医療一般|page:1

高血圧診断後の生活習慣改善は心血管リスク低下と関連するか

 高血圧患者約2.6万例を対象とした大規模前向きコホート研究において、生活習慣と心血管疾患および2型糖尿病リスクの関連を検討した結果、健康的な生活習慣の実践は降圧薬使用とは独立してこれらのリスク低下と関連しており、高血圧診断後であっても生活習慣の改善度が高いほどベネフィットが大きいことが、米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのZixin Qiu氏らによって示された。JAMA Network Open誌2026年3月2日号掲載の報告。  一般集団では、健康的な生活習慣の順守により心血管疾患の予防が可能であることが示唆されている。

EGFR変異NSCLC、オシメルチニブ+化学療法の日本人解析結果(FLAURA2)/日本臨床腫瘍学会

 EGFR遺伝子変異陽性の進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療として、オシメルチニブ+化学療法はオシメルチニブ単剤と比較して、日本人集団においても無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)が良好であった。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)において、国際共同第III相無作為化比較試験「FLAURA2試験」の日本人集団の結果を柳谷 典子氏(がん研究会有明病院)が報告した。日本人集団のOSの解析結果は、2025年11月に開催された第66回日本肺癌学会学術集会でも報告されていたが、今回はさらに詳細な結果が報告された。

T-DXdが胃がん2次治療に、胃癌学会がガイドライン速報発表

第一三共は2026年3月23日、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、商品名:エンハーツ)の添付文書改訂が行われ、HER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がんの2次治療として使用が可能となったことを発表した。今回の改訂は、2025年6月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)で発表されたDESTINY-Gastric04試験の結果に基づくもの。HER2陽性胃がん/胃食道胃接合部腺がんに対し、T-DXdはそれまでの標準2次治療であるラムシルマブ+パクリタキセル(RAM+PTX)療法と比較して全生存期間(OS)を有意に延長することが示された。

働く世代の肥満・肥満症への正しい理解を促す取り組み始動/日本糖尿病協会

 3月4日の「世界肥満デー」に日本糖尿病協会(JADEC)は、都内で「肥満アドボカシー活動」のスタートに関して記者発表会を開催した。このセミナーは、糖尿病発症の重要なリスク因子である肥満を「ダイアベティス(糖尿病)の前段階」と位置付け、厚生労働省などと連携し、就労世代を対象とした全国的な「肥満アドボカシー活動」の開始を表明したもの。同協会では、今回の活動によりダイアベティス予防を社会に広げ、予防の入口から環境を変える取り組みに踏み出す。

高齢HER2+早期乳がん、術後化学療法省略の判断にHER2DXが有用な可能性(Trans-RESPECT)/日本臨床腫瘍学会

 高齢のHER2陽性早期乳がん患者における長期転帰の予測に、多遺伝子アッセイ「HER2DX」が有用である可能性が示された。また探索的解析の結果、同アッセイによるpCRスコア高値群で術後化学療法の上乗せが有効となることも示唆された。名古屋市立大学臨床研究戦略部の能澤 一樹氏が、RESPECT試験の追加解析「Trans-RESPECT」の結果を、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)で発表した。  RESPECT試験は本邦で実施された第III相無作為化比較試験で、70~80歳のHER2陽性早期乳がん患者を対象に、術後トラスツズマブ単独療法(H群)とトラスツズマブ+化学療法(H+CT群)を比較。

統合失調症におけるLAI抗精神病薬の使用までの期間と入院リスクとの関係

 長時間作用型注射(LAI)抗精神病薬は、統合失調症の初期段階で推奨されることが増加している。韓国・University of Ulsan College of MedicineのSung Woo Joo氏らは、LAI抗精神病薬治療開始時期が初回エピソード統合失調症における治療中止および入院期間にどのような影響を及ぼすかを検討した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2026年2月9日号の報告。  韓国健康保険審査評価院の保険請求データベースを用いて、LAI抗精神病薬による継続治療を受けている初回エピソード統合失調症患者6,380例を特定した。診断からLAI抗精神病薬治療開始までの期間に基づき、6群に分類した(1年未満、1~2年、2~3年、3~4年、4~5年、5年超)。継続的なLAI抗精神病薬使用中の治療中止と精神科入院日数の割合を、Coxモデルと線形回帰モデルを用いて分析した。

