プラチナ抵抗性または難治性卵巣がんに対し、Aurora Bキナーゼなどを標的とするマルチキナーゼ阻害薬chiauranibとweeklyパクリタキセルの併用が、無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に延長した。全生存期間(OS)全体では有意差はみられなかったものの、後治療を受けなかった患者などで良好な生存ベネフィットが示されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、Xiaohua Wu氏(中国・復旦大学 上海がんセンター)が発表した。
中国における卵巣がんは年間6万例以上が新たに診断され、3万例以上が死亡している。初期治療の15%がプラチナ抵抗性であり、初期治療後3年以内に70%が再発する。chiauranibは、腫瘍細胞の増殖に関わるAurora B阻害、腫瘍抑制性免疫微小環境の再プログラム化、血管新生阻害という3つの経路を標的として抗腫瘍効果を発揮するように設計されたチロシンキナーゼ阻害薬である。第II相試験でプラチナ抵抗性卵巣がんに有望な結果が得られたことから第III相試験CHIPRO試験が実施された。
・試験デザイン:第III相無作為化比較試験
・対象:プラチナ抵抗性または不応性で既治療(前ライン数1~5)の上皮性卵巣がん、卵管がん、または原発性腹膜がん
・試験群:chiauranib(連日投与)+ weeklyパクリタキセル(1サイクル3週で最大6サイクル)→chiauranibによる維持療法(CP群、228例)
・対照群:プラセボ+weeklyパクリタキセル(同上)→プラセボによる維持療法(PP群、231例)
・評価項目:
[主要評価項目]独立審査委員会(IRC)判定によるPFS、OS
[副次評価項目]治験医師判定によるPFS、奏効率(ORR)、疾患コントロール率、奏効期間、QOL、安全性
主な結果は以下のとおり。
・対象患者には高悪性度漿液性卵巣がんが多数(CP群78.9%、PP群81.8%)含まれた。化学療法のライン数3以上はCP群とPP群でそれぞれ27.6%と27.7%、PARP阻害薬治療歴は51.3%と58.4%、VEGF/VEGFR阻害薬治療歴は70.2%と71.0%であった。
・IRC判定のPFS中央値は、PP群の2.69ヵ月に対し、CP群では4.57ヵ月であり、CP群で有意に延長した(ハザード比[HR]:0.427、95%信頼区間[CI]:0.34~0.54、p<0.001)。
・CP群のベネフィットはすべてのサブグループで一貫して認められた。
・OS中央値は、CP群12.09ヵ月、PP群12.12ヵ月であり、両群間に統計学的有意差は認められなかった(HR:0.932、95%CI:0.73〜1.20、p=0.583)。
・試験後に後治療を受けなかった集団のOS中央値をみると、PP群の4.70ヵ月に対し、CP群では7.39ヵ月と、CP群で有意な改善が認められた(HR:0.599、95%CI:0.39~0.91、p=0.016)。
・IRC判定によるORRは、PP群の14.3%に対し、CP群では32.0%とCP群で有意に高かった(p<0.001)。
・Grade3以上の有害事象はCP群では90.4%、PP群では54.3%に発現した。CP群で頻度の高い試験治療下における有害事象は白血球減少症、好中球減少症、貧血などの血液毒性であった。血管新生阻害薬でみられる蛋白尿、高血圧による治療中断はなかった。
(ケアネット)