日本人うつ病におけるブレクスピプラゾールの費用対効果

提供元:ケアネット

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公開日:2025/07/03

 

 うつ病患者の約半数は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)で十分な治療反応が得られていない。このような患者では、ブレクスピプラゾール補助療法が治療候補となりうる。大塚製薬のYilong Zhang氏らは、日本におけるSSRI/SNRI治療抵抗性うつ病患者に対するブレクスピプラゾール補助療法の費用対効果を検証した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2025年5月27日号の報告。

 日本の公的医療保険制度の観点から、SSRI/SNRI治療抵抗性うつ病患者を対象に、SSRI/SNRIの補助療法としてブレクスピプラゾールまたはプラセボを併用した際の費用対効果を分析した。追加の解析では、ブレクスピプラゾール投与開始時期を、8週目(早期追加)および14週目(後期追加)に追加した場合の比較も行った。ブレクスピプラゾールの臨床試験に参加した患者コホートより、合計67週間にわたりフォローアップ調査を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・ブレクスピプラゾールの早期追加群は、プラセボ群または後期追加群と比較し、費用対効果が良好であった(支払い意思額[WTP]閾値:500万円/QALY)。
・ブレクスピプラゾールの早期追加群は、プラセボ群と比較し、増分費用15万5,762円、0.037QALYの延長が認められ、増分費用対効果比(ICER)は430万円/QALYであった。
・ブレクスピプラゾールの早期追加群は、後期追加群と比較し、総費用3,663円、0.008QALYの延長が認められ、ICERは46万円/QALY相当であった。
・本研究の限界として、モデリングの対象範囲が試験期間に限定されていたため、ブレクスピプラゾールの長期的なベネフィットが考慮されていない点、早期追加群と後期追加群との比較におけるQALYの増加に関する不確実性が挙げられる。

 著者らは「SSRI/SNRI治療抵抗性のうつ病患者に対するブレクスピプラゾールは、とくに早期実施した場合、費用対効果の高い補助療法であることが確認された」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)