バルーン椎骨形成術は急性期の脊椎圧迫骨折に有効:FREE試験

提供元:ケアネット

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公開日:2009/04/02

 



バルーン椎骨形成術は、脊椎圧迫骨折に対する長期的な効果はないものの急性期には有効で安全な治療法であることが、イギリス・グランピアン州国民保健サービス(NHS)Woodend病院整形外科のDouglas Wardlaw氏らが実施したFREE試験で明らかとなった。バルーン椎骨形成術は疼痛を伴う脊椎骨折に対する低侵襲性の治療手技であり、痛みの低減およびQOLの改善を目的に施行されるという。Lancet誌2009年3月21日号(オンライン版2009年2月25日号)掲載の報告。

8ヵ国21施設から300例を登録、1ヵ月後の身体的QOLを評価




本試験は、脊椎圧迫骨折に対するバルーン椎骨形成術の効果と安全性の評価を目的とした無作為化対照比較試験。2003年2月~2005年12月までに、8ヵ国21施設から1~3ヵ所の急性脊椎骨折を有する成人患者300例が登録され、バルーン椎骨形成術群(149例)あるいは外科治療を行わない対照群(151例)に無作為に割り付けられた。

主要評価項目は、QOL評価としてベースライン時から1ヵ月後までのshort form-36の身体的健康度(SF-36 PCS)スコア(1~100)の変化の差とした。QOLとともにそれ以外の効果や安全性に関する評価を12ヵ月後まで実施した。

SF-36の身体的健康度スコアが有意に改善、有害事象の頻度は同等




1ヵ月後までのフォローアップが完遂できたのは、治療群が138例、対照群は128例であったが、解析は300例全例について行った。

治療群ではSF-36 PCSスコアが、ベースラインの26.0から1ヵ月後には33.4まで7.2ポイント改善したのに対し、対照群では25.5から27.4までと2.0ポイントの改善にとどまり、バルーン椎骨形成術の有意な治療効果が確認された(群間差:5.2ポイント、p<0.0001)。

有害事象の頻度は両群間で差がなかった。バルーン椎骨形成術に関連する重篤な有害事象が2例(血腫、尿路感染症)に認められたが、周術期の心筋梗塞や肺塞栓などはみられなかった。

著者は、「バルーン椎骨形成術は、急性期の脊椎圧迫骨折に対し有効で安全な治療法である」と結論し、「今回の知見は、早期の治療選択肢として本法の使用を決定する際の情報提供に寄与するであろう」としている。

(菅野守:医学ライター)