COVID-19の急性呼吸不全、CPAP vs.高流量鼻腔酸素/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2022/02/09

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による急性低酸素性呼吸不全(AHRF)がみられる患者では、従来の酸素療法と比較して、持続的気道陽圧法(CPAP)は気管挿管や死亡のリスクを有意に低減するが、高流量経鼻酸素療法(HFNO)には有意なリスク低減効果は認められないことが、英国・ウォーリック大学のGavin D. Perkins氏らが実施した「RECOVERY-RS試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2022年1月24日号で報告された。

48の急性期病院の無作為化3群比較試験

 研究グループは、COVID-19関連のAHRFで入院した患者において、非侵襲性の呼吸療法による臨床転帰の改善効果の評価を目的に、適応的デザインを用いた非盲検無作為化3群比較試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]の助成を受けた)。

 本試験には、英国およびジャージー代官管轄区の48の急性期病院が参加し、2020年4月6日~2021年5月3日の期間に参加者の募集が行われた。

 対象は、年齢18歳以上のCOVID-19の確定例または疑い例で、AHRF(吸入酸素濃度[FIO2]0.40以上にもかかわらず、パルスオキシメトリで酸素飽和度[SpO2]94%以下)がみられ、治療の拡大を要する場合は気管挿管が適すると考えられる患者であった。

 被験者は、CPAP、HFNO、従来型酸素療法(標準的な酸素マスクまたは低流量鼻カニュラによる酸素吸入)のいずれかを受ける群に無作為に割り付けられた。

 主要転帰は、30日以内の気管挿管と死亡の複合とされた。

 試験期間中に英国のCOVID-19患者数が減少し、財源に基づく参加者の募集期間(12ヵ月)が終了したため、2021年5月3日、本試験は参加者の募集を早期に中止した。

17.1%でクロスオーバー、検出力不足の可能性も

 1,278例(平均年齢57.4歳、男性66%、白人65%)が登録され、1,273例(CRAP群380例、HFNO群418例、従来型酸素療法群475例)が解析に含まれた。このうち1,260例(99.0%)で主要転帰のデータが得られた。また、17.1%で群間のクロスオーバーが行われた(CRAP群15.3%、HFNO群11.5%、従来型酸素療法群23.6%)。

 30日以内の気管挿管または死亡は、CRAP群では377例中137例(36.3%)で認められ、従来型酸素療法群の356例中158例(44.4%)に比べ発生率が有意に低かった(群間差:-8%、95%信頼区間[CI]:-15~-1、p=0.03)。これに対し、HFNO群では415例中184例(44.3%)が30日以内に気管挿管または死亡となり、従来型酸素療法群(368例中166例[45.1%])との間に有意な差はみられなかった(-1%、-8~6、p=0.83)。

 有害事象の発現は、CRAP群が34.2%(380例中130例)と最も高率で、HFNO群は20.6%(418例中86例)、従来型酸素療法群は13.9%(475例中66例)であった。重篤な有害事象は8例(CRAP群7例、従来型酸素療法群1例)で認められ、このうち4例(すべてCRAP群)が試験介入による「可能性が高い」または「可能性がある」と判定された。

 著者は、「本試験は、HFNO群と従来型酸素療法群の比較において検出力不足であった可能性がある。今回の知見の解釈では、試験の早期終了と群間のクロスオーバーを考慮する必要がある」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)