GLP-1受容体作動薬などの肥満症治療薬は、肥満治療を大きく変えつつある。しかし、血管の健康の維持には、運動が依然として決定的な役割を果たす可能性を示した研究が、6月24日付で「Nature Metabolism」に掲載された。論文の上席著者であるコペンハーゲン大学(デンマーク)生物医学分野教授のSigne Torekov氏は、「本研究は、薬物療法は体重維持を支える一方で、血管の健康を改善するのは、薬物療法の有無にかかわらず運動であることを示している」と述べている。
肥満と身体活動不足は、血管内皮機能の低下や動脈硬化と関連付けられている。この研究では、8週間の低カロリー食による減量プログラムにより平均約13.7 kgの減量に成功した肥満の成人130人を対象に、運動とGLP-1受容体作動薬のリラグルチドが、減量後の血管の健康に与える影響が検討された。対象者は52週間にわたる体重維持のための介入として、1)運動を行う群、2)リラグルチドを使用する群、3)運動とリラグルチド使用を併用する群、4)プラセボを使用する群のいずれかにランダムに割り付けられた。
その結果、52週間の介入後に、心疾患や脳卒中リスクの指標とされる頸動脈の内膜中膜複合体厚(cIMT)は、運動群で7%、併用群で6%減少した。また、運動群では炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)-6とインターフェロン(IFN)-γが低下し、併用群では対象とした4種類の血管内皮機能マーカーのうちの3種類(sICAM-1、sVCAM-1、tPA)も改善した。一方、リラグルチド単独群では、cIMTの変化や血管内皮機能マーカーの改善は認められなかった。
Torekov氏は、「肥満症治療薬は重要な治療手段であるが、本研究の結果は、それが運動の代わりにはならないことを示している。心臓や血管を守るためには、身体活動が依然として不可欠である」と述べている。
では、どの程度の運動が必要なのだろうか。世界保健機関(WHO)は、中強度の運動を週に150分以上、または高強度の運動を週に75分以上行うことを推奨している。本研究の参加者が実施した運動プログラムは、この推奨内容に一致するよう設計されていた。
[2026年07月13日/HealthDayNews]Copyright (c) 2026 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら