両側乳がんはきわめて少なく、臨床的特徴に関するデータは限られている。今回、トルコ・Dr. Abdurrahman Yurtaslan Ankara Oncology Training and Research HospitalのBerkan Karabuga氏らが、両側乳がんを同時性(SBBC)と異時性(MBBC)に分けて臨床病理学的特徴や生存アウトカムを検討したところ、無病生存期間(DFS)は2群間で有意差はなかったが、5年全生存(OS)率はMBBC群のほうが有意に高かった。また、両側乳がん全体として、ホルモン受容体(HR)陰性がDFS短縮の独立したリスク因子として特定された。Medicina誌2025年6月号に掲載。
この多施設後ろ向き研究では、2015~24年に6施設で治療および追跡調査された125例をSBBCとMBBCに分け、臨床病理学的特徴、DFS、5年OS率などを評価した。
主な結果は以下のとおり。
・DFSはSBBC群で5.7年、MBBC群で5.6年であった(p=0.95)。
・5年OS率はMBBC群(95.2%)がSBBC群(80.7%)より高かった(p = 0.035)。
・コホート全体で、HR陰性がDFSを短縮する独立したリスク因子であった(ハザード比:0.55、95%信頼区間:0.31~0.98、p=0.04)。
・SBBC群とMBBC群において、HRの有無、浸潤性小葉がんの存在、再発/転移の状況、2つの原発腫瘍での分子サブタイプの不一致に関して有意差が認められた。
(ケアネット 金沢 浩子)