長期投与中のプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、症状改善後も漫然と継続されることが少なくない。一方、中止後の症状再燃への懸念から、減量しながら中止すべきか、あるいは即時中止でも問題ないかについては十分なエビデンスがなかった。今回、多施設ランダム化比較試験により、臨床的に安定した胃食道逆流症(GERD)患者において、PPI(P-CABを含む)の即時中止と漸減中止の有効性を比較した結果、両群の中止成功率に有意差は認められなかった。順天堂大学消化器内科の北條 麻理子氏らによる本研究はJournal of Gastroenterology誌2026年8月号に掲載された。
本試験は、多施設共同ランダム化比較試験だった。対象は、長期間PPIまたはP-CABによる治療を受け、症状が安定している外来のGERD患者63例だった。患者を、薬剤を直ちに中止する「即時中止群」と、2週間半量投与後に中止する「漸減中止群」に1:1で無作為に割り付けた。中止後は症状出現時にレスキューとしてPPIの使用を認めた。
主要評価項目は24週時点でのPPI中止成功率、副次評価項目は48週時点でのPPI中止成功率とした。中止成功は、28日間の評価期間におけるレスキューPPI使用日数8日以下と定義した。
主な結果は以下のとおり。
・24週時点での中止成功率は、即時中止群74.2%、漸減中止群75.0%であり、リスク差は-0.8%(95%信頼区間:-23.1~21.5)と、両群に差は認められなかった。48週時点でも同様の結果が得られ、Per-protocol解析でも結果は一貫していた。
・安全性については、事前に規定された有害事象は認められなかった。探索的解析では、高齢であること、ベースラインの逆流症状(regurgitation)スコアが低いことが中止成功と関連していた。また、レスキューPPIの使用は中止直後に集中して認められたものの、その後の長期的な中止成功を妨げる要因とはならなかった。
PPIの長期使用は、適応が消失した後も継続される例が少なくなく、不要な長期投与は医療費や潜在的な有害事象の観点からも見直しが求められている。本試験は、症状が安定したGERD患者では、段階的な減量を行わなくても、即時中止で同等の中止成功率が得られることを示した。
著者らは、「臨床的に安定した患者において、PPIの即時中止と漸減中止は、同程度の成功率だった。いずれの方法においても、一時的な症状や必要時のレスキュー療法に関するカウンセリングが中止成功を促進する可能性がある」と結論づけている。
(ケアネット 杉崎 真名)