難治性心室細動、新たな除細動法が生存退院率を改善/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2022/11/30

 

 院外心停止で難治性心室細動が認められる患者において、二重連続体外式除細動(DSED)およびベクトル変化(VC)除細動は標準的な除細動と比較して、いずれも生存退院率が高く、修正Rankin尺度スコアで評価した良好な神経学的転帰の達成はDSEDで優れたものの、VC除細動には差がなかったことが、カナダ・トロント大学のSheldon Cheskes氏らが実施した「DOSE VF試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年11月24日号で報告された。

カナダのクラスター無作為化クロスオーバー試験

 DOSE VF試験は、カナダの6つの救急医療サービス(合計約4,000人の救急隊員)が参加した3群クラスター無作為化対照比較クロスオーバー試験であり、2018年3月~2022年5月の期間に行われた(カナダ心臓・脳卒中財団の助成を受けた)。

 6施設は、救急隊員がDSED(2つの除細動器により、急速に連続してショックを与える)、VC除細動(1つの除細動器で、身体前面と背面に装着した電極パッドを切り換えてショックを与える)、標準的除細動のいずれかを行う群(クラスター)に無作為に割り付けられ、6ヵ月ごとにクラスターのクロスオーバーが行われた。

 対象は、年齢18歳以上、院外心停止中に心因性と推定される難治性心室細動を呈した患者であった。

 主要アウトカムは、生存退院とされた。副次アウトカムは、心室細動の停止、心拍再開、退院時の良好な神経学的転帰(修正Rankin尺度スコア2以下)であった。

 本試験は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行による救急隊員の不足に関連して、救命処置に要する時間が延長する可能性への懸念から、データ安全性監視委員会により早期中止が勧告された。

DSEDは心室細動停止率、心拍再開率も良好

 早期中止の前に登録された405例(平均年齢63.6歳、男性84.4%)が解析に含まれた。355例(87.7%)が割り付けられた除細動を受けた。DSED群に125例(30.9%)、VC除細動群に144例(35.6%)、標準的除細動群に136例(33.6%)が割り付けられた。

 生存退院率は、標準的除細動群の13.3%に比べ、DSED群が30.4%(補正後相対リスク[aRR]:2.21、95%信頼区間[CI]:1.33~3.67)、VC除細動群は21.7%(1.71、1.01~2.88)であり、いずれも高率であった(3群の比較でp=0.009)。

 心室細動停止率は、標準的除細動群の67.6%に対し、DSED群は84.0%(aRR:1.25、95%CI:1.09~1.44)、VC除細動群は79.9%(1.18、1.03~1.36)であり、心拍再開率は、標準的除細動群が26.5%に対し、DSED群は46.4%(1.72、1.22~2.42)、VC除細動群は35.4%(1.39、0.97~1.99)であった。

 また、良好な神経学的転帰の達成率は、標準的除細動群の11.2%に比べ、DSED群が27.4%(aRR:2.21、95%CI:1.26~3.88)と優れたのに対し、VC除細動群は16.2%(1.48、0.81~2.71)であり、差はみられなかった。

 著者は、「薬剤投与のタイミングや、エピネフリンおよび抗不整脈薬の平均投与量は、3群ともほぼ同様であり、これらの薬物療法による試験結果への治療上の影響に差があったとは考えにくい」と指摘し、「結果はDSEDが良好であったが、救急医療サービスのなかには2台目の除細動器の補給が困難な施設もある可能性がある。標準的除細動よりもVC除細動のほうが生存率が高いことから、院外心停止時に2台目の除細動器が用意できない場合に、1台の除細動器でVC除細動を行うことは、難治性心室細動の代替治療の方法として有効と考えられる」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 高月 誠司( たかつき せいじ ) 氏

慶應義塾大学医学部循環器内科准教授

J-CLEAR推薦コメンテーター