HER2変異陽性NSCLCへのゾンゲルチニブ、脳転移例にも奏効(Beamion LUNG-1)/ELCC2026

 ゾンゲルチニブは、未治療のHER2遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、管理可能な安全性プロファイルとともに高い抗腫瘍活性を示し、活動性脳転移を有する患者においても良好な頭蓋内活性を示した。欧州肺がん学会(ELCC2026)において、John V. Heymach氏(米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)が、国際共同第Ia/Ib相試験「Beamion LUNG-1試験」のコホート2(未治療のチロシンキナーゼドメイン[TKD]の変異陽性患者)、およびコホート4(ベースライン時に活動性脳転移を有するTKDの変異陽性患者)の結果を報告した。

肝がん、TACE後のアテゾリズマブ+ベバシズマブが有用(TALENTACE)/日本臨床腫瘍学会

 Intermediate Stage(中間期)の肝細胞がん(HCC)に対して、TACE(肝動脈化学塞栓療法)が標準治療として広く用いられているものの、腫瘍負荷の高いHCCではその有効性は限定的である。TACE後にアテゾリズマブ+ベバシズマブを投与することで予後が改善する可能性があることが報告された。中国と日本のHCC患者を対象に行われたTALENTACE試験の結果を、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)のPresidential Sessionで近畿大学の工藤 正俊氏が発表した。

1次治療前のがん遺伝子パネル検査の結果が生存期間を延長する可能性(FIRST-Dx)/日本臨床腫瘍学会

 1次治療前からのがん遺伝子パネル検査(CGP検査)は推奨治療を受けた患者の生存を改善するという結果が第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)において報告された。  日本でのCGP検査は2019年6月から保険診療で実施可能となったが、その適応は「標準治療がない、もしくは終了した症例」に限られている。そのため、CGP検査の結果から、有効な治療薬に到達する割合は低い。厚生労働省第12回がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議資料では、CGP検査結果に基づいた治療を実際に受けた症例は8.2%にとどまる。

初の人乳由来母乳強化剤が承認、超早産児の栄養管理に新たな選択肢/クリニジェン

 2026年3月18日、「極低出生体重児等の体重増加不全を呈する新生児及び乳児の栄養管理」を効能又は効果とする、プリミーフォート経腸用液が薬価収載され、2026年4月下旬の発売が予定されている。プリミーフォート経腸用液は、極低出生体重児等の栄養管理を目的とした人乳由来母乳強化剤の医薬品として、本邦で承認された初めての製品となる。クリニジェンは同日「超早産児の新しい栄養管理とNICUの未来~本邦初の完全人乳栄養による経腸栄養の可能性~」と題したメディアセミナーを開催。水野 克己氏(昭和医科大学小児科学講座)が登壇し、超早産児の栄養管理の考え方と同製品の役割について解説した。

統合失調症、うつ病のガイドライン教育が日本の精神科治療に及ぼす影響は?

 教育的介入は、直接介入を受ける参加者だけでなく、同じ組織内の非参加者にも影響を与える可能性がある。北海道大学の堀之内 徹氏らは、リアルワールドにおける臨床診療ガイドラインの実施において、組織内における教育的スピルオーバー効果が生じるかどうかを検証した。Asian Journal of Psychiatry誌2026年4月号の報告。  2016〜24年に精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDE)プロジェクトに参加した298施設における、統合失調症(2万2,032例)およびうつ病(1万1,207例)の入院患者の退院データを収集した。

2つのRCT事後解析からみたカナグリフロジンの尿路感染症発症リスク

 2型糖尿病患者におけるカナグリフロジンの尿路感染症(UTI)発症リスクは尿中白血球エステラーゼ(LE)および亜硝酸塩が異常値であってもプラセボと同程度だったという研究結果が、Nephrology Dialysis Transplantation誌オンライン版2026年3月16日号に報告された。  SGLT2阻害薬は心腎系の有益性が確立されているものの、UTIのリスクに対する懸念から、とくに高リスク患者では使用が制限される可能性がある。  大阪大学の土井 洋平氏らは、UTIの診断に有用とされるLEおよび亜硝酸塩を指標にカナグリフロジンとUTIとの関連を検証した。

心房細動/心房粗動の発症リスク、低亜鉛が影響

 亜鉛欠乏症は心房細動(AF)/心房粗動(AFL)発症の重要な独立した危険因子となる可能性が、台湾・Chi Mei Medical CenterのI-Wen Chen氏らの研究から明らかになった。近年、AF/AFLの有病率が世界的に増加しており、修正可能なリスク因子の特定が喫緊の課題である。また、心血管疾患との関連が示唆されている亜鉛欠乏症について、AF/AFLの発症を関連付けるような大規模なエビデンスは依然として限られていた。Frontiers in Nutrition誌2026年2月20日号掲載の報告。

