2型糖尿病のNAFLD、CVDや全死因死亡リスク増/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/28

 

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を併発した2型糖尿病(T2DM)患者では、NAFLDが軽症であっても、心血管疾患および全死因死亡のリスクが上昇する可能性があり、非NAFLDとグレード1 NAFLD、非NAFLDとグレード2 NAFLDの間の心血管疾患および全死因死亡のリスク差は、非T2DMよりもT2DMで大きいことが、韓国・CHA Bundang Medical CenterのKyung-Soo Kim氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年2月13日号に掲載された。

韓国の縦断的コホート研究

 研究グループは、韓国のT2DM患者において、NAFLDが心血管疾患および全死因死亡のリスクに及ぼす影響を評価する目的で、全国規模の人口ベースの縦断的コホート研究を行った(特定の研究助成は受けていない)。

 2009年のNational Health Screening Programmeの参加者779万6,763例を、NAFLDの状態に基づき、次の3つの群に分けた。(1)非NAFLD(脂肪肝指数[fatty liver index]<30)、(2)グレード1 NAFLD(30≦脂肪肝指数<60)、(3)グレード2 NAFLD(脂肪肝指数≧60)。

 主要アウトカムは、心血管疾患(心筋梗塞、脳梗塞)または全死因死亡の発生とした。

グレード1でも5年絶対リスクが上昇

 779万6,763例の参加者のうち、6.49%(50万5,763例)がT2DMであった。非T2DM群のうちグレード1 NAFLDは21.20%、グレード2 NAFLDは10.02%であったのに対し、T2DM群ではそれぞれ34.06%および26.73%といずれも高率であった。また、1,000人年当たりの心血管疾患および全死因死亡の発生率は、非NAFLD、グレード1 NAFLD、グレード2 NAFLDの順に増加し、非T2DM群よりT2DM群で高かった。

 心血管疾患および全死因死亡の5年絶対リスクは、非T2DM群、T2DM群とも、非NAFLD、グレード1 NAFLD、グレード2 NAFLDの順に増加した。すなわち、非T2DM群では、非NAFLD患者における心血管疾患の5年絶対リスクは1.03(95%信頼区間[CI]:1.02~1.04)、全死因死亡の5年絶対リスクは1.25(1.24~1.26)であり、グレード1 NAFLD患者はそれぞれ1.23(1.22~1.25)および1.50(1.48~1.51)、グレード2 NAFLD患者は1.42(1.40~1.45)および2.09(2.06~2.12)であった。

 同様に、T2DM群では、非NAFLD患者における心血管疾患の5年絶対リスクは3.34(3.27~3.41)、全死因死亡の5年絶対リスクは3.68(3.61~3.74)であり、グレード1 NAFLD患者はそれぞれ3.94(3.87~4.02)および4.25(4.18~4.33)、グレード2 NAFLD患者は4.66(4.54~4.78)および5.91(5.78~6.05)だった。

T2DMでのNAFLDのスクリーニングと予防により、リスク低減の可能性

 このように、非T2DM群のグレード2 NAFLDと比較して、T2DM群の非NAFLDは、心血管疾患および全死因死亡の5年絶対リスクが高かった。また、非T2DM群に比べT2DM群では、非NAFLDとグレード1 NAFLD、非NAFLDとグレード2 NAFLDで、心血管疾患および全死因死亡のリスク差が大きかった。

 著者は、「非アルコール性脂肪性肝疾患のスクリーニングと予防により、2型糖尿病患者における心血管疾患および全死因死亡のリスクが低減する可能性がある」としている。

(医学ライター 菅野 守)