているが、治療反応率、認知機能およびQOLのアウトカムに関するエビデンスは限られている。シンガポール・Institute of Mental HealthのChristopher Yi Wen Chan氏らは、治療抵抗性統合失調症患者を対象とした自然主義的レトロスペクティブコホート研究において、ECTの有効性および治療反応速度について検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年4月26日号の報告。

IV期NSCLCにおける放射線治療と免疫CP阻害薬の相乗効果

 切除不能な局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する化学放射線同時療法の維持治療にデュルバルマブが適応になるなど、放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬との組み合わせは相乗効果をもたらすとされる。しかし、IV期NSCLCにおける放射線治療の意義を明確に示した報告は少ない。埼玉医科大学国際医療センターの山口央氏らは、放射線療法(RT)の治療歴がその後のニボルマブ(抗PD-1抗体)の治療効果や予後に影響を与えるかを後方視的に解析した。Thoracic Cancer誌2019年4月号の掲載報告。

腰痛診療ガイドライン2019発刊、7年ぶりの改訂でのポイントは?

 2019年5月13日、日本整形外科学会と日本腰痛学会の監修による『腰痛診療ガイドライン2019』(編集:日本整形外科学会診療ガイドライン委員会、腰痛診療ガイドライン策定委員会)が発刊された。本ガイドラインは改訂第2版で、初版から実に7年ぶりの改訂となる。  初版の腰痛診療ガイドライン作成から現在に至るまでに、腰痛診療は大きく変遷し、多様化した。また、有症期間によって病態や治療が異なり、腰痛診療は複雑化してきている。そこで、科学的根拠に基づいた診療(evidence-based medicine:EBM)を患者に提供することを理念とし、『Minds 診療ガイドライン作成の手引き 2014』で推奨されるガイドライン策定方法にのっとって腰痛診療ガイドライン2019は作成された。

統合失調症患者の同意能力と認知機能との関係

 同意の意思決定能力は、倫理的および法的な新しい概念であり、重要な医学的決定や臨床研究への参加に直面している患者において、自己決定と密接に関連するものである。国立精神・神経医療研究センターの菅原 典夫氏らは、統合失調症患者における同意の意思決定能力と認知機能との関係について、Frontiers in Psychiatry誌2019年4月12日号で報告した。

孤立性の三尖弁閉鎖不全への開心術、長期予後改善せず?【Dr.河田pick up】

 中等度から重症の三尖弁閉鎖不全症の患者は米国では160万人以上おり、その予後は一般的に不良である。現在のACC/AHAガイドラインでも三尖弁閉鎖不全症に対する開心術は、重症で、症状があり、弁周囲の拡大と右心不全がある患者に推奨されているが、エビデンスは乏しい。  左心系の弁膜症のない孤発性の三尖弁閉鎖不全症患者に対しては、長い間保存的な薬物治療が行われてきた。この論文では、孤発性の三尖弁閉鎖不全症に対する外科的弁修復および弁置換の効果を検証している。米国・マサチューセッツ総合病院のJason H. Wasfy氏らによる、Journal of American College of Cardiology誌オンライン版5月3日号への報告。

睡眠時間と青年期うつ病との関連

 青年期の睡眠時間とうつ病との関連について、再現性の懸念が高まっていることを考慮し、米国・ミネソタ大学のA. T. Berger氏らは、青年期の睡眠と精神的ウェルビーイングとの関連を新たなデータセットを用いて、これまでの分析を概念的に再現した。Sleep Health誌2019年4月号の報告。  START研究のベースラインデータを用いて、以前の分析(Sleep Health, June 2017)を概念的に再現した。START研究は、高校の始業時間を遅らせた際、青年期の体重変化に対する睡眠時間の影響を自然実験で評価した縦断的研究である。STARTとそれ以前の研究において、学校がある日の就寝、起床時間、6項目のうつ病サブスケールアンケートを学校で自己報告により回答してもらった。睡眠変数(睡眠時間、起床時間、就寝時間)と一連のアウトカムとの関連性および95%信頼区間(CI)を、ロジスティック回帰モデルを用いて算出した。