転移乳がんへのサシツズマブ ゴビテカン、アジアを含む安全性統合解析/日本臨床腫瘍学会

 サシツズマブ ゴビテカン(SG)は、既治療で転移を有するトリプルネガティブおよびHR+/HER2-乳がん患者を対象とした複数の臨床試験において、標準治療と比較して患者の転帰を大幅に改善し、安全性プロファイルは管理可能であることが示されている。今回、米国やカナダ、欧州、アジアで実施された試験でSGを投与された転移乳がん患者の安全性データを統合した解析結果を、米国・UCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏が第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)で発表した。

再発・難治性濾胞性リンパ腫へのエプコリタマブ+R2併用療法のEPCORE FL-1試験、日本人解析を含む最新データ/日本臨床腫瘍学会

 1ライン以上の治療歴を持つ濾胞性リンパ腫に対するエプコリタマブ+R2(レナリドミド+リツキシマブ)療法とR2療法を比較した国際第III相試験であるEPCORE FL-1試験において、規定された2回目の中間解析から得られた、日本人データを含む最新版のデータについて、がん研究会有明病院の丸山 大氏が第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)で発表した。エプコリタマブ+R2療法群はR2療法群に比べ、有意に高い全奏効割合(ORR)と無増悪生存期間(PFS)の延長が認められ、日本人集団の追跡期間は短いものの全体集団の結果と一貫していることが示唆された。

「心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン」をフォーカスアップデート/日本循環器学会

 『2026年JCS/JSOGガイドラインフォーカスアップデート版 心血管疾患患者の妊娠・出産の適応と診療』1)が第90回日本循環器学会学術集会(2026年3月20~22日)会期中の3月20日に発刊された。本ガイドラインの研究班長を務めた神谷 千津子氏(国立循環器病研究センター循環器病周産期センター)と桂木 真司氏(宮崎大学産科・婦人科 主任教授)が本学術集会プログラム「ガイドラインを学ぶ2」において、妊娠を避けることを強く望まれる心疾患、妊産婦に注意が必要な循環器用薬を中心に解説した。

生涯を通じた食生活の質が認知機能と関連している

 食生活は、高齢期における認知機能低下や認知症発症のリスク因子である。しかし、食生活の質と認知機能の長期的な関係は、これまであまりよくわかっていなかった。米国・タフツ大学のKelly C. Cara氏らは、食生活の質と認知機能の傾向、そして生涯にわたるこれらの相互関係について調査を行った。Current Developments in Nutrition誌2025年12月20日号の報告。  1946年英国出生コホート(3,059例、男性の割合:50.2%)のデータを用いて、混合軌跡モデリング(group-based trajectory modeling)により、幼少期から成人期後期までの食生活と認知機能の軌跡およびそれらの関連性、また食生活の軌跡とその後の認知症の徴候との関連性を調査した。

遠隔診療で医療費が対面診療の約5分の1に

 遠隔診療は単に便利なだけでなく、患者と医療システム双方の医療費削減につながることが、新たな研究で示された。特に頻度の高い症状の診療においては、遠隔診療では対面診療と比べて医療費を約5分の1に抑えられることが明らかになったという。米ペンシルベニア大学戦略的イニシアチブのシニアバイスプレジデントであるDavid Asch氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Network Open」に2月9日掲載された。  Asch氏は「この研究を行う前は、遠隔診療は“応急処置”を気軽に受けられる手段の一つに過ぎず、対面診療を先延ばしにするだけで、結果的に全体の医療費を押し上げるのではないかという懸念があった」と説明。

BMIでは見えない死亡リスク?新体型指標の可能性~日本人大規模コホート

 体格評価に広く用いられるBMI(体格指数)だが、その限界も指摘されている。近年、体型の丸みや腹囲を反映する指標であるBody Roundness Index(BRI)や、体型形状を考慮したA Body Shape Index(ABSI)が提案されている。今回、日本人約78万人を対象とした大規模研究で、これらの指標が死亡リスク評価に新たな視点をもたらす可能性が示された。研究は、東京大学大学院医学系研究科ヘルスサービスリサーチ講座の木村悠哉氏らによるもので、詳細は1月31日付で「Journal of Obesity」に掲載された。

日本人統合失調症外来患者における抗精神病薬の多剤併用パターンを調査

 統合失調症治療において抗精神病薬単剤療法が推奨される標準療法であるにもかかわらず、2種類以上の抗精神病薬の併用と定義される多剤併用は、臨床現場で依然として一般的に行われている。佐賀大学の祖川 倫太郎氏らは、日本の統合失調症外来患者における抗精神病薬の多剤併用率とその要因について調査するため、全国横断調査を実施した。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2026年2月18日号の報告。  2024年10月21~25日に、医療機関36施設より3,657例の外来患者データを収集